カテゴリー「◆小説・冒険小説」の記事

船戸与一「夢は荒れ地を」一行感想。
冒険小説。2003年06月25日読了。

夢は荒れ地を

舟渡節満開でありながら考えさせられる内容である。どこまでが虚構で、どこからが取材の成果なのだろうか。

9点/10点満点

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新田次郎「アラスカ物語」感想。
冒険伝記小説。2009年11月30日読了。

アラスカ物語

ウプサラ氷河ツアーから戻り、生嶋さん山本さんと食事をする前にドミトリーで読み終えた。

宮城県石巻に生まれた安田恭輔。父親が死に、後ろ盾だった他祖父が死に、15歳にして工員として働き、そして船員になり、アメリカに渡り働き、アラスカに渡り、エスキモーと暮らし、エスキモーを妻にし、エスキモーの未来のために新たな土地を開拓し、そしてアラスカに骨を埋めたフランク安田の生涯を書いた傑作。

医者の一家に生まれ、希望に満ちた人生を送るはずだった安田少年。父親と祖父の死によって運命が変わり、アメリカに渡りフランク安田として行き、更にアラスカに渡り自らが望んだわけではないが波瀾万丈の人生を送ることになる。

旅行中でなければ、2~3日で読み終えただろう。素晴らしい作品だ。私は冒険小説が好きなのに、日本に冒険小説というジャンルを築いた新田次郎をほとんど読んだことがなかった。これからたくさん読もう。帰国してからの楽しみができた。


8点/10点満点


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岡崎大五「アジアン・ルーレット」感想。
サペスンス。2009年09月05日読了。

アジアン・ルーレット
岡崎大五 / 祥伝社 2008/07 ¥729 (税込)

「添乗員世界遺産旅がらす」などの添乗員顛末記を多数出している岡崎大五。添乗員として実体験した話を、多少の脚色を加えおもしろおかしく作られている岡崎大五の本は、2007年4~5月に集中的に何冊も読んだ。何冊も立て続けに読むと、最初はおもしろく読めたけど、だんだんと飽きてくる。しょうがないよね。シチュエーションやディテールが異なるとはいえ、ツアー旅行の馬鹿話だから。

最近岡崎大五の本が出ないなあと思いつつ、岡崎大五という作家がいたということすら忘れかけていた先日、amazonのリコメンドサービスで本書が出てきた。添乗員顛末記だけでは作家としての幅が広がらないと思ったのか、小説を書いたみたいだ。そうだったのか。それは知らなかった。早速読まねば。


……大藪春彦や船戸与一のような作風を目指したけど見事失敗。という印象を受ける作品だった。主人公が悪なのか良い奴なのか、すごく中途半端なんだよなあ。ラストもつまんないし。


3点/10点満点


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大沢在昌「罪深き海辺」感想。
ハードボイルド。2009年08月21日読了。

罪深き海辺
大沢在昌 / 毎日新聞社 2009/07 ¥1,785 (税込)

唐突な出だし。
薄っぺらい感じがする人物。
時折神様視点。
主人公が二人以上いる。
ラストつまんない。

大沢在昌ファンにわかる言い方をすると、「六本木聖者伝説」みたいな話。

普通の冒険小説ファンにわかる言い方をすると、新堂冬樹っぽい話を大沢在昌が書いたような感じ。


5点/10点満点


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船戸与一「夜来香(イエライシャン)海峡」感想。
冒険小説。2009年06月17日読了。

夜来香(イエライシャン)海峡<br />
船戸与一 / 講談社 2009/05 ¥1,890 (税込)

◆あらすじ(紀伊国屋BookWebより)
花嫁斡旋業・国際友好促進協会の蔵田雄介が中国旧満州の黒龍江省から仕入れ、山形の寒村に嫁がせた輸入花嫁・青鈴。
日本の暴力団から中国の黒社会への資金二億円を持って遁走した。
蔵田はやくざに脅され、花嫁を捜し北へ北へと向かう。
怪死事件が相次ぎロシア・マフィアも蠢く闇の世界に引きずり込まれる蔵田。
女は津軽海峡を渡り日本最北端の稚内へ逃げる―疲弊した地方に繰り広げられる、夢を追う花嫁と蒼然と死にゆく男たちの哀愁のバイオレンス。

