カテゴリー「●海外作品(原著英語)」の記事

2011/12/30

ケン・オーレッタ「グーグル秘録 完全なる破壊」感想。
ルポ。2011年12月28日読了。

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グーグル秘録


昨年買って、頭の50ページ読んで「面白っ」と思ったんだけど、そのまま積ん読棚に埋もれてしまった本。さあ、賞味期限が切れないうちに読まねば。


老舗雑誌「ニューヨーカー」の記者ケン・オーレッタが2006年から取材を開始し、グーグルCEOエリック・シュミット、創業者ラリー・ペイジ、サーゲイ・ブリンを筆頭に、150回におよぶグーグル社員へのインタビュー、グーグルのライバル会社を含むその他関係者150人へのインタビューを元に、グーグルという会社が
どのようにして誕生し、
どのようにして収益を出し、
どのようにして発展し、
どのようにして反感を買い、
今後はどのように進んでいくのか、

を著した本。


グーグルは白い企業なのか、黒い企業なのか。創業者2人は社是として「邪悪になるな(Don’t be evil)」を掲げているらしいが、著作者の意向を無視したグーグル・ブックスのやり方に、私は邪悪さを感じた(グーグル・ブックスの理念は理解できるが)。

グーグルの正体は邪悪なのではないだろうか?

それとも挫折を経験していない無邪気な少年のような企業なのだろうか? (アップルのスティーブ・ジョブズは、アップルを追い出され、NEXTで大失敗したあとアップルに戻って来た。ジョブズは挫折を経験している)

グーグル自体は、検索と検索に連動する広告以外は失敗ばかりしているという見解もある。グーグル・マップもグーグル・アースもYoutubeも、全部他社を買収しただけじゃないか、と。

SNS(オーカット→私はこんなサービス知らなかった)は大失敗して、マイスペースやFacebookの後塵を拝し、結局サービスをやめちゃっているし。(本書出版後に、Google+で巻き返しを図っているが)

グーグル側の意見、
グーグルと敵対する側の意見、
グーグルから出て行った古参社員の意見、
中立的な立場で見られる人々の意見、

実に丁寧な取材(インタビュー)によって本書は構成されており、読み応えたっぷり、かつ現在のネット業界に動向にも詳しくなれる(原著が出たのは2009年なので、早くも少し古くさい部分が出てきているが)。


惜しむらくは。

登場人物のインデックスが欲しいところだ。とにかく登場人物が多すぎる。それだけ丁寧な取材を行った証でもあるのだが。

8点/10点満点


例)41ページまでざっくりと拾ってみた。

メル・カーマジン 2003年当時バイアコム(CBS、パラマウント映画、MTVなどのメディアコングロマリット)社長
リチャード・J・ブレスラー 2003年当時バイアコムCFO
ナンシー・B・ペレッツマン 投資銀行アレン&カンパニー
ラリー・ペイジ Google創業者
エリック・シュミット Google CEO
サーゲイ・ブリン Google創業者
チャーリー・アイヤーズ Google社員食堂のシェフ
マリッサ・メイヤー Google副社長(検索プロダクトとユーザーエクスペリエンス担当)
ヴィノド・コースラ サンマイクロシステムズ創業者で後にベンチャーキャピタリスト
クレイグ・ニューマーク クレイグス・リストの創設者
マーク・アンドリーセン ネットスケープ創業者で後にベンチャーキャピタリスト
クリシュナ・バラット GoogleNewsを作ったGoogle社員
ピーター・ノルウィグ Googleリサーチ担当ディレクター
ステイシー・サビデス・サリバン Google50番目の社員で、Google最高企業文化責任者
匿名でGoogleを批判する人物 元Googleマーケティング担当幹部
ダグラス・バウマン Google初のヴィジュアルデザイナー。既に退社
ハル・R・ヴァリアン Googleチーフエコノミスト
ポール・ブックハイト Google23番目の社員で「Don’t be evil」を発案した人。既に退社しフレンドフィード創業。

インタビューを元に構成した本だから登場人物が多いのはしょうがないことだけど、何回も登場する人物、いわゆるキーパーソンが何人かいるわけで、ところが本書の後半になると「これ誰だっけ?」と悩むこともあり、主要登場人物インデックスが欲しかったなあ、と思った次第。

