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2017/04/24

ダヨ・オロパデ/松本裕訳「アフリカ 希望の大陸」感想。
アフリカ経済。2017年03月24日読了。

アフリカ経済に関する前向きな情報が満載の、とても良い本でした。

著者はナイジェリア系アメリカ人(親が移民)の女性ジャーナリスト。本書の原著は2014年に出版され、日本語版は2016年8月に出版。日本語版出版までに時間がかかっているため、本書に書かれているサービスのうち既に廃止に追い込まれているのもあり。

本書ではナイジェリアの公用語の一つヨルバ語の「カンジュ」という言葉をキーワードに設定し、アフリカ経済の行動様式を「カンジュ」で説明しようと試みています。「カンジュ」とはヨルバ語直訳で「焦る」「急ぐ」という意味。意味合いとしては「精を出す」「努力する」「ノウハウ」「やりくり」といったことになるとのこと。

非常に面白かった。が、あまりにも楽観的過ぎるので私的な評価は9点。


9点/10点満点


以下、つらつらと付箋をつけたところを列挙。

P21
2007年のケニアの大統領選挙で、キバキ派(キクユ族)とオディンガ派(ルオ族)に国内が分断され、暴力が渦巻き1200人の死者を出す事態になった。ケニアはアフリカの中でも(旧宗主国イギリスの流れを汲む)民主主義優等生と思っていた西欧の人は皆驚いた。TVやラジオなどマスコミは傍観していた。それに怒ったたケニアのソフトウェア技術者が、暴力行為を発見したら即座にマッピングできる「ウシャヒディ」というソフトを立ち上げた。そして秩序は回復に向かった。

「ウジャヒディ」は世界中に広がった。パレスチナのガザの混乱を監視し、スーダンや南米の選挙を監視し、
豚インフルエンザの蔓延を追跡し、メキシコ湾原油流出事故で流れ出た石油を監視した。


P39
アフリカでいちばん裕福なナイジェリア人のアリコ・ダンゴート
→調べたら、セメントで財を成した2兆円以上の超金持ちだった。


P41
スーダン生まれの億万長者で国際通信会社セルテルの創業者モハメッド・イブラヒム
→調べたら、この人も1000億円の桁の金持ちだった


P49
ナイジェリアは世界で2番目に映画が多く作られていて(私は知っていた)、オンライン配信はナイジェリアのNetflixといわれる「iROKOtv」という会社が最大手。ナイジェリア出身者で他国に出稼ぎに行っている人は多く、異国でこのサービスを楽しんでいるナイジェリア人も多いのだとか。


P93
1997年、ナイジェリアの繊維産業では137,000人が働いていた。6年後、57,000人にまで激減した。「太った国(=アメリカ)」からの善意の古着の寄付によって、繊維産業が壊滅してしまった。「善意の無償寄付」とは勝負にならない。

太った国の善意により、マラウィ最大の繊維メーカーが閉業した。エチオピアとエリトリアでは古着の輸入を禁止した。

サハラ以南で最大の綿生産国であるマリでは、国内では1枚もTシャツを生産していない。


P104
国連という、アフリカの普通の人にとっての部外者が勝手に立てたミレニアム開発目標で、万人の初等教育を充実させる、というのがある。

アフリカ各国は目標到達に尽力した。目標を達成したら国連からいろんな金がもらえるから。

その結果、「給料がろくに支払われない教師たちが」 「(教師なのに)学校に来なかったり」 「退屈で時代遅れのカリキュラムすら教えることができない」 という事態に陥った。

→その結果として、本書の違うページで、アフリカのスラム街で「1か月5ドル」の私立小中学校に入学させる親が滅茶苦茶増えているとのこと。こういう私立学校が保証するのは「教育の質」。やる気のない教師がいる公立学校(一応無料)よりも、金を払ってでも教育の質が高い学校に通わせる親が多いのだとか。

→P215に続報的に書かれていて、ケニアのスラムの40%、DRCコンゴの71%、ナイジェリアのラゴス州の3/4、ウガンダの中学校5600のうち4000が私立。


P125
アフリカ諸国では、隣人の噂、評判がかなり重要な情報源になる。これを「近傍情報」と呼び研究したところ、「xxさんはこの時期に種を撒いて大豊作だった」的な情報が集まった。

これってビジネスになるんじゃね?


