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2015/05/17

サイモン・ガーフィールド/黒川由美訳「オン・ザ・マップ 地図と人類の物語」感想。
地図史。2015年02月25日読了。

内容紹介(amazonより)

地図は人間の歴史を饒舌に語る。
――世界地図の概念が「発明」されてから2000年、地図制作は人間の進歩とともに発展してきた。コロンブスを遡ること500年前の新大陸発見を証明する古地図、英国の至宝となった絵地図をめぐる大論争、多くの人命を救ったコレラの感染地図……。先史時代の洞窟壁画からGoogleマップにいたるまで、果てなき好奇心で未踏の地に挑み、地図を作りつづけてきた人間の壮大な闘いと冒険の物語。

*貴重な図版を100点以上収録。「地図の世界史」決定版!

地図が人を魅了するのは、そこに物語があるからだ。この本で紹介する数々の地図は、誕生のいきさつ、それらを描いた人々、彼らの思想、そして私たちが地図をどのように利用するのかを伝えている。より頑丈になった十五世紀の船舶、十六世紀後半に確立された三角測量術、十八世紀の経度の確定、二十世紀の飛行機の開発と空中からの観測。そして二十一世紀に入ってからのインターネット、GPS、衛星ナビゲーション──それらを通じて、おそらく人間の空間認知能力は新たに再構築されるのであろう。
(「プロローグ」より抜粋)

内容終わり


地図はいったい誰が発明して、どういう発展の仕方を経て、現代の地図に至ったのかを、豊富な図版とともに紹介する一冊。著者は膨大な資料を丹念に調べ、図版の使用許可を取り、400ページを超える本に仕上げた。

私が以前読んだ本で、オックスフォード英語大辞典を編纂した人たちの奮闘を書いたサイモン・ウィンチェスター「博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話」2013年09月20日読了。8点 と似たような感じである。


地図はどこから始まったのか。紀元前、天動説(地球が宇宙の中心)があたりまえであり、地球が球体と考えられていなかった時代、アレクサンドリア(ナイル川河口付近、現在はエジプト、マケドニア王アレクサンドロス3世が作った街)の図書館には、当時のギリシャが知っていた土地であるヨーロッパとリビアとアジアの3大陸が描かれた地図があった。但し、地球は円盤状の形をしていると考えられていたので、球体ではない。

アレクサンドリア図書館は西暦641年にアラブの王によって完全に破壊されている。いくつかの本は今でも写本が残っていて、それらを丹念に調べることで様々なことが分かってくる。というような紀元前-西暦1000年くらいまでの間は、宗教の巡礼を行う者向けの目印を記した巡礼地図や、隊商が都市から都市へ移動するためのルートマップなどが中心であった。


コロンブスがアメリカ大陸を発見する500年も前、スカンジナビア半島に住むヴァイキング(ノルウェーあたり)が、既にアメリカ大陸を発見していた。であろうという説は巷間広く認められているが、裏付けとなる地図は見つかっていなかった。1950年代になって、古地図商がカナダの端っこが描かれている古地図を見つけた。通称「ヴィンランド地図」というこの地図は、作られた年代がはっきりせず、正しい古地図なのか、あとからヴィンランド部分が書き加えられた贋作なのか判然としていない。(インクの放射線含有量を調べてもなお、贋作の可能性が高いが贋作とも言い切れない状況が続いている)


その他、シティマップ(観光案内図)はいつ頃、誰が作り始めたのか、

測量(軍事機密)はどのような発展を遂げていったのか、

1850年代ロンドンで大流行したコレラは、住宅地図に患者数を重ね合わせた図(これは現在では主題図と呼ばれる手法である)を作ったことで、給水ポンプの位置と患者数が見事に関連性があることが分かり、防疫に大いに貢献した、(この話は地図学を学ぶと必ず出てくる有名な話)

1600年頃に始まった植民地時代では、ヨーロッパ人がアフリカや南米や南極などの秘境を旅するごとに、冒険家(もしくは冒険家の手記を元に)が勝手に地図を書き換えて発売し、間違った地図であっても、広く普及した地図が数十年も本物と信じられていた、

旅行ガイドは誰が作ったのか(ロンリープラネットではない)、

地球儀を作るのはじつは難しい、大型の地球儀はとても難しい、

カーナビはどのように普及したのか(世界一のカーナビ会社はスイスのガーミン、第二グループにオランダのトムトムほか。日本メーカーは日本の特化しすぎて世界的には通用していない)


出だしの数章は歴史的な話が多くてちょっと取っつきにくかったが、全体的にはとても面白い本であった。


8点/10点満点

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