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2018/06/28

藤井旭「始める星座ウォッチング」感想。
天体観測。2018年03月08日読了。

SF小説が好きだったので、宇宙に興味が向いた。1976年(小学4年生頃)から私の宇宙好きは始まった。

で、時々、誠文堂新光社の雑誌「天文ガイド」を買っていた。この雑誌に寄稿していたのが藤井旭氏である。

藤井氏の天体観測入門(雑誌の記事なのか書籍だったのか覚えていない)を読んで、夜空を眺めたりした。しかし、私が生まれ育った町には、天体観測の指導者(今でいうとメンター)がいなかった。なので、夜空を眺めつつ、あの星座は××、この星座は△△、と確認するだけで満足してしまった。

小学生の高学年から中学生の時期に、天体観測の正しい知識を身に着けていればと思う。いまの私は、月の軌道すらわからない。満月は大体同じ方角に現れる。それくらいの知識しかない。

ソフトウェアの力で、天体観測は容易になった。Vixen(純日本メーカー)の天体望遠鏡は、特定の星を自動追随する機能がついて10万円以下である。こういうの、私が子供の頃に欲しかったなあ。


で、本書。

藤井氏が書いた星座ウォッチングの入門書。2008年に出た本。長い間、積ん読だった。「銀河」を読んだ流れで、本書を斜め読んだ。


でもね。私思うに、もはや星座ってあまり意味がないんじゃないかな。「オリオン座の明るい星がベテルギウス」とか、「北極星はこぐま座で一番明るい星」と口頭で言われたところで、そもそものオリオン座とかこぐま座とかを理解するためには「これが××座」と教えてくれるメンターが不可欠であり、メンターがいない場合、独力で星座を学ぶのはかなり難しい。特に都会の場合、本に書かれている星が見えないことが多い。私は20歳まで北海道にいたので、夜空はそれなりにきれいだった(でも石垣島や西表島の方が星が、よりきれいに見える)

いまの天体観測は天球座標なので、スマホで夜空を撮って「この星は何?」→「ベテルギウスです」って回答してくれるアプリがあればそれでいいじゃん。

「オリオン座の一番明るい星がベテルギウスで、目立つから肉眼でも見えるよ。ベテルギウスの直径は太陽の1000倍で、地球の10万倍もあるんだよ」っていう知識は身についても、じゃあ、ベテルギウスってどれ? というのを夜空に指差しできないのが私なのである。

もどかしい。


本書は流して読んだので評点つけず/10点満点

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2018/06/27

ジェームズ・ギーチ/糸川洋訳「銀河:宇宙140億光年のかなた」感想。
宇宙物理学。2018年03月07日読了。

本書は「銀河」について書かれた入門書で、1/3くらいがカラー写真である。通常、この手の写真が素晴らしい本は、中を読まずに眺めているだけの場合が多い。

似たような本では、マイケル・ベンソン/檜垣嗣子訳「FAR OUT ファー・アウト―銀河系から130億光年のかなたへ」を見て、宇宙の写真を鑑賞した。「FAR OUT」は写真を眺めて堪能する本で(と勝手に思っている)、書かれている文章はほとんど読んでいない。

しかし本書「銀河」は、中に書かれている文章を全部読んだ。

「FAR OUT」の原著は2009年に出版され、本書「銀河」の原著は2014年に出版された。
この2冊に大きな違いがある。副題を見ればわかるのだが、「FAR OUT」は130億光年、本書「銀河」は140億光年の宇宙を現している。原著5年の歳月で、宇宙は10億光年広がった(観測できる範囲が増えた)。

本書は天文学者による、宇宙物理学の入門書である。宇宙の入門書ではなく物理の入門書なので、やや難しい記述が多々ある。

本書を読んで「へえー」と思ったことは、太陽系の惑星起動がほぼ水平に並んでいることに関する説明。

Planet

上図は、国立天文台のプロジェクト(国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト)である4D2Uが無償公開している天文ソフトMITAKAで作ったものである。

ざっくり書くと、
・恒星が作られる前段階では、星間ガスが円盤状に集まって渦になる
・垂直方向にはジェットが噴出していて、垂直方向の星間ガスは吹き飛ばされる
・何億年という年月を経て、水平方向にのみ星間ガスが凝縮し渦を形成する
・渦の中心部は恒星になり、渦の腕に当たる部分でそれなりの大きさの塊になったものは恒星の質量に引っ張られることなく惑星になる
・渦の中心(最終的には恒星になる)と水平に位置しているのが、エネルギー的に一番安定している。そのため、惑星の軌道はどれも似たような軌道になる
・水平からずれた軌道を取った原始惑星は、公転軌道を一周するたびに中心部(原始恒星)の重力によって周囲が削り取られ、十分な質量をもたない原始惑星は崩壊する(それが今、火星と木星の間にある小惑星と考えられている)
・垂直方向のジェット噴射に引きずられることがないほど中心部から遠いと、冥王星のようないびつな軌道を生むことがある
・冥王星が準惑星になったのは、大きさもさることながら、軌道が歪だったことも関係している


本書には天体観測(プロ)の技術的なことも書かれている。
地球上から宇宙の最奥部を除くためには、空気(大気)の揺らぎが非常に邪魔であるが、今の天文台は、何十トンにもなる望遠鏡を1マイクロ秒ごとに1ミクロン単位で前後上下左右に動かして、空気の揺らぎに完璧に同期させているのだそうだ。すごい技術だ。


というような話が本書に書かれている。非常に良い。


繰り返す。非常に良い。


8点/10点満点

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2018/06/23

高松正勝/マンガ鈴木みそ「マンガ 化学式に強くなる―さようなら、「モル」アレルギー」感想。
化学。2018年02月26日読了。

鈴木みそセンセの漫画が大好きである。たぶん紙の本で出版されているのは全部持っている。

本書は2001年に出版された。そのころに買った。だが読んでいなかった。

2017年に鈴木みそ講演会に行った。テーマは電子書籍。鈴木みそセンセは、既存の漫画単行本の電子書籍化権を、出版社と交渉して自分の手に戻し、自分でAmazon電子書籍として売ったら、年間売り上げが1000万円を超えたという、マンガの電子書籍化の先駆者となった人である。

