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2016/12/25

ダニエル・ヤーギン/伏見威蕃訳「探求 エネルギーの世紀(上)」感想。
エネルギー史。2016年06月29日読了。

端的に言うと、石油とガスの「探求」の歴史である。素晴らしい内容だ。アマゾンレビューで翻訳が悪いと極端に低い点数をつけている人がいるが、多少翻訳の粗さは目につくものの、内容が圧倒的なので本書の価値を損なうほどではない。

上巻は、
プロローグ
第1部 石油の新世界
 第1章 ロシアの復帰
 第2章 カスピ海ダービー
 第3章 カスピ海の対岸
 第4章 スーパーメジャー
 第5章 石油国家
 第6章 流通途絶
 第7章 イラク戦争
 第8章 需要ショック
 第9章 中国の勃興
 第10章 追い越し車線の中国
第2部 供給の安全保障
 第11章 世界の石油は枯渇するのか?
 第12章 非在来型石油
 第13章 エネルギーの安全保障
 第14章 ペルシャ湾の流砂
 第15章 海上のガス
 第16章 天然ガス革命
第3部 電気時代
 第17章 交流電気
 第18章 核燃料サイクル

という目次である。


プロローグでは、イラクのクウェート侵攻(1990年)は、クウェートを併合した場合イラクは世界の石油埋蔵量の2/3を占めることができ、兵員数が世界第4位という世界有数の軍隊を持っていたこともあり、世界の大国として君臨する夢を見た。

第2章では、アゼルバイジャンは、第一次世界大戦中にロシア帝国が崩壊したとき素早く独立を宣言し、イスラム世界で初となる近代的な議会と、(英米よりも早く)女性の投票権を認めた最初のイスラム国家であった。などを含めて、カスピ海は石油の一大産地であり、ソ連崩壊後に次々と誕生した国による油田確保に関する話が盛り込まれている。

第3章では、そのカスピ海周辺諸国と、地図を見ればすぐわかるがカスピ海は内陸にあるため、石油の消費地にどうやって石油を届けるのか、パイプライン敷設に関する話。

第4章では、その昔石油は、セブンシスターズと呼ばれる7社が世界を独占していたが、1995年頃から原油価格は20ドルを割り込み、収益が悪化したセブンシスターズは先行投資ができなくなり、セブンシスターズ同士による合併が相次ぎ、スーパーメジャーと呼ばれる5社に収斂していったという話。

第5章では、OPEC加盟国でもあるベネズエラが、原油価格高騰による濡れ手で粟の金が手に入り、ばらまき政策で人気を博したチャベス大統領はそれを確固たるものにすべくベネズエラ石油公社を国営にし、欧米資本を追い出し、凋落する様を。


と、全章にわたってすべてが興味深く、かつ面白い。

圧倒的な本である。


9点/10点満点

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