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2015/11/22

ジョージ・ジョンソン/水谷淳訳「量子コンピュータとは何か」感想。
科学。2015年10月27日読了。

本書の内容はタイトルの通りで、量子コンピュータとは如何なる物なのかを、コンピュータに関する知識がない人でもわかるように解説した科学ノンフィクションである。

原著は2003年に、邦訳単行本は2004年に、文庫版は2009年に出た。


本書はまず2進数とは何か、という説明から入る。

そして、コンピュータの原理である論理演算、AND/NAND/OR/NORの説明。

その次に、原子はスピンする、という大学生以上の物理学(量子力学)の説明を始める。

そして、コンピュータの限界とは、途方もなく大きな数の「因数分解」には途方もない時間がかかること。

「因数分解」を利用しているのが暗号化であり、

「因数分解」を手早くできる装置が量子コンピュータである等々が書かれている。


とてつもなく説明が下手である。読むのが苦痛だった。


1点/10点満点

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2015/11/10

トム・リード/金子宣子訳「「ヨーロッパ合衆国」の正体」感想。
EU解説。2015年10月24日読了。

原著2004年、日本語訳2005年に出版された本。

現在のEUは1993年11月1日のマーストリヒト条約の発効によって発足し、ユーロの発行は2002年1月1日にユーロ加盟国で一斉に切替が行われた。

本書は、EUと、EUの共通通貨であるユーロが、アメリカ人に想像以上に強力な存在になっていることを、ワシントン・ポストのロンドン支局長でアメリカ人の著者が、普通のアメリカ人向けに書いた本。


序盤はEU構想は誰がどのように考え出したのか、その歴史を詳しく書いている。


第二次世界大戦の加害者西ドイツと被害者フランスというヨーロッパの2大国が、歴史的な感情を抜きにして商売を効率よく進めるために、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、至りを加えた6カ国で1951年に欧州石炭鉄鋼共同体設立条約(調印国間で共同市場をつくる条約)を締結したのがEUの始まり。

貿易業務の簡易化(関税の廃止)、品質基準の明確化、戦争の戦略物資になる鉄鋼と石炭の取引透明化による西ドイツの暴走の監視、などの条項が盛り込まれたことより、戦争で疲弊したベルギーとフランスは石炭を西ドイツに売り、西ドイツは鉄鋼を作って重工業が復活し、鉄鋼を運ぶためオランダの港湾が活況になる。

経済的にひとつになることで得られるメリットは、その後ヨーロッパ各国に認識されるようになり、EU創設へとつながっていった。


また、EUが組織として発展できた理由のひとつに、NATOの存在がある。

NATOは、冷戦が終結した今(注:2004年)でも、予算の60-85%をアメリカが拠出している。さらに、10万人を超えるアメリカ軍人がヨーロッパに駐留している。

EU加盟各国が戦争に巻き込まれるような事態が発生しても、とりあえずはNATOがあるので、EU各国、特に小国が戦費に悩むことはない。


EUは公用語が20言語あり(注:2004年。2015年では24言語)、EUに関係するすべての書類は20カ国語で作成され、EUの会議では20カ国の相互同時通訳が必ず同席して、同時通訳する。

EUが存在するおかげで、翻訳や通訳の仕事が増えたのだそうだ。(まあ、こんな細かいことはどうでもいいか)


10年前の本だが、興味深く読めた。良書。

8点/10点満点

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2015/11/01

ジュリアン・クリブ/柴田明夫訳「90億人の食糧問題」感想。
啓蒙書的なルポ。2015年10月10日読了。


本書の感想に入る前に。

今の日本で人手不足が深刻な業界は、介護、建築・土木、小売店(特に深夜)、それと大型車両のドライバーなのだそうだ(ソースは現代Webとか東洋経済とかいろんなところ)。農家の跡継ぎ不足も深刻なのだろうが、実はトラックドライバー不足が深刻になっているという話。

トラックドライバーが不足すると、日本中の物流が滞ってしまい、製造主も卸も小売りも皆ダメージを受ける。

メガ小売りの過剰なコストダウン要求で、トラックドライバーの平均年収は400-600万程度で頭打ちなのだそうだ。食うには困らないくらいの給料はもらえるが、日本の若者人口が減っている+若者の高学歴化が進んでいる+将来の展望があまり見えないことから、なり手が激減しているのだとか。

で、自動運転技術の開発が絶賛進行中なのである。

高速道路だけでも自動運転できるトラックが開発されれば、物流人件費が劇的に下がるから、自動車メーカーだけじゃなく、資金力のある小売りもじゃんじゃん資金を注ぎ込む(米国のAmazon本社など)。