で、電子書籍と関係なく、今までの漫画の中で一番売れたのは何ですか?という参加者からの質問に、本書です、と答えていた。

学習コンテンツはロングセラーになります。とのこと。

最近、私は宇宙物理学の本をよく読むようになったので、モルについておさらいするため本書をようやく読んだ。

マンガなので3時間くらいで読める。

非常に良い。モルを理解した気になれる。本当にモルを理解するためには、本書を10回くらい読まないとならないが、今は1回読んだだけでいいや。


8点/10点満点

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大須賀祐「図解これ一冊でぜんぶわかる! 貿易実務」読了記録。
実用書。2018年02月25日読了。

タイトル通りの本です。
わかりやすいです。


必要なところだけ重点的に斜め読みしたので総合評点なし/10点満点

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エミリー・ボイト/矢沢聖子訳「絶滅危惧種ビジネス」感想。
ルポ。2018年02月23日読了。

★本書帯(が載っているAmazon)より引用

ワシントン条約の附随書Iで「絶滅危惧種」と認定され、
国際取引が禁止されているアジアアロワナ、別名「龍魚(ドラゴンフィッシュ)」――。
禁じられるほど欲しくなるのはなぜか?
価値のパラドックスと自然保護の深い闇を暴く、衝撃のルポルタージュ!

アジアアロワナの希少種は重装備の警備車両で輸送され、3000万円もの高値で取引される。日本を抜いて最大市場となった中国では、上昇志向のシンボルとなり、幸運のアロワナを信じる富裕層が購入。なかでも好まれる赤いアロワナ「スーパーレッド」は魚のフェラーリとも言われる。いっぽうで「石油やダイヤはもう古い、アロワナはいま最も効率の良い取引」とされ、フィッシュ・マフィアによる誘拐や殺人事件も後を絶たない。日本人バイヤーを誘拐し身代金を要求する事件も発生した。なぜアロワナは、これほどにまで人々を熱狂させるのか。はたして、絶滅危惧種アロワナは、貴重な伝説の魚か、大量生産された商品か、それとも危険な外来種なのか

★引用終わり


2009年にNPR(ナショナルパブリックラジオ)の科学番組のため、希少動物(エキゾチックアニマル)、取材の過程でアロワナを初めて知った。

なんでこんな魅力のない大きいだけの魚(アロワナは肉食なので水槽内に他魚を混泳できない。水質に敏感なので水草も入れられない。大きさは最大1mを超える)が、色や模様によっては1000万円を超える高値で取引されるのか。


絶滅危惧種に指定されている淡水熱帯魚のアロワナが、世界中で流通しているのはなぜ?

ちょっとした好奇心で、最初はシンガポール、マレーシア、台湾の成功した熱帯魚ショップのオーナーから話を聞いていく。ヨーロッパや日本の熱帯魚関係者からも話を聞く。

しかし調べても、養殖したアロワナは見つかるが、自然界に存在している野生のアロワナに全然出会えない。誰も生息場所を教えてくれない。

アロワナの中でも特に希少価値の高いスーパーレッドは、それを売っていた熱帯魚ショップのオーナーが殺され、アロワナが盗まれた。人を殺してでも奪いたくなるほど、金になる。

野生のアロワナの生息場所を知っている人間(アロワナで大金持ちになれる)にとって、アロワナの生息場所を聞きに来る奴は泥棒であり、聞き方が悪ければ殺される。

これって希少動物をめぐる闇取引?

ものすごいネタかもしれないと思い、ピューリッツァー研修旅行奨学金を得て、徹底した取材を敢行。インドネシア(カリマンタン島=ボルネオ島)の奥地、ミャンマーのゲリラ支配地域、コロンビアのアマゾン川流域からブラジル側に密入国してまで調査した。

調査の過程で、ベテラン新種動物ハンター兼冒険家のハイコや、非常に個性的な熱帯魚研究者などの助力を得ながら、野生のアロワナの調査を行う。


という感じの本だが、著者の取材目的が途中から、「絶滅危惧種ビジネス」を追うのではなく、「野生のアロワナを見たい」に代わってしまい、後半はルポというより旅行記を読んでいるような感じになってしまった。

絶滅危惧種ビジネスの「闇」の部分は解明されないまま終わる。

ま、ほんとに「闇」の部分を追いかけると、それこそ命がいくつあっても足りないくらい危ない目に合うはずなので(エキゾチックアニマルの取引はマフィアや暴力団が関わっていることが多い)、本気で追いかけるなら調査チームを作らないと無理っすね。


7点/10点満点

※私は1992年-2004年ころまで熱帯魚を飼っていた。ブラックゴーストという肉食魚が40cmに達し、10年くらい生きていた。餌は冷凍赤虫(ガの幼虫)か、一緒に飼っていたネオンテトラだったので、ランニングコストは安かった。

※車を飛ばして、よく水戸熱帯魚センターまで魚を買いに行った。ここは規模がとにかくすごかった。いま(2018年)は知らないけど

※アロワナは、マンガ「はじめの一歩」で、木村がVS間柴戦の時に使ったドラゴン・フィッシュ・ブローを生み出すきっかけになった魚。アロワナの餌は通常、コオロギかミールワーム(ダンゴムシの幼虫)かゴキブリか餌金魚で、餌代がものすごくかかる。相当な覚悟がないと飼えない魚なのだが、日本ランカーでくすぶっている木村が良く飼えるなあ、と思いつつ読んでいた。

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2018/06/22

中島明日香「サイバー攻撃」感想。
いわゆる新書。2018年02月17日読了。

サイバー攻撃の具体的な手法を詳解した本である。
攻撃テクのソースコードも載っている。


すんげえ、中途半端。


本書の最初の方に、「ソースコード」って何? プログラミングって何? という記述がある(p60)
でありながら、(p62)には早くもソースコードが出てくる。

で、最後まで読んだら、普通にプログラマを職業としている人(もしくはプログラミングを趣味にしている人)にしか意味をなさないのでは? というくらい細かなソースコードを載せている。

著者は本書を、「誰」を対象に書いたの?