P138
アフリカの優等生と言われているボツワナ。国債の格付けも高い。
しかーし、官僚の主要ポストはカーマ大統領の親族が占めている!!! マジで!!!


P140
頭脳流出について、まあ普通に優秀なアフリカ諸国の人たちはアメリカを目指す。
スーダン人はアトランタ。
ソマリ族はミネアポリス。
エチオピアとエリトリアはワシントンDC。
フランス語圏アフリカ人はニューヨーク。

→へえー。そうなんだ。つまり逆を言えば、そういう国とコネを持ちたいときはアメリカのそういう都市に行けばいいのね。


P145
ソマリア発祥の国際送金サービス「ダハブシール」。現在144か国で国際送金ができるとのこと。

→この手のサービスはウエスタンユニオン銀行(日本の代理店は大黒屋)しか知らなかったが、やっぱりこういう送金サービスってのは需要がすごいんだなあ。


P149
アルセロール・ミッタル(世界最大の鉄鋼会社。インドのミッタルスチールが買収に買収を重ねた結果出来た会社)がリベリアのグランドバッサ郡に拠点がある。

→西アフリカだって鉄鋼需要はあるんだろうけど、リベリアに工場があるというのは意外だった。


P170
Mペサ(知らない人はググってください)の成功を受けて、同様のサービスが世界中で広まった。

パガ、エコキャッシュ、スプラッシュモバイルマネー、ティゴキャッシュ、エアテルマネー、MTNモバイルマネー。

中でもセネガルのワリという会社は22カ国で使えるサービスを開発した。


P184
南アフリカで最大のSNSは「Mxit」。5000万人以上が利用している

→2017年3月に調べたら潰れていた


という話がまだまだたくさん載っているんだけど、書き飽きたのでこれでおしまい。

興味がある人は本書を定価で本屋から買って読んでください。(じゃないと翻訳者に印税が1円も入らない→こういう本を翻訳してくれる人が減る→日本語では情報入手が遅れてしまう→冗談抜きで日本国経済の危機)

