カテゴリー「●海外作品(原著英語)」の記事

2018/09/24

デイビッド・アイマー/近藤隆文訳「辺境中国 新疆、チベット、雲南、東北部を行く」感想。
ルポ。2018年07月07日読了。

著者は、イギリスの新聞「サンデー・テレグラフ」の北京特派員(2007-2012年)。
1988年に初めて中国を訪れてから、ほぼすべての省を踏破。
その後タイのバンコクに居を移し、「サンデー・テレグラフ」東南アジア特派員。

本書で著者が訪れた場所(漏れあるやもしれず)


・はじめに
ウルムチ、カシュガル、

・第1部 新疆
ウルムチ、イーニン、コルガス、アルマトイ(カザフスタン)、ビシュケク(キルギス)、ナリン(キルギス)、タシュラバット(キルギス)、カシュガル、タシュクルガン、クンジェラブ峠、ヤルカンド、ホータン、ニヤ、チャルチャン、ミーラン、花土溝

・第2部 チベット
リタン、ツァワロン、成都、ラサ、シガツェ、パヤン、タルチェン、カイラス山、ジャンム、カトマンズ(ネパール)

・第3部 雲南
景洪、関累、チエンセーン(タイ)、タチレク(ミャンマー)、チャイントン(ミャンマー)、チエンコーン(タイ)、ファイサーイ(ラオス)、ムアンシン(ラオス)、瀾滄(ランツァン)、孟連、モンアー、パンサンミャンマー、瑞麗

・第4部 東北部
丹東、延吉、ハルビン、漠河、塔河、黒河、ブラゴヴェシチェンスク(ロシア)


詳細は明日(9/25)追記します。9/26に追記します

そのうち書きます。


8点/10点満点

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2018/09/23

トム・クラインズ/熊谷玲美訳「太陽を創った少年」感想。
人物伝。2018年06月23日読了。

◆内容(Amazonから引用)
「うん、核融合炉を創ったよ! 」。若干14歳の核物理学者はどうして生まれたのか?

9歳でロケットを実作した、アメリカ・アーカンソー州の早熟の天才、
テイラー・ウィルソンは11歳の若さでさらなる野心に燃えていた。
祖母がくれた本に刺激を受け、核融合炉を自宅で創ろうと決意したのだ。
危険と隣り合わせのそんな作業を、子どもがやってのけられるはずがないという大人の常識をしり目に、
彼には自分がやれるという自信と勝算、そして適切な知識があった。

「ギフテッド」といわれる天才児にもさすがにムリかと思えることが、なぜできたのか。
息子を見守る両親の苦労、大学教員をはじめとする教育関係者の奔走。
彼のそばで直接取材したジャーナリストが語るサイエンス・ノンフィクション。


◆感想
テイラー・ウィルソン氏は、2018年現在23歳である。

彼が14歳で核融合炉を作るに至った経緯が、本書には詳しく書かれている。

類まれなる才能を持った子供=ギフテッドと呼ばれる=が、その才能を開花させるためには、子供自身の努力に任せるのではなく、周囲の大人たちの適切な助力が必要である。

あまりにも頭が良すぎたテイラー少年には、コカ・コーラのボトラー会社を経営している父親(そこそこ裕福)はテイラー少年の投棄された放射性物質探しに付き合い、核融合を目指す物理学オタクが集まったオンラインフォーラムの発見と参加、実験器具を買うために協力してくれた薬剤師(例えばテキサス州では三角フラスコを買うのは許可制)、ギフテッドの子供集めて学年別カリキュラムではなく学力に見合った授業を展開するデイヴィッドソンアカデミー(ネバダ州)への入学、そこからネバダ大学リノ校の物理学教授陣との出会い、そういうラッキーな出会いがたくさんあって、優しい大人たちがテイラー少年を道を外さないよう指導していた。