プログラマを対象に書いたのなら、「プログラムって何?」の記述は全く不要だし、

50代60代の一般企業の晩年管理職のおじさんが、サイバーセキュリティを分かった気にさせるために書かれたのだとしたら、詳細なソースコードは不要である。

すごく中途半端な本。


プログラミングを知らない一般人に向けたサイバー攻撃に関しては、山田敏弘氏のコラムや著作が(いまのところ)一番良い。

で、本書の問題は、ブルーバックスで出ていること。

本書を読むと、ブルーバックスの編集担当者の質が「低下した」ように思える。
読者に「質が低下した」と思われるというのは、1963年から始まった日本の科学の知の結晶であるブルーバックス的には極めてまずいはずなのだが、そこらへん、ブルーバックス編集担当者は理解しているのであろうか?


で、本書の著者は1990年生まれで、まだ28歳。
周囲の管理職おじさんの無理解に怒りを込めて書いたようにも感じる。

一冊の書籍としての本書の評価は低い。

だが、著者への期待は、私の中ではけっこう高い。


4点/10点満点

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佐野貴司「海に沈んだ大陸の謎」感想。
地学。2018年02月14日読了。

ムー大陸は実在したのか?
アトランティス大陸は実在したのか?

一昔前は、ムー大陸をまじめに語ると馬鹿扱いされた。
雑誌の「月刊ムー」はそれを逆手(?)に取り、ありとあらゆる超常現象を扱う雑誌として1979年に創刊した。(「ムー」の発行会社が学研ってところがミソ)

で、本書。

ムー大陸やアトランティス大陸は実在したのか?! を、最新の地学を用いて解説した良書。

世の中の様々なものを計測する計測技術の発展は、凄い勢いで進んでいる。世の中の大半の人々が知らない、専門家しか知らないニッチな技術であるが、滅茶苦茶発展している(※)。

※石油関連の本を読むと出てくるのだが、今の石油発掘は「石油が出そうなところに穴を掘る」なんて山勘的なことはせず、地中に向けて様々な種類の音波を発信し、その反射波を解析することで「この位置に油田を思しき液体が詰まった空洞がある」ということが分かる。らしい。

本書は、そういう計測技術の発展に伴って、地球表面の7割を占める海中の地形観測が、今までと比べ物にならないくらい詳細にわかるようになってきて、そこからムー大陸やアトランティス大陸の原型となる大陸があったのかなかったのかを、最新現代科学に基づいて解説した本である。

したがって、キャッチーなタイトルに相反して、普通に地学の本である。


で、45歳になってから法政大学(通信教育)地理学科に入学した程度に地理好きな私は、本書の内容に興奮したのである。

細かいことを書いても、私の文章力では伝わらないので、内容を知りたければ本書を立ち読みしてください。かなり良いです。

良書です。


8点/10点満点

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2018/06/20

ジャンナ ・レヴィン/田沢恭子・松井信彦訳 「重力波は歌う―アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち」感想。
ノンフィクション。2018年02月10日読了。

この本は、長年通っている病院に行く途中、本を忘れてきたことに気づき、途中にある新星堂(2018年5月末に閉店)で買った。

原著は2016年に出版され、邦訳単行本も同年6月に出て、文庫版が2017年9月に出た。

重力波が初めて検出されたのは2015年9月で、厳密な検証を経てその事実(検出したこと)を2016年2月に発表した。そして検出に重大な貢献をした3人の物理学者が2017年のノーベル物理学賞を受賞した。

本書は重力波検出の直前までの取材に基づいている。(エピローグで、検出されたことに触れている)


重力波の検出方法の創出は、1970年代から始まっている。
検出の原理(干渉計)を考案した人、
それを発展させた人、
まったく異なるアプローチで大失敗してしまった人、
干渉計の大型化を考案した人、
大型化のための大型予算(数千億円)を獲得するために尽力した人、
場所の提供に尽力してくれた政治家、
プロジェクトに馴染めなくてはじき出された人、

本書はそいいうういろんな人(主に物理学者)の話の集合体である。

人物に軸を置いて章立てしているため、年代が行ったり来たりする。

Aさんは1970年代から2000年代までこういうことをしました。
Bさんは1990年代から現在に至るまで主要メンバーでした。
Cさんは1970年代の先駆者でしたが、間違ったアイデアを突き進めていたため主流から消えてしまいました。

という感じで、時代の前後関係を理解するのに、非常にストレスがたまる本だった。

テーマ自体は面白かったんだがなあ。


4点(個人の感想です)/10点満点

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井田茂「地球外生命体」感想。
いわゆる新書。2018年02月08日読了。

本書は売らんがためのタイトルになっていて、タイトルと内容に相違がある。

地球外生命体についての可能性ではなく、
地球外生命体がいるかもしれない惑星(ハビタブルゾーン)の観測技術、について書かれた本である。
ちょっと肩透かしを食らった。

それと、本書は文字が大きく、行間も広く、スッカスカである。読みごたえがない。

比較してみる。

◆本書。マイナビ新書
1ページ 36文字×13行=468文字 ×207ページ=400字詰め原稿用紙250枚くらい。850円

◆直前に読んだ「9.11後の現代史」。講談社現代新書
1ページ 40文字×16行=640文字 ×221ページ=400字詰め原稿用紙350枚くらい。800円

◆その前に読んだ「ブラック・フラッグス(下)」。白水社の単行本
1ページ 45文字×18行=810文字 ×264ページ=400字詰め原稿用紙530枚くらい。2300円


マイナビ新書はもう二度と買わない。


4点/10点満点

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酒井啓子「9.11後の現代史」感想。
いわゆる新書。2018年02月05日読了。

私は千葉県柏レイソル市に住んでいる(最寄駅は柏駅。柏市内にはJR私鉄合計10の鉄道駅がある)
ビックカメラが駅前にドーンとあり、その地下に浅野書店という、わりと売場面積の広い本屋があった。そこが2018/5/20で閉店した。私は2年くらい前からアマゾンでの本の購入を極力控え、浅野書店をメインになるべく本屋で本を買っていたのだが、この閉店は残念至極である。
さらに追い打ちをかけるように、新星堂カルチェ5店も5月末頃に閉店してしまった。以前の新星堂は、ビルの3F4Fの2フロアで本を売り、&2FでCDも販売していたのに、書店不況が深刻になって本屋部分が3Fのみになり、さらに3Fでは本の売場を減らして携帯電話や文房具を売ったりして、とにかく売上を稼ごうとしていたのだが、遂に閉鎖に至った模様。平日の昼間に行くと客が3人くらいしかいないことがままあったので、閉鎖は時間の問題だったのだろう。

