カテゴリー「△石井光太」の記事

2015/07/21

石井光太「浮浪児1945- 戦争が生んだ子供たち」感想。
ルポ。2014年04月30日読了。

今年(2015年)は、第二次世界大戦終戦(1945年)から70年の節目の年になる。

私は1966年生まれなので、戦争は知識として知っているだけである。

私の父親は昭和9年(1934年)生まれ、母親は昭和12年(1937年)生まれだが、両親ともに出生地が北海道の網走近郊なので、戦争に伴う悲惨な体験はしていない。

早坂隆が戦争に参加した自分の祖父にインタビューした「祖父の戦争」のように、私も自分の両親に戦争のことを尋ねたことがあるが、「網走(正確には女満別)はたいしたことなかったよ」と言うだけで、詳しくは教えてくれない。教えてくれない理由を父は、「俺も子供だったから、細かいことはぜんぜん分からないんだよ」と言う。


1934年生まれの私の父親は今年81歳である。その父親でも、戦争についてはよく分からないと言う(当時まだ小学生だったから)。

本書は、私より一回り近く年下の石井光太氏(1977年生)が、知識として知っている終戦直後の上野の混乱を、当事者が生きている間に直接取材をしたいと思い立ち、上野で「浮浪児」と呼ばれていた当時の子どもたちの足跡を追い、インタビューを受けてくれる人を探し出し、当時(終戦食後の上野)の状況を再現した本である。


終戦前の東京大空襲(1945年3月10日に大爆撃、4月、5月にも爆撃)により、多くの子どもたちが両親と生き別れ、もしくは死に別れになり、親とはぐれた子どもたちは自分で生きることを余儀なくされる。その中には5-7歳の幼い児童もいた。

親とはぐれてしまった児童(中学生以下)は、生きる為に食べ物を盗む、危ない目に遭わないよう徒党を組む、その他いろんなことをする。

そして終戦を迎えるが、玉音放送の意味はさっぱり分からない。だが戦争が終わり、アメリカ進駐軍がやってくることは分かった。

大人でも混乱するこの時代に、親とはぐれてしまった子どもたちがどう生きてきたのか。


学問的な本ではないので、戦後の混乱をすべてを網羅しているわけではない。

しかし、その一端を知るには十分な本である。


相変わらず石井光太はいい仕事をするな。


石井光太の取材姿勢には賛否両論あり、この本にもたぶん批判はあるのだと思うが、私は良書と思う。


8点/10点満点

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2013/01/01

石井光太「戦場の都市伝説」感想。
2012年12月19日読了。

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戦場の都市伝説

新年明けましておめでとうございます。


◆内容(紀伊國屋Bookwebより)
常に狂気に包まれた戦地や紛争地帯では、多くの都市伝説や怪談が生まれる。
ウガンダ・ビクトリア湖の「死体を食べて大きくなった巨大魚」、パレスチナの「白い服を着た不死身の自爆テロ男」、カンボジアの「腹を切り裂こうとする幽霊」、ナチス・ドイツの「ユダヤ人の脂肪でつくった人間石鹸」―。
これらの噂話が妙に生々しいのには理由がある。
その裏側には、往々にして、軍や政府、ゲリラ組織が隠蔽した「不都合な真実」があるからだ。
海外取材経験豊かな気鋭のノンフィクションライターが「都市伝説」から解き明かす、人間の心の闇と、戦争のリアル。

第1章 人間の残酷さ(ビクトリア湖の巨大魚―ウガンダ内戦;消えたユダヤ人―アメリカ同時多発テロ事件 ほか)
第2章 死者の訴え(ナチスの石鹸―ホロコースト;ヒットラー生存説 ほか)
第3章 食う者、食われる者(お守りはどこ?―コンゴ内戦;はらわたの髪―食糧戦争 ほか)
第4章 戦争と処刑(高額な出稼ぎ労働―湾岸戦争;ねえ、遊ぼうよ―シエラレオネ内戦 ほか)
第5章 日本軍の暗部(せき止められた大河―南京大虐殺;少年たちの斑点―七三一部隊 ほか)


◆感想

基本的な構成は、「戦場で広まっている噂話(都市伝説)」を紹介したあと、何故そのような噂話が広まったのかその背景を石井光太が解説するスタイルになっている。

内容は上記に書かれているような話が盛りだくさん。

噂話(都市伝説)の部分は読み物としてまあまあ面白かったが、アフリカ内戦のルポなどを読んでいる私にしてみたら、解説部分に目新しさは感じなかった。


5点/10点満点

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2012/02/20

石井光太「ニッポン異国紀行」感想。
在日外国人ルポ。2012年02月13日読了。

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ニッポン異国紀行―在日外国人のカネ・性愛・死


少々更新をサボっておりましたが、今日から最低4日連続で更新します(要するに更新をサボっている間に4冊本を読んだ)