テイラー少年は、理論物理学は嫌いで、実験(応用物理学)が好きだと言っている。

既に実用化が見込めそうなアイデアをいくつか披露している。

ガンの放射線治療に使う放射線源は、製造できる場所が限られており、また寿命も短いため、放射線源を作ったらすぐに飛行機で病院まで届けなければならないが、小型の核融合炉が完成すれば、病院で放射線源を作ることができるようになる。ほかにも空港の荷物検査のX線の代わりになるスキャナに関しても、本書に書かれている。

ノンフィクションとして間違いなく面白いのだが、ギフテッドの子供をどうやって教育すべきかという教育論にかなり多くのページが割かれていて、個人的にはそれが不満。


8点/10点満点

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2018/09/16

ドン・ウィンズロウ/田口俊樹訳「ダ・フォース(下)」感想。
警察小説。2018年05月21日読了。


ミステリ系統なので、細かなことは書きません。

共感しづらい悪い刑事が主人公なのに、

ラスト200ページは一晩で一気読みしました。

読み終わってみると、面白い小説と言っていいのかも。


8点/10点満点

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ドン・ウィンズロウ/田口俊樹訳「ダ・フォース(上)」感想。
警察小説。2018年05月18日読了。


ニューヨーク市警マンハッタン・ノース特捜部、通称「ダ・フォース」に所属する部長刑事デニス・ジョン・マローンを主人公とする小説。

ダ・フォースに所属する刑事は、すべて薄汚れている。賄賂を受け取る、賄賂を強要する、証拠をでっちあげる、無抵抗の犯人を射殺する。

エリート部隊のダ・フォースが、なぜそんなことをするようになったのか、なぜ今でも続けているのか。

そして、ある事件をきっかけにジョンは転落していく。


悪い刑事が主人公の小説。周りもほとんど悪い刑事。

主人公に共感できず、読み進めるのがつらい小説なのだが、それでも読ませるのはドン・ウィンズロウの手腕であろう。

ミステリ系統なので、筋はこれ以上記しません。


7点/10点満点

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2018/09/15

ヨアン・グリロ/山本昭代訳「メキシコ麻薬戦争」感想。
ルポ。2018年05月10日読了。

◆内容(Amazonから引用)
メキシコとアメリカの歴史的な関係を背景に、近年のグローバル化と新自由主義の進展のひずみの中で急拡大した「メキシコ麻薬戦争」の内実を、綿密な調査に基づき明らかにするルポルタージュ。米墨国境地帯で麻薬取引と暴力に依存して生きる「ナルコ(麻薬密輸人)」たちに密着し、犯罪者たちの生活や文化、彼らを取り巻く凄惨な暴力の実態を明らかにすると同時に、世界各地で注目されている「麻薬合法化」の議論など、問題解決に向けた方向性も指ししめす。

◆著者(Amazonから引用)
2001年より、『タイム』誌、CNN、AP通信、PBS News Hour、『ヒューストン・クロニクル』紙、CBC、『サンディ・
テレグラフ』紙など国際メディアに、ラテンアメリカに関する報道を行ってきた。
軍事作戦、マフィアによる殺人、コカイン押収などについて報道し、麻薬戦争について2人のメキシコ大統領、3人の司法長官、アメリカ合衆国大使らと議論した。
イギリス出身、メキシコシティ在住。本書は彼の最初の著書である。
本書は、オーウェル賞にノミネートされ、ロサンゼルスタイムズ・ブックフェスティバルで最終選考に残り、BBCラジオ4の「今週の本」に選ばれた。

◆感想
・第1章より。

著者はバックパッカーとしてラテンアメリカを訪れ、メキシコにはビセンテ・フォックス・ケサーダ(国民行動党=PAN) が大統領に就任する前日に来た(2000年11月30日と思われる)。そして著者は、異国で現地通信員になった。

メキシコはGDPが1兆ドルを超え(世界ランク15位前後)、若者の4人に1人は大学に行き、高学歴な中産階級を抱えている。

メキシコは制度的革命党=PRIが1929年から2000年まで政権を独占していた。長期政権は不敗を生み、政治家は私腹を肥やしていた。フォックス大統領(国民行動党=PAN)の登場に、メキシコ国民は多大な期待を抱いた。

