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2017/09/18

稲田十一「紛争後の復興開発を考える ‐アンゴラと内戦・資源・国家統合・中国・地雷‐」感想。
国際情勢。2017年08月10日読了。

アンゴラ。2000年代、旅行者にとってこれほどハードルの高い国はなかった。単なる入国ビザはほぼ取得不可能で、アンゴラ在住のアンゴラ国民から「招待状(通称レター)」をもらっていないと、入国ビザの申請すらできなかった。今は少し緩くなったようなのだが、この国は観光客を必要としていないので、詳細は私にはわからない。

1975年-2002年、27年に及ぶ内戦を経て、石油の力でアフリカ屈指の経済大国になったアンゴラ。
2015年のデータでは、国民一人当たりGDPでアフリカ14位である。

1位 赤道ギニア 45,809ドル 人口76万
4位 ガボン    19,931ドル 人口170万
14位 アンゴラ   9,161ドル 人口2000万

その富は、1979年から大統領に君臨するドスサントス大統領一族が独占している。ドスサントスの娘はアフリカ有数の金持ちで、3300億円持っている。(赤道ギニアはンゲマ大統領が1979年から支配。ガボンはオンディンバ一族が1973年から独占支配)

そういうアンゴラが、どうやって国を立て直していったのか、国際社会の支援と、石油による経済発展にがどのような好影響を残し、どのような悪影響を残したのかを考察しているのが本書である。

ピンポイントでアンゴラについて日本語で書かれた本はとても珍しい。ので読んでみた。

大学生・大学院生向けのテキストとしても使えるように編集されているとのこと(前書きより)。個人的には、大学生にはハードルが高いと思うよ。

1974年に(宗主国)ポルトガルで「カーネーション革命」が起こり、保守政権が崩壊し、ポルトガル政府はすべての植民地を放棄することになり、アンゴラは独立した。(そのあと内戦に突入)

(p65)
アンゴラ経済を語るうえで特筆すべきことは、内戦が長く続いたことによって国際金融界から多額の借り入れをすることがなかった(できなかった)ため、借金返済に苦しむことがなく、石油価格高騰の恩恵を受けられた、というものである。

(p103)
旧宗主国ポルトガルがカトリックを普及させたことにより、(著者の体感として)他のアフリカ諸国より近代的思想が根付いているとのこと。


開発経済学を学ぶ人は、読んで損のない一冊です。


7点/10点満点


参考
2016年のフォーブスに載っていたアフリカのビリオネア(10億超ドル長者)のリスト。末尾の数字に億円を付けた金額が彼らの資産ですよ。(15,700=157億ドル≒1兆5700億円)

1位のダンゴート氏(ナイジェリアのセメント屋さん)の資産は157億ドル。1兆円を超えていますね。

エジプトのSawiris一族とMansour一族はものすごいことになっております。アルジェリアとかモロッコの大財閥もすごいことになっております。

9位の女性イサベル・ドスサントスは、1979年からアンゴラを支配する独裁大統領ドスサントスの娘。株式投資で儲けてビリオネアになったらしいのですが、元金はどうやって作ったんでしょうかねー(棒)

1 Nigeria Aliko Dangote 15,700
2 SouthAfrica Johann Ruppert 7,400
3 SouthAfrica Nicky Oppenheimer 6,700
4 SouthAfrica Christoffel Wiese 6,300
5 Egypt Nassed Sawiris 6,300
6 Nigeria Mike Adenuga 4,000
7 Egypt Mohamed Mansour 4,000
8 Swaziland Nathan Kirsh 3,900
9 Angola Isabel dos Santos 3,300
10 Algeria Issad Rebrab 3,100
11 Egypt Naguib Sawiris 3,100
12 Egypt Youssef Mansour 2,900
13 SouthAfrica Koos Bekker 2,300
14 Morocco Othman Benjelloun 2,300
15 Egypt Yesseen Mansour 2,300
16 SouthAfrica Patrice Motsepe 2,100
17 SouthAfrica Stephen Saad 2,100
18 Morocco King Mohammed 2,100
19 Egypt Mohammed Al Fayed 2,000
20 Nigeria Folorunsho Alakija 1,900
21 Egypt Onsi Sawiris 1,800
22 Morocco Aziz Akhannouch 1,700
23 SouthAfrica Allan Gray 1,600
24 Morocco Miloud Chaabi 1,300
25 Tanzania Mohammed Dewji 1,300
26 Egypt Samih Sawiris 1,100
27 Uganda Sudhir Ruparelia 1,100
28 Nigeria Theophilus Danjuma 1,100
29 Morocco Anas Sefrioui 1,100
30 Nigeria Femi Otedola 1,000
31 Nigeria Abdulsamad Rabiu 1,000
32 Tanzania Rostam Azizi 1,000
33 Nigeria Tony Elumelu 1,000
34 Nigeria Orji Kalu 1,000
35 Nigeria Jim Ovia 850
36 SouthAfrica Lauritz Dippenaar 730
37 Morocco Mohammed Bensalah 700
38 Kenya Bhimji Depar Shah 700
39 SouthAfrica Desmond Sacco 680
40 Nigeria Mohammed Indimi 670
41 SouthAfrica Gus Attridge 660
42 Nigeria Tunde Folawiyo 650
43 Morocco Moulay Hafid Elalamy 620
44 Nigeria Hakeem Belo-Osagie 600
45 Zimbabwe Strive Masiyiwa 600
46 Morocco Ali Wakrim 600
47 Tanzania Said salim Bakhresa 575
48 Tanzania Reginald Mengi 560
49 Kenya Naushad Merali 550
50 Nigeria Oba Otudeko 550
51 Egypt Ahmed Ezz 520
52 SouthAfrica Jannie Mouton 520
53 SouthAfrica Gerrit Thomas "GT" Ferreira 510

