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2016/01/29

佐藤健太郞「炭素文明論」感想。
化学の本ではない。2015年12月21日読了。


炭素についての化学の本っぽかったので、興味が湧き買った。

違った。

炭素化合物が人類の歴史にどのように関わってきたのか、を化学を知らない人でも読めるように書いたサイエンスノンフィクション(かな?)だった。本書は新潮選書から出版されている。


◆余談◆
20年前まで、こういうジャンル(教養本)は新書と決まっていたのだが、三流出版社がどこも新書を出版するようになり、新書特有の堅さ、格調高さ、有り難みがなくなってしまった。

出版不況の中、まだこういう堅い本を出そうとする気概のある出版社は、選書を充実させるようになってきた。本書を出している新潮社(新潮選書)、岩波書店(岩波現代全書)、中央公論社(中公選書)、NHK出版(NHKブックス)などなど。
◆余談終わり◆

本書の著者は、東工大博士課程を出て、医薬品メーカー勤務、東大特任助教授を経てサイエンスライターを稼業としている方。

化学に疎い私にとって、なるほどそうだったのか! と思うようなことが幾つも書かれている。以下二つほど例。

(p19)
原子と原子のつながり方によって、分子の性質は多彩に変化する。天然ガスの主成分であるメタン、ガソリンの成分であるヘキサン、ニンジンの色素カロテン、プラスチックの一種ポリエチレンは、それぞれまったく異なる性質を持つが、いずれも炭素と水素から成っており、原子数とつながり方だけが異なっている。

(p98)
1960年代には、味の素社はグルタミン酸の一部を石油からの化学合成で供給したが、(中略)原料が昆布であろうが小麦粉であろうが石油であろうが、出来上がったものは同じグルタミン酸という分子であり、そこに差異は何もない。原料が何であろうが、原子に個性はない以上、つながり方さえ同じなら同じ分子であり、区別する理由は何もない。


炭素化合物を中心に、デンプン、砂糖、香辛料(芳香族化合物)、グルタミン酸、ニコチン、カフェイン、尿酸、エタノール、ニトロ(爆弾)、アンモニア、石油、未来(カーボンナノチューブなど)について、興味深い話が並んでいる。

難しい話はなるべくしないように、でもポイントはきっちり押さえます。的な流れで進んでいるので、サクサク読めるし化学への理解も深まる(深まったと錯覚させる)。なかなかの良書。

ページ数の関係と思われるが、個々のエピソードの掘り下げがやや浅く、上辺だけになっている感が個人的には少し残念。なのでちょっとだけ辛め採点。


7点/10点満点

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