これで柏駅周辺では、丸井に入っているジュンク堂(5F)と、高島屋に入っているくまざわ書店(5F)の2店のみになってしまった。どっちも駅から自宅への反対方向にあるので、本屋への足が遠のいてしまう。


さて本書。浅野書店で見かけ、著者名で間違いなしと判断し即買いした。講談社のWebサイトに本書の冒頭が公開されているのでご参照されたし。
本書の前に読んだ「ブラック・フラッグス(上下)」も、浅野書店で購入した。

本書の著者、酒井啓子先生(1959年生)は千葉大教授で、イラク政治史と現代中東政治の専門家である。

ちなみに、桜井啓子先生(1959年生)は早稲田大教授で、(たぶん)イランとイスラム・シーア派の専門家で、よく似たお名前であるが、別人である(当たり前だ)


タイトルにある「現代史」というのはやや大げさで、「中東と、中東に関与した欧米史」である。

とはいえ、最近の新書らしく、とてもコンパクトにまとまっており、私の頭の中を整理するにはとても良い本だった。

だがしかし、著者には何の落ち度もないのだが、私の評点は低い。
直前に読んだ「ブラック・フラッグス(上下)」があまりにも読みごたえがあったのに対し、読みごたえがないのだ。すでに知っている情報が載っているのだ(本書には「ブラック・フラッグス」を参照した部分がある)。これは読んだ順番が悪かった。先に本書を読めばよかった。こればっかりはしょうがない。

小説を読むのと違って、知識を得るための本は、「自分が」既に知っていることが書かれている場合、ちょっとしたがっかり感に襲われてしまうものだ。それは著者の責任ではない。

なので、私としては、本書は良書である。という感想で締めくくりたい。(なんのこっちゃ)


6点/10点満点

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2018/06/19

ジョビー・ウォリック/伊藤真訳「ブラック・フラッグス(下) 「イスラム国」台頭の軌跡」感想。
ルポ。2018年01月30日読了。


本書帯(が載っているAmazon)より引用

「その男[バグダディ]は組織のナンバースリーから急遽リーダーに昇格したばかりだった。前任者たちが米軍とイラク軍の部隊による襲撃で殺されたのだ。前任の指揮官たちと異なり、この男は戦闘員ではなく学者だった。博士号も持つイスラーム法の教授。わずか四十歳だが年齢以上に厳粛なタイプの人物で、正確さを重んじ、話し方や服装に関するどんな小さな規定にもうるさかった。本名はイブラヒム・アワド・アル= バドリ。イラクの都市、サマラの保守的なムスリムの説教師の息子として育った。ジハーディストとして自ら選んだ名はアブー・バクル・アル= バグダディといった。」 ( 本文より)

引用終わり


ザルカウィは、イラクで拠点を作るために、それまではイラク国内で平穏に共存していたシーア派とスンナ派の間の、宗派間対立という熾火に油を注いだ。

イラクはシーア派の人口が多いが、バアス党(≒スンナ派)が政権中枢部に就いていた。バアス党の独裁者がサダム・フセイン。イラク戦争後、アメリカ主導でスンナ派政権と官僚と公務員は全員解雇され、民主主義の導入、つまりは選挙、つまりは人口で勝るシーア派優遇政策を導入し、宗派間対立が起きつつあった。

イラクの治安を(勝手に)任されていたアメリカ軍は、イラク警察を鍛えるとともに、イラク国内を軍事力で蹂躙。宗派に関係なく反米感情が沸き上がっていた。

この混乱期のイラクでは、数々の反米組織が作られ、米軍が関与した人物を拘束、キャンプに収容し、数か月の取り調べの後に解放していた。無実の者も多数誤認拘束されていた。また、アブグレイブキャンプでの拷問事件など、一大不祥事が発覚した。この頃、イスラム系の大学を出てイスラムの博士号を持つ正しい聖職者バグダディとザルカウィが知り合った。

ザルカウィは2006年に米軍のミサイル攻撃によって殺されるが、ザルカウィの死後はバグダディが組織の宗教的指導者となり、戦闘の実行面ではアブー・アイユーブ・アル=マスリーが引き継いだ。(正確には、バグダディは二人いて、初代はすでに死んだ)

米軍が鍛えたはずのイラク警察は軟弱だった。ISIS(の前身組織)がイラク警察を急襲し、アメリカ軍が与えた最新兵器をやすやすと奪っていった。

……

いったいどうやってここまで詳しく調べたのだろう? と思えるほど詳しい。

とても読みごたえがあり、本書を参考文献に挙げているイスラム関連やテロ関連の書籍も多数出ている。プロ(私じゃなく日本のイスラム研究者)の目から見ても、極めて重要性の高い本である。

良書。

点数がちょっとだけ辛いのは、原著が2015年出版で、最新情報ではないから。

まあ、でも、多少のディレイがあったとしても、こういう本が日本語で読めるだけマシなのかもしれない。


8点/10点満点

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ジョビー・ウォリック/伊藤真訳「ブラック・フラッグス(上) 「イスラム国」台頭の軌跡」感想。
ルポ。2018年01月26日読了。

本書は2015年に原著が出版され、2017年8月に日本語版が出版された。

本書帯(が載っているAmazon)より引用

「連続ホテル爆破事件当時、ザルカウィは「イラクのアル= カーイダ」と呼ばれるきわめて凶暴なテロリスト・ネットワークのトップだった。だがヨルダン側は、ザルカウィがまだ「ごろつきのアフマド」と呼ばれていたころからよく知っていた。大酒飲みで喧嘩っ早いと評判の、高校中退の落ちこぼれ。そんな彼が1980年代末、共産主義者たちと戦うと言ってアフガニスタンへ向かい、戦場で鍛え抜かれた狂信的な信仰者としてヨルダンに戻ってきたときも、ムハーバラートは注視していた。初めてテロ活動に手を染めた結果、ヨルダンのもっとも闇の深い監獄の一つに姿を消した。そして今度は、戦場で鍛え抜かれた狂信的な信仰者であるだけでなく、卓越したリーダーとなってふたたび姿を現した。」(「プロローグ」より)