わたくしが贔屓にしているノンフィクション作家、石井光太の新作。

私は石井光太の取材力を高く評価していて当ブログでもたびたび絶賛しているけど、amazonで氏の著書のレビューを読むと、拒絶反応に近いネガティブレビューなども見受けられ、万人受けするわけではないのだなあ、と改めて感ずる次第。世の中全ての人に受け入れられる作家などいやしないのだから、当然な話ですが。(例えば私は村上春樹の良さが一つも解らない)


さて本書は、在日外国人に関する、

第1章 日本で死んでしまった外国人の遺体はどうなるのか?
第2章 セックスビジネスに関わる外国人女性の今昔
第3章 日本で布教する外国の宗教団体
第4章 在日外国人は病気になったらどうするのか、外国人を診療する病院の話

このほか、章にまとめるほどではない小ネタとして、スクラップ業を営む外国人の話、日本にあるインド系インターナショナル幼稚園に通う子供の95%は日本人、中古車の輸出には手間もかかるが輸出先でのコネが大事、日本のあるインド料理レストランは必ずしもインド人が経営しているわけではない話、北朝鮮製の偽マイルドセブンを日本で売って設けている人の話、などなど。


乱暴な言い方をすると、在日外国人に関する雑学本の一種と言える。


いつもの石井光太本のような、ハードなルポを期待するとちょっと肩すかしを食らうかもしれない。

けど気張らずに読めば、感心するような話が多く載っている。


本書231-232ページに載っていた、中古車輸出に関する話が興味深かった。

日本の自動車メーカーは海外に車を輸出する際、現地の物価に合わせて売れるようにするため、安い部品に取り替えたり、一部の部品を取り付けずに出荷する。要するに輸出仕様の低コスト車である。海外で暮らしている人たちは「自分の国で売られている日本車は品質の悪い製品である」ことを知っていて、だから「現地仕様の新車の日本車」よりも「日本で売っていた高級仕様の中古の日本車」を買うらしい。

ところが、著者医が2004年にバングラデシュに訪れたとき、バングラデシュでは日本車の存在感が薄れ、ヒュンダイを多く見かけるようになった。

「日本人が海外向けに作る車は手抜きのものばかりだ。それなら韓国製の車を買った方がマシだ」

と考えるバングラデシュ人がいるんですとさ。


ま、8年も前の話なので、今もこうなのかは分かりませんが。

7点/10点満点

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2011/11/27

石井光太「遺体―震災、津波の果てに」感想。
ノンフィクション。2011年11月09日読了。

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遺体―震災、津波の果てに

◆内容(紀伊國屋Bookwebより)
2011年3月11日。
40000人が住む三陸の港町釜石を襲った津波は、死者・行方不明者1100人もの犠牲を出した。
各施設を瞬く間に埋め尽くす、戦時にもなかった未曾有の遺体数。
次々と直面する顔見知りの「体」に立ちすくみつつも、人々はどう弔いを成していったのか?
生き延びた者は、膨大な数の死者を前に、立ち止まることすら許されなかった―遺体安置所をめぐる極限状態に迫る、壮絶なるルポルタージュ。

プロローグ 津波の果てに
第1章 廃校を安置所に
第2章 遺体捜索を命じられて
第3章 歯型という生きた証
第4章 土葬か、火葬か
エピローグ 二カ月後に
戦争以来の膨大な数の遺体が目の前に――岩手県釜石市での極限状態を描く、壮絶なるルポルタージュ。日々増え続ける遺体を誰がどのように弔ったのか?