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2011/12/05

マイク・デイヴィス「スラムの惑星」感想。
社会学の本。2011年11月29日読了。

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スラムの惑星―都市貧困のグローバル化


世界各国の都市にスラムがある。その人数は世界で10億人になるらしい。

著者は本書で、現代は新石器革命や産業革命に匹敵する人類史上の分水嶺であると指摘している。

「地球上の都市人口が農村人口を初めて凌駕する」と。


本書の原著は2006年に出版された。邦訳が出版されたのは2010年5月。著者の言う分水嶺はもう過ぎたことなのかもしれない。


◆著者紹介
1946年生まれの著者マイク・デイヴィスは、16才で父親が病に倒れ高校を退学、精肉工場の工員として働き、その間に従姉妹の夫である公民権運動活動家と知り合い工場を辞め、人種平等会議サンディエゴ支部で活動しながら高校を卒業。カレッジに入るものの寮に女を連れ込み退学。フルタイムの活動家になり、共産党に入党し、党の本屋で2年間過ごしたが、監視に来たソ連の役人を追っ払って解雇され、4年間トラックドライバーをしながらマルクスの「資本論」などを読み、自分の学んできたことを総括するためUCLAに通い、アイルランド史研究のためスコットランドに留学。留学中にロンドンの「ニューレフト・レビュー誌(NLR)」関係者と知り合い、1980-1986年までNLR誌のオフィスにフルタイムで働く。1986年に最初の著作「アメリカンドリームの囚人」を発表。1987年ロスに戻り、再びトラックを運転手となるも、低賃金を補うためにカレッジで教鞭をとりはじめる。で、現在はカリフォルニア大学バークレー校の教授である(いつ教授になったのかはよくわからん)。なかなかすごい人生だ。


◆感想

本書は、世界各国の都市にスラムができ、そのスラム人口が爆発的に増えていることを、膨大な数の論文を参照し(各章ごとに80以上の参照論文が掲載されている)、具体的なデータを元に検証している。

少しでも本書の内容を伝えるため、何とか要約しようと思ったのだが、本書は大学3年以上(もしくは大学院)の講義で取り上げるような内容であり、内容も濃く、要約なんて無理。

すみません。


私は自分の知的好奇心を満たしたいだけで、この手の本をいろいろと読んでいるのだが、やや敷居の高い本だったのかもしれない。


ただまあなんだ、本として考えたら完成度は低い(教科書として考えるのならどうでもいいことだが)。

理由1:句点が出てくるまでを一つの文章とすると、その中に多数の地名が出てきて、ややこしい。というかわかりにくい。

(P10)
ラゴスのアジェグンルというスラムである女が子供を出産し、ジャワ島西部の村から逃げた若い男がジャカルタのまばゆい光を求め、貧窮化した家族を持つ農民がリマにある無数のプエブロス・ホーベネス(pueblos jovenes)の一つに家族を移動させるだろう。


理由2:著者が括弧書きを多用し、それも傍点ありのハイフンの上に二重括弧とか平気で使っているなど、ただでさえ読みづらさ満点なのに、翻訳者が二重括弧の上に訳註を入れたりして、うひゃぁ。

(P139)
ナイル川東方のムカッタエ丘の麓にあるマンシエット・ナスルでは人口密度は少しだけましだが、150万人以上がわずか350ヘクタールにいる(『フィナンシャル・タイムズ』紙によれば、「ダンテのごとき困窮状態」にあるその南端で、かのザリバーン〔コプト派キリスト教徒の貧しい共同体〕がゴミから食料を拾い集めている)。

※原著のイタリックは傍点表記、「」は原著の""、『』は紙誌名、()と[]は原著に記載されている補足、〔〕は訳註。上記例に[]はありませんが本書には出てきます。

ややこしすぎるわ!


理由3:これは翻訳の問題だが、スクワッターというような言葉が頻出させているのに、そういう言葉に全く日本語で説明が無く、知らない言葉が出てくるとネットで調べなきゃならなかった。これは面倒。学問的には日本語(外来語)として通用しているのかもしれないけど、私は知らんがな。

※スクワッターとは無断居住者のこと


理由4:本書は全8章+エピローグで構成されているが、章分けするほど章と章の内容に違いを感じられなかった。学問的には意味があるのかもしれないが。もしくは私に読解力や基本的学力がないだけなのかもしれないが。


◆というわけで

社会学の読み応えたっぷりな翻訳本を3冊立て続けに読んだのだが(「援助じゃアフリカは発展しない」「ネクスト・ルネサンス」、そして本書)、それは各著者の意見の違いを意識しながら読めるわけでとても有意義なんだけど、誰がどういう意見を主張していたんだっけか?とちょっと混乱する部分もあり、社会学の本を1冊読んだら、連続して同じような本を読むのではなく、全く傾向の違う本を間に挟んだ方が良いのかもしれないと実感したのであった。


(読み物としては)6点/10点満点


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2011/12/03

パラグ・カンナ「ネクスト・ルネサンス―21世紀世界の動かし方」感想。
提言書。2011年11月23日読了。

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ネクスト・ルネサンス―21世紀世界の動かし方


しばらくは積ん読本(400冊以上ある)を粛々と消化するのに留め、新しい本はなるべく買わないようにしていたのだけれども、本屋で立ち読みしたらどうしても欲しくなってしまったので買ってしまった一冊。買ってしまったからには、積ん読本の仲間入りにならないよう、とっとと読み終えることにした。


◆著者 パラグ・カンナ
1977年インド生まれ。ジョージタウン大学外交学部で学士号、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで博士号。ニューアメリカ財団上級研究員、兼ブルッキングス研究所研究員。米国特殊作戦部隊アドバイザー。外交問題評議会(CRF)会員。


◆本書の内容(本書帯の文句改)
国家の時代は終わった!

