カテゴリー「◇科学」の記事

2017/06/12

永田和宏「人はどのように鉄を作ってきたか 4000年の歴史と製鉄の原理」感想。
ブルーバックス。2017年06月05日読了。

立ち読みしてから買ったのだが、ちょっと思っていたのと違う内容だった。

昔日本で使われていた、たたら炉は木炭を用い、ふいごを使って酸素を送り込むことで高温を発生させる。鉄は鉄鉱石ではなく砂鉄を用いるので、砂鉄が良くとれる川岸に近い場所に炉があった。

炉の高さは○○cm、幅は〇〇cm、地上から○○cmの所に羽口という空気綱がありそこから空気(酸素)を送り込む。炉が温まってから砂鉄〇gと石灰〇gを入れ、2時間経ったら木炭〇gと砂鉄と石灰を追加投入。これを2時間ごとに繰り返し…

というようなことが書かれている本。

著者が書きたかった内容と、私の知りたいことが異なっていたので評点はつけません。

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2017/06/04

坪田一男「あなたのこども、そのままだと近視になります。」感想。
医学。2017年04月12日読了。

近視は眼鏡で矯正できるし、LASIKなどの外科手術でも矯正できるので、眼科医は近視の原因を調べることに手を出してはいけないのだそうだ(暗黙の了解事項)。

慶応大学医学部眼科教授の著者は、いろいろあって近視の原因の調査に乗り出した。

医学的に明確な根拠があるのは、「毎日屋外で2時間以上遊んでいる子供は近視になりづらい」

これを動物実験で調べていったところ、「紫外線に近い波長の可視光線」を浴びると近視になりづらい、というところまでわかってきた。

この「紫外線に近い波長の可視光線」は、メガネにコーティングされているUVカット機能で、カットされてしまう波長。なので、ちょっとだけ近視の子供がメガネをかけて毎日屋外で2時間遊んでも、近視は進んでしまう。

へえー、なるほどなあ。

と思うのだけれども、本書はやっつけ仕事で書かれた感じがありありとしていて、まとまりが無さ過ぎ。残念な本。


3点/10点満点

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2017/01/07

渡部潤一/渡部好恵「最新 惑星入門」感想。
サイエンス。2016年09月06日読了。

本書出版時である2016年7月現在までに判明している、惑星・衛星・小惑星・太陽系外縁天体に関する最新の情報を盛り込んだサイエンス本。著者渡部潤一は国立天文台教授で副台長。

太陽系外縁天体(冥王星より外側にある惑星や準惑星等)に関してはラスト15ページくらいでさらっと書かれているだけだが、天体観測技術の向上に伴って、惑星級の大きさを持つ天体が新たに発見される可能性が高まってきているとのこと。

ワクワクしますね。

星好きにはお勧めできる本です。ただあとがきによると、著者が過去に書いた本を再構成している部分がかなりあるとのことなので、著者の本をすでに読んだことのある人にとっては肩透かし的な結果になるやもしれません。


8点/10点満点

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2016/12/31

竹内淳「高校数学でわかる光とレンズ」感想。
ブルーバックス。2016年08月06日読了

第4章までは光とレンズの仕組みを優しく解説。実用的でもある。

第5章以降は、光学の数式を導き出すことが目的と化し、ブルーバックスというよりは大学の光学教科書のようになってしまっている。大学の教科書のような内容を書くにはページ数が足りないので、かなり駆け足になってしまっているし、実用的でもない。

私に光学の知識が無いためそう感じるのかもしれないが、大学の教科書のような内容を知りたいのなら教科書を読めばいいのであって、ブルーバックスで書く内容ではない。

ブルーバックスの執筆者は基本的にその道の専門家なので、専門的になりすぎないように編集が舵取りをしなければイマイチな本が出来上がってしまう。

本書はそのイマイチな部分が多かった。と個人的には思う。

「高校数学でわかる」シリーズは数学を楽しむ本なのだ! と言われると返す言葉もないのだが。


5点/10点満点

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2016/05/10

吉村忠与志「知るほどハマル!化学の不思議」感想。
サイエンス。2016年04月11日読了。


鉄筋コンクリートの鉄筋はなぜ錆びないのか? それはセメントの主成分であるケイ素がアルカリ性で、錆は鉄が酸化することで起きる(酸化鉄)。ナノで、アルカリ性のセメントに覆われている限り、鉄筋は錆びません。

というようなことが書かれています。(個人的に興味がそそられる話が少なかった)

中学生向きかな。


4点/10点満点

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齋藤勝裕「へんな金属 すごい金属」感想。
サイエンス。2016年04月08日読了。

ナトリウムは金属です。塩化ナトリウム=塩なので、塩のイメージが強いけど、ナトリウム単体は金属です。ナトリウムとカリウムの合金は、融点がマイナス10-20℃なので、常温では液体です。但し、空気に触れると爆発的に発火します。

