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2015/10/11

ジョセフ・メン/浅川佳秀訳「サイバー・クライム」感想。
ノンフィクション。2015年09月05日読了。

本書は、

オンラインカジノ会社のセキュリティを担当する元天才ハッカー少年の、波乱に満ちた10年間(くらい)の出来事と、

その元天才ハッカー少年が探り当てたハッカーのIPアドレスを頼りに、イギリスの警察がロシアに乗り込み、ロシアに1年以上滞在しロシア警察と信頼関係を築き、ロシアのハッカーを逮捕、起訴するまでの話、

の2部構成となっている。

天才ハッカー、バーレット少年は失読症だった。小学校6年の時、父親は失読症の助けになればとバーレットに古いIBMのコンピュータを与えた。この頃はネットスケープが出る前のWeb黎明期で、バーレットはコンピュータに夢中になり、Linuxをインストールし、300以上のドメインを管理し、メールアドレスなどのサービスを友人に月5ドルで販売する会社を設立するまでになった。

当時ドメイン登録を主業務とするネットワーク・ソリューションズという会社があった。しかしこの会社の手続きは杜撰で、その杜撰さを指摘したくてバーレット少年は、ネットワーク・ソリューションズが管理しているドメインのメールアドレスを偽装して「Webサイトを閉鎖するからドメイン解除して」というメールを何通も送った。すると何社ものドメインが削除されてしまった。

これが原因でAOLは3日間、Webサイトがダウンした。この事態にFBIが動き出した。

FBIに、バーレット少年が運営しているメール貸し出し会社が突き止められたが、父親が「顧客の誰かがやったことだ」と言い返したら、FBIは引き返すほかなかった(2002年頃の話。まだインターネット関連の法律が未整備だった頃なので、ログ提出の義務とかがなかった)

これに懲りてバーレット少年は、コンピュータを悪用しないよう、自分に誓った。

高校卒業後、バーレット少年は大学に入学するも中退し、プロバイダでアルバイトを始めた。企業のWebサイトに侵入し、セキュリティをチェックする「外部調査員」を任命された。

アメリカでオンラインカジノに関する法律がなかった当時、バーレット青年はとあるオンラインカジノ業者を担当することになった。そのカジノ会社には、ハッカーから「サーバーをダウンされたくなければ金を払え」という脅迫メールが届いていた。それは単なる脅迫ではなく、実際にハッカーから攻撃され、サーバーがダウン寸前まで追い込まれることがしばしばあった。方法はDDOS攻撃。世界中に散らばっているボットを使って、オンラインカジノ会社のサーバーに一斉にアクセスを行い、サーバーの処理能力をパンクさせる方法である。

天才ハッカーのバーレット青年は、ボットとなっているPCのIPアドレスを丹念に探って、そのIPアドレスをプロバイダから切り離す(アクセス禁止リストに載せる)作業をちまちまちまちまと寝る間も惜しんで取り組んだ。そして遂にハッカーが音を上げた。サーバーをダウンさせるために必要なボット数が全部ブロックされてしまった。

この事態に、オンラインカジノ会社は歓喜の声を上げた。

オンラインカジノ会社はコスタリカに本社があった。バーレット青年とその恋人は、コスタリカにご褒美旅行をプレゼントされた。そして、オンラインカジノ会社から「これからもこういう事態があったらよろしく!」と頼まれた。

自分のハッカー能力が人の役にたつことを知ったバーレット青年は、オンラインカジノ会社の経営者に出資を依頼し、自分の会社を立ち上げた。

オンラインカジノ会社は当時そうとう儲かっていた。したがって、世界中のハッカーから狙われていた。バーレット青年の会社はフル回転。

しかし、オンラインカジノ会社の経営者と付き合っているうちに、彼らは実はマフィアなのでは? という事実にぶち当たる。

悩んでいる間も仕事は次から次へと舞い込み、FBIに情報協力する立場になっていた。オンラインカジノ会社経営者は、バーレット青年がFBIと接触することを警戒する。

バーレット青年には葛藤が生まれた。


的な話が第1部。


第2部は、バーレット青年が見つけたIPアドレスを手がかりに、イギリスの警察官がロシアのハッカーを追い詰める話。


読む前に予想していたより5倍くらい面白かった。堪能。

8点/10点満点

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