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2015/06/10

ムアンマル・アル・カッザーフィ(カダフィ大佐)/藤田進訳「緑の書」
思想教書。2015年03月09日読了。

リビアの独裁者で、パンナム航空機爆破テロの首謀者、反米精神をむき出しにして生きてきたカダフィ大佐(ムアンマル・アル=カッザーフィー)がリビア革命を起こしたあと、理想的な社会主義を実践する為にリビア全国民に向けて書いた本である。ちなみにカダフィ大佐は、陸軍士官学校を出たあと1年間イギリスに留学して、それから革命を起こしている。

以前読んだ本で、平田伊都子・川名生十「カダフィ正伝」1990年頃読了。10点満点は、欧米の価値観=日本のマスコミが流す国際情報が必ずしも正しいとは限らないことを教えてくれた。

本書は「カダフィ正伝」を読んだあとに触発されて1993年頃に買った。のだが、この頃の私は政治イデオロギーについて無知であり、何を書いているのかさっぱり分からなかったので、ずっと放置していた。

最近、積ん読本の消化に励んでいるので、その一環として読んでみた。


ガチガチの欧米型民主主義批判が展開されるのかと思ったらちょっと違って、アラブ人&イスラーム教徒が目指すべき社会主義の理想を説いている。

(p14)
「政党は、現代の独裁制であり、近代の独裁的統治機構である。部分が全体を支配するような組織として、政党は最新の独裁的統治機構である。政党は個人ではないので、議会や委員会を設置することを通じ、また党員が宣伝活動に従事することを通じて、偽りの民主主義を実現する。政党は同一の利害・同一の見解・同一の文化をもつ人びとや、地縁的つながりをもつ人びと、信条を同じくする人びとなどによってだけ構成されており、けっして民主主義的な統治機構とはいえない。そもそも、それらの人びとが政党を組織するのは、自分たちの目的を達成し、社会全体に対して自分たちの見解と信念を押しつけるためであり、また自分たちの政治綱領を実現するのだといって権力を行使する為である。多様な利害・思想・気質・郷土意識・信条をもっている人民の総体を、政党のメンバーが一括して支配することは、民主主義的ではない。」


なるほど。

まさしく今、沖縄の知事が「県民の総意」と勝手に宣っている構図ですな。


こういう考え方はたぶん社会主義の教科書にも載っているのだろうけど、今はそこまで深くお勉強する気はないので、本書を読んで満足したことにする。


なお、本書の後半はイスラーム教に関する基礎知識がなければ、意味がよく分からないところが多々出てきますので、単純に社会主義に関してお勉強したい方は、マックス・ウェーバーの「社会主義」とか、マルクスの「資本論」を読んだ方が良いと思います。


6点/10点満点


ところでこの本の翻訳権は誰がどうやってどこから取ったのだろう?

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