タングステンと金の比重は全く同じです。なので、タングステンの塊の表面に金メッキしたものを金塊として売る詐欺が起きたことがあります。(タングステンはおおよそ30ドル/1kg、金はおおよそ40000ドル/1kg)

銅の錆である緑青は、昔は猛毒とされていましたが、現在では無毒であることが分かっています。


というような金属蘊蓄がいろいろ載っています。


中学生くらい向けかな。

5点/10点満点

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2016/04/24

サイモン・シン/青木薫訳「宇宙創生(下)」感想。
科学ノンフィクション。2016年02月25日読了。


下巻も非常に面白かった。

本書は、各章末に「この章のまとめ」が載っている。これを引用しながら、本書上下巻の魅力について書きたい。


上巻、第1章

紀元前6世紀のギリシャで、哲学者が宇宙を(神話的なことではなく自然現象として)観測し始めた。

宗教との絡みもあり、当初は天動説(地球が宇宙の中心)だったが、16世紀にコペルニクスが地動説(地球が太陽のまわりを回っている)を唱え始めた。

コペルニクスは無名だったから世界的には無視された。しかし、ティコ・ブラーエの観測結果を基にケプラーが改良モデルを発表した。

ガリレオが望遠鏡を使って観測し、その結果を基に地動説を擁護したが、カトリックの総本山ローマから異端扱いされた


第2章

1670年代、レーマーが木星の衛星を観測し、光の速度が有限であることを証明した。

宇宙はエーテルで満たされているという説が主流だった(エーテルは古典SF小説にもよく出てきましたね)

1915年、アインシュタインは思考実験(頭の中で仮説を立て、それを検証する作業)を行い、光の速度は観測者に対して一定という特殊相対性理論を作り上げた

特殊相対性理論はニュートン力学と矛盾していた。1919年、木星の軌道や太陽のまわりの光の間借り方などの検証によって、アインシュタインが正しいと証明された。

フリードマンとルメートルが、ビッグバンの概念を考え出した。


第3章

天文学者は大きな望遠鏡を作って宇宙を観測していた。

1700年代、ハーシェルが、太陽系は銀河系の一部ではないか? という考えを持ち出した

1784年までに、メシエは望遠鏡で観測できる星雲をカタログ化した。その際、星雲は「別の銀河なのか?」という大論争に発展した

1912年、ヘンリエッタ・リーヴィットはケフィウス型変光星を調べ、変更周期が明るさの指標となり、距離を見積もれることを示した。

1923年、ハッブルは星雲の中にケフィウス型変光星を見つけ、その星雲は銀河系より遥か遠くにあることを示した。そして星の光(色んな波長の光が混ざっている)を分析すれば、それがドップラー効果によって遠ざかっていることが分かった

全ての星が地球から遠ざかっていることが分かった。数十億年逆算すると、全ての星は、一点に集まっていることになる。つまりビッグバン仮説が正しい?!


下巻、第4章以降は、

宇宙の始まりはひとつの点だった=ビッグバン理論と、

VS

宇宙は今も昔(数百億年前)もその姿を変えることなく、ずっと同じ姿でいる=宇宙は永遠で静的論


の各論者がどのような論戦を行い、そしてどのような経緯でビッグバン理論が主流になったのか、が下巻では書かれている。


私が子供の頃(1970年代)に読んだSF小説は、エーテルが出てきたり(E.E.スミスのレンズマンシリーズ等)、ビッグバンの欠片も欠片も出てこなかったりしていたが、いつの間にか全世界の天文学者の主流がビッグバン理論になっていた。

ビッグバン理論がどのような経緯で主流になったのか、が本書に書かれているメインテーマなのだが、でもまあなんというか、隅々まで手を抜くことなく丁寧に書かれているので、読者としても気を抜くことなく隅々まで読み尽くしたいという気分にさせてくれる素晴らしい科学ノンフィクションである。


9点/10点満点

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2016/01/29

佐藤健太郞「炭素文明論」感想。
化学の本ではない。2015年12月21日読了。


炭素についての化学の本っぽかったので、興味が湧き買った。

違った。

炭素化合物が人類の歴史にどのように関わってきたのか、を化学を知らない人でも読めるように書いたサイエンスノンフィクション(かな?)だった。本書は新潮選書から出版されている。


◆余談◆
20年前まで、こういうジャンル(教養本)は新書と決まっていたのだが、三流出版社がどこも新書を出版するようになり、新書特有の堅さ、格調高さ、有り難みがなくなってしまった。

出版不況の中、まだこういう堅い本を出そうとする気概のある出版社は、選書を充実させるようになってきた。本書を出している新潮社(新潮選書)、岩波書店(岩波現代全書)、中央公論社(中公選書)、NHK出版(NHKブックス)などなど。
◆余談終わり◆