引用終わり

※ムハーバラートとは、アラビア語で諜報機関を意味する


本書は、ISISの前身組織を作ったザルカウィについて、その生い立ちから調べ、イスラム教徒なのに大酒のみの不良少年という青春時代を調べ(当時のザルカウィを知っているヨルダン諜報部が情報源)、アフガニスタンに赴きソ連と戦おうとしたがあまり成果を上げられなく、ヨルダンに戻って王政打倒を画策していたら摘発され刑務所へ。

刑務所収監中にマクディシというイスラム原理主義者(でも過激派ではない)の薫陶を受けイスラム原理主義に目覚め、1999年にヨルダン国王の死去と皇太子の新国王即位に伴う恩赦で釈放され(ヨルダン諜報部は、なぜザルカウィが恩赦リストに載ってしまったのか、と後悔していた)、その足で再びアフガニスタンに赴き、アルカイダと接触(この頃のアルカイダは1998年にケニアとタンザニアのアメリカ大使館爆破、2000年にイエメン沖に停泊していた米駆逐艦爆破攻撃、2001年に9.11テロを起こしていた。ビンラディンの死は2011年)。

資金面や武器の供給などでアルカイダの支援を得たザルカウィは、アフガニスタンでヨルダン王政打倒の過激組織を設営、その後ヨルダンに戻り、在ヨルダン・アメリカ大使館員暗殺などを起こした後、イラク戦争(2003年)で大混乱に陥っていたイラクに入り、反米テロを繰り返すようになった。

以下、下巻


8点/10点満点

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2018/06/18

神林長平「敵は海賊・海賊の敵」感想。
SF小説。2018年01月12日読了。

「敵は海賊」シリーズは、やっぱり長編の方が良い。

海賊・匋冥(ヨーメイ)が本人の与り知らぬところで宗教の教祖になってしまっている、という話。神林長平の宗教考察が鋭くて、その部分はとても面白い。

話自体はシリーズ物の宿命、予定調和で進んでいくので、飽きたといえば飽きた展開。

しかしまあ、匋冥は相変わらず無敵すぎる。


7点/10点満点

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野口悠紀雄「入門 ビットコインとブロックチェーン」感想。
新書。2018年01月05日読了。

現代ビジネスなどのWeb媒体で、仮想通貨に関する多くの記事を書いている著者による、ビットコイン入門書。

易しい内容だけど、それが故、内容が薄っぺらい。

入門書なので、これは仕方のないことなのだが。


4点/10点満点

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2017年の読書総括。70冊。

2017年の読書総括を表にまとめました。

昨年の読書総数は70冊で、久しぶりに小説を多く読みました。

天野才蔵 2017年の読書総括
 ジャンル国内海外合計数
小説SF・ファンタジー・ホラー415
小説冒険・ミステリ8412
小説歴史・時代・武侠202
小説純文学・青春000
 小説小計14519
その他ノンフィクション・ルポ171936
その他新書や新書的な本808
その他紀行文・旅関連・エッセイ404
その他ビジネス・株・雑学他303
 その他小計321951
 総合計462470

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2018/06/13

神林長平「敵は海賊・短篇版」感想。
SF小説。2017年12月30日読了。

神林長平は私より13歳年上の方である。(氏は1953年生まれ、私は1966年生まれ)

氏の著作が世に発表されだしたのは1979年からで、そのころ中学生で熱狂的SFファンだった私(※)は、氏の短篇(多分「狐と踊れ」)をSFマガジンで読み、なんとなくニューウェーブの旗手として認識していた。

※中学生のとき、書店で平井和正の「アダルト・ウルフガイ」を買おうとしたら、書店員のおばちゃんから「あなたがこれを読むの!?」と呆れた顔で聞かれてしまって、「これSF小説だよ」と言い返したけど、表紙がエロだったので書店員のおばちゃんは納得していなかったけど、何とか売ってもらった。書店員のおばちゃんがもうちょっと堅物だったら売ってくれなかったかもしれぬ。いまの書店は売上を上げるのに死に物狂いだから、有害図書であろうとなかろうと、買う子供に何も問わずに売るんだろうな。※閑話終わり


神林長平は1983年に「あなたの魂の安らぎあれ」と、「敵は海賊・海賊版」というSF小説を上梓した。私が工業高専の学生だった頃である。その世界観に熱狂した。

「あなたが一番好きなSF作家は誰ですか?」と問われたら、間髪おかずに「神林長平」

(&「星野之宣=世界最高のSFマンガ家です」)

と答える。

で、敵は海賊はシリーズになった。ネコ型異星人のアプロと、宇宙最強の海賊匋冥(ヨウメイ・シャローム・ツザッキィ)の物語である。ラテルは添え物なのでどうでもいい。

本作は2009年に出版された。

神林長平の(今のところ)いいところは、作中に出てくる技術に、まだ世界が追い付いていないことである。1980年代に書かれた下手くそな近未来SF小説だと、いまだにポケットベルが出てくる。著者の想像より、時代ははるかに先を行っている。こういう小説は哀れである。携帯電話(≠スマホ)を使ったミステリ小説も結構悲惨だが。

というわけで、「敵は海賊」シリーズは、30年間ずっと面白いのである。


6点/10点満点

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高橋篤史「粉飾の論理」感想。
経済。2017年12月27日読了。

小説「ハゲタカ」シリーズの参考文献に載っていたので買った。但し、既に在庫がないらしく(Kindle版はあるが、私は電子書籍は付箋を貼れないので読まない)、しょうがないので古本で買った。

カネボウ、メディアリンクス、ライブドアの3社の粉飾事件を主軸に、実際の章立てではカネボウとメディアリンクスとこれらの粉飾を見逃していた監査事務所に関しての計3章で構成されている。

良い。


8点/10点満点

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2018/06/12

飛浩隆「象られた力」感想。
SF中編集。2017年12月21日読了。

4つの中編が収められいるSF中編集。

どれも設定が良いのに、どれもラストがつまらない。

まあ、この辺りは好みってことで。


4点/10点満点

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新田次郎「劔岳<点の記>」感想。
近代歴史小説。2017年12圧15日読了。