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2017/09/17

ジーン・マリー・ラスカス/田口俊樹訳「コンカッション」感想。
ノンフィクション。2017年08月07日読了。

脳震盪は今まで思われていた以上に、脳に深刻なダメージを与える。

脳震盪で脳にダメージを受けた人は、奇行が目立ち、死後に脳を解剖すると、特定の痕跡がみられる(CTEと呼ばれる)

本書は、ナイジェリアからアメリカに医学留学し、その後アメリカに定住、検視官の職を得、数多くの遺体を解剖してきたベネット・オマルが、偶然NFL(アメフト)のスーパースター(引退後奇行が目立った)の脳を解剖したところ、顕著な特徴がみられたことから、従来ボクシングのパンチドランカー特融と思われていた脳障害は、実は脳震盪によって引き起こされるということを突き止めた実話を、ベネット・オマルを主人公に据え、オマルの半生を描きながら、脳震盪が引き起こす様々な悪影響を解明したノンフィクション。

脳震盪に関する部分は面白いのだが、主人公があまりにも変人(人と接することが嫌いな鬱病持ちの異邦人)なので、イマイチのめりこめない。

悪くはないのだが。


6点/10点満点

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2017/09/10

加藤文元「ガロア 天才数学者の生涯」感想。
ノンフィクション。2017年08月04日読了。

1811年10月25日、パリ郊外で生まれたエヴァリスト・ガロア
公立学校の校長から町長になった父、教養がしっかり身についてラテン語が得意だった母、その母から教育を受け、11歳にはラテン語で読み書きができる賢い子であった。12歳の時、パリの寄宿制の学校に入学。校風が気に入らず反抗的だったガロアは2年生をやり直すことに(留年)。そこで補講として受けたのが幾何学。これに夢中になってしまったガロアは、2年分の教科書を2日で読んでしまった。

そこから、学校の授業はほったらかしにして、数学と、そして政治活動に熱中しだした。

数学の習得能力、発想能力は異常なまでに高まり、1829年に最初の論文「循環連分数に関する一定理の証明」を発表。

後、父親が政治闘争に巻き込まれ自殺。これに憂いたガロアはますます政治にのめりこみ、ついには政治犯として逮捕収監されるにいたる。

そんな中、1931年1月17日に論文「方程式の冪根による可解条件について」を書く。この論文はあまりにも難解で、当時の著名な数学者からも理解されず、その重要性が数学界に認識されるのはガロアの死から50年も後のことである。この論文こそ、現代数学の重要な「ガロア群」の元となる論文であった。

1832年5月31日、ガロアは(女に関する名誉を賭けた)決闘に負けて死ぬ。まだ20歳であった。

歴史に「たられば」は禁物であるが、20歳で「ガロア群」を構築したガロアがせめて40歳まで生きていれば、数学会がどれだけ発展したことだろうか(数学は他の学問と異なり、経験よりも発想力がものをいうので、数学者のピークは35歳前後と言われている)

わずか20歳で数学史に残る偉業を成し遂げながら、生前は、あまりにも最先端をいきすぎていたため正当な評価を受けることがなく、決闘で死ぬという劇的な人生を送ったガロア。