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2017/04/12

アクセスカウンター41万突破に感謝。

トップに設置している忍者Toolsアクセスカウンターが40万を突破しました。
お読み下さっている皆様に感謝です。

2005年12月15日 ブログ始める
2006年11月23日 アクセス01万突破 (344日) 一日平均 29
2007年10月09日 アクセス02万突破 (321日) 一日平均 31
2008年06月21日 アクセス03万突破 (255日) 一日平均 39
2009年01月19日 アクセス04万突破 (212日) 一日平均 47
2009年05月28日 アクセス05万突破 (129日) 一日平均 77
2009年09月06日 アクセス06万突破 (101日) 一日平均 99→11月に世界一周開始
2010年01月06日 アクセス07万突破 (122日) 一日平均 82
2010年02月22日 アクセス08万突破 ( 47日) 一日平均212
2010年04月27日 アクセス09万突破 ( 65日) 一日平均154→5月末に世界一周終了
2010年07月01日 アクセス10万突破 ( 65日) 一日平均154
2010年09月02日 アクセス11万突破 ( 62日) 一日平均161
2010年11月21日 アクセス12万突破 ( 80日) 一日平均125
2011年02月01日 アクセス13万突破 ( 72日) 一日平均139
2011年04月26日 アクセス14万突破 ( 86日) 一日平均116
2011年07月08日 アクセス15万突破 ( 73日) 一日平均137
2011年09月07日 アクセス16万突破 ( 60日) 一日平均167→フィリピン留学記
2011年11月25日 アクセス17万突破 ( 80日) 一日平均125
2012年01月30日 アクセス18万突破 ( 66日) 一日平均152
2012年04月23日 アクセス19万突破 ( 83日) 一日平均120
2012年06月24日 アクセス20万突破 ( 62日) 一日平均161
2012年08月28日 アクセス21万突破 ( 65日) 一日平均154
2012年11月01日 アクセス22万突破 ( 65日) 一日平均154
2013年01月20日 アクセス23万突破 ( 81日) 一日平均123
2013年03月22日 アクセス24万突破 ( 60日) 一日平均167
2013年05月27日 アクセス25万突破 ( 66日) 一日平均152
2013年07月18日 アクセス26万突破 ( 52日) 一日平均192
2013年09月07日 アクセス27万突破 ( 51日) 一日平均196
2013年11月06日 アクセス28万突破 ( 60日) 一日平均167
2014年01月10日 アクセス29万突破 ( 65日) 一日平均154
2014年03月22日 アクセス30万突破 ( 71日) 一日平均141
2014年06月09日 アクセス31万突破 ( 79日) 一日平均127
2014年08月17日 アクセス32万突破 ( 69日) 一日平均145
2014年11月19日 アクセス33万突破 ( 94日) 一日平均106
2015年02月20日 アクセス34万突破 ( 93日) 一日平均106
2015年06月 頃  アクセス35万突破 カウントするのを忘れていました。
2015年09月15日 アクセス36万突破 ( ??日) 一日平均 97
2016年01月05日 アクセス37万突破 (112日) 一日平均 89
2016年04月20日 アクセス38万突破 (106日) 一日平均 94
2016年08月12日 アクセス39万突破 (114日) 一日平均 88
2016年12月14日 アクセス40万突破 (124日) 一日平均 81
2017年04月09日 アクセス41万突破 (116日) 一日平均 8286

ブログを開始してから4133日で41万アクセスを突破、1日平均99.2アクセスです。

今後ともご贔屓にどうぞ。

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2017/04/08

橘玲「バカが多いのには理由がある」感想。
ビジネス書?2017年03月17日読了。

橘玲氏は多数のWeb連載を持っていて、着想がどれも面白く、私はいつも楽しみにしている。

橘玲公式サイト(週間プレイボーイ連載)
ZAI ONLINE の日々刻々

など。

本書はそういうエッセンスが詰まったものなのだが、もともと単行本で出版された本の文庫化なので、Web連載とは異なり時事性が薄いため、面白さが半減してしまっているかもしれない。悪くはないです。

2カ月前に紹介した「ファスト&スロー」は、橘玲氏が褒めていたので読んだことを思い出した。


6点/10点満点

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2017/04/07

山内昌之・他「中東とISの地政学」感想。
中東分析。2017年03月15日読了。

本屋で立ち読みしたら面白そうに思えたので買った。

18人の中東専門家がバラバラに書いた小論文集。

各執筆者が同時期に原稿を書いたのか、同じようなことが重複して書かれているし、政治分析に関係のないエッセイも混ざっているし、まとまりはないし、うーん。

巻末に載っている35ページの対談
 山内昌之(明治大学特任教授・東京大学名誉教授)
 宮家邦彦(キャノングローバル研究所研究主幹)
 中川恵(明治大学客員教授・羽衣国際大学教授)
が最も有意義な読み物であった。

うーん、中途半端すぎて困る本だ。


6点/10点満点

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2017/04/06

米川正子「あやつられる難民」感想。
いわゆる新書。2017年03月08日読了。

著者の本は、米川正子「世界最悪の紛争「コンゴ」」2011年12月12日読了。7点 を読んだことがある。

著者は神戸女学院卒業後、南アフリカのケープタウン大学大学院で国際関係の修士を取得し、その後ボランティアでカンボジア、リベリア、南アフリカ、ソマリア、タンザニア、ルワンダで活動。その後、国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)に11年勤務し、ルワンダ、ケニア、ザイールコンゴ(コンゴ民主共和国:通称DRC)で難民保護活動等に従事。現在は立教大学特任准教授。