初めて劔岳の頂点を測量した測量官・柴崎芳太郎を主人公とした、測量の苦闘史(日露戦争の直後)。史実に基づく。

私は2014年まで法政大学地理学科(通信教育)で、測量を含めた地理学を学んでいた。

測量というのは、実在する地形(3次元)を、地図という2次元空間に落とし込むために必要な作業である。

本書は、通常なら3次元空間を図る測量という技術を、地図という2次元空間を経ることなく、文字という1.5次元空間に無理くり落とし込んだものである。

そのため測量に関する説明が多い。山の険しさに関する説明も多い。それらをくどく感じるほど説明しているため、人物描写が薄くなっている。

新田次郎作品は、どれも背景描写(本作の場合は測量そのものと測量技術の説明)にページが多く割かれ、人物描写が薄くなる傾向にある。とはいえ、新田次郎が取り上げるの題材(テーマ)はスケールが大きく、欠点を差し引いても魅力が勝り、多くの読者から絶賛されている。

本書も、つい最近映画化されている(といっても公開は2009年なので、もう9年も前)

悪くはないけど、説明が多くて多少興を削ぐ。そう感じた小説だった。


6点/10点満点

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2018/06/09

井上靖「蒼き狼」感想。
歴史小説。2017年12月07日読了。

モンゴルの英雄、チンギスハン(成吉思汗)の、生まれてから死ぬまでの一生を書いた本。

評判が良いので買ったが、ずっと積読だった。

ここ最近は積読小説消化期間なので、読んでみた。

主人公=チンギスハンに魅力がなく、実に、実につまらない小説だった。

史実を元にしているらしいので(中国は侵略された歴史も結構な数の古文書が残っている)、歴史をそれなりに忠実になぞっているんだよなあ、と思いながら読んだ

歴史を知ることができたという意味で、評点5点。

もしこれが作者の想像だけで書かれたのなら、せいぜい2点。実につまらない。読むのが苦痛に近かった小説である。


5点/10点満点

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2018/06/08

真山仁「グリード(下) ハゲタカ4」一行感想。
経済小説。2017年11月30日読了。

ま、娯楽小説だと割り切って読めば、これはこれでアリ。


7点/10点満点

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真山仁「グリード(上) ハゲタカ4」一行感想。
経済小説。2017年11月28日読了。

もはやスパイ小説だなあ。


7点/10点満点

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真山仁「レッドゾーン(下) ハゲタカIII」一行感想。
経済小説。2017年11月22日読了。

サムがいなかったら壊滅じゃん。超人脇役は興を削ぐのだよ。


4点/10点満点

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真山仁「レッドゾーン(上) ハゲタカIII」一行感想。
経済小説。2017年11月17日読了。

まだ期待値が高いまま話が進んでいる。


7点/10点満点

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真山仁「ハゲタカII(下)」一行感想。
経済小説。2017年11月13日読了。

上巻より良い感じで終わった。


8点/10点満点

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真山仁「ハゲタカII(上)」一行感想。
経済小説。2017年11月09日読了。

いきなり彼を殺しちゃだめだよ。一番いいキャラだったのに。


7点/10点満点

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真山仁「ハゲタカ(下)」一行感想。
経済小説。2017年11月06日読了。

ラストに向かって、どんどん陳腐化していく。ありきたりの結末になっちゃった


7点/10点満点

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真山仁「ハゲタカ(上)」一行感想。
経済小説。2017年11月01日読了。

予想していたより10倍くらい面白い。


9点/10点満点

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2018/06/07

伊藤計劃「ハーモニー」感想。
SF小説。20147年10月27日読了。

まあ、作家の好き嫌いって、あるよね。


4点/10点満点

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桜坂洋「ALL YOU NEED IS KILL」感想。
SF小説。2017年10月24日読了。

トム・クルーズ主演のハリウッド映画になった原作小説。私はミーハーなので、映画化されことを知ってから本書を買った。

いわゆるライトノベル(ラノベ)。

私は小畑健の漫画版が一番好きだ。


6点/10点満点

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アルフレッド・ベスタ―/中田耕治訳「虎よ、虎よ!」感想。
SF小説。2017年10月20日読了。

1冊の中に、6冊分のアイデアが詰まっている優れたSF小説。

と言われ、私が中学生のころ(1970年代)の愛読書「世界のSF文学・総解説」(伊藤典夫編)で、SF小説の古典として非常に高い評価を得ているのが本書。

本書は原著が1956年(62年前)に出て、
日本語訳は1964年に「ハヤカワSFシリーズ」という、今でいう新書のような形態の本で出版された。
文庫化されたのは1978年。
現在流通しているのは2008年にイラストを刷新した新版(でも訳者が同じなので訳は変わっていないと思う)。

私がいま持っているのは1996年の17刷。(実家にはもっと古い版がある)

ずーっと、読もう読もうと思いつつも、読み始めるといまいちな感じがして、結局読みませんでした。
が、久々に読む気になった今回は、最後まで読み通すことにしました。

62年前の小説なのに、メモリーカードの概念が出てきているのには驚いた。

また、本書に出てくるワープやレーザービーム、トランスポテーションなど(うろ覚え)の概念は、1966年に始まったスタートレックにも影響を与えたとされている。

要するに本書はすごいのである。
1956年当時、著者がその想像力を駆使し、未来世界で実現されるであろう機械や装置を、多数発表している。
それが今の世の中で実現してるものもあれば、まだ実現できていないものもある。

そういう意味では面白い小説だった。

ただ、SF小説の欠点も露呈していて、キャラクターに感情移入できないのだ。キャラに魅力がないといってもいい。

これは1980年代くらいまでのSF小説には共通した欠点だった。

普通の純文学は人間の内面を炙り出すのに対し、SF小説はギミックに拘った。それがよかった時代もあるが、「SF映画」がごくごく当たり前に受け入れられる時代になった今(これは「ターミネーター」あたりが転換点だったと思う。それ以前はSF映画は子供だましと思われていた)、SF小説といえども人物描写に重点を置かざるを得なくなった。作家の力量も上がった。

本書は60年以上前の小説であり、欠点だらけではあるが、その先駆性は素晴らしい。


6点(とはいえ主人公に感情移入できないので)/10点満点

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北岡伸一「国連の政治力学」感想。
政治。2017年10月11日読了。