ガロアの人生を書き記した伝記・ノンフィクションは、フランスを中心に何冊も書かれている。

本書は、数学者でガロア理論を研究している(でいいのかな?)著者加藤文元氏が、それら伝記や、原典をたどり、日本人向けに書かれたガロアの伝記である。

数学うんちくを増やしたい人は、ぜひとも手に取るべき一冊である。


8点/10点満点

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2017/09/07

エドワード・フレンケル/青木薫訳「数学の大統一に挑む」感想。
数学ノンフィクション。2017年08月01日読了。

本書は数学の本ではなく、現代最先端の数学者が挑んでいる「数学の大統一」とは一体何なのか、それに挑もうとしている著者の生い立ちから始まり、著者を数学に導いた数学者たちの話、そして最先端の数学者はどのよう大統一に取り組んでいるのか、について書かれた本。

とはいえ、数学についての記述も多々ある(数式はあまり出てこない)

◆本書の概要(Amazonより)
xのn乗 + yのn乗 = zのn乗

上の方程式でnが3以上の自然数の場合、これを満たす解はない。
私はこれについての真に驚くべき証明を知っているが、ここには余白が少なすぎて記せない。

17世紀の学者フェルマーが書き残したこの一見簡単そうな「フェルマーの予想」を証明するために360年にわたって様々な数学者が苦悩した。

360年後にイギリスのワイルズがこれを証明するが、その証明の方法は、谷村・志村予想というまったく別の数学の予想を証明すれば、フェルマーの最終定理を証明することになるというものだった。

私たちのなじみの深いいわゆる方程式や幾何学とはまったく別の数学が数学の世界にはあり、それは、「ブレード群」 「調和解析」 「ガロア群」 「リーマン面」 「量子物理学」などそれぞれ別の体系を樹立している。しかし、「モジュラー」という奇妙な数学の一予想を証明することが、「フェルマーの予想」を証明することになるように、異なる数学の間の架け橋を見つけようとする一群の数学者がいた。

それがフランスの数学者によって始められたラングランス・プログラムである。

この本は、80年代から今日まで、このラングランス・プログラムをひっぱってきたロシア生まれの数学者が、その美しい数学の架け橋を、とびきり魅力的な語り口で自分の人生の物語と重ね合わせながら、書いたノンフィクションである。

◆引用終わり

著者(1968年ソ連生まれ→ゴルバチョフのグラスノスチでアメリカに留学→ソ連崩壊ヒャッハーッ)が数学に魅せられるようになったきっかけ、ユダヤ人差別が残っていたソ連時代の勉強法、モスクワ大学に行けず腐っていた、などの著者自身の話は大変面白い。

しかし、本書後半から大統一の話になり、超高等数学の話になるとほぼほぼ理解できなかった。著者は易しく書いたと「はじめに」で書いているが、そこは超高等数学、易しく書かれていても理解するの無理。

まあ、根性で最後まで読みましたが。


数学ノンフィクションの最高傑作(というより、我が読書人生ベスト10に入る超大傑作)
サイモン・シン/青木薫訳「フェルマーの最終定理」2015年06月11日読了。10点満点

と訳者が同じ。日本語でこれ以上の翻訳は望めないという状態なので、超高等数学は私には理解不能の領域なのだろう(理解できないのが普通だと思うけど)。

著者の人生は面白いので、そこだけでも読む価値あり。


7点/10点満点

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2017/09/06

溝口敦「闇経済の怪物たち グレービジネスでボロ儲けする人々」感想。
ゴシップ。2017年07月25日読了。

第1章 「裏」情報サイトの先駆者
第2章 出会い系サイトの帝王
第3章 堅気のデリヘル王
第4章 危険ドラッグの帝王
第5章 日本一のイカサマ・カジノディーラー
第6章 FXの帝王、仮想通貨に挑戦
第7章 六本木の帝王と関東連合
第8章 詐欺の帝王の新事業
第9章 ヤクザ界の高倉健

について、それぞれインタビューを行い、一冊の本にまとめたもの。

まあ、なんだ、アサヒ芸能(著者がかつて在籍していた雑誌)に載っている闇経済記事をまとめたような読み物。


5点/10点満点

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2017/09/05

白戸圭一「ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織」感想。
ルポ。2017年07月24日読了。

著者の白戸圭一氏は、元毎日新聞外信部記者、ヨハネスブルク特派員(2004-2008年)。現在は三井物産戦略研究所欧露・中東・アフリカ室長、京都大学大学院客員准教授。

