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2016/04/02

サイモン・シン/エツァート・エルンスト/青木薫訳「代替医療解剖」感想。
代替医療ルポ。2016年02月07日読了。

サイモン・シン/青木薫訳の本はこれまで3冊読んだ。

「フェルマーの最終定理」2015年06月11日読了。10点/10点満点

「暗号解読(上)」2016年01月12日読了。9点/10点満点

「暗号解読(下)」2016年01月16日読了。10点/10点満点

10点満点、9点、10点満点。ということは、サイモン・シン/青木薫訳の他の本もきっと面白いに違いない。というわけで、本書「代替医療解剖」を手に取った。

代替医療というのは、現代医療で治らない病気(重い病気から軽い症状まで)を、この方法なら治せます!と宣伝して、現代医療に不満を持っている層から金を毟り取る商売のこと。

99.9999%の医学者が「そんなものに効能はないし、調べるだけ時間の無駄」と取り上げもしないのだが、代替医療推進者から金をもらっている(数少ない)医学者は「これこれこういう実験をしたところ効能が認められた」と論文を書き(但し、医学の学術誌には掲載されることはほとんどない)、代替医療を推進する人たちは(その薄弱な論文を元に)効能があることは医学的に証明されていると言い張る。

原著が出たのは2008年で、その時点で、世界中で年間400億ポンド(約6兆円)が代替医療に使われている超巨大産業である。


本書は、元々は代替医療分野で世界初の大学教授になり、英国エクセター大学に代替医療学部を創設したドイツ人エツァート・エルンストが、代替医療に効能があるのかを15年に渡って研究した成果である。

代替医療の効能を測る方法は、新薬開発と同じ二重盲検法を用いている。

盲検法は、同じ病気、同じ程度の症状のほぼ同数の患者に、新薬と偽薬(プラセボ)を無作為に処方し、新薬に効能があるかを調べる方法である。患者には新薬の実験であることは告げられるが、自分が飲む薬が新薬か偽薬かは分からない。

しかし処方する医者が新薬か偽薬かを知っていると、処方する際の微妙な表情から、患者が「自分が処方されているのは偽薬」と読み取ってしまう場合がある。

これを防ぐために、医者にも新薬・偽薬の区別が付かないように治験するのが、二重盲検法である。

本書ではまず、盲検法という手段が発見された経緯、それが世界中に広まり、二重盲検法として確固たる手段として確立された経緯が書かれている。

そして、代替医療の二重盲検法による検証が始まる。

最初は鍼。
中国で始まり、日本でも広く普及している鍼。
気の溜まるツボに鍼を刺すことで、色んな病気に効く鍼。
気休め程度の効果しかありませんでした。

次。ホメオパシー。
いかさま療法です。

次。カイロプラクティック。
マッサージとは違います。カイロプラクティックです。
腰痛緩和には効果があるかもしれないけど、頸椎(首)を触らせるのは危険です。

次。ハーブ療法。
効く物もあれば効かない物もある。

この4つについては、各々50-70ページを割いて、このような結論に至った経緯を詳しく解説している。

この他にも、アーユルヴェーダ、アロマセラピー、オステオパシー、催眠療法、指圧、他多数にも触れている。


代替医療は巨大産業になってしまったので、ここから利益を上げている企業や団体、個人は、けっして本書に書かれていることを認めないだろう。


ガンに効くキノコが存在するのなら、世界中の製薬メーカーが新薬開発に乗り出していますよ、って話。


7点/10点満点

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