カテゴリー「◇歴史」の記事

2017/06/11

坂本勉「トルコ民族主義」感想。
トルコ民族史。2017年06月02日読了。

現代トルコはどのようにして形成されていったのか。

本書ではそのルーツを言語、文化を中心に遡り、オスマントルコ(1299-1922年)ができる遥か前、中国の古文書に出てくる文言を参照し、現在のモンゴルあたりに住んでいた5世紀末のテュルク系民族「鉄勒」(てつろく)に祖を発し、そのテュルク系民族は中央ユーラシアに進出し「突厥」(とっけつ)となり、西暦1000年頃にイラン(セルジューク朝)、現在のトルコ・アナトリア地方に進出(ルーム・セルジューク朝)、

イランに移り住んだテュルク系(=トルコ系)民族は、言語としての完成度が高かったイランのペルシャ語を用い、イスラム教シーア派文化が発達、

アナトリアに移り住んだテュルク系民族は、ペルシャ語ではなくトルコ語を言語として発展させようという機運が生まれ、言語学者が奮闘し、トルコ語の完成度を高めていった。

イランの近くにあるアゼルバイジャンでは、更に別の系統の文化が進化し、

トルコ民族が、キリスト教国家であるアルメニアをどのように懐柔し取り込んでいったのか、

そしてオスマントルコが滅亡した後の現代トルコは、どのように国づくりを進めていったのか。

などについて書かれている。良書。


7点/10点満点

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2017/06/08

福井勝義/大塚和夫/赤阪賢「世界の歴史24 アフリカの民族と社会」感想。
歴史。2017年05月16日読了。

タイトル通りの内容。

世界の歴史シリーズは何冊か持っているが、必要な箇所だけ参考程度に読むことが多く、通しで全部読んだのは初めて。

このシリーズは文庫版も出ているが、文庫版の図版がモノクロなのに対し、単行本版はカラー印刷。なので、単行本の置き場所がある方は、単行本版を買われることをお勧めする(こういう全集モノにありがちな話として、毎月一回配本されるので気楽に買ってみたものの、気が付いたら置物と化してしまったので二束三文で古本屋に売られることが多い→つまり単行本版は古本で安く手に入る)。

本書は大きく3部構成
・自然と民族
・王国が多数あった昔のアフリカ
・アフリカのイスラーム

北アフリカとエチオピア、エリトリアを除くアフリカ諸国では、文字をもたない言語が使用されていたため、歴史を遡ることが大変難しい。口頭伝承を丹念に拾い集めることと、遺跡を調べることしか手段がない。世界各国の民族学者がアフリカを研究しているが、まだまだ不明な点も多い。

本書の執筆者は3人なので、アフリカのすべてを網羅しているわけではない(と思われる)が、アフリカの歴史に関する新古典の一冊として読むにはちょうど良い。


7点/10点満点

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2017/06/06

国本伊代「概説ラテンアメリカ史」感想。
歴史。2017年04月30日読了。

タイトル通りの内容の本。ここでいうラテンアメリカには、カリブ海の島国も含まれる。大学の教科書として書かれたような内容。

ラテンアメリカに到達したヨーロッパ人(ポルトガル、スペイン、イギリス、フランス、オランダ、デンマーク、スウェーデン)は、そこに暮らす人々の文化を破壊し、奴隷のように酷使し、人口を激減させた。

本書ではヨーロッパ人による侵略の歴史をひも解くと同時に、統治方法についてもかなり詳しい説明がなされている。

p113
1808年委ポルトガルの王室と支配層がナポレオンの侵略を逃れてブラジルに渡り、ポルトガルの首都をリオデジャネイロに移した(1808年-1821年)

へえ、そうなのか。全然知らなかった。


とてもためになる歴史の本です。


8点/10点満点

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2017/03/18

岩崎育夫「入門 東南アジア近現代史」感想。
歴史。2017年03月04日読了。

著者の本は岩崎育夫「アジアの国家史」2015年03月05日読了。10点満点 を読んだことがある。素晴らしい本だった。

本書はタイトルの通り、東南アジア史に関する入門書。ASEANに加盟している

インドネシア
シンガポール
タイ
フィリピン
マレーシア
ブルネイ
ベトナム
ミャンマー
ラオス
カンボジア

の近現代史を簡潔にまとめた本である。本書も素晴らしい。

16世紀頃にヨーロッパ諸国が進出する手前の時代から始まり、

最初は貿易だったのがヨーロッパ諸国(ポルトガル、スペイン、オランダ、イギリス、フランス)による侵略、植民地化へと進み、

ヨーロッパにとってかわって植民地化した大日本帝国時代、

第二次世界大戦を終え脱植民地となる1945-1960年代の各国の独立、

そして現在に至る発展の経緯が書かれている。コンパクトにまとまっていて、かつ概ね時系列に書かれているので、調べ物をする際に非常に役に立ちそうである。

私はインドネシア史やシンガポール史、東南アジア全体の歴史については何冊か本を読んだが、本書には知らないことも多く書かれていたので、とても有益であった。

以下、私がへえー、と思ったところ。

p39
マレーシアは現在も立憲君主制の下、13州のうち9州でスルタン(イスラムの王様)体制を維持している。

p52
1500年代半ば、スペインは中国との貿易を望んだ。その理由は当時、世界の経済大国1位と2位はインドと中国だったから。

p55
1700年代半ば、インドの村でイギリス東インド会社VSフランス・ベンガル豪族連合軍の戦いがあり、イギリスが勝利した。プラッシーの戦いという。

→フランスもインドに進出していたのか。

p81
1800年代終盤~1900年代初頭、フランスの植民地化にあったベトナムで、反フランス運動を起こしていた活動家を日本に留学させた。200人を超えるベトナム人が日本にやって来た。しかし、日仏条約をタテにフランスがこの留学生受け入れに反発、結局日本は留学生をベトナムに追い返した。そのため、反フランス運動の主導者ファン・ボイ・チャウは、日本もヨーロッパと同じ植民地支配者であるとみなすようになった。