◆感想

誰もが知っていることだが、大震災で未曾有の被害が出た。
津波が襲った海沿いの街では、膨大な数の遺体が出た。
毎日数十体の遺体が発見された。それが何十日も続いた。

本書の著者石井光太氏は、3月14日(月)に新潟経由で宮城県に入り、この日から3ヶ月のうち2ヶ月半を被災地で過ごした。

被災地で見た圧倒的な現実。それは遺体だった。本書の巻末にある「取材を終えて」より抜粋すると

「最初は、福島、宮城、岩手の沿岸の街を回り、そこでくり広げられる惨劇を目撃することになった。幼い我が子の遺体を抱きしめて棒立ちになっている二十代の女性、海辺でちぎれた腕を見つけて「ここに手があります!」と叫んでいるお年寄り、流された車のなかに親の遺体を見つけて必死になってドアをこじ開けようとしている若い男性、傾いた松の木の枝にぶら下がった母親の亡骸を見つけた小学生ぐらいの少年……目に飛び込んでくるものは、、怖気をふるいたくなるような死に関する後継ばかりだった。」


そして石井光太氏は、遺体をテーマに本書を書き上げる。


元葬儀屋社員で、現在は引退して市の民生委員の視点で。
遺体の検案作業をするため、ひたすら遺体と向き合った釜石市医師会会長の視点で。
身元不明の遺体を確認するため、遺体の歯形を確認する作業を行った歯科医の視点で。
遺体の発見場所から遺体安置所までの運搬を命じられた釜石市役所職員の視点で。
いち早く被災現場に駆けつけ、そして次々と遺体を発見する消防団員の視点で。
瓦礫の山を解体しながら生存者を捜索し、しかし次第に遺体ばかり発見することになるする自衛隊員の視点で。
遺体安置所にある遺体を腐らせないようにするために奔走する葬儀屋の視点で。
遺体が安らかに眠ってくれるよう、遺体安置所で度胸を続ける僧侶の視点で。
……


石井氏は時が経ち4月になってから遺体に関わった人たちに取材を行い、50人以上の方々から話を聞き、色んな人の視点から見た釜石市の現実を再現したのが本書である。


ルポの方向性としては、御巣鷹山の日航機墜落事故を題材にした飯塚訓「墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便」に近い(執筆者の立場は異なる)(と紹介しつつ私はこの本は完読していない……)


11月に本書が出版され、石井光太氏は精力的に講演を行っている。そのうちのひとつに私は参加し、氏から現地の話や取材の苦労話を聞いた。想像をはるかに超える事態が起きた場所でこういう取材ができるというのも、石井氏の人格なんだろうな。

石井氏の執筆スタンスは「現実をありのままに表現する」ことにあるように思う。以前に読んだ石井氏の本では、世界中の貧困現場に入り込み(時には住み込み)、圧倒的な現実を伝えている。それが良いとか悪いとかではなく、現実を伝えている。

本書も同じで、今回のような未曾有の災害が起きた場合でも、遺体に向き合う人がいなければ遺体の処理は進まない。それが現実であり、そして今回の大震災では遺体と向き合う人がいた。


本書を読み終え、私は素直に感銘を受けた。


そして皮肉屋で現実主義者の私が言うのも何だが、真夏にこの大震災が起きていたら、凄まじい規模での二次災害(感染症)が発生したかもしれない。せめてもの救いは今回の震災が3月だったことなのだろう。そう思えるほど、本書はリアルである。


9点/10点満点


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2011/11/23

石井光太「飢餓浄土」感想。
ノンフィクション。2011年10月28日読了。

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飢餓浄土


※フィリピン留学日記からいきなり読書感想文に変わってしまった、と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、当ブログは元々読書感想文が中心のブログです。


世界中を取材している石井光太が、世界各地で見聞きした不思議な話をまとめた本。

以下列挙。


第1章 残留日本兵の亡霊
・敗残兵の森
 フィリピン、ミンダナオ島に出る日本兵の話
・幽霊船
 インドネシア、ボルネオ島(カリマンタン島)に出る日本海軍幽霊船の話
・死ぬことのない兵士たち
 ミャンマー、シャン州にいた不死身の日本兵の話
・神隠し
 ミャンマーで神隠しにあった女性の話

第2章 性臭が放つ幻
・せんずり幻想
 ケニア、ナイロビのスラムの話
・ボルネオ島の嬰児
 マレーシア、コタキナバルにいた中国人売春婦親子の話
・あさき夢みし
 タイ、メーソットでHIVが広まっている原因に関する話
・胎児の寺
 インド、ベンガル地方の寺にいたときの話

第3章 棄てられし者の嘆き
・奇形児の谷
 ベトナム、カンボジア国境界隈の町のベトナム戦争影響の話
・横恋慕
 横恋慕に関する幾つかの国の話
・魔女の里
 タンザニアの魔女狩りの話
・けがれ
 穢れに関する幾つかの国の話
・物乞い万華鏡
 ネパールの乞食の話