◆バイオレンスに縁のない普通の男が、すさまじいまでのバイオレンス沙汰に巻き込まれてしまいました。後味の悪さも含めて、いつもの船戸節。

◆主人公は、中国の農村から日本の農家へ花嫁を斡旋するNPO法人の代表。NPO法人だから建前上は利益を求めない集団であり、日本の農家にヨメを斡旋するという事業は、公益的に思える部分もあるけれども、要するに人身売買なわけで、ブラック商売なのである。

◆主人公は、ヨメの斡旋が人身売買である実態に引け目を感じていることから、ヤクザに付け入れられバイオレンスに巻き込まれていくのだが、巻き込まれ方がいつもの船戸にしては甘いなあ、と感ずるのである。組の名前を出して脅しをかけるなんて、今時のヤクザはそういうことはやらなくなったと思うのだが。

◆二日で読み終えたので、面白いっちゃ面白い。船戸与一は大好きな作家だから読み続けているけど、いつも似たような展開だし、救いのない終わり方だし、さすがに飽きてきた。


6点/10点満点


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熊谷達也「漂泊の牙」感想。
冒険小説。2008年12月17日読了。

漂泊の牙
熊谷達也 / 集英社 2002/11 ¥760 (税込)

◆「相剋の森」と「ウェンカムイの爪」は熊が出てくる話だったが、本作はニホンオオカミが話の主軸で、かつ冒険小説っぽいつくり。

◆目に浮かぶような情景、真に迫るオオカミの行動、東北の民俗学に関する深い知識、上手いとしか言いようのない描写と、ぐいぐいと引き込まれるストーリー。テレビ局のディレクター恭子が魅力のない、つまらない人物であることを除けば、文句なしの展開である。途中までは。だが、結局テレビの取材は何だったの? ラストのあっさりとした展開は何なの? など不満も残る。

◆まあ多少の不満はあるけど、全体的には面白く読めた。熊谷達也はまだ3冊目で、もっと面白いと思われる小説が多数残っている。楽しみだ。


7点/10点満点

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大沢在昌「黒の狩人(下)」感想。
冒険小説。2008年10月11日読了。

黒の狩人〈下〉

◆上巻で不満を持った女キャラ由紀の出番が少なく、新宿署マル暴の佐江が大活躍。

◆なので、上巻で由紀に不満を持った私としては、下巻の方が面白く感じられるのであるが、そうは言っても佐江が異常に運が良いとか、佐江が異常に勘が良いとか、佐江が公安のキャリア・一条より頭の回転が速いとか、佐江と組む中国人毛が超人並みに強かったなど、主役クラスが単なる登場人物ではなく、皆スーパーマンなのだ。身も蓋もない言い方をしてしまえば、「何じゃこの御都合主義的展開は」って感じ。

◆大沢在昌は「新宿鮫」シリーズで既に完成されてしまった作家だから、似たような設定の異なる作品を書いてもしょうがないと思うのだ。本作だって、新宿署のマル暴刑事という設定の時点で、新宿鮫を越えられない宿命にある。

◆似たような主人公の小説(刑事であることが多い)を多数書いてしまう大沢在昌は、今後新たな読者を獲得していくためには、真保裕一がチャレンジして(惨敗して)いるように、純文学などの違うジャンルに行くしかないんじゃないのかね。まあ私は大沢ファンだから、まだ、どんな本でも単行本で買い続けますけど。


6点/10点満点

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大沢在昌「黒の狩人(上)」感想。
冒険小説。2008年10月09日読了。

黒の狩人 〈上〉

◆公安のキャリア刑事・一条の指令で、スパイかも知れない中国人と組んで捜査をする羽目になった、新宿署マル暴刑事佐江。公安のノンキャリア刑事水森と情事を重ねる、外務省のノンキャリア由紀。

◆日中スパイ合戦に巻き込まれる、新宿署のマル暴佐江、という展開を期待していたけど。

◆由紀という女が、すごくつまらない。


5点/10点満点

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垣根涼介「ヒートアイランド」感想。
冒険小説。2008年06月19日読了。

ヒートアイランド
垣根涼介 /文藝春秋 2004/06出版 466p 16cm ISBN:9784167686017 \709(税込)

◆あらすじ、のようなもの
・暴力団が経営するカジノバーから現金強奪するグループ。
・渋谷でストリートファイトショーを開催して金を稼いでいるストリートギャング。
・ストリートギャングに無視され腹を立てている地回りのちんぴら。
・強奪された現金を取り戻すべく怒りに我を忘れる暴力団。

