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2017/06/20

矢吹晋「文化大革命」感想。
現代中国史。2017年06月13日読了。

毛沢東が主導し、1966年から1976年まで続いた中国の文化大革命。

それを、現代中国を研究している著者が1989年に振り返った本。Amazon先生のレコメンドサービスで表示されたので、そのまま古本で購入。

読む前は、文化大革命を全体的に説明した本なのかと思っていたがそうではなく、文化大革命がどういう事態だったのかそのあらましを知っている人に向け、詳しい分析を行っている本だった。

私が読むには早すぎた。もっと初心者向けの本から入らなければ。


私の知識がこの本を読むレベルに達していないので評点つけられず。

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2017/06/13

前野ウルド浩太郎「バッタを倒しにアフリカへ」感想。
エッセイ。2017年06月12日読了。

アフリカのサハラ砂漠周辺国では、しばしばバッタやイナゴの大発生で農作物に被害が出る(蝗害=こうがい)。

著者は、バッタの研究で生計を立てたいと考えているポスドク(博士号を持っている)で、2年間の有期研究費支援を得て、サバクトビバッタの研究のため、2011年にアフリカのモーリタニアに移り住んだ。

モーリタニアの場所は下の地図をご覧ください。

本書は、モーリタニアで暮らした3年間の出来事(フィールドワークの方法等)と、研究費を獲得するためにいろんなことをしなければならずポスドクというのはとても大変なのですということを、何ごとも前向きに捉え、極めて明るく綴ったエッセイである。

バッタ研究の成果を記した本ではない、エッセイである。

バッタ研究者がなぜエッセイを書くのかというと、バッタに特化した研究費を獲得するためには、自分の研究はアフリカのバッタ被害を減らすために重要なのであるということを(研究費を配分する偉い人に)知ってもらわねばならない、それには普段の広報活動が大事である、セルフプロデュースである、ということでまずはブログを書き始め、それがなかかな好評で、ニコニコ超会議にお呼ばれしたりいろんなことをやっていたら、人脈が広がって出版に至ったのだそうだ。

文章が軽妙で、ツボにはまるととても面白い。私はツボにはまった。Amazonレビューを見るとツボにはまらなかった方もいるようで、こういうのは好き嫌いなのでしょうがない。


9点/10点満点


※次回更新は6/20頃の予定です。

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2017/06/12

永田和宏「人はどのように鉄を作ってきたか 4000年の歴史と製鉄の原理」感想。
ブルーバックス。2017年06月05日読了。

立ち読みしてから買ったのだが、ちょっと思っていたのと違う内容だった。

昔日本で使われていた、たたら炉は木炭を用い、ふいごを使って酸素を送り込むことで高温を発生させる。鉄は鉄鉱石ではなく砂鉄を用いるので、砂鉄が良くとれる川岸に近い場所に炉があった。

炉の高さは○○cm、幅は〇〇cm、地上から○○cmの所に羽口という空気綱がありそこから空気(酸素)を送り込む。炉が温まってから砂鉄〇gと石灰〇gを入れ、2時間経ったら木炭〇gと砂鉄と石灰を追加投入。これを2時間ごとに繰り返し…

というようなことが書かれている本。

著者が書きたかった内容と、私の知りたいことが異なっていたので評点はつけません。

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2017/06/11

坂本勉「トルコ民族主義」感想。
トルコ民族史。2017年06月02日読了。

現代トルコはどのようにして形成されていったのか。

本書ではそのルーツを言語、文化を中心に遡り、オスマントルコ(1299-1922年)ができる遥か前、中国の古文書に出てくる文言を参照し、現在のモンゴルあたりに住んでいた5世紀末のテュルク系民族「鉄勒」(てつろく)に祖を発し、そのテュルク系民族は中央ユーラシアに進出し「突厥」(とっけつ)となり、西暦1000年頃にイラン(セルジューク朝)、現在のトルコ・アナトリア地方に進出(ルーム・セルジューク朝)、