新しい(ネクスト)ルネサンス=21世紀を動かすのは、ビジネス界のリーダーらメガ・ディプロマシー(巨大化する外交)の担い手たちだ!

世界規模での大変動が起きている現在、私は、本書で、新しい中世の時代から新しいルネサンスへと進む道筋を示そうと試みている。私は、2種類のアクターたちが世界の外交を発展させるために大きな役割を果たすに違いないと確信している。その2種類のアクターたちとは「企業のCEOたち」と「各都市の市長」たちである。


◆本書の内容(一部引用)
本書をざっくりと言うと、これからの世界は、旧態依然とした政治家や外交官や国際機関に勤める官僚による外交が主ではなくなり、企業のCEOやNGOや各国大都市(の市長)が勝手に連携して勝手に動かしていくのが主となるだろう、というような主張が書かれた本。


(P39-40)
「世界は国民国家の総体であり、まとまりを持つ国民国家が主役となって世界を動かしている」と考えるのは時代遅れだ。現在世界を動かしているのは、国民国家の中央政府ではなく、中世のように、より小さな統治形態であり、世界は、地方政府や州政府などの「小さな統治形態が島のように散らばってそれらがつながっている」状態であると認識すべきだ。簡単に言うと、こうした小さな島々は国家ではなく、都市のことを指している。現在、四〇の都市部と呼ばれる地域が世界経済の三分の二(私の注:P14では三分の一となっていた)を占めている。そこには資金、知識が集まり、安定している。ニューヨーク市の経済規模は、アフリカのサハラ砂漠以南の国のほとんどよりも大きい。ドバイのような港湾都市や自由貿易都市は、ヴェネチアの二一世紀版といったところだ。港湾都市や自由貿易都市は「自由ゾーン」である。

(中略)

下層民たちは、混沌の中におり、「地下経済」に依存して生活している。そして、彼らは階層化された「生態系」の中で生活している。階層化された社会というのはまさに中世時代の都市の特徴である。金持ちや貧乏人であることは関係なく、個人、そして都市が、現在の世界で起きていることの主役となっている。国家が世界の主役であった時代は終わりつつある。昔、世界は一つの村であるという主張がなされたが、現在の世界は村のネットワークであると言えるだろう。


という著者の主張を裏付けるため、根拠となるような話を幾つも展開する。


(P125)
スーダンのダルフールの大虐殺に関し、アメリカとヨーロッパは指導力を発揮して介入しようとはしなかった。そうした失敗を隠すために国連安保理は利用されている。国連安保理は国際法の実施に責任を持つ機構であるが、世界各国に対する道徳的な指針を示すことはほとんどない。


(P171-172)
2004年に大規模な津波がインドネシアを襲った。インドネシアの中心部から遠く離れたバンダアチェに救援物資を届けたのはオランダの多国籍企業TNTだった。(中略)ユニリーバは、食品会社ダノンが製造し、寄付した栄養価の高いビスケットを被災者たちに配布した。国連世界食糧計画(WFP)はシティグループから提供を受けたオフィスを本部として使用した。(中略)40億ドル以上集まった国際社会の寄付のほとんどは何に使われたか、その使途をインドネシア政府は未だに発表していない。

(中略)

チャド国内で最も衛生状態がよいのは、国連が運営している難民キャンプの中である。このキャンプには五〇万人ほどの難民が生活している。彼らは、スーダンと中央アフリカ共和国から避難してきた人々だ。国際救援委員会(IRC)は世界中に飲料水の供給と衛生教育を行っている。IRCの予算の九〇パーセントは、直接現地の活動に使われている。世界で最も効率のよい人道支援団体だ。


付箋を貼ったところが30ヶ所以上あり、全部引用していたらきりがないのでこの程度に留めておきますが、著者の主張を極限まで要約すると、常任理事国の我が儘がまかり通る国連は、もはやその存在に意味がなく、それに気づいている人たち(大企業のCEOや各国のNGOや各都市の有識者など)が勝手に事実上の外交を始めている、ということです。要約しすぎですけど。


◆感想

最初の数ページを立ち読みして衝動的に買ってしまったけど、読めば読むほどかなり難しい社会政治学の本であることがわかり、1日50ページずつ、じっくりと内容を理解しながら読んで、へとへとになってしまった。

