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2015/08/30

佐藤優・竹村健一「国家と人生」感想。
対談。2015年08月08日読了。


ジャーナリスト・政治評論家の竹村健一(40歳以下の人はあんまり知らないかもしれないけど、「竹村健一の世相を斬る」という結構長寿な冠番組を持っていた)と、

鈴木宗男と田中真紀子の政争に巻き込まれて逮捕された元外務相ノンキャリア佐藤優(現在は政治系の論文を数多く執筆する作家)

の対談。竹村健一が質問者で、佐藤優が回答する型式になっている。

原著は2007年の単行本で出版され、私は文庫本で買った。


両者とも(政治だけでなく)非常に幅広い知識を持っているので、飽きることなく、二人の知識を堪能できた。


・沖縄に関して

(p41)
佐藤「明治政府は明治4年(1871年)に廃藩置県を実施しました。沖縄については明治5年に一旦琉球藩を設置して、それを明治12年に背反し沖縄県を設置しました。いわゆる「琉球処分」です。そのとき、宮古島、石垣島、与那国島は中国領ということで国境線を画定しようとしたことがある。琉球王国は形式上、日本と清国の両属だったからです。そこで清の最高為政者だった李鴻章などと交渉して、条約文書まで完成させたのです。ところが、中国側の事情で発効には至りませんでした。」


・諜報活動

(p133)
佐藤「北朝鮮では、要人名簿などは一切発表されていませんが、「どんな人が偉いのか」は、日本に来れば簡単にわかります。例えば外務省主管のラヂオプレス(RP)では、主に旧共産圏のラジオやテレビ放送を視聴して、その情報を元に作成した記事を報道機関や官庁に配信しています。」

へえー。と思ったのでラヂオプレスをググったら、普通に出てきた。


・情報収集。いかに情報を取捨選択するか

(p162)
佐藤「玉石混淆のなかで、明らかに石でしかないと思う本は読まない」


浜矩子のような適当なことをくっちゃべるお馬鹿おばさんの本は読む価値がないということですね。


・ロシアは信用できる国家なのか

(p195)
佐藤「ロシアは以前も大国でしたし、今後も大国であり続けます。ただ問題は、ロシアのイデオロギーの特徴を押さえておく必要があることです。この前、「サハリン2」という天然ガス開発プロジェクトでロシアが急に態度を翻した事件がありました。環境保全措置が十分でないことを理由に事業化調査の承認を取り消してしまった。事実上の事業中止命令です。私にいわせれば、日本の脇が甘すぎることが原因です。あるいはパートナーのロイヤル・ダッチ・シェルが強欲すぎたのかもしれない。」


私が本書でいちばんすごいと思ったのはここ↓

・ウクライナ

(p203)
竹村「ロシアに対しては、いわゆるEU派というのか、ウクライナなど、ロシアに背を向けてEUに接近している国が増えている。ロシアとしては面白くないでしょうね」

佐藤「その点は(注:ロシアは)割り切ってるはずです。ただしウクライナは、極端にEUに傾くと国家が分裂しかねない。西部ウクライナはEUと手を結ぶかもしれないが、東部と中央部はロシアを頼るはずです。同じ国とはいえ、ロシアに近い東部とポーランドに近い西部では、宗教や文化、歴史もぜんぜん違いますから。」


2007年に出版された本で、佐藤優はウクライナの分裂について正確に予想していた。

2014年クリミア危機で、ほぼこの通りの事態になった。


佐藤優は、19991年のソ連8月クーデターの際、アメリカよりも速くゴルバチョフの生死を確認し、それが故、鈴木宗男から絶大な信頼を得た。(らしい)

またそれが故、外務省キャリアの恨みを買った。(らしい)


本書は対談形式なので、敷居はそれほど高くない。良書。


7点/10点満点

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佐藤優、竹村健一 『国家と人生』(角川文庫)、読了。 3日間かけて行われたという両氏の対談。 たった3日で、これだけの内容をもった言葉を交わせるのかと驚嘆。 才人の集いは素人には想像できません。 本作では、竹村氏が質問をして、佐藤氏が持論を述べるという構図が 主な役割分担になっているようでした。 竹村氏のような知識人であれば、当然知っているだろうことも疑問文で投げかけ、 ...... [続きを読む]

受信: 2015/09/01 20:47

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