カテゴリー「◇イスラーム他、宗教」の記事

2018/06/20

酒井啓子「9.11後の現代史」感想。
いわゆる新書。2018年02月05日読了。

私は千葉県柏レイソル市に住んでいる(最寄駅は柏駅。柏市内にはJR私鉄合計10の鉄道駅がある)
ビックカメラが駅前にドーンとあり、その地下に浅野書店という、わりと売場面積の広い本屋があった。そこが2018/5/20で閉店した。私は2年くらい前からアマゾンでの本の購入を極力控え、浅野書店をメインになるべく本屋で本を買っていたのだが、この閉店は残念至極である。
さらに追い打ちをかけるように、新星堂カルチェ5店も5月末頃に閉店してしまった。以前の新星堂は、ビルの3F4Fの2フロアで本を売り、&2FでCDも販売していたのに、書店不況が深刻になって本屋部分が3Fのみになり、さらに3Fでは本の売場を減らして携帯電話や文房具を売ったりして、とにかく売上を稼ごうとしていたのだが、遂に閉鎖に至った模様。平日の昼間に行くと客が3人くらいしかいないことがままあったので、閉鎖は時間の問題だったのだろう。

これで柏駅周辺では、丸井に入っているジュンク堂(5F)と、高島屋に入っているくまざわ書店(5F)の2店のみになってしまった。どっちも駅から自宅への反対方向にあるので、本屋への足が遠のいてしまう。


さて本書。浅野書店で見かけ、著者名で間違いなしと判断し即買いした。講談社のWebサイトに本書の冒頭が公開されているのでご参照されたし。
本書の前に読んだ「ブラック・フラッグス(上下)」も、浅野書店で購入した。

本書の著者、酒井啓子先生(1959年生)は千葉大教授で、イラク政治史と現代中東政治の専門家である。

ちなみに、桜井啓子先生(1959年生)は早稲田大教授で、(たぶん)イランとイスラム・シーア派の専門家で、よく似たお名前であるが、別人である(当たり前だ)


タイトルにある「現代史」というのはやや大げさで、「中東と、中東に関与した欧米史」である。

とはいえ、最近の新書らしく、とてもコンパクトにまとまっており、私の頭の中を整理するにはとても良い本だった。

だがしかし、著者には何の落ち度もないのだが、私の評点は低い。
直前に読んだ「ブラック・フラッグス(上下)」があまりにも読みごたえがあったのに対し、読みごたえがないのだ。すでに知っている情報が載っているのだ(本書には「ブラック・フラッグス」を参照した部分がある)。これは読んだ順番が悪かった。先に本書を読めばよかった。こればっかりはしょうがない。

小説を読むのと違って、知識を得るための本は、「自分が」既に知っていることが書かれている場合、ちょっとしたがっかり感に襲われてしまうものだ。それは著者の責任ではない。

なので、私としては、本書は良書である。という感想で締めくくりたい。(なんのこっちゃ)


6点/10点満点

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2017/01/22

架神恭介/辰巳一世「完全教祖マニュアル」感想。
宗教分析。2016年11月30日読了。

宗教の教祖になるためのマニュアル本である。

本書は徹頭徹尾マニュアルとしての体裁を保っている。もちろんパロディだ。

世界中にいろんな宗教がある。だが意外と根底にあるもの(思想)は同じようなことだったりする。それを分析し、マニュアル本という体裁をとってパロディ化したのが本書。

キリスト教(カトリック)が硬直していたのでプロテスタントが生まれた。しかしプロテスタントよりもっと早い段階、西暦150年にモタノス派という一派が「今のキリスト教の状況は硬直化している、原点回帰せよ」という運動を起こす。こういう連中は異端と断罪され虐げられたが、現在でも東方正教会諸派として世界各地に残っている。

イスラム教の断食は有名だが、仏陀も断食していたし、仏教諸派も修行の一環で断食とかあるじゃん。

仏教発祥の地インドでは、仏教は主張が難しすぎて庶民に根付かなかった。で、日本にやって来た仏教(浄土教)は、「南無阿弥陀仏と唱えれば極楽に行って成仏できるよ」と庶民にも分かりやすい方法で布教した。

などのことが書かれている。半分笑いながら楽しく読みました。


8点/10点満点

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2015/10/23

国枝昌樹「イスラム国の正体」感想。
いわゆる新書。2015年10月05日読了。

今年になってから読み出した、ISIS(イスラム国)の直接および間接的な解説本は本書を入れて7冊(下記※)。

国枝昌樹「報道されない中東の真実 動乱のシリア・アラブ世界の地殻変動」2014年12月14日読了。10点満点

元駐シリア日本全権大使の著者が書くISISである。


読む前に過大な期待を抱いてしまったのか、内容的には他のISIS関連書と大差ない感じがしてしまった。まあ、これは私が同じような違う本を何冊も読んでいて、最後に読んだのが本書だったから、という理由によるので、ISISに関する本は本書しか読んでいない人には、十分な内容と思われる。


本書に書かれていたので思い出したのが、イラクにはチグリス川とユーフラテス川が流れており、土地は肥沃である。ということ。

ユーフラテス川は源流がトルコで、シリアのラッカ(ISISとシリア政府軍が奪い合いしている人口20万人くらいの都市)を通ってイラクに入り、バグダッドの横を抜けてペルシャ湾に。