著者の主張には共感する部分もあるけど、国際NGOの活動を褒めちぎったりしている部分には共感できなかったり。

とりあえず言えることは、この本には私がいままで全く知らなかった国際機関(NGOだけじゃなく)に関する情報が多数載っており、これから国際機関で働きたいと思っている若い方は、無理してでも本書を読むべきだと思う。


8点/10点満点


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2011/11/29

ダンビサ・モヨ「援助じゃアフリカは発展しない」感想。
提言書。2011年11月16日読了。

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援助じゃアフリカは発展しない


本書の著者ダンビサ・モヨは、ザンビアの首都ルサカで生まれ(両親ともザンビア大学を卒業しているエリート)、ザンビアで小学、中学、高校、大学へと進学したが、著者の大学在学中にザンビアでクーデターが起きて国内が混乱し大学が閉鎖されたため、著者はアメリカに渡り、アメリカで奨学金を貰いながら高等教育を終了し(カレッジだと思う)、世界銀行で2年間働いた後、ハーバードの修士課程で2年間、オックスフォードの経済学博士課程で4年間勉強し、ゴールドマンサックスで8年働いて、本書を執筆。(現在は執筆活動を中心にしているのかな?よくわからん)

本書の原著「Dead Aid」は2009年に出版され、「フィナンシャル・タイムズ」などで取り上げられ評判となり、日本語版は昨年(2010年)8月に出版された。

というわけで、昨年買った積ん読本をようやく読み終えました。


本書が発するメッセージはタイトルの通りで、際限のない援助がアフリカ諸国の発展を阻害している、という内容である。

それなりの量のアフリカ関連本を読んでいるせいか、この手の話はたびたび出てくる。最近読んだ本だと、石弘之「キリマンジャロの雪が消えていく」には、善意で「アフリカで井戸を掘る」行為は、砂漠に近い場所でこういう善行をしても、井戸ができることによって遊牧民が井戸の周りに住み着き、遊牧民が飼っている家畜が井戸の周りの草を根こそぎ食い荒らし、砂漠化が加速するケースもある、と出ている(もちろん全ての井戸掘りが駄目とは言ってないが)


本書はそれよりももっと過激に、

国連が援助する資金によって肥え太るのは独裁政権だけであり、それがわかっていながら国連の官僚システムは国際援助そのものが目的と化しているのでなかなかやめられない、とか、

U2のボノが困窮極まる最底辺の人たちを助けるためにチャリティーを行うが、その金で寄付された物資(もちろん無料で配られる)のせいで、地場産業が壊滅的な打撃を受ける、とか、

まあ、そういうことが書かれている。


データの信憑性に?がつく部分があったり、計算根拠の異なるデータを並べて比較したり、極論が多すぎたりと乱暴な部分も目立つが、とはいえ「援助は役に立っていない、むしろアフリカ諸国の発展を阻害している」ことを経済学者らしくデータで説明している点や、ザンビア出身でザンビア大学に通っていた著者だからこそわかるザンビアの(ひいてはアフリカ諸国の)問題点を指摘しているなど、説得力も高い。


著者のメッセージのなかで、「アフリカにおける開発の難しさは二つの道筋の板ばさみとなっていることである。一つはアフリカの人々を、開発に自力で取り組めず成長を自ら達成できない子供のような存在であると見なすアプローチである。もう一つは、持続可能な経済成長に目標を定めようとするならば、アフリカの人々が大人として扱われる必要があると考えるアプローチである。もちろんのこと、援助依存モデルの問題点は、アフリカ諸国が永遠に無邪気な子供のような国家として扱われていることである」(P43)

という部分は印象的であった。


また著者は、援助ビジネスに関わる人の多さにも言及している。要約すると、
世界銀行に1万人、
IMF(国際通貨基金)に2500人、
他の国連機関に5000人、
公認のNGO、民間慈善団体、政府の援助機関団体の従業員が少なくとも2万5000人、
そのほか全てを合わせると、およそ50万人が援助に関係している。(P77)

逆説的に言うと、国際援助というシステムが無くなると、一番困るのは援助でメシを食っている上記50万人だ。(私の注:この50万人には、無償ボランティアは含まれていないと思います)

だから、国際援助は無くならない。

そしてアフリカ諸国の、特に独裁国家の独裁者達は、国際援助が無くならないことを知っている。
(本書のP7に、ポリティIVのデータベースによると、アフリカには完全な独裁国家が11ある。ブラザヴィルコンゴ、赤道ギニア、エリトリア、ガボン、ガンビア、モーリタニア、ルワンダ、スーダン、スワジランド、ウガンダ、ジンバブエ、と書かれている。他にもアンゴラ、ブルキナファソ、カメルーン、ギニアも可能性大)