ということで、日本は人手不足がそこかしこで深刻化している。


しかしながら世界に目を転じると、そこかしこで人が余っている。

「アラブの春」でチュニジア、エジプト、リビアの政権が転覆し、シリアは泥沼の内戦に陥っているのも、元を辿れば、人あまりによる就職難が原因。

大学に行って専門分野の学位を取得したのに、正社員どころかアルバイトの口すらない、日雇い仕事で辛うじて糊口を凌ぐ。そういう若者が世界中に溢れている。

チュニジアの若年失業率は30%。エジプトは23%(ソース:JICAの記事

ギリシャやスペインでは、若年失業率が50%超(ソース:朝日新聞のWebRONZA


そういういう意味では、日本は仕事を選ばなければ何とか職にありつくことができるともいえる。だが、誰しも将来的に高い給料をもらえる職種に就きたいと思っているのに対し、企業は安くこき使えて体力のある若者を欲しがっている。ミスマッチ。それが結局、介護ロボットの開発、自動運転の開発、ロボット受付嬢、セルフレジの導入、鮨ロボット、土木職人の技術を数値化して工具化、等々につながっている。

若者の人口減少に悩む先進諸国は、技術開発力を駆使して、若者がいなくても成り立つ世界を作り上げようとしている。

その余波が、今の中進国に一気に襲いかかってくる。中進国は子だくさんな傾向にある。子だくさんな国が、先進国から若者を必要としない技術を導入したら、若者は今以上に職にあぶれる。


あまり考えないで一気に書いたので若干ヘンテコな内容になってしまいましたが、少子化に悩む先進国が、人手を必要としない技術を開発しているため、少子化じゃない国の若者が困っている、ということです。


で、本書。


世界の人口は2011年頃に70億人を突破しました。

2040-50年に90億人を突破することが予測されています。

世界人口が90億人に達した時、食糧は足りるのでしょうか?


ということを、世界中の様々な学術研究、シンクタンクの報告書などを元に、警鐘を鳴らすためやや悲観的に問題提起しているのが本書。著者はオーストラリア(豪州)の科学ジャーナリスト。

本文約300ページで、ところどころ主張が重複して鬱陶しいのを除けば、かなり為になる本


◆世界中で淡水を使いすぎている。特に地下水と湖。

地下水脈に水が貯まる過程は、雪解け水や雨水が地表に届き、大地にゆっくりとしみ込み、数十~数百mの地層が不純物を濾過し、地下水脈に貯まる。地下水脈に貯まる以上の水量を汲み出すと、いずれその地下水脈は枯れる。

アメリカの農村地域では、この地下水枯渇が大変な問題になっている(例:オガララ)。

また、無計画な灌漑農業をすすめた結果、旧ソ連のアラル海(現カザフとウズベク)、アフリカのチャド湖は、どちらも面積が1/10以下になってしまった。

淡水が減るということは、農業に使える水が減るということである。

(ちなみに、地球上の「水」の量は基本的に不変。減らないし増えない)


◆そもそも農地は90億人の食糧を生産できるほど残っているのか?

どこの国でも構わないが、人口が増えると、都市化が進む。

都市化は、農地を潰して人が住む場所を作る行為である。

いろんな客観データを見ると、世界には、もう農地(農作に適した土地)が残り少ない。世界人口が90億人になった時、食糧を生産できるだけの農地が残っているのだろうか?


◆リンが枯渇する

農業(に用いる肥料)は、窒素、リン酸、カリウムが必須である。

そのうち、リンが枯渇しつつある。(ソース:環境バイオテクノロジー学会の論文PDF

リンが枯渇したら、農業は成り立たない。

太平洋の小さな島国ナウルは、鳥の糞でできたリン鉱石が豊富な国だったが、取り尽くしたため、今は没落国家となっている。


◆魚が枯渇する

船を漕いで海に出れば、いくらでも魚が捕れる。

世界中の沿岸部に住む人々は、昔も今も魚を獲って暮らしてきた。だが今、魚が捕れなくなってきている。乱獲が原因と考えているのならまだマシだが、世界中の多くの漁業関係者は、魚は無尽蔵だと勝手に思い込んでいる。

ニシンはすっかり減ってしまった。

マグロも減ってきている。ウナギも減っている。

この傾向が、特定の魚の話ではなく、すべての魚が減っていると考えないのはなぜだろう?


◆経済が向上すると、肉食が増える

牛肉1kgを生産するのに必要な淡水で、
トマト91kg
キャベツ175kg
が生産できる。

しかし、人は本質的に肉が好きである。


◆石油の代わりにバイオ燃料

石油が枯渇しつつある。

その代わりに、バイオ燃料が用いられるようになった。

バイオ燃料はサトウキビやトウモロコシから作られる。

食糧よりも燃料。これは正しいのか?

…というようなことが書かれている。良書。


7点(悲観的すぎ)/10点満点

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