日本のアフリカエキスパートの一人。単独著書は本書で3冊目。氏の処女作は、滅多に本を再読しない私が、珍しく2回読んだ。

白戸圭一「ルポ資源大陸アフリカ」2009年09月21日読了。9点

白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ」再読。2010年07月28日再読了。やっぱり9点

白戸圭一「日本人のためのアフリカ入門」2011年04月20日読了。8点

本書は、アフリカエキスパートの白戸氏が、ナイジェリアを中心に暴虐の限りを尽くしているテロ組織「ボコ・ハラム」について、現在知りえる情報を中心に書いた本。

世界中のマスコミが追いかけているISIS(イスラム国)と違って、アフリカの僻地を中心に暴れまわっているボコ・ハラムは情報が少ない。

(p14)
2014年の1年間にボコ・ハラムが殺害した民間人は6644人。
同じ年、ISISが殺害した民間人は6073人。
ボコ・ハラムは世界で一番民間人を殺害しているテロ組織。


このようなテロ組織がなぜ生まれたのか。それを、ナイジェリアという国家がどのように作られていったのか(ナイジェリアは石油の採れる南部にキリスト教徒が多く、貧しい北部農村地帯にイスラム教徒が多い)、アフリカ全体のテロ組織の概略、国ができてから7回も軍事クーデターが起きている不安定な政治、石油に翻弄されるナイジェリアの経済、そして石油利権に絡めない人たちとの経済格差、弱い警察力(暴力がはびこる)、そのような要因を多面的に分析し、ボコ・ハラムの正体に迫っている。

(ちょっとうろ覚えだが)端的にいうと、経済発展せず犯罪も多い北部に住むイスラム教徒が、警察があてにならないので、刑法ではなくイスラムに基づく刑法典(シャリーア)の導入を考えだし、一部の州では(州知事が)それを実行した。シャリーア刑法典を厳格に実施する州と、ゆるく実施する州があり、ゆるく実施していた州では厳格なシャリーア適用を求めるイスラム教徒が組織化された。しかし北部には数は少ないもののキリスト教徒も住んでおり、暴力を含む宗教対立も発生した。シャリーアを厳格に適用しろと要求する組織の一つが、ボコ・ハラムの前身である。(この辺りは第3章)

ボコ・ハラムの前身組織は過激派と穏健派に分裂し、過激派はいろいろなことを試みるが知名度がないので資金が集まらない。なのでアフリカ各国のテロ組織と連携し、アルカイーダに忠誠を誓い、資金が回ってくるようになった。(後にISISに忠誠を誓う)

ナイジェリア政府は、ボコ・ハラムを抑え込むのにナイジェリア軍を投入した。ところがボコ・ハラム対策チームのトップが兵器調達に絡んで20億ドル(!)の不正蓄財をしていて逮捕されたりして、なかなか思うように対策が進まない。

ISISの劣勢などもあり、ボコ・ハラムは金回りが悪くなってきたので、単純に民間人を襲って金を奪う、誘拐して金をせしめる、など、テロ組織というよりただの武装暴力団になってしまった。ボコ・ハラムはどこに向かうのであろうか。

的なことが書かれている。

ボコ・ハラムそのものというより、アフリカのテロ組織について広範囲に書かれた本である。非常に良い。


ただ、私思うに、本書はサブタイトルが悪い。本書はボコ・ハラムのことを中心に書いている本ではあるが、ボコ・ハラムのことは半分くらいで、ナイジェリア全体のことやアフリカのテロ組織についての記述が半分を占める。「イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織」というサブタイトルではもったいない。有益な情報がたくさん書かれているのだから、もっと異なったサブタイトルにすべきだった。


8点(サブタイトル不満・内容は9点)/10点満点

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2017/09/04

顔伯鈞/安田峰俊(編訳)「「暗黒・中国」からの脱出 逃亡・逮捕・拷問・脱獄」感想。
中国政府からの逃走。2017年07月22日読了。


中国・北京に在住する著者は、官僚の腐敗を暴こうと活動していたら思想犯として捕まりそうになってしまったため、妻子を巻き込まないため、単独で中国各地を逃げ回り、最終的にタイへ国外逃亡する逃避行。

2013年4月から6月
北京→天津→洛南→太原→邯鄲→太原→覇州→妻子に会うため北京にいったん戻るも会えず

2013年6月
北京→覇州→鄭州→武漢→吉首→曲靖→昆明→景洪→

2013年6月から8月
景洪→ミャンマーのシャン州モンラーへ密入国→

2013年9月から2014年2月
景洪→昆明→深セン→香港へ密入国→深セン→広州→昆明→大理→チベットのザユル県→

2014年2月から3月
ザユル県→ガダ村(軍基地)→班村→独龍江郷→大理→昆明→仲間を救うため北京→

5月に逮捕されるも、1か月で保釈

2014年9月から2015年1月
北京→洛南→昆明→ここからタイに行こうとしたら再逮捕されホテルに軟禁→監視の隙をついて脱走→長沙→岳陽→武漢→太原→北京→瑞麗→ミャンマーのクッカイ→ラオカイ→景洪→