事実として出ているデータで興味深かったのは、ガンビアとエチオピアの財政収入の97%が援助らしい(P102)。
財政収入の97%が援助って、世界が見捨てたらこの2つの国民は数ヶ月後には大量死ってことだ。


また、アフリカでビジネスを行う際に発生する手続きの面倒くささの例として、
カメルーンではビジネスの免許を取得するのに15の手続きに426日、
中国では37の手続きに336日、
アメリカでは19の手続きに40日、
比較的マシなアンゴラは12の手続きに119日、
でも韓国なら10の手続きに17日、
でビジネス免許が取得できる。(P140)

これじゃあ外資は呼び込めないよなあ。


とはいえ、一般市民の大半が銀行口座を持っていないケニアでは、SMS=ショートメッセージしか使えない携帯電話を使った国内送金サービス「エムペサ(M-Pesa)」が急速に普及している例も紹介している(P195)。2007年に誕生したこのシステムは、近々国際送金にチャレンジするらしい。そうなったらアジアを含めて急速に世界のマネー流通の勢力図が塗り変わるかもしれないな。


雑多な感想になってしまったが、荒っぽい内容の本だが、アフリカに詳しくなくても、援助ビジネスに詳しくなくても、社会学に興味が無くても、アフリカが抱える援助の問題点は理解できると思うし、わかりやすく書かれていると思う。


良書である。


※追記:本書ではボツワナが援助に頼ることをやめ、結果的に国債格付けなど経済的に良好な状態を保つことができていることにも言及している。アフリカ投資の入門書としても本書を読む価値があると思う。


7点(とはいえやっぱり内容は粗いので)/10点満点


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2011/07/25

デイビッド・バットストーン「告発・現代の人身売買」感想。
ルポ。2011年07月15日読了。

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告発・現代の人身売買―奴隷にされる女性と子ども

今年初めての10点満点本。

本書を読むつもりのある方に言っておきます。本書を読み切るには、かなりの覚悟が必要です。不用意に読み始めてしまうと、信じがたい現実に打ちのめされるかも知れません。

◆本書で紹介されている人身売買の例

現代でも世界中の至るところで奴隷売買がされている。

アフリカの話である。
東南アジアの話である。
南米の話である。

ヨーロッパの話でもある。
アメリカの話でもある。

人身売買という言葉に多少なりとも関心のある方は、東南アジアや中南米に住む若い女性を、先進諸国や金持ち国の連中が騙して連れてくる話、と思うかも知れないが、本書には、

アメリカに住む白人が、アメリカ国内で奴隷として売買されている例

も載っている。

序章。サンフランシスコ大学教授の著者が、たびたび行くインドレストランの従業員が実は奴隷であった。レストラン店主の一族が、偽のビザと身分証明書を使い、何百人という子供をインドから密輸し、店主の所有する幾つもの店で働かせていた。

第1章。タイやカンボジアの貧しい農村から、口減らしのために親に売られて、家政婦として重労働を課され、体が成熟すると売春婦として監禁状態で働かされる少女の話と、そこから導き出される東南アジアの人身売買構造。

第2章。インドの貧しい農民を騙し、当座の生活費として金を貸す代し、その農民の家族親族を何人にも働き口を斡旋する工場主。しかし工場主は借金を盾に取り、農民一族を奴隷状態にする。一族の女はもちろん犯す。逃げたら、逃げなかった一族がどうなるかわからないぞ、と脅す。

第3章。ウガンダの農村部に「神の抵抗軍(LRA)」というのがいる。反政府ゲリラだったが政権奪取に失敗し、現在では気の狂った宗教団体なのか反政府ゲリラなのかよくわからない集団に成り果てている。LRAは無差別に農村を襲う。子供は捕らえる。大人は全員村の中央に集める。そして、捕らえたばかりの村の子供に「大人を殺せ」と命令する。やむにやまれず子供は大人を殴る。殺せない。しかし別の村で捕らえてきた子供が大人を殺す。こういうことを繰り返すことで、子供は帰る場所がなくなり、LRAに洗脳される。女の子はもちろん性奴隷になる。

第4章。モルドバ。旧ソ連のヨーロッパ最貧国。この国には「イタリアで働き口があるよ、ビザも用意してあげる」と仕事を斡旋する奴等がいる。良い噂は聞かないが、働き口が全くないモルドバの若者はこの仕事に応募する。若い女は、集団でイタリアに向かう。ルーマニアを経由しセルビアに着く。売春を強要させられる。断ることなど出来ない。セルビアで1ヶ月くらい売春すると、その後アルバニアへ向かう。アルバニアでは単に強姦される。アルバニアからイタリアへ密入国する。そしてヨーロッパ各地へ売られる。(この章の話は海外テレビドラマ「セックス・トラフィック」の下敷きになったのだろうか?と思えるくらいドラマと同じ話)

