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2016/12/22

最上敏樹「人道的介入 -正義の武力行使はあるか-」感想。
国際政治学。2016年05月13日読了。

◆内容(本書カバー折り返しより)
極度の迫害を受け、生命が危険にさらされている人々に対して、国際社会には何ができるか。彼らを救うのに武力以外の手段がないとすれば、どうしたらよいのか。人道的介入の名目でNATOが行ったユーゴ空爆をはじめ、ソマリア、ルワンダなど、数々の地域紛争を検証し、21世紀における平和のあり方、人道的であることの意味を考える。

◆感想
国際政治、中でも内政不干渉(独立国家の内部で起きている事態に関して、国連や他国が容易に口出ししてはならない事)の禁を破って干渉する事態は、国連が絡んでいようといまいと、国家の主権に関する概念をきちんと理解していないと難しい。

国際政治に関する本を読んでいるだけの私(大学等で専門教育を受けたわけではない)には、少々敷居の高い=難しい本だった。なぜ難しいかというと、国連憲章の第〇条第〇項にこう書かれているが、その解釈は正しいのだろうか? 的な記述が多く、国連憲章なんて見たことすら無いよ、という私には難しいのであった。

これは、日本国憲法の改正に関し、憲法学者が、憲法〇条はうんたらかんたらと述べているのが難しく感じることと近い。

本文より、私が注目したところ。

P16&P25
1971年3月から12月までの間に、東パキスタン(現バングラデシュ)で、ベンガル人100万人がパキスタン政府の手で虐殺された。

→ベンガル人はバングラデシュの多数派。パキスタンの多数派はパンジャブ人とパシュトゥーン人。バングラデシュ独立前、政権を握っていた現パキスタンのパンジャブ人は、東パキスタンを差別していて(人種が違う、宗教が違うなどの理由)、怒った東パキスタンが1971年3月に独立を宣言すると、逆切れしたパキスタン政府が反逆者の弾圧に乗り出したというもの。

パキスタンに関してはほとんど勉強していないので、この話は全く知らなかった。

P42
スハルト時代のインドネシアの左翼弾圧(犠牲者30-40万人)
1970年頃、北部スーダンが南部スーダンを虐殺(犠牲者50万人)
ナイジェリア内戦=ビアフラ紛争(犠牲者60‐200万人)

スハルト時代のことは、最近(2016年11月・当ブログへのアップはしばし先の話)読んだ本に書かれていた。

ビアフラ紛争は伊藤正孝「ビアフラ 飢餓で滅んだ国」2012年09月11日読了。10点満点が素晴らしい本だった。

スーダンに関しては、1970年頃から揉めていたのは知らなかった。


というような事例を紹介しながら、本書は旧ユーゴが崩壊に至った一連の事態を検証していく。
世間的には、セルビア=悪、ボスニアヘルツェゴビナ=可哀そう、クロアチア=可哀そう
なのだが、これはボスニアヘルツェゴビナがアメリカの広告代理店を使って、世界中でセルビア=悪のキャンペーンをした結果に出来上がったイメージなのであって、もちろんセルビアも相当いろんなことをやらかしたが、ボスニアヘルツェゴビナやクロアチアも、セルビア人を虐殺しまくっていた。ここいらは高木徹「戦争広告代理店」2005年08月30日読了。10点満点。に詳しい。

そのうえで、

P126
「人道的=正義であるなら何をしてもよい」という結論を安易に導かないことである。

というような見解を示している。この引用が著者の見解のすべてではないが、かなり凝縮された言葉なのかな、と私は思っている。


7点/10点満点

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