第4章 戦地にたちこめる空言
・戦場のお守り
 お守りに関する幾つかの国の話
・餌
 ルワンダの犬の話
・歌う魚
 スリランカに伝わる話


個々のエピソードは一冊の本にするほどでもない。でもエピソード自体は面白い。そういう雑多なエピソードを集めたのが本書(と勝手に想像する)。

一冊の本としてまとまりに欠けるけど、でも個々のエピソードは強烈である。

当感想文は読後一ヶ月近く経ってから書いているが、各エピソードを改めて列挙し(上記)、どれもこれも強烈な印象を残している。表現は悪いが、石井光太らしい下世話な、もしくは野次馬的な話が満載なのである。これは貶し言葉ではなく寧ろ褒め言葉であり、下世話なネタをノンフィクションに昇華できる石井光太の文章力があってこその技なのだと思う。もひとつ言えば、そういうネタを拾う石井光太の好奇心が、もしくは石井光太の嗅覚が鋭いのだと思うのである。


とはいえ、やっぱり本としてはまとまりに欠けるので評点は若干辛め。


7点/10点満点


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2011/06/02

石井光太「ルポ 餓死現場で生きる」感想。
貧困ルポ。20011年05月09日読了。

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ルポ餓死現場で生きる


貧困大好き石井光太氏の最新著作(誤解されそうな表現だ)。新書の体裁を採っているけど、対象は高校生~大学生くらいに設定されているような印象を受ける。

世界中の貧困現場を見てきた著者が、貧困によりどういうことが起きるのかを、著者が見聞きした事例を中心に紹介している。


第1章 餓死現場の生き方 では、

貧困者が集まっているところ(スラム)では、一家の主が一日働いても、家族が一日一度の食事しかできないような状況である。そういう貧困家庭では、一家の主が真っ先にメシを食う。主が働けなくなったら、一家全員メシを食うことが出来なくなるので、一家の主は病気で倒れることがないようにメシを食う。子供は主の後に食う。

怪我などで一家の主が倒れると、一家はメシを食うことすらままならない。そうしたときに備えて、隣組のような制度がある。主が働けない間、近隣住民から飯を分けてもらうのである。ただでさえ貧しい。本来なら他人の飯の心配など出来るような状況じゃない。他人の面倒を見る金を貯めれば、ちょっとはマシな生活が出来るかも知れない。しかし、自分達が飯を食えない状況になったとき隣に助けて欲しいから、隣の主が倒れたら援助する。相互援助。これが貧困スパイラル。


第4章 児童結婚という性生活 では、

アフガニスタンの貧しい農家は干魃で収入がなくなり、50代の地主に借金を申し込んだところ、11才の娘を嫁によこせと言われ、農家は仕方なく娘を差し出した。この娘は学校にも通わせてもらえず、今は単純な労働力として、近い将来は地主の妻として生きることになる。11才にして将来が閉ざされてしまったわけだ。あるNGOのスタッフが
「家に帰って兄弟と暮らしたくないのか?友達と遊ばなくても平気なのか?」と聞いたら
「家に帰りたくない、ここにいればおいしいご飯が食べられる、好きな服も買ってもらえる、貧しい若い男性と結婚したって生きていけるかわからない、だったらこの生活の方が良い」と答えたのだそうな。
当然NGOスタッフは絶句したのだが、飢えるよりマシと言われちゃ、返す言葉もない。


というような話が、げっぷが出そうなくらいてんこ盛り盛りで書かれています。


本書のスタンス(と言うより石井光太氏のスタンス)は、児童労働や児童結婚、子供兵などはとてもじゃないが容認できない廃絶すべきだ!とヒステリックな欧米系のNPOやNGOが叫んでいるようなことを言いたいのではなく(むろん良いと言っているわけではない)、現実はこのようになっているのだ、目の前にあるイヤな部分だけを取り除いても根っこの問題は解決しない、と言っております。

このようなスタンスは、3年前に読んだロバート・ゲスト「アフリカ 苦悩する大陸」(私的10点満点)にもあり、こちらの本では
◆先進諸国の人権活動家は、アフリカ諸国から安く農作物(コーンフレークやカカオなど)を輸入することは、安い労働力として子供を働かせることにつながる、言い換えれば先進諸国が搾取していることなのだ、と言うが、著者はこれに異を唱える。先進国の活動家や労組がこのように唱え、アフリカから農作物を輸入しなくなったとき、困るのはアフリカの農民だ。アフリカの農民は、カカオやコーンを売るしか現金を得る方法がない。先進国が農作物を買ってくれないと、農民は現金を得ることができなくなり、ただでさえ子供を満足に学校に通わせることができないのに、現金を得ることができなくなったらますます学校に通わせることなど難しくなってしまう。(第6章)