前政権のPRIは麻薬密売人(メキシコではナルコと呼ばれる)を抑え込んでいた。何人かのギャングを逮捕するが、逮捕しなかったギャングから税金(というか賄賂)を徴収する。

PAN政権は、組織犯罪をコントロールするすべを知らなかった。フォックスの後に大統領になったカルデロン(PAN)は正面から喧嘩を仕掛けた。その結果、内戦状態といっても過言ではないほど、マフィアによる犯罪が増大した。カルデロン政権になってからの4年間で、34,000人が死んだ。そのうち2,500人が公務員である(2,200人の警官、200人の兵士、裁判官、市長、知事候補、国家公務員など)。国民はPANに失望した。

2012年、国民は新しい大統領にPRIのエンリケ・ペーニャ・ニエトを選んだ。(メキシコの大統領は6年任期で再選なし)

著者はナルコに興味を持ち、逮捕や押収の記事を書いていた。しかしそれらはうわべだけであると感じ、実際のナルコと話をすることにした。

コカの葉が取れる山岳地を這い、麻薬王の弁護士と食事をし、麻薬カルテルに潜入したアメリカ麻薬取締局(DEA)の捜査官と酒を飲み、街中で嫌というほど死体を見、子供を亡くした(殺された)母親の悲しみに満ちた声を聴いた。

そうしてやっと、ナルコと会うことができた。

コカや大麻を栽培する農家、スラムの若き殺し屋、麻薬をアメリカに運ぶ「ラバ」と呼ばれる運び屋、紙に救いを求める元ギャング。

本書は、10年にわたってナルコを取材した著者の集大成である。

原著は2011年に出版され、日本語版は2014年に出た。私は、工藤律子「マフィア国家 メキシコ麻薬戦争を生き抜く人々」2018年04月22日読了、で本書の存在を知り、買った。


・第2章以降
(p70)
1969年6月、ニクソン政権の担当者がメキシコに赴き、ケシ畑に枯葉剤を撒くように要請したが、断られた。仕返しとしてアメリカは、メキシコからアメリカへの入国検査を徹底した。通常の農作物などの輸出にも支障が出て、メキシコが折れた。アメリカのエージェントを、メキシコ国内で活動することを許した。

このあたりのことがベースになっている小説が、ドン・ウィンズロウの
「犬の力(上)」 「犬の力(下)」 「ザ・カルテル(上)」 「ザ・カルテル(下)」である。

(p142-)
アルトゥーロ・グスマンはメキシコの貧困層出身で、貧困から逃れるために軍に入った。ずば抜けて優秀で聡明だったグスマンは、空軍特殊部隊GAFEに入った。GAFEは、イスラエル軍やアメリカ軍からもトレーニングを受けた。

1994年、メキシコの反政府ゲリラ組織サパティスタが反乱を起こした。政府はGAFEに鎮圧をさせた。GAFEはサパティスタ33人を殺し、翌日さらに3人を殺した。3人は耳や鼻がそぎ落とされていた。サパティスタは反乱蜂起から12日後、休戦協定を結んだ。

司令官グスマンは、ヌエボ・ラレド(街)に赴任した。そこはナルコの街で、麻薬で稼いだ連中の豪邸が立ち並び、夜通しパーティが開かれ、何千人もの娼婦がいた。

グスマンは当初、ゴルフォカルテルから賄賂を受け取り、犯罪行為を目こぼししていた。しかし政権が交代し、軍の高官が収賄で50年の実刑判決を受けるなど、軍の先行きに不安が生じた。

グスマン派軍を辞職して、ゴルフォの傭兵に転身した。

ゴルフォの最高幹部カルデナスは、グスマン経由で軍のエリート十数人をリクルートし、最高の傭兵部隊を作った。これがメキシコで最もいかれた狂気の集団「ロス・セタス」の始まりである。