イランに移り住んだテュルク系(=トルコ系)民族は、言語としての完成度が高かったイランのペルシャ語を用い、イスラム教シーア派文化が発達、

アナトリアに移り住んだテュルク系民族は、ペルシャ語ではなくトルコ語を言語として発展させようという機運が生まれ、言語学者が奮闘し、トルコ語の完成度を高めていった。

イランの近くにあるアゼルバイジャンでは、更に別の系統の文化が進化し、

トルコ民族が、キリスト教国家であるアルメニアをどのように懐柔し取り込んでいったのか、

そしてオスマントルコが滅亡した後の現代トルコは、どのように国づくりを進めていったのか。

などについて書かれている。良書。


7点/10点満点

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2017/06/10

国枝昌樹「シリア アサド政権の40年史」感想。
シリア現代史。2017年05月27日読了。

2006‐2010年に駐シリア日本大使を務めていた著者のシリア分析。アラブの春がシリアにも飛び火し、シリアが内戦状態に陥った、だがISIS(イスラム国)が台頭する前の2012年に出版された。氏の本は3冊読んでいる。

「報道されない中東の真実」2014年12月14日読了。10点満点
「イスラム国の正体」2015年10月05日読了。5点
「「イスラム国」最終戦争」2016年09月09日読了。5点

氏の主張は、シリアに関して欧米の報道をそのまま垂れ流すいいかげんなものが多い、大使としてシリアに4年住み培ってきた人脈を活用し、シリアの動静をきちんと伝える、というスタンスである(と思う)。だがこのスタンスは、アサド政権を庇い過ぎているとして、一部ジャーナリストが著者のことを批判している。

本書は、ISISが台頭する前だが、アラブの春を契機として内戦に陥ったシリア、その状況を俯瞰するとともに、先代の父ハーフェズ・アサド大統領と、現在の息子バシャール・アサド大統領のとった政策等について概略を書いている

シリアの政権はアサド一族も含めてイスラム教アラウィ派で固められている。しかし、いろいろイスラームの本を読んだが、アラウィ派というのは歴史上ほとんど出てこない。イスラム教の一派ではないと言い切る本もあった。

p88
「アラウィ派は、歴史的にイスラム教社会で異端的な存在として繰り返し迫害を受け、そのため彼らは山岳地帯に逃れ住んでいた。(中略)
 アラウィ派が一応イスラム教シーア派に属するとみなされるのは73年にハーフェズ・アサド大統領がレバノンのシーア派指導者ムーサ・サドル導師からその旨の裁定を得たからである。アラウィ派の人々は彼らが社会のくびきから解き放たれたのはハーフェズ・アサド大統領のお陰だという」

なるほど、そうだったのか。


本書は現代シリアの大統領を中心に書かれているが、イスラエルやエジプト、イランとの関係も書かれているので、シリアを中心に据えた現代中近東情勢として捕らえた方が良い。

タイトルで損をしている気がする。


7点/10点満点

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2017/06/09

松本仁一「空はアフリカ色」感想。
エッセイ。2017年05月20日読了。

朝日新聞ナイロビ支局長だった著者のアフリカ暮らしエッセイ。1987年に出版された。30年前の本なので、現在とは異なるアフリカが書かかれている。

タンザニアとケニアは、1977年から1983年まで国境が閉鎖されていた。
→昔は仲が悪かったんだ。

ウガンダでは1972年にアミン大統領が「神のお告げ」という理由でインド人を全員追放した。
→インド人は商売がうまいもんね。

ナイロビ郊外クワンガレの平均月収は7‐8000円。
→30年前にそんな月収稼いでいたの?!

モザンビークの1970年代の最高学歴は、小学校を終えた後に看護学校を出ること
→今は国連ミレニアム計画で少しはましになっていると思われる。

ケニアのケニヤッタは独立闘争の英雄だったが、大統領に就いたらあっけなく腐敗した
→権力者の腐敗はアフリカ諸国に限った話じゃないけど、多いのは間違いない。

1914年(第一次世界大戦がはじまった)頃、タンザニアのザンジバル島(独立国だった時期もある)に日本の娼館があった。ということを1900年生まれの爺さんが語っている。
からゆきさん、と呼ばれる悲しい話である。


7点/10点満点

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2017/06/08

福井勝義/大塚和夫/赤阪賢「世界の歴史24 アフリカの民族と社会」感想。
歴史。2017年05月16日読了。

タイトル通りの内容。

世界の歴史シリーズは何冊か持っているが、必要な箇所だけ参考程度に読むことが多く、通しで全部読んだのは初めて。

このシリーズは文庫版も出ているが、文庫版の図版がモノクロなのに対し、単行本版はカラー印刷。なので、単行本の置き場所がある方は、単行本版を買われることをお勧めする(こういう全集モノにありがちな話として、毎月一回配本されるので気楽に買ってみたものの、気が付いたら置物と化してしまったので二束三文で古本屋に売られることが多い→つまり単行本版は古本で安く手に入る)。