チグリス川も源流はトルコで、シリアをかすめてイラクに流れ、モースル(ISIS占領下。人口170万人)を抜け、バグダッドの街中を縦断し、ペルシャ湾に。


ISISはイラクやシリアの都市を占領しているが、その統治方法は武力ではなく「イスラム法に基づいた」カリフ制である。ISISは金がある(サウジなどのスンニ派厳格主義者の金持ちからの援助金と、イラクの油田からとれる原油をシリアやトルコに密輸して得る金)ので、占領下の都市インフラは極めて真っ当に整備され、医療を筆頭とした公共サービスも無料で運営されている。

住民にとっては、汚職で腐敗したイラク政府が統治するのと、イスラム法に厳格かつ厳罰を課し、密告を推奨するISISのどっちが良いと言われても、どっちもどっちだと言うしかないらしい。


つまり、正規イラク政府はまったく信用されていない。これは、イラクは元もと宗派に関係ない世俗主義をとっていたサダム・フセイン(バアス党・スンナ派重用)がアメリカに殺され、アメリカ主導で民主的な選挙を実施したところ、人数で最大勢力だったシーア派がすべてのポジションを独占し、旧イラク軍のスンナ派全員と、スンナ派の公務員の全員を解雇してしまったため、職にあぶれて食うことすらできなくなった元軍人と元公務員がISISの軍事および統治の中核を握ることになりました。で、シーア派の現政権はみな汚職まみれで、イラク国内ではシーア派住民以外の支持はゼロ。


なので、シーア派が統治しようと、ISISが統治しようと大差ない、と。


というようなことが本書にも書かれています。


5点(期待が大きすぎた)/10点満点


※そんなこんなで、ISIS関連+便乗本を7冊読みましたが、お薦めは池内恵(さとし)「イスラーム国の衝撃」または、国枝昌樹「イスラム国の正体」です。


内藤正典「イスラム戦争」2015年01月31日読了。3点

池内恵(さとし)「イスラーム国の衝撃」2015年02月05日読了。7点

吉岡明子・山尾大編「「イスラム国」の脅威とイラク」2015年04月23日読了。8点(ただし初心者向けではない)

宮田律「イスラム潮流と日本」2015年07月23日読了断念。0点(酷い)

ロレッタ・ナポリオーニ「イスラム国 テロリストが国家を作る時」2015年09月27日読了。6点

菅原出「「イスラム国」と「恐怖の輸出」」2015年10月01日読了。5点(辛め採点)

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2015/10/22

菅原出「「イスラム国」と「恐怖の輸出」」感想。
2015年10月01日読了。

この著者の本は2冊読んだことがある。

菅原出「戦争詐欺師」2009年07月02日読了。8点

菅原出「外注される戦争」2007年05月24日読了。7点

どちらも説得力のある分析で、なかなか面白かった。著者の本業は国際政治アナリスト、危機管理コンサルタント。


本書は2015年7月に出た本なので、ISIS(イスラム国)絡みとしては比較的最近出版されたものになる。

ISISがイラク及びシリアのどこを支配しているのか、詳細かつ完成度の高い地図が何点も載っている(ソースは米国防総省、CIA、BBCなど)ので、読んでいて非常に分かり易い。本業の危機管理コンサルタントで、普段からこの手の図版をたくさん作っているのだろう。

ちなみに英国BBCのWebサイトに行くと、すぐにこういう図版が見つかる。


ただ惜しむらくは、第5章(最終章)「テロ自衛策とリスク管理」で、日本企業(日本人)が海外で働く際のリスクをどうマネジメントすべきか、的な内容に突然変化し、私は困惑。

ISISだけではページが埋まらなくて、無理やり付け足したのだろうか? と思えるくらいに第5章だけ違和感がある。

そこを除けば、ISIS関連本の中ではかなり良い内容。


5点(第5章で大きくマイナス)/10点満点

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2015/10/19

ロレッタ・ナポリオーニ /村井章子訳「イスラム国 テロリストが国家を作る時」感想。
分析。2015年09月27日読了。


テロ組織の財政分析を専門とするイタリア出身の経済学博士(ちなみに女性)。1993年、幼なじみの女性がイタリアの極左テロ組織「赤い旅団」の一員として逮捕され、それがきっかけで「赤い旅団」のリーダーと刑務所で面会するようになった。その喋り方がまるで銀行員のように感じた著者は、「赤い旅団」の財政状況を調べる。

その後、PLO(パレスチナ解放戦線)やIRA(アイルランド共和軍→テロ組織です)の財政状況も調査し、この道の第一人者となった。


本書は2014年後半に原著が、日本語版は2015年1月に出版されている。


著者は、ISIS(イスラム国)は通常のテロ組織と異なり、明確な意志を持って「国家」の構築を目指していると警鐘を鳴らしている。

説得力のある内容だが、ISISの脅威が声高に叫ばれるようになった2014年後半の段階でまとめられた本なので、中東諸国やロシアまで介入しだした及び原油安が続く現在では状況が変わってきている。

緊急出版された(であろう)本は旬が短い。この著者の第2弾を期待したいが、第2弾が邦訳されるとは限らない。


6点/10点満点

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