その後グスマンは、グアテマラの陸軍特殊部隊「カイビル」の元メンバーたちもリクルートした。カイビルは、グアテマラの反政府組織とその家族を、何万人も殺してきた屈強の部隊だった。

「ロス・セタス」は、ケシをや大麻を栽培していた山岳地の村に行き、「今日から麻薬を売るときは俺たちに金を払え」と宣言し、払わなかったものを次々殺した。


ここに書いたのは本書のほんの一部で、とても丁寧に、そしてとても深く掘り下げて書かれている。

また、訳者あとがきで、メキシコの農家は1994年に発効されたNAFTA(アメリカ、カナダ、メキシコの自由貿易協定)によって、自分たちで作って売るより安いトウモロコシがアメリカから輸入されるようになり、食い扶持を稼ぐために農村から都市部に移動する必要が出てきたことについて触れられている。


良書


9点/10点満点(原著が2011年のため、最新情報が少ないという部分でちょっとだけマイナス評価)

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2018/06/27

ジェームズ・ギーチ/糸川洋訳「銀河:宇宙140億光年のかなた」感想。
宇宙物理学。2018年03月07日読了。

本書は「銀河」について書かれた入門書で、1/3くらいがカラー写真である。通常、この手の写真が素晴らしい本は、中を読まずに眺めているだけの場合が多い。

似たような本では、マイケル・ベンソン/檜垣嗣子訳「FAR OUT ファー・アウト―銀河系から130億光年のかなたへ」を見て、宇宙の写真を鑑賞した。「FAR OUT」は写真を眺めて堪能する本で(と勝手に思っている)、書かれている文章はほとんど読んでいない。

しかし本書「銀河」は、中に書かれている文章を全部読んだ。

「FAR OUT」の原著は2009年に出版され、本書「銀河」の原著は2014年に出版された。
この2冊に大きな違いがある。副題を見ればわかるのだが、「FAR OUT」は130億光年、本書「銀河」は140億光年の宇宙を現している。原著5年の歳月で、宇宙は10億光年広がった(観測できる範囲が増えた)。

本書は天文学者による、宇宙物理学の入門書である。宇宙の入門書ではなく物理の入門書なので、やや難しい記述が多々ある。

本書を読んで「へえー」と思ったことは、太陽系の惑星起動がほぼ水平に並んでいることに関する説明。

Planet

上図は、国立天文台のプロジェクト(国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト)である4D2Uが無償公開している天文ソフトMITAKAで作ったものである。

ざっくり書くと、
・恒星が作られる前段階では、星間ガスが円盤状に集まって渦になる
・垂直方向にはジェットが噴出していて、垂直方向の星間ガスは吹き飛ばされる
・何億年という年月を経て、水平方向にのみ星間ガスが凝縮し渦を形成する
・渦の中心部は恒星になり、渦の腕に当たる部分でそれなりの大きさの塊になったものは恒星の質量に引っ張られることなく惑星になる
・渦の中心(最終的には恒星になる)と水平に位置しているのが、エネルギー的に一番安定している。そのため、惑星の軌道はどれも似たような軌道になる
・水平からずれた軌道を取った原始惑星は、公転軌道を一周するたびに中心部(原始恒星)の重力によって周囲が削り取られ、十分な質量をもたない原始惑星は崩壊する(それが今、火星と木星の間にある小惑星と考えられている)
・垂直方向のジェット噴射に引きずられることがないほど中心部から遠いと、冥王星のようないびつな軌道を生むことがある
・冥王星が準惑星になったのは、大きさもさることながら、軌道が歪だったことも関係している


本書には天体観測(プロ)の技術的なことも書かれている。
地球上から宇宙の最奥部を除くためには、空気(大気)の揺らぎが非常に邪魔であるが、今の天文台は、何十トンにもなる望遠鏡を1マイクロ秒ごとに1ミクロン単位で前後上下左右に動かして、空気の揺らぎに完璧に同期させているのだそうだ。すごい技術だ。