p93
日本がアジア各国を植民地化した1942年に、大日本帝国は3つの事件を起こしている。
シンガポールの華僑虐殺
フィリピンでの戦争捕虜強制連行事件
・タイとミャンマーを結ぶ泰緬鉄道を建設するための労働者強制連行

p114
第二次世界大戦終了後、東南アジア各国が独立するのに2つのパターンがあった。
・もう植民地の時代じゃないと独立を容認するアメリカとイギリス(フィリピン、ミャンマー、マレーシア、シンガポール)
・植民地復活を望んだフランス、オランダ、ポルトガル(ベトナム、インドネシア、東ティモール)

p129
マレーシアの首相は、有名なマハティール以外は全員王族出身。

p132
インドネシアはアチェ独立紛争などがあり、ユドヨノ政権時代に各州の自治権を拡大、28州だったのが現在では41州まで増えている。

p139
スカルノ時代のインドネシアは、マレーシアと断交したことがある。

p143
1978年、ベトナムはカンボジアに進行してポル・ポト(親中国)を排除。
それを受け1979年、中国はベトナムに侵攻(中越戦争)(ベトナムの勝ち)
ベトナムは国内にいる華人を弾圧、財産没収の上、山奥に引っ越すか海外に去れと命令。多くが難民となり、そのボートピープルは日本にも大勢やって来た。

p159
シンガポールの首相リー・クアンユーは独裁者で、現在も新聞などのメディアは検閲を受けている。(ちなみに本書では触れられていないが、シンガポールでは政治集会も禁止されている)


などなど。とても面白かった。


9点/10点満点

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2017/01/19

白石隆「崩壊 インドネシアはどこへ行く」感想。
近代史。2016年11月19日読了。

著者の白石隆氏は「海の帝国―アジアをどう考えるか」2013年01月10日読了。7点(難しかったー)。を書かれた人で、東南アジア、中でもインドネシア政治研究のエキスパート。現在はJETROのアジア経済研究所所長

本書は、インドネシアの独裁者スハルト政権が崩壊した(1998年)翌1999年に出版された本。

スハルト政権時、スハルトファミリー&取り巻きがどのようにインドネシアを食いものにしていったのか、スハルト退陣を受けて3代目大統領となったハビビが出版時点でどのような政治運営を行っているのか、などが書かれている。

インドネシア政治のディープな話なので内容紹介は割愛。

スハルト政権崩壊はもう19年も前のことになる。今のインドネシア経済の最前線にいる40代の人たちはスハルト政権下の良い面と悪い面を両方見ている。30代の人はスハルト政権末期の悪い面を覚えている。20代の人はスハルト政権のことをよく知らない。10代の人はスハルトを知らない。ハビビの後、ワヒド、メガワティ、そしてスシロ・バンバン・ユドヨノ(この第6代大統領は評価が高い)、そして現大統領のジョコ・ウィドドと、インドネシアは確実に西側民主主義政治が根付いてきている。

これからのインドネシアを担う人材は、政治の力で豊かな社会を作れると確信しているに違いない。

インドネシアなんてイスラムで子だくさんで貧乏人がたくさんいる、と思っているあなた。それは間違い。古い。

今のインドネシアは人口が2億5800万人(日本は1億2700万人)、
そのうち24歳以下が1億1000万人(日本は2900万人)、
大学進学率が32%(調査機関によっては40%を超えたとも)(日本は約50%)、

単純計算してください。大学生の数では、日本はすでにインドネシアに抜かれている可能性が高いのですよ。

また出生率が2.6(調査機関によっては2.13という数字も)(日本は1.41)と先進国の数字に近づいてきています。これの意味するところは、少ない人数の子供にたっぷり教育費をかける、ということがインドネシアでも起きているのですよ。


7点/10点満点

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2016/01/23

吉岡正興・松田素二編「新書アフリカ史」感想。
歴史。2015年11月21日読了。

長らく更新をサボっていましたが、適当に再開します。


有史以前、人類が最初に誕生したのはアフリカだといわれている(異説多数あり)。

アフリカで発見された原人はどのような経緯で世界中に拡散していったのか、から始まり、文字を持たないアフリカ先住民はどのように暮らしていたのか(文字がない→口頭伝承と遺跡で考古学者が解釈解明している)、他地域の文明が入り込んできた西暦0-1500年頃はどのような暮らしだったのか、そして近代-現代はどのように形成されたのか。

を、本書が出版された1997年までに分かっていることを、570ページにわたって事細かに書いたのが本書。

私が持っているのは2004年の第10刷。買ってから10年以上経って、ようやく読んだ。


アフリカに興味がある人は読んで損のない充実した本。


9点/10点満点

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