本書の内容は大きく2つに分けられる。
(1-2)難民とは何ぞや。難民を保護するUNHCRの仕事は何ぞや。を著者が長年携わってきたアフリカ難民の例から解説。
(1-2)難民が発生する直接原因は内戦や戦争だが、そもそも国家が脆弱で政治の能力が低いから。
(2)ルワンダの現政権はアカン。人権侵害しまくりだ。

私はわりとこういう本を読んでいるが、(1)と(2)は別々の本にした方がテーマがすっきりして良いのではないか? と思った。

新書にしてはわりと分厚く、300ページを超える。しかし上記のように(1)と(2)が混ざっていて、どっちも中途半端な印象を受ける。

(1)の難民についての話と、難民が発生する背景については、著者の活動エリアがコンゴとルワンダとウガンダが中心なので、必然的にこれらの国の話を引き合いに出すことになる。著者の専門分野なので詳しい。しかし個人的に感じたのは、難民問題は一般化できない(=個々の事例により難民の発生原因が異なり、対処方法も異なる)ので、あくまでコンゴやルワンダの難民問題の説明である。

(2)のルワンダ現政権の糾弾に関しては、これ自体で1冊の本を書いた方が良いと強く感じた。

ルワンダのカガメ大統領は、アフリカの小国(面積は狭く資源は何もないが、気候が良くて人口密度はアフリカでいちばん高い)ルワンダを真の独立国家とするため、女性国会議員比率世界一の国会を作ったり、IT立国を目指している。それが故、アフリカでいちばん西洋諸国から注目されている国である。

が、著者によると、カガメ大統領は裏で言論弾圧や敵対勢力の暗殺を行っているという。この点に関し著者は、許されざる悪行、的な論調で非難している。

カガメ大統領(ツチ族・虐殺された方)はもともとRPF(ルワンダ愛国戦線)というゲリラ組織のトップで、フツ族が大虐殺を行っている隙をついてルワンダの首都キガリを制圧、そのまま新生ルワンダの大統領になった人物である。反対勢力は多数いる。


私は希望や願望を極力排除して物事を考える超リアリストで、今まで得た知識(主に本)を総合すると、アフリカ諸国の発展を阻害しているのは民主主義。選挙で票を獲得した人が議員や大統領になれる民主主義の根幹たる制度は、アフリカでは「選挙の勝者が総取り」する構図を生んでいる。これを無くするためには、深い見識を持ち自国の未来を発展させる断固たる決意を持った独裁者が必要。

世界でこういうタイプの独裁者が成功した例はシンガポールのリー・クアンユー。国全体の発展こそが国家存続の大前提である、自身の対抗勢力は国の発展の邪魔だから弾圧。結果として、シンガポールは世界有数の経済大国に発展した。シンガポールは今でも一党独裁(に近い)体制で、新聞やテレビは政府の検閲を受けている。

アフリカ諸国では、ガーナの初代大統領エンクルマや、ケニアの初代大統領ケニヤッタがリー・クアンユーに近いタイプの政治家だったが、どちらも対抗勢力を押さえるのに失敗し失脚。現在ではカガメ大統領がリー・クアンユーに近い政治を行っている。

発展途上国が中進国へと発展するためには、開発独裁というステップを踏むのが最も効率が良いというのが東南アジアの発展で見られた現象。
シンガポールではリー・クアンユーが59-実質2015年まで56年独裁し、
フィリピンではマルコス大統領が65‐86年の20年独裁し、
インドネシアではスハルト大統領が68‐98年の30年独裁し、
マレーシアではマハティール首相が81‐03年の22年間独裁し、
タイではサリット首相がもっと早い時期の58‐63年の5年独裁し、
それぞれ反対者は抹殺も厭わず弾圧する開発優先政策を行い、
上記すべての国が(いろんな犠牲の上に)発展した。

という点で考えると、ルワンダのカガメ大統領の評価を下すには時期尚早な気がする。

著者が言いたいのはそういうこっちゃない、というのを分かった上で、あえて時期尚早と言いたい。

ジンバブエのムガベ大統領(1980年からずっと独裁)も、最初の20年くらいはわりとまともな大統領だったし。


7点/10点満点

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