というような話が本書に書かれている。非常に良い。


繰り返す。非常に良い。


8点/10点満点

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2018/06/23

エミリー・ボイト/矢沢聖子訳「絶滅危惧種ビジネス」感想。
ルポ。2018年02月23日読了。

★本書帯(が載っているAmazon)より引用

ワシントン条約の附随書Iで「絶滅危惧種」と認定され、
国際取引が禁止されているアジアアロワナ、別名「龍魚(ドラゴンフィッシュ)」――。
禁じられるほど欲しくなるのはなぜか?
価値のパラドックスと自然保護の深い闇を暴く、衝撃のルポルタージュ!

アジアアロワナの希少種は重装備の警備車両で輸送され、3000万円もの高値で取引される。日本を抜いて最大市場となった中国では、上昇志向のシンボルとなり、幸運のアロワナを信じる富裕層が購入。なかでも好まれる赤いアロワナ「スーパーレッド」は魚のフェラーリとも言われる。いっぽうで「石油やダイヤはもう古い、アロワナはいま最も効率の良い取引」とされ、フィッシュ・マフィアによる誘拐や殺人事件も後を絶たない。日本人バイヤーを誘拐し身代金を要求する事件も発生した。なぜアロワナは、これほどにまで人々を熱狂させるのか。はたして、絶滅危惧種アロワナは、貴重な伝説の魚か、大量生産された商品か、それとも危険な外来種なのか

★引用終わり


2009年にNPR(ナショナルパブリックラジオ)の科学番組のため、希少動物(エキゾチックアニマル)、取材の過程でアロワナを初めて知った。

なんでこんな魅力のない大きいだけの魚(アロワナは肉食なので水槽内に他魚を混泳できない。水質に敏感なので水草も入れられない。大きさは最大1mを超える)が、色や模様によっては1000万円を超える高値で取引されるのか。


絶滅危惧種に指定されている淡水熱帯魚のアロワナが、世界中で流通しているのはなぜ?

ちょっとした好奇心で、最初はシンガポール、マレーシア、台湾の成功した熱帯魚ショップのオーナーから話を聞いていく。ヨーロッパや日本の熱帯魚関係者からも話を聞く。

しかし調べても、養殖したアロワナは見つかるが、自然界に存在している野生のアロワナに全然出会えない。誰も生息場所を教えてくれない。

アロワナの中でも特に希少価値の高いスーパーレッドは、それを売っていた熱帯魚ショップのオーナーが殺され、アロワナが盗まれた。人を殺してでも奪いたくなるほど、金になる。

野生のアロワナの生息場所を知っている人間(アロワナで大金持ちになれる)にとって、アロワナの生息場所を聞きに来る奴は泥棒であり、聞き方が悪ければ殺される。

これって希少動物をめぐる闇取引?

ものすごいネタかもしれないと思い、ピューリッツァー研修旅行奨学金を得て、徹底した取材を敢行。インドネシア(カリマンタン島=ボルネオ島)の奥地、ミャンマーのゲリラ支配地域、コロンビアのアマゾン川流域からブラジル側に密入国してまで調査した。

調査の過程で、ベテラン新種動物ハンター兼冒険家のハイコや、非常に個性的な熱帯魚研究者などの助力を得ながら、野生のアロワナの調査を行う。


という感じの本だが、著者の取材目的が途中から、「絶滅危惧種ビジネス」を追うのではなく、「野生のアロワナを見たい」に代わってしまい、後半はルポというより旅行記を読んでいるような感じになってしまった。

絶滅危惧種ビジネスの「闇」の部分は解明されないまま終わる。

ま、ほんとに「闇」の部分を追いかけると、それこそ命がいくつあっても足りないくらい危ない目に合うはずなので(エキゾチックアニマルの取引はマフィアや暴力団が関わっていることが多い)、本気で追いかけるなら調査チームを作らないと無理っすね。


