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2015/10/17

マイケル・T・クレア/柴田裕之訳「血と油 アメリカの石油獲得戦争」感想。
ルポ。2015年09月23日読了。

著者は、世界中で吹き荒れる紛争の原因は、宗教や民族などではなく、資源(ダイヤモンド、金、銅、木材、耕地、漁場、水など)の争奪戦である。という自説を2001年に「世界資源戦争」という本で著した。

が、21世紀に入り世界の動向をより深く見ていくと、資源争奪戦の中でも、圧倒的に石油のウェイトが大きいことに気付き、新たな自説を本書「血と油」として著した。

本書は、原著、日本語訳ともに2004年に出版された。


第二次世界大戦が始まる前まで、アメリカは世界最大の産油国であった。第二次世界大戦中は、連合国側の石油の実に6/7(約85%)を供給した。この頃(二次世界大戦)には既にアメリカの石油が枯渇しつつあることがわかっており、石油をどこから輸入するかが、アメリカの国家安全保障上の最大の問題点であった(と著者は言う)。


アメリカは世界各国に同盟国をつくり、アメリカ軍を常駐させている。その主任務は、アメリカに輸入される石油を守ること。


例えばエジプト。

エジプト大統領ナセルは、エジプトの自治権を強化しようと画策し、1955年にチェコスロバキアと武器協定を結び、56年にスエズ運河を国有化した。それを受けてイギリスとフランスとイスラエルが軍隊を派遣した。

この3カ国の軍事行動に対し、時のアメリカ大統領アイゼンハワーは3カ国を非難し、世界中を驚かせた(アイゼンハワーの意図は、3カ国の軍事行動がアラブ民族主義を煽り、サウジアラビアに影響が及ぶことを防ぐため)

3カ国が撤退した後、ナセルはソ連から直接武器を買い始めた。これに危機感を覚えたアメリカ政府は、後にアイゼンハワー・ドクトリンと呼ばれる政策を実施、ソ連および東側諸国から中東の友好国を守るためアメリカ軍を使う権限と、武器や軍事援助を提供する権限を得た。

このドクトリンにより、(エジプトにも軍事援助を行ったが)サウジアラビアの親米国王一族を守るため、サウジ陸軍と空軍の近代化をアメリカが提供した。


アメリカの国防と石油調達は表裏一体であるということ、を数々の公開されている資料から丹念にひもとき、説得力のある論を展開している。


2004年の本だが、2015年の今読んでも何ら問題ない。


7点/10点満点

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