著者北岡伸一氏は、東大法学部卒後、立教の教授、東大の教授を経て、2004-2006年、外務省へ出向し国際連合日本政府代表部次席代表・特命全権大使を務めた方。

国連時代の経験をもとに書かれたのが本書。2007に出版され、私が買ったのは2016年の第3版。


国連も政治の場である。
国内政治と違って、与党がいない政治の場である。
したがって、政策ごとに各国の全権大使と連携を取り、多数派工作をする。

このあたりの話は、中小民間企業に勤めている人にとっては、実にくだらない。小役人(言葉が悪くてすまん)の世界である。しかしながら、国連は世界中の国を代表している人たちの集まりである。やっていることは小役人と変わりがないのだが、結果のスケールが違う。国連軍を武力介入させるとか、一国の経済に大ダメージを与える経済制裁を科すとか、一国の大統領を名指しで批判するとか。

そういう現場にいた著者が、現場でしか味わえない臨場感(?)を出して書いているのが本書。

自己肯定のために手前味噌になっている部分は多々見受けられるが、なかなか面白かった。


7点/10点満点

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マーシャル・I・ゴールドマン/鈴木博信訳「石油国家ロシア」感想。
ロシア。2017年10月04日読了。

1日当たりの原油生産が多い国(2016年) リンク先は外務省
1 アメリカ合衆国(米国) 1,235.4万
2 サウジアラビア 1,234.9万
3 ロシア 1,122.7万
4 イラン 460.0万

シェールオイル革命で、最近はアメリカが世界1位になっているが、その前まで(2010年頃)はロシアとサウジアラビアが1位を争っていた。

というくらい、ロシアは石油が採れる国である。

本書では、原油発見以降(1800年代)のロシア+旧ソ連地域における原油発掘に関する歴史と、現在(本書が出たのは2010年、原著は2008年)のロシアの石油政策について俯瞰した本である。

総じて興味深い内容なのだが、原著の間違いなのか誤訳なのかわからないが、図と本文の数字の食い違いが多々見られ、何をどこまで信じていいのか悩むことしばし。


7点/10点満点

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加藤文元「物語 数学の歴史」感想。
数学史。2017年09月26日読了。

タイトル通りの本。数学がどのように発展してきたのか、その歴史。

しかしながら、数学者(の人生)に焦点が当たっていることもあれば、数学理論に焦点が当たっている場合もあり、アラビア数学、インド数学、西洋数学だけではなく和算や中国にも言及していて、すべてが中途半端。

数学理論の進展の歴史だけを書く、
もしくは数学理論を盛り込まずに、数学者の魅力だけを書く、
アラビア、インド、西洋の数学と、和算の対比だけを書く、

など、どこかに焦点が合っていればもっと良い本になったのに。と私は思う。


3点/10点満点

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2018/06/06

パラグ・カンナ/尼丁千津子・木村高子訳「「接続性」の地政学(下)」感想。
地政学。2017年09月21日読了。

・砂は戦略物資である。砂はコンクリートの主要原料である。質の良い砂(=シリカ=二酸化ケイ素)は、オーストラリアから(皮肉なことに)砂漠の国ドバイに輸出されている。

・海上油田の掘削には、GPSを利用した「自動船位保持システム」を用いているので、安定して掘削できる。

・オマーンはアラブ世界で唯一、信仰の自由を保証している。

・マッキンゼーによると、世界の都市のうち、すべてのカテゴリ(物資、サービス、金融、人間、データ)に関して「主要なハブ」と呼べるのはわずか6都市。ニューヨーク、ロンドン、香港、東京、シンガポール、ドバイ

・パキスタンの首相だったブット一族はドバイに亡命していた。


というようなことが次から次へと書かれていて、私は注目ポイントをメモする(付箋を貼る)のに大忙しだった。

本書における著者の主張は、私が勘違いしていなければ次のようなことである。

「国家の枠組みはもう必要ない。グローバルな経済活動が国家を凌駕した。いま重要なのは「場所」である。グローバルな経済活動を行うのに最も重要なのは、(残念ながら)その都市が位置する「場所」なのである。重要な「場所」には、国連の規制、国家間の規制、国の規制など様々な要因があったとしても、それを乗り越えるだけのパワーが働く。それがグローバル経済である。」


的な内容であった。違うかもしれんが。


8点/10点満点

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パラグ・カンナ/尼丁千津子・木村高子訳「「接続性」の地政学(上)」感想。
地政学。2017年09月12日読了。


氏の本は以前読んだことがある。
パラグ・カンナ/古村治彦訳「ネクスト・ルネサンス―21世紀世界の動かし方」2011年11月23日読了。8点/10点満点

で、この本。

昨今の日本国内における地政学ブームに乗っかって、「「接続性」の地政学」というタイトルがつけられている。

私はアフリカが好きで、アフリカ関連の本をいろいろ読んでいくうちに、「これって地政学じゃん」ってことに気づいて、そこから法政大学の地理学科に編入学して(通信教育)地政学を学ぼうとしたら、法政大学の地理学科は文学部で、地政学ではなく地誌を中心としていて期待外れだった。

そういう過程を経つつも、個人的には地政学を独学してきた。まあ、本を読むだけですが。

で、知ったことが、地政学(GeoPolitics)というのは、世界的にみると枯れた学問である。ということ。

本書の原題はConnectoGraphyであり、直訳だと「接続地図学」という感じ。(原題は著者の造語)


さて本書。

まずは、GoogleMapでもおなじみ、メルカトル図法の罪(功罪ではなく罪)について。
地図でグリーンランド(カナダの沖合)を見てみよう。やたらと大きい。
それに比べてアフリカ大陸は同じくらいに見える。
これがメルカトル図法の欠点で、アフリカ大陸の面積はグリーンランドの14倍もある。
そう見えないのがメルカトル図法。

メルカトル図法は赤道に近いほど縮小され、北極南極に近いほど拡大される。
インドネシアとグリーンランドは、メルカトル図法上インドネシアがやたら小さく見えるが、ほぼ同じ面積である(正確にはインドネシアがちょっと小さい)

※追記:興味がある人は、「True size of ...」というサイトで確認してみよう。左上の検索窓に国名を入れると、その国が自由に動かせられるようになるよ。

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興味深い話がいくつも書かれている。羅列する。

・インドとパキスタンの2900kmにも及ぶ国境には、15万個の灯光器で照らされている。

・1950年代に始まった、コンテナを使った海上輸送は、コンテナという箱のサイズを規格化したことで、世界中に爆発的に受け入れられた。(日本でもよくMAERSKってコンテナを運んでいるトラックを見かけるでしょ)