7点/10点満点

※私は1992年-2004年ころまで熱帯魚を飼っていた。ブラックゴーストという肉食魚が40cmに達し、10年くらい生きていた。餌は冷凍赤虫(ガの幼虫)か、一緒に飼っていたネオンテトラだったので、ランニングコストは安かった。

※車を飛ばして、よく水戸熱帯魚センターまで魚を買いに行った。ここは規模がとにかくすごかった。いま(2018年)は知らないけど

※アロワナは、マンガ「はじめの一歩」で、木村がVS間柴戦の時に使ったドラゴン・フィッシュ・ブローを生み出すきっかけになった魚。アロワナの餌は通常、コオロギかミールワーム(ダンゴムシの幼虫)かゴキブリか餌金魚で、餌代がものすごくかかる。相当な覚悟がないと飼えない魚なのだが、日本ランカーでくすぶっている木村が良く飼えるなあ、と思いつつ読んでいた。

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2018/06/20

ジャンナ ・レヴィン/田沢恭子・松井信彦訳 「重力波は歌う―アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち」感想。
ノンフィクション。2018年02月10日読了。

この本は、長年通っている病院に行く途中、本を忘れてきたことに気づき、途中にある新星堂(2018年5月末に閉店)で買った。

原著は2016年に出版され、邦訳単行本も同年6月に出て、文庫版が2017年9月に出た。

重力波が初めて検出されたのは2015年9月で、厳密な検証を経てその事実(検出したこと)を2016年2月に発表した。そして検出に重大な貢献をした3人の物理学者が2017年のノーベル物理学賞を受賞した。

本書は重力波検出の直前までの取材に基づいている。(エピローグで、検出されたことに触れている)


重力波の検出方法の創出は、1970年代から始まっている。
検出の原理(干渉計)を考案した人、
それを発展させた人、
まったく異なるアプローチで大失敗してしまった人、
干渉計の大型化を考案した人、
大型化のための大型予算(数千億円)を獲得するために尽力した人、
場所の提供に尽力してくれた政治家、
プロジェクトに馴染めなくてはじき出された人、

本書はそいいうういろんな人(主に物理学者)の話の集合体である。

人物に軸を置いて章立てしているため、年代が行ったり来たりする。

Aさんは1970年代から2000年代までこういうことをしました。
Bさんは1990年代から現在に至るまで主要メンバーでした。
Cさんは1970年代の先駆者でしたが、間違ったアイデアを突き進めていたため主流から消えてしまいました。

という感じで、時代の前後関係を理解するのに、非常にストレスがたまる本だった。

テーマ自体は面白かったんだがなあ。


4点(個人の感想です)/10点満点

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2018/06/19

ジョビー・ウォリック/伊藤真訳「ブラック・フラッグス(下) 「イスラム国」台頭の軌跡」感想。
ルポ。2018年01月30日読了。


本書帯(が載っているAmazon)より引用

「その男[バグダディ]は組織のナンバースリーから急遽リーダーに昇格したばかりだった。前任者たちが米軍とイラク軍の部隊による襲撃で殺されたのだ。前任の指揮官たちと異なり、この男は戦闘員ではなく学者だった。博士号も持つイスラーム法の教授。わずか四十歳だが年齢以上に厳粛なタイプの人物で、正確さを重んじ、話し方や服装に関するどんな小さな規定にもうるさかった。本名はイブラヒム・アワド・アル= バドリ。イラクの都市、サマラの保守的なムスリムの説教師の息子として育った。ジハーディストとして自ら選んだ名はアブー・バクル・アル= バグダディといった。」 ( 本文より)

引用終わり


ザルカウィは、イラクで拠点を作るために、それまではイラク国内で平穏に共存していたシーア派とスンナ派の間の、宗派間対立という熾火に油を注いだ。

イラクはシーア派の人口が多いが、バアス党(≒スンナ派)が政権中枢部に就いていた。バアス党の独裁者がサダム・フセイン。イラク戦争後、アメリカ主導でスンナ派政権と官僚と公務員は全員解雇され、民主主義の導入、つまりは選挙、つまりは人口で勝るシーア派優遇政策を導入し、宗派間対立が起きつつあった。