ストリートギャングの構成員が、現金強奪グループの一人と(そういう輩とは知らずに)ケンカになり、叩きのめして鞄をぶんどって開けてみたら大金が。あまりの大金に困ったギャング構成員はギャングのボスに相談。金を返そうという結論になるが、誰に返したらいいのかわからないので叩きのめした相手を捜すことに。

綿密な計画の元に暴力団から現金強奪した金を奪われてしまったグループは、奪ったストリートギャングを捜し金を取り戻すことに。

ストリートギャングに無視されたちんぴらは、ストリートギャングの収入源であるストリートファイトショーのあがりを掠め取ったら楽に儲けられると親分に提案。

各者各様にお互いを捜しているうちに、お互いのことがうっすらとわかってきて……


◆利害関係が絡み合う4つのグループによる、息つく暇のない現金争奪戦。収拾がつかなくなりそうな危うさがありながらも、最終的には読者の期待を裏切らないラストを迎える。人が死にすぎる。が、死んだ奴は皆悪党なので、やたらめったら死んでいるわりには不快感は少ない。登場人物が多すぎるけど、主人公の人格はきちんと書かれており、良くできているなあ、との印象が強い。

◆私が読んだのは文庫版で、大沢在昌が解説を書いていた。大沢は、エピローグは不要だったのでは?との意見を述べているのだが、私もそう思う。


8点/10点満点

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垣根涼介「午前三時のルースター」感想。
冒険小説。2008年06月14日読了。

午前三時のルースター
垣根涼介 /文藝春秋 2003/06出版 360p 16cm ISBN:9784167656683 \619(税込)

◆垣根涼介のデビュー作となる本書。第17回サントリーミステリー大賞・読者賞をダブル受賞とのこと。サントリーミステリー大賞受賞作は、当たり前と言ったら当たり前なのだがミステリ寄りの作品が受賞すること多く、個人的にミステリが好きではない私には、興味がない賞であった。賞金が高額とかテレビ化されるなど派手な賞のわりに、受賞者は一発屋である傾向も高く、賞としての価値がそれほど高くなかったように思う。それが故、2時間ミステリドラマの衰退(火曜サスペンス劇場の打ち切りとか)とともに、賞自体がなくなってしまったのは時代の流れなのかも。

◆垣根涼介をネットで調べると、初期の三作品はかなり評価が高い。デビュー作の「午前三時のルースター」、受賞後第一作の「ヒート・アイランド」、そして「ワイルド・ソウル」の三作品。これ以降の作品は、性描写が過剰になり、イマイチの評価が続いている。何となく買ってしまった「ワイルド・ソウル」が予想以上に面白かったので、世間の評判が高い初期作品も読んでみよう、と思うに至ったのである。

◆あらすじ(紀伊国屋BookWebより)
旅行代理店に勤務する長瀬は、得意先の中西社長に孫の慎一郎のベトナム行きに付き添ってほしいという依頼を受ける。
慎一郎の本当の目的は、家族に内緒で、失踪した父親の消息を尋ねることだった。
現地の娼婦・メイや運転手・ビエンと共に父親を探す一行を何者かが妨害する…最後に辿りついた切ない真実とは。サントリーミステリー大賞受賞作。


◆本作、主人公は旅行会社勤務の長瀬で間違いないのだろうけど、主人公に匹敵すべき登場人物である慎一郎の扱いがちょっと変。作中、慎一郎のことを何度も「少年」と書いているのである。重要な登場人物なのだから、慎一郎という呼び方で統一すればいいのに、なんかばらばら。ワープロで原稿を作成し、書き始めの頃は慎一郎という名前を決めていなかったから「少年」で書き進め、あとから置換したところ、全部置換して誤記チェック&推敲している最中に賞の締め切りが来たから送っちゃった、というような印象。

◆大まかなストーリーは娯楽小説として楽しく面白く読めるのですが、ベトナム人のタクシー運転手がすさまじい改造車を持っていて運転テクニックも抜群とか、現地案内役の女性が簡単に見つかったりとか、都合のよろしい展開にはやや興ざめ。とはいえデビュー作でこれだけの作品を書き上げるというのは並大抵の力量じゃないのでしょう。実際本作のあとに出た作品は期待を裏切らなかったわけだし。

◆最近の(垣根涼介の)作品は中だるみが続いており、作家としての真価が問われている、というようなネット書評がいくつか見受けられたが、実際のところどうなるんでしょうかね。エロとバイオレンスと歪んだ勧善懲悪が突き進むと、黒豹の門田泰明のようになってしまう気が。そっちの方が売れるっちゃ売れるんだけど。


7点/10点満点

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