本書は大きく3部構成
・自然と民族
・王国が多数あった昔のアフリカ
・アフリカのイスラーム

北アフリカとエチオピア、エリトリアを除くアフリカ諸国では、文字をもたない言語が使用されていたため、歴史を遡ることが大変難しい。口頭伝承を丹念に拾い集めることと、遺跡を調べることしか手段がない。世界各国の民族学者がアフリカを研究しているが、まだまだ不明な点も多い。

本書の執筆者は3人なので、アフリカのすべてを網羅しているわけではない(と思われる)が、アフリカの歴史に関する新古典の一冊として読むにはちょうど良い。


7点/10点満点

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2017/06/07

大西健丞「NGO、常在戦場」感想。
自伝。2017年05月03日読了。

イラクのクルド人支援などを行っているNGO主催者の半生録。

後半は国のODA案件を握る鈴木宗男とのバトル。

ODA案件にしたら数十億円~数百億円になる話なのに、NGOが数千万円の資金でウロチョロしやがったら迷惑だ、的な展開。

なかなか興味深く読めました。

7点/10点満点

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2017/06/06

国本伊代「概説ラテンアメリカ史」感想。
歴史。2017年04月30日読了。

タイトル通りの内容の本。ここでいうラテンアメリカには、カリブ海の島国も含まれる。大学の教科書として書かれたような内容。

ラテンアメリカに到達したヨーロッパ人(ポルトガル、スペイン、イギリス、フランス、オランダ、デンマーク、スウェーデン)は、そこに暮らす人々の文化を破壊し、奴隷のように酷使し、人口を激減させた。

本書ではヨーロッパ人による侵略の歴史をひも解くと同時に、統治方法についてもかなり詳しい説明がなされている。

p113
1808年委ポルトガルの王室と支配層がナポレオンの侵略を逃れてブラジルに渡り、ポルトガルの首都をリオデジャネイロに移した(1808年-1821年)

へえ、そうなのか。全然知らなかった。


とてもためになる歴史の本です。


8点/10点満点

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2017/06/05

トーマス・フリードマン/マイケル・マンデルバウム/伏見威蕃訳「かつての超大国アメリカ」感想。
アメリカ分析。2017年04月23日読了。

タイトルの通り、アメリカが凋落していった理由を考える本。原著は2011年に出版。

この本で最も面白かった考え方は、アンディ・ケスラーという元ヘッジファンドマネージャーが呈した概念で、

p121
「ブルーカラー、ホワイトカラーという区分は捨てよう。私たちの経済には二種類の労働者しかいない。クリエイターと仕える人(サーバー)だ。生産性を向上させる原動力は、クリエイターだ。ソースコードを書き、マイクロチップを設計し、癖になる商品(ドラッグ)を作り、検索エンジンを運営する。一方サーバーは、家を建て、食べ物を提供し、法的助言を行い、陸運局で働いて、そういったクリエイター(や他のサーバー)に奉仕する。サーバーの多くは機械、コンピュータ、ビジネスの運営方法の変更に取って代わられるだろう」

ここから著者は、クリエイターとサーバーをさらに分割する。

・創造的(クリエイティブ)クリエイター:独自のノンルーチンなやり方で、ノンルーチンの仕事をやっている:最高の弁護士、最高の会計士、最高の医師、最高のエンターテイナー、最高の作家、最高の教授、最高の科学者。

・ルーチンクリエイター:ルーチンなやり方で、ノンルーチンな仕事をやっている:平均的な弁護士、平均的な会計士、平均的な放射線技師、平均的な教授、平均的な科学者。

・クリエイティブサーバー:ノンルーチンの仕事をやる低スキルの労働者だが、的確な基地とした仕事をやっている:特別なレシピを考え付くパン屋、患者との関係性を大事にする看護師、ワインの知識で客をうならせるソムリエ。