本書の著者は、東工大博士課程を出て、医薬品メーカー勤務、東大特任助教授を経てサイエンスライターを稼業としている方。

化学に疎い私にとって、なるほどそうだったのか! と思うようなことが幾つも書かれている。以下二つほど例。

(p19)
原子と原子のつながり方によって、分子の性質は多彩に変化する。天然ガスの主成分であるメタン、ガソリンの成分であるヘキサン、ニンジンの色素カロテン、プラスチックの一種ポリエチレンは、それぞれまったく異なる性質を持つが、いずれも炭素と水素から成っており、原子数とつながり方だけが異なっている。

(p98)
1960年代には、味の素社はグルタミン酸の一部を石油からの化学合成で供給したが、(中略)原料が昆布であろうが小麦粉であろうが石油であろうが、出来上がったものは同じグルタミン酸という分子であり、そこに差異は何もない。原料が何であろうが、原子に個性はない以上、つながり方さえ同じなら同じ分子であり、区別する理由は何もない。


炭素化合物を中心に、デンプン、砂糖、香辛料(芳香族化合物)、グルタミン酸、ニコチン、カフェイン、尿酸、エタノール、ニトロ(爆弾)、アンモニア、石油、未来(カーボンナノチューブなど)について、興味深い話が並んでいる。

難しい話はなるべくしないように、でもポイントはきっちり押さえます。的な流れで進んでいるので、サクサク読めるし化学への理解も深まる(深まったと錯覚させる)。なかなかの良書。

ページ数の関係と思われるが、個々のエピソードの掘り下げがやや浅く、上辺だけになっている感が個人的には少し残念。なのでちょっとだけ辛め採点。


7点/10点満点

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2016/01/28

デビッド・クアメン/山本光伸訳「エボラの正体」感想。
ウィルス学入門。2015年12月16日読了。

エボラ出血熱(現在では必ずしも出血を伴わないことからエボラウィルス病と呼ぶらしい)。

アフリカ諸国で数年に一度、爆発的な死者を出すパンデミック(感染症の流行)が発生し、2014年には西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネ、そして飛行機を通してナイジェリアまで拡散し、各地で猛威をふるった。

従来この病気は、アフリカの中でも田舎にあたる地域で発生していた。2014年のパンデミックは、西アフリカ諸国の都市部で発生したのが今までと大きく異なっている。

このエボラとはいったい何なのか。

本書は、1996年に中部アフリカのガボンで流行した事例から、野生で死んだチンパンジーから広まったのではないかという推測から始まる。

その後、野生で死んだゴリラを食べるために持ち帰ったら、集落が全滅した事例や、ゴリラの生息数が極端に減ってきている事実などを紹介し、

霊長類にエボラウィルスを運んでいるのはコウモリではないか? と研究を進めるチームが、赤道直下のアフリカのジャングルの中にあるコウモリが巣くう洞くつの中を粉塵一粒吸い込まないように完全防塵で汗まみれになりながらコウモリやネズミにトレーサーを取り付け、まったく別の地域でトレーサーを付けたコウモリが発見され、そこではゴリラが全部死んでいた。

などの話が紹介されている。


面白かった。


8点/10点満点

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2016/01/26

ミチオ・カク/斉藤隆央訳「サイエンス・インポッシブル」感想。
SFの物理学。2015年12月09日読了。

ミチオ・カクはアメリカ人で、戦後生まれの日系3世。英語ネイティブ。理論物理学者。ディスカバリーチャンネルなどの科学ノンフィクション番組に多数出演、著書、ベストセラーも多数あり。日本でも、NHK-BSでときどき顔を見かける。

本書は、SF小説やSF映画に出てくる技術が、物理学的に実現可能かどうか、を詳しく解説した本である。

★不可能レベル1(現時点では不可能だが物理法則には反していないテクノロジー)
・フォースフィールド(スタートレックの「シールド」)
・不可視化(レーダーでも肉眼でも見えなくなるステルス)
・レーザービーム
・テレポーテーション
・テレパシー
・念力
・人工知能を持ったロボット
・UFO
・恒星間を移動するスターシップ
・反物質と反宇宙

★不可能レベル2(現在の物理学で辛うじて説明できるが、実現には数百年から数千年かかると思われるテクノロジー)
・光速を越える
・タイムトラベル
・パラレルワールド

★不可能レベル3(現在の物理学に反するテクノロジー。実現されたら現在の物理学が根底からひっくり返る)
・永久機関
・予知能力

ということを、アメリカで最も知名度が高い物理学者のミチオ・カクがまじめに解説しているのである。SF好きにはたまらない。


8点/10点満点

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