と書かれています。


まあなんだ、要するに地球は人口が増えすぎたんですよ。


8点/10点満点


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2010/12/31

石井光太「感染宣告」感想。
HIVルポ。2010年12月28日読了。

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感染宣告

概要(紀伊國屋Bookwebより)
告知、恋愛、家族、出産…「死の病」ではなくなったのに、増え続ける日本人HIV感染者の性愛と家族の現実。
極限の恋愛が織りなす性と死と希望の物語。
著者初の国内ルポルタージュ。
日本人HIV感染者の性、家族、そして出産。
日本人初のHIV感染報告から25年。「死の病」ではなくなったが、感染者は静かに広がる。世間から「忘れられた」感染者の生と性を浮き彫りにする衝撃ルポ。


HIVやエイズのルポはたくさん出ているのだろうけど、私自身は初めて読んだ。

HIV感染者とその恋人や家族、数百人にインタビューし、HIV感染者のセックスを切り口にした内容。

この本が他のHIVルポと比べ出来がいいのか悪いのかわからない。わからないけど、HIV感染者の深い絶望感は伝わってくる。

年末に読む本じゃないな。と思うのだった(注:褒め言葉)


9点/10点満点


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2010/10/27

石井光太「地を這う祈り」感想。
「世界の最底辺」のフォトルポ。2010年10月23日読了。

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地を這う祈り


インドやバングラデシュやパキスタンやアフガニスタンやフィリピンやウガンダやエチオピアやタイやスリランカやベトナムやその他著者が訪れた国々の、

最底辺を生きる人々の、

過酷な日常を撮った写真を中心にしたルポ。

全身瘤だらけで見世物なって金を得ている乞食、
右手が切り落とされている子供乞食、
下半身を露わにして路上で死んでいる売春婦、
緑色に変色した水を飲む歩けない老婆、
檻に閉じ込められる知的障害者、
ゴミ捨て場で鉄くずをかき集める少年、
蛆やゴキブリの混じった残飯を食う少年……


私は著者石井光太氏を贔屓にしているので、多少贔屓目の評価になってしまうけれども、それでもこの本は石井光太の現時点の集大成的と思えるので、私としては満点をつけるのである。


10点/10点満点


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2010/08/23

石井光太「日本人だけが知らない日本人のうわさ」感想。
いわゆる新書。2010年08月17日読了。

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日本人だけが知らない日本人のうわさ―笑える・あきれる・腹がたつ


身も蓋もない言い方をすると、よくあるタイプの蘊蓄ネタ本である。

ただ、書いている人が世界中の乞食を取材している石井光太なので、毒が満載である。

同様他書籍と比べるとボリュームもあり、石井光太らしい解説もあり、暇つぶしにはちょうどいい内容の本だったが、少々毒がきつすぎるかもしれん。


6点/10点満点


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2010/08/17

石井光太「レンタルチャイルド」感想。
ルポ。2010年08月12日読了。

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レンタルチャイルド―神に弄ばれる貧しき子供たち


インドの子供乞食は、乞食をとりまとめる集団が誘拐してきた子供を乞食に仕立て上げる場合がある。ただの子供乞食では「商売としての稼げる乞食」にならないので、よりいっそうの憐れみを誘うため、乳児期に手足を切り落とされたり、目をつぶされたり、大やけどを負わされたりする。

このことは、石井光太の前著3冊にも書かれている。

実際私もインドのバラナシに行ったとき、腕のない乞食を見た。足のない乞食も見た。インドに行く前に石井光太の3冊を読んでいたけど、手足のない乞食があまりにも普通に居たので、「ああ、手や足がないなあ」としか思わなかった。

さて本書は、2002年、2004年、2008年の3回にわたり、インドのムンバイで子供乞食の実態を追いかけた渾身のルポである。あまりにもすごい内容で、わたくし如きのブログで内容を紹介するのは恐れ多い。というか、中途半端に紹介してしまったら、渾身のルポを書いている著者に申し訳なさ過ぎる。

ので、リンクする。

著者のインタビュー
Yomiuri Online の書評
旅行人・蔵前仁一さんの書評


最後に本書の著者石井光太氏のブログを紹介する。本書を読もうと思っている方は、本書を読んでから見ることをお奨めする。

写真を掲載するや否や(1)
写真と躊躇い(2)

イボ男は壮絶である。


10点/10点満点


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