第5章。ペルーのストリートチルドレンが売春その他奴隷になっている話。

第6章。アメリカ人の白人女が洗脳のような感じで騙され売春させられている話や、教会の牧師がザンビアの農村から聖歌隊を呼び寄せチャリティーコンサートを開いていたが、ザンビアの聖歌隊には約束の金をほとんど払ってなく、事実上の奴隷だった話。


◆本書の内容

先に挙げた例は、実に細かなところまで取材されていて、圧倒的な現実感を感じる。

しかし本書は、ただ単に人身売買の事例を挙げているだけではなく、人身売買組織と闘う人たちがどうやって奴隷を救っているのか、を同時に書いている。(人身売買組織と闘っている人たちがいるから、詳細な手口がわかり、本書のようにまとめることが出来る)

強制的の売春婦にされた少女達に働く場を与えている人。
強制労働を見つけては起訴に持ち込む弁護士。
人身売買された女性を見つける度に救い出す神父。
子供兵の話を聞き心の平安を取り戻す手助けをしている女性。

そういう意味では、本書は救いのある本であるし、けれども救っても救ってもなくならない人身売買の多さに絶望する本でもある。

◆余談

本書では日本の事例は出ていないが、日本の人身売買も相当ひどいだろう。

日本で働いている東南アジアや南米出身の売春婦なんて、かなりの数が人身売買だろう。(自主的に違法滞在して売春やっている人たちも多いだろうが)

また、日本の農業研修制度で中国(などいろんな国)から農民を連れて来る制度がある。農水省が率先して斡旋している制度で、この研修農民に払う給料というのがけっこう安くて、国際的には政府が先導している人身売買といわれている。(いまのところ日本人も中国人もハッピーな場合が多いみたいだから問題になってないけど)

同様に造船業にはベトナムから研修生が来ているし(国交省が先導切っているんだったかな?)、厚労省はインドネシアから看護師を受け入れているし。


日本人が書いた同様の本では、以前、長谷川まり子「少女売買-インドに売られたネパールの少女たち」という本に10点満点を付けた。(この本は賛否両論が激しい)


まとまりのない感想になりましたが、この手の話に興味を持っている人は、本書「告発・現代の人身売買」は読むべき一冊です。


10点/10点満点


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2010/07/30

クリス・アンダーソン「フリー」感想。
無料商売解説書。2010年07月21日読了。

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フリー―“無料”からお金を生みだす新戦略


いいかげん仕事を見つけなきゃなあ、と思って就職活動をしているけど、44歳にもなると面接すらしてもらえない。大卒の若い使い捨て労働力がいっぱい余っているから、大学に行っていない私なんざ見向きもされない。まあ今のところブラックっぽい会社を避け、給料の高い会社ばかり応募しているからなんだけどさ。

段々と就職活動がめんどくさくなってきちゃった。失業保険が出ているうちに、会社作っちゃおうかな。やるなら設備投資に金のかからないネットビジネスでしょ。一応アイデアはあるし。


と思って本書「フリー」を読んだ。


ああ、そうだったんですね、私の考えは超大甘だったんですね。今じゃもう通用しないんですね。


マジメに就職活動しよう。


9点/10点満点


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2010/07/28

ポール・コリアー「民主主義がアフリカ経済を殺す」感想。
アフリカ分析。2010年07月05日読了。

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民主主義がアフリカ経済を殺す―最底辺の一〇億人の国で起きている真実

オックスフォード大学教授の著者ポール・コリアーは、(日本で)2年前に「最底辺の10億人」という本を出版している。最貧国に住む人たちへ単なる援助をしても意味がない、というようなことが書かれていて、かなり興味をそそられたが、積ん読本が大量にあったので、買うことなく立ち読みで済ませてしまった、

その著者の最新作が本書。

政治経済学者である著者が書いた論文を、一般読者にもわかるように書き直したもの。とはいえ、読むにはかなりの知識が求められ、苦労しながら読み終えた。

最底辺の国を立て直すために、先進諸国は民主主義の象徴として「選挙」の実施を迫る。民主主義(の象徴である選挙)が導入されれば、政治的暴力は減少する。少なくとも民主主義の導入を推進している先進諸国(や国連)は、そう考えている。

しかし民主化の道のりはなかなか厳しい。

そこで著者は、「民主主義が導入されれば政治的暴力は減少する」が正しいのか検証してみる。

著者は共同研究者とともに、1960年以降のほぼすべての国のデータを入手した(何のデータかはわからない)。

ほぼすべての国を比較した結果、「貧しくない社会では、既に比較的安全な状況を民主主義がいっそう強化するのに対し、貧しい社会では元から深刻だった危険が、民主主義によってさらに増幅される」という結論になり、その貧しさの境目(閾値)は、「所得水準が一人あたり年間2700ドル、一日7ドル」と導き出され、最底辺の10億人が住む国家は、すべてこの閾値以下の所得水準しかなかった。