2015年1月から2月
景洪→ミャンマーのモンラー→チャイントン→スオレイ港→ラオスの金三角特区→フアイサーイ→タイのチェンコーン→チェンセーン→イーサイ→チェンマイ→バンコク

という逃亡劇である。

当然ながら、なぜ中国公安が著者を捕まえようとしているのか、その背景についても書かれている。

なかなか良い本だった。


8点/10点満点

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2017/09/03

橘玲「「リベラル」がうさんくさいのには理由がある」感想。
思想分析エッセイ。2017年07月19日読了。

著者の橘玲(たちばなあきら)氏は、ここ数年、私が最も面白いと感じている作家(タックスヘイブン研究家)。氏の書く内容は、興味の対象が私と似ているので、とても参考になる。

氏はオンラインコラムを複数連載しており、私が読んでいるのは下記。
・ZaiONLINE「橘玲の日々刻々」(週刊プレイボーイの転載)
・ZaiONLINE「橘玲の世界投資見聞録」


本書は、日本のリベラルは「戦争反対」「自衛隊は違憲」「脱原発」などと叫んでいるけど、結構自己矛盾しているよ、という内容。

なかなか面白かったのだが、既視感がものすごくあり、奥付を読んだら週刊プレイボーイ連載+加筆で構成されているとのこと。なるほど、すでにオンラインコラムで読んだ話だったのか。


8点/10点満点

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2017/09/02

R.D.ウィングフィールド/芹澤恵訳「フロスト始末(下)」感想。
多重発生事件解決ミステリ。2017年07月16日読了。

フロストシリーズは、イギリスの架空都市デントン市警察に勤務するフロスト警部が、同時多発する事件(毎回毎回5件くらいの殺人事件が同時に発生する)を、夜勤超過手当削減に取り組むマレット署長の妨害に愚痴を言いながら、下品で受けないなジョークを飛ばしつつ、見当違いの捜査をしたり、勘がズバリと当たったり、へとへとなのに新しい事件が発生して呪いの言葉を吐き出したりしながら、どうにかこうにか事件を解決する物語である。

ミステリー小説なので、事件は毎回解決する(事件が解決しないのはミステリーではない。クライム<犯罪>小説である)。

1994年末に発売された「このミステリーがすごい」を読んで、第1作「クリスマスのフロスト」を知った。この第1作邦訳版は、原著発売後11年も経過してからの発売である。原著はすでに第3作まで出ていた。この辺りの事情はよく分からないが、全巻邦訳版が出版されたことは素直にうれしい。

著者は2007年に鬼籍に入られた。新刊が出ることはない。しかし、この作品のファンである別の作家が、スピンオフ作品を出しているとのこと(本書「フロスト始末(下)」巻末解説より)。

なお、訳者はすべて芹澤恵氏である。

◆以下リスト。

・第1作「クリスマスのフロスト」(原著1984年出版)
 読了日(1995年と思われる)、点数ともに当ブログに記録なし。

・第2作「フロスト日和」(原著1987年出版)
 1997年12月06日読了。7点

・第3作「夜のフロスト」(原著1992年出版)
 2001年09月23日読了。10点満点

・第4作「フロスト気質(上)」(原著1995年出版)
 2009年01月23日読了。8点

・ 〃 「フロスト気質(下)」(原著1995年出版)
 2009年01月26日読了。7点

・中 編「夜明けのフロスト」
 2009年01月28日読了。5点(複数作家のアンソロジー)

・第5作「冬のフロスト(上)」(原著1999年出版)
 2014年04月07日読了。8点

・ 〃 「冬のフロスト(下)」(原著1999年出版)
 2014年04月08日読了。8点

・第6作「フロスト始末(上)」(原著2008年出版)
 2017年07月12日読了。10点満点


本書の上巻は10点満点、下巻は7点。

フロストはしばしば違法捜査をするが、下巻の違法捜査はちょっと強引すぎる。いくらなんでも、それはダメなんじゃないか? & スキナー主任警部の退場の仕方が気に入らなかった。まあ、個人的な好みの問題である。

今年の年末に出版されると思われる「このミステリーがすごい2018年版」で、本書が上位に来ることは確実である。(第1作4位、第2作1位、第3作2位、第4作2位、第5作3位)


堪能した。


7点/10点満点

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