・ルーチンサーバー:ルーチンなやり方でルーチンなサービスを提供し、それに何も付け加えない人。


医師、弁護士、ジャーナリスト、会計士、教師、教授のような仕事であっても、ルーチンクリエイターの範疇にいる人たちは、海外へのアウトソーシング、機械化、デジタル化で職を失うかもしれない。


著者は、アメリカを凋落から救うには「教育の充実」が必要であると訴える。

全体的に説得力も高く、なかなか面白い本であった。

8点/10点満点

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2017/06/04

坪田一男「あなたのこども、そのままだと近視になります。」感想。
医学。2017年04月12日読了。

近視は眼鏡で矯正できるし、LASIKなどの外科手術でも矯正できるので、眼科医は近視の原因を調べることに手を出してはいけないのだそうだ(暗黙の了解事項)。

慶応大学医学部眼科教授の著者は、いろいろあって近視の原因の調査に乗り出した。

医学的に明確な根拠があるのは、「毎日屋外で2時間以上遊んでいる子供は近視になりづらい」

これを動物実験で調べていったところ、「紫外線に近い波長の可視光線」を浴びると近視になりづらい、というところまでわかってきた。

この「紫外線に近い波長の可視光線」は、メガネにコーティングされているUVカット機能で、カットされてしまう波長。なので、ちょっとだけ近視の子供がメガネをかけて毎日屋外で2時間遊んでも、近視は進んでしまう。

へえー、なるほどなあ。

と思うのだけれども、本書はやっつけ仕事で書かれた感じがありありとしていて、まとまりが無さ過ぎ。残念な本。


3点/10点満点

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2017/06/03

モイセス・ナイム/加藤万里子訳「権力の終焉」感想。
政治・近未来。2017年04月08日読了

世界中のいたるところで、権力は衰えてきている。

政治の世界では、国連はもうあまり機能していない。
国の最高権力者(大統領や首相)も、かつて(第二次世界大戦の頃)ほどの権力はない。
上場企業の経営者は、四半期決算、年度決算、配当に縛られ、かつて(オイルショックの頃か?)ほど自由に商売ができなくなっている。

民主主義が行き過ぎると、小さな主張だけを取り上げる小さな政党が多数生まれ、絶対多数が生まれにくくなる(例として、2009年のインドでは実に35もの政党が議席を得ていたとのこと)

資本主義が行き過ぎると、株主の言うがまま利益を求める無分別な企業が増える。(例外はいる。Amazonのジェフ・ベゾスやテスラのイーロン・マスクなど)

そういうような趣旨のことを膨大な傍証とともに描かれたのが本書であるが、いまいちピンとこなかった。


6点/10点満点

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2017/06/02

田中真知「へんな毒 すごい毒」感想。
毒の解説。2017年03月27日読了。

読み終えた本が貯まったのでブログ再開します。

本書の著者田中真知さん(男性)は、アフリカのコンゴ川の川下りなど冒険も行う旅行作家兼サイエンスライター兼翻訳家の方です。というか、本書で初めてサイエンスライターもやっていることを知りました。

氏の本は「たまたまザイール、またコンゴ」2015年07月10日読了。など数冊読んでいます。


本書は毒に関して広く浅く解説している本。なかなか興味深く読みました。

毒はざっくりと、植物由来のもの(化学物質)、動物由来のもの(化学物質)、動物(細菌やウィルス)、鉱物由来や人工生成されたもの(ヒ素やVXガスなど)に分けられ、毒の強さは半数致死量(LD50)という数値で表される。

人工毒で最も強力なのはVXガス。LD50は0.015mg/kg (/kgは体重1kgあたりを示す。体重60kgの人間なら数値を60倍する)

サリンは0.35mg/kg

フグのテトロドトキシンは0.01mg/kg

破傷風菌が出す毒素テタノスパスミンが0.000002mg/kg

ボツリヌス菌が出す毒素ボツリヌストキシンが0.0000003mg/kgで地上最強の毒。

フグの毒テトロドトキシンはフグが生成しているのではなく、フグの体内にいる緑膿菌という細菌が出していることが研究の結果分かった。緑膿菌は、フグの餌であるカニやヒラムシに寄生しており、それを食べることでフグの卵巣や肝臓にテトロドトキシンが濃縮されるのだそうだ。さらに言えばカニやヒラムシは緑膿菌が付着しているプランクトンを食べている。

なるほどなあ。


6点/10点満点

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