・中国が2010年から2013年の間に消費したセメントは、アメリカが20世紀全体(100年)で消費したセメントより多い。

・かつてのユーゴスラビアは、熾烈苛烈で殲滅し合う内戦を経て、セルビア、クロアチア、ボスニアヘルツェゴビナ、マケドニア、スロベニア、モンテネグロ、コソヴォに分裂したが、今は「バルカン自由貿易地域(FTZ)」になった。

・イタリアのヴェネツィア(経済好調)は、イタリア経済が壊滅状態にある中、独立を宣言した。


全部羅列するのは面倒なので終わり。

以下、下巻


8点/10点満点

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マーク・C.ベイカー/郡司隆男訳「言語のレシピ 多様性にひそむ普遍性をもとめて」感想。
言語学。2017年09月02日斜め読了。

世界中のいろんな言語は、パラメーターをつけて分析すると、化学みたいに言語ごとの特徴がよくわかる。というわけでいろんな言語のパラメーターのつけ方を解説しよう。

的な本。

A言語とB言語は文法が似ている
A言語とB言語は発音が似ている
A言語とB言語は語源が似ている

というようなことではなく、能格や与格の使い方に相似がみられるのでうんたらかんたら。

著者が何を言っているのかさっぱりわからなかった。ちーん。


評点なし(私には難しすぎた)/10点満点

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2018/06/05

岩瀬昇「日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか」感想。
日本の石油発掘史。2018年08月28日読了。

タイトル通りの内容である。

著者の岩瀬氏は1948年生まれ(現在70歳)、東大法学部卒、三井物産に入社、一貫してエネルギー(石油)畑で働き、海外勤務歴は21年に及ぶ、エネルギーのスペシャリスト。現在は会社員を退き、エネルギー関連の著述を多数発表している(新潮社の有料Foresight)。

本書は、石油発掘に関するイロハのイ、が説明されているので、石油ってどうやって掘るのかなあ? と思っている人が読んでも面白いし、

石油に関する本を多少読んでいて、それなりの知識がある人(=私)が読んでも、岩瀬氏の知見に触れることができて面白い。

どちらかといえば、石油初心者向けかも。


7点/10点満点

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阿部重夫「イラク建国」感想。
イラク史。2017年08月24日読了。

近代イラク史である。

1800年代から現代までのイラク史を、一気に学べる本である。

歴史なので細かなことは本書に譲る。良書である。


8点/10点満点

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ロジャー・ブートル/町田敦夫訳「欧州解体」感想。
欧州論。2017年08月20日読了。

EUの矛盾、EUの硬直について書かれた本。

2017年08月20日に読了し、2018年06月05日に感想を書いているが、まったくと言っていいほど内容を覚えていない。


7点(読了時点の採点)/10点満点

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橘玲「橘玲の中国私論」感想。
中国論。2017年08月13日読了。

橘玲氏の中国見聞録。単行本は2015年に出版され、現在は「言ってはいけない中国の真実 (新潮文庫) 」という題名で文庫化されています。

著者が2010-2014年にかけて取材した中国事情を、著者の私見としてまとめた本。

私は橘氏の論理的な考え方に全面的に共感しているので、非常に興味深く読んだ。以下、引用ではなく、大まかな内容抜粋。


p54
(マレーシア最大の銀行メイバンクの創業者の孫のアンソニー(華人)曰く)
中国人はあまりにもエゴイストなので、共産党が暴力をもって縛り付けないと国が崩壊してしまう。「中国人にデモクラシーは無理」なのだという。

註:エゴイスト→自分勝手な人、自分の利益のみを追求する人

→中国人が本気で民主主義を目指したら、世界は一体どうなるんだろう、と思うことはしばしばあるが、すでに民主主義を謳歌している華人(註:移住している中国人は華僑、移住先の国籍を取得した人が華人)の富豪から見るても、中国人は民主主義(デモクラシー)より自分の利益が最優先なのか。


p142
中国では、土地は私有できない。すべての土地は公有地(地方自治体が所有しているので国有地ではない)であり、普通の中国人は土地の使用権を借りているだけ。故に固定資産税が存在しない。そのため、固定資産税の引き上げで地価の高騰を抑えるという常套手段が中国では使えない。

→中国は実質資本主義経済なので、いまさら土地の私有を認めると、裏社会勢力が滅茶苦茶な地上げをするのが目に見えているので、もうこの状況は変えられないのだろう。


p164
「改革開放」というのは、中国の人々にとっては、「共産党の支配を容認する代わりに自分たちの金儲けには口を出せない」という暗黙の契約だった。

→なんかすごく腑に落ちる。


p181
中国の出生率は日本よりもはるかに酷い。
北京市は0.71
上海市は0.74
6番目の天津市1.0以下

→一人っ子政策の悪影響による中国の少子高齢化は、しばしば日本でも報道されている。あまり根拠はないが、2025年くらいから日本と同じように高齢者の医療福祉問題がすさまじい重荷になり始め(高齢者の自殺が多いなど、既にその傾向はみられる)、2030年代から中国経済は下落するんじゃないかと私は思っている。


p245-246
中国で民主主義が成立し、民主的な選挙が行われた場合、ポピュリズム(大衆迎合)を主張する政治家が上位を独占する。豊かな南部沿岸地域(上海、深セン、広州ほか)の人口は4億人、貧しい内陸部の人口は9億人。沿岸の富を内陸の貧者に分配する政策をすすめる政治家が当選してしまう。もし中国が民主主義政治にかじを切ったなら、上海など沿岸住民は、中国からの分離自治(もしくは独立)を要求することが目に見えている。

→それ(分離独立)はそれで面白いと思うので、是非とも重慶(3000万人)・上海・北京・成都・石家荘・広州・天津・保定・武漢・ハルビンなど1000万人以上の人口の市は独立を目指してほしい。アフリカのチュニジアは人口約1000万人で、国別人口80位である。

ま、私が橘氏のファンであることもあり、とても面白い本であった。


8点/10点満点

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ブログ再開します

特に何かきっかけがあったわけではないのですが、
ブログを再開します。

1年近いブランクがあったので、ネタが溜まっています。
ので、ドカドカ更新します。

今後ともごひいきにどうぞ。

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