というような感じで、政治経済学の論文をかみ砕いた難しい話が延々と続くのであります。


もうちょっと軽い「読み物」的な内容を想像していた私は、ああこりゃマジメに読まないと内容が理解できんなあ、と頭を抱えつつ、毎日ちょっとずつ読み進めていったのでした。


アフリカに興味があるのなら、読んで損はない一冊です。興味がなければ読まない方がいいでしょう。


8点/10点満点


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2009/10/22

ビル・エモット「世界潮流の読み方」感想。
ビジネス書。2009年09月30日読了。

世界潮流の読み方<br />
ビル・エモット/烏賀陽正弘 / PHP研究所 2008/12 ¥819 (税込)

◆本書帯に、「世界同時不況で、欧米、日本、アジアはどうなるのか? 英国「エコノミスト」もと編集長が冷静かつ大胆に予測する!」と書かれている。

◆昨年末に出版されたちょっと古い本だったが、でも1年も経っていないのだから、興味深い話が載っているのだろうと期待して読んだ。

◆が、なんかちょっとピントがぼけているような話が多く感じた。なんかおかしいと感じながら読み進めていくと、途中で「アメリカの大統領がマケインになるかオバマになるかまだ決まっていないが」という内容になり、慌てて奥付を見たら、2006年7月から2008年末頃までに、日本の「潮」「朝日新聞」「voice」に寄稿された経済コラムを単に再掲しただけの書であることが判明。本書は原文を元に翻訳を改め大幅加筆したとあるが、原文は加筆されていないんでしょ。

◆新聞や雑誌に寄稿される経済コラムは、時事的な内容になることが多く、そのとき読むには良質な記事であることが多いけど、月日が経つと色褪せる。本書は、ためになる話、考えさせられる話、感心する話などが載っている一方で、ピントのぼけた話、予測が外れてる話、知識不足を誤魔化している話なども散見された。

◆中途半端な内容で書籍化したのは失敗だったのでは無かろうか。すくなくとも、原著者の大幅な加筆修正が必要だったのではないだろうか。誠に残念である。


5点/10点満点


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2009/09/04

ヴィジャイ・マハジャン「アフリカ 動きだす9億人市場」感想。
ルポ。2009年08月10日読了。

アフリカ 動きだす9億人市場
ヴィジャイ・マハジャン/松本裕 / 英治出版 2009/07 ¥2,310 (税込)

◆アフリカに関するルポやドキュメンタリーには良書が多い。以前読んだロバート・ゲスト「アフリカ 苦悩する大陸」は10点満点つけた。アフリカを長くウォッチし続けているジャーナリスト松本仁一の各書も、おしなべて完成度が高い。

アメリカを凌駕する中国、知られざるIT大国インド、独裁者プーチンに支配されるロシア、のような新興国に関する本は、内容がまともであれいいい加減であれ、海外情勢などにちっとも関心がない普通のサラリーマンでも読むだろう。だがアフリカ関連書籍は、アフリカに関心がある人しか読まない。書籍としての市場がきわめて狭い、つまり売れないジャンルなのだ。amazonを筆頭に、誰でも簡単にブックレビューを読み書きできる今の時代、いい加減な本を出すと、速効で売れなくなる。だから、元々狭い市場しか持たないアフリカ関連書籍は、いい加減な本を出す余裕が全くないので、良書が数多く出版される。と私は思うのだ。

◆で、本書。インドに生まれ、アメリカに渡り大学教授となった著者が書いた、アフリカに関するマーケティング論。
アフリカは53のばらばらな国が集まった小さな国家の集合体で、経済はまだ発展していなく、グローバルビジネスにおいて戦略的価値はまだ見いだせない、という世間一般のイメージは、もはや間違っている! ということをデータと実地調査を元に説いている。

◆著者紹介(紀伊国屋Bookwebより)
マハジャン,ヴィジャイ[マハジャン,ヴィジャイ][Mahajan,Vijay]
テキサス大学オースティン校マコームズ経営大学院経営学教授。全米の数多くの一流企業でマーケティングのコンサルティングを行っており、その業績はアメリカ・マーケティング協会(AMA)によるチャールズ・クーリッジ・パーリン賞やインド工科大学カンプール校最優秀同窓生賞など、数々の賞を受賞。AMA2007年ブック・オブ・イヤー賞受賞の経歴もある。インド商科大学院経営学部長を経て現職。


◆ロバート・ゲスト「アフリカ 苦悩する大陸」を読んだとき、経済的な側面から見るアフリカ各国は、私が思っていた以上に豊かになりつつあるのだな、と世間のイメージとの違いに驚いた。

