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2017/01/12

アレックス・ゴールドファーブ/マリーナ・リトビネンコ/加賀山卓朗訳「リトビネンコ暗殺」感想。
ロシアの闇。2016年10月04日読了。

ロシアのFSB(KGBの後継機関)元中佐アレクサンドル・リトビネンコが、ポロニウムという放射性物質を使って暗殺された。(ポロニウムは強力なアルファ線を放出するが、アルファ線は紙切れ一枚で遮断できる。しかしポロニウムを体内に入れてしまうと、臓器が強力なアルファ線に曝され死に至る)

リトビネンコは、プーチンと対立するロシアの政商ベレゾフスキーに近く、アメリカの投資家ジョージ・ソロスの下で働いていた著者のゴールドファーブ(ソ連の反体制科学者で1970年代にアメリカに行く。亡命ではない)は、ソ連崩壊後のロシアに商機を見出すためにベレゾフスキーと交流し、ベレゾフスキーを介してリトビネンコと知り合う。(なお共著者はリトビネンコの妻である)

著者は政治経済の両面からロシアに深くかかわり、リトビネンコがトルコを経由しイギリスに亡命するのを手伝い(アメリカに亡命させるのには失敗した)、リトビネンコが病床で死ぬまで付き添った。

本書は、リトビネンコから聞いた彼の半生を追いかけながら、ロシアの政治を分析した本である(但し反プーチン側にいたのでそれなりにバイアスがかかっている)。

本書にはあまりにもディープなロシア人が多数登場するので(エリツィン政権時の安全保障会議書記とか、プーチン政権時の大統領府長官とか)、細かな内容紹介は割愛。

ロシア政治の闇、を知りたい方は読みましょう。


本書p445-によると、毒殺に使われたポロニウムは静電気を除去する装置に用いられる工業用放射性物質で、世界の生産量の97%がロシアのチェリャビンスク(2013年に隕石が落下して大騒ぎになった場所)近郊で作られている。その量年間85g(単位の間違えではないですよ)。そしてその多くはアメリカに輸出されている。

ポロニウム210は放射性崩壊(この物質の場合はアルファ崩壊)すると鉛206(安定同位体)に代わる。半減期は138日。サンプルに含まれる鉛の量と不純物の量を測定し、アメリカに輸出されたポロニウムのサンプルとを比較すれば、いつ作られたポロニウムなのか特定できるのだそうだ。なるほどなあ。


8点/10点満点

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