本書も、かなり驚くべきデータが多数掲載されている。

国民一人あたりの総所得(GNI)に関するデータが55ページに載っている。2006年のデータでは、
 中国 2,010ドル
 インド 820ドル
に対し、
 セーシェル 8,650ドル
 赤道ギニア 8,250ドル
 リビア 7,380ドル
 ボツワナ 5,900ドル
など、中国を超えるアフリカの国が12カ国、インドを超える国が20カ国もある。赤道ギニアが石油で儲けていることは知っていたけど、それにしたって平均で国民ひとりの年間所得が8,000ドルもあるのか。そりゃすごい。

◆176ページにはもっと驚くことが書かれていた。シエラレオネの首都フリータウンには、市全域に無線インターネット環境が整備されており、無制限のWi-Fi、WiMAXネットワークを有する世界で3番目の都市なのだそうだ。(ほかはフィラデルフィアと台北)

221ページ、ナイジェリアは映画産業が発展しており、収益ベースで年間2~3億ドルの規模にまで成長、映画産業の就業人口は100万人で、農業に次ぐ雇用人数となっている。

◆アフリカの国々は、戦争・内戦や、独裁者による恐怖政治、資源争奪にまつわる黒い話ばかりが喧伝されているが、そういう一面も確かにあるが、そうじゃない面の方が多いのだという。

世界中で携帯電話が普及しているんだから、アフリカ諸国にも携帯電話は普及している。
世界中がインターネットの恩恵を被っているように、アフリカ諸国の人たちもインターネットを使いたいし、需要があれば供給が生まれるのは当たり前。
仮にアフリカを一つの国と仮定すると、人口は約9億人で、総所得は9783億ドル。インドは10億人で9065億ドル。数字の上から見ると、インドよりも豊かなのだ。さらに、出稼ぎで世界各国に散らばっているアフリカの人たちは、稼いだ金を家族に送金している。海外から送金された金は、経済統計に出てくるとは限らない。というか出てこない。統計数字よりももっと豊かと考えるべきだろう。(これはインドも同じだが)

◆というようなことが載っている本書。やっぱりアフリカ関連書籍は良書が多いのである。


9点/10点満点


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2009/05/13

ヴィカス・スワラップ「ぼくと1ルピーの神様」感想。
ミステリ系なのか?2009年05月07日読了。

ぼくと1ルピーの神様
ヴィカス・スワラップ/子安亜弥 / ランダムハウス講談社 2009/02 ¥840 (税込)

◆あらすじ(紀伊国屋Bookwebより)
クイズ番組でみごと全問正解し、史上最高額の賞金を勝ちとった少年ラム。
警察は、孤児で教養のない少年が難問に答えられるはずがないと、不正の容疑で逮捕する。
しかし奇蹟には理由があった―殺人、強奪、幼児虐待…インドの貧しい生活のなかで、少年が死と隣あわせで目にしてきたもの。
それは、偶然にもクイズの答えであり、他に選びようのなかった、たった一つの人生の答えだった。
話題の映画『スラムドッグ$ミリオネア』原作、待望の文庫化。


◆アカデミー作品賞を取った映画「スラムドッグ・ミリオネア」の原作小説。インド人で、在南アフリカ・インド大使館に勤める外交官ヴィカス・スワラップの作家デビュー作。原著はまずイギリスで出版されたとあるので、英語で書かれたのだろう。

◆構成が見事。この物語の舞台となるクイズ・ミリオネアは、主人公の貧しい少年ラム・ムハンマド・トーマスの過酷な人生を浮かび上がらせるための添え物で、映画(まだ見てないけど)では重要かも知れないが、この小説においてはそれほど重要ではない。

◆あまりにも偶然に偶然が重なってしまう展開に白けてしまう、インド貧困層の描き方が嘘くさく感じてしまう、18歳の主人公がこれほど過酷な人生を歩むなんて考えられない、などの理由で受け付けられない人も多いのではないかと思うが、、、

◆私は文句なしに面白く読めた。

◆今まで読んできたドキュメンタリーやルポ、バックパッカー旅行記などで知り得たインドと、この小説で書かれているインド貧困層は違和感が無く、インドならあり得る話だよなあ、と思えるのだった。

◆海外翻訳物は、原著がどれだけ絶賛されていても、翻訳者に小説を書く能力が足りないと、まったく面白くないものになってしまう。だが本書は翻訳もよかった。ストーリーがよく構成もよく翻訳もよい。久々にとても面白い翻訳物を読み、堪能した。万人に薦められる本ではないが、当ブログに書いている私の感想に多少なりとも共感を抱いてくれている方なら、たぶん、はまる。


10点/10点満点


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