イラクの治安を(勝手に)任されていたアメリカ軍は、イラク警察を鍛えるとともに、イラク国内を軍事力で蹂躙。宗派に関係なく反米感情が沸き上がっていた。

この混乱期のイラクでは、数々の反米組織が作られ、米軍が関与した人物を拘束、キャンプに収容し、数か月の取り調べの後に解放していた。無実の者も多数誤認拘束されていた。また、アブグレイブキャンプでの拷問事件など、一大不祥事が発覚した。この頃、イスラム系の大学を出てイスラムの博士号を持つ正しい聖職者バグダディとザルカウィが知り合った。

ザルカウィは2006年に米軍のミサイル攻撃によって殺されるが、ザルカウィの死後はバグダディが組織の宗教的指導者となり、戦闘の実行面ではアブー・アイユーブ・アル=マスリーが引き継いだ。(正確には、バグダディは二人いて、初代はすでに死んだ)

米軍が鍛えたはずのイラク警察は軟弱だった。ISIS(の前身組織)がイラク警察を急襲し、アメリカ軍が与えた最新兵器をやすやすと奪っていった。

……

いったいどうやってここまで詳しく調べたのだろう? と思えるほど詳しい。

とても読みごたえがあり、本書を参考文献に挙げているイスラム関連やテロ関連の書籍も多数出ている。プロ(私じゃなく日本のイスラム研究者)の目から見ても、極めて重要性の高い本である。

良書。

点数がちょっとだけ辛いのは、原著が2015年出版で、最新情報ではないから。

まあ、でも、多少のディレイがあったとしても、こういう本が日本語で読めるだけマシなのかもしれない。


8点/10点満点

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ジョビー・ウォリック/伊藤真訳「ブラック・フラッグス(上) 「イスラム国」台頭の軌跡」感想。
ルポ。2018年01月26日読了。

本書は2015年に原著が出版され、2017年8月に日本語版が出版された。

本書帯(が載っているAmazon)より引用

「連続ホテル爆破事件当時、ザルカウィは「イラクのアル= カーイダ」と呼ばれるきわめて凶暴なテロリスト・ネットワークのトップだった。だがヨルダン側は、ザルカウィがまだ「ごろつきのアフマド」と呼ばれていたころからよく知っていた。大酒飲みで喧嘩っ早いと評判の、高校中退の落ちこぼれ。そんな彼が1980年代末、共産主義者たちと戦うと言ってアフガニスタンへ向かい、戦場で鍛え抜かれた狂信的な信仰者としてヨルダンに戻ってきたときも、ムハーバラートは注視していた。初めてテロ活動に手を染めた結果、ヨルダンのもっとも闇の深い監獄の一つに姿を消した。そして今度は、戦場で鍛え抜かれた狂信的な信仰者であるだけでなく、卓越したリーダーとなってふたたび姿を現した。」(「プロローグ」より)

引用終わり

※ムハーバラートとは、アラビア語で諜報機関を意味する


本書は、ISISの前身組織を作ったザルカウィについて、その生い立ちから調べ、イスラム教徒なのに大酒のみの不良少年という青春時代を調べ(当時のザルカウィを知っているヨルダン諜報部が情報源)、アフガニスタンに赴きソ連と戦おうとしたがあまり成果を上げられなく、ヨルダンに戻って王政打倒を画策していたら摘発され刑務所へ。

刑務所収監中にマクディシというイスラム原理主義者(でも過激派ではない)の薫陶を受けイスラム原理主義に目覚め、1999年にヨルダン国王の死去と皇太子の新国王即位に伴う恩赦で釈放され(ヨルダン諜報部は、なぜザルカウィが恩赦リストに載ってしまったのか、と後悔していた)、その足で再びアフガニスタンに赴き、アルカイダと接触(この頃のアルカイダは1998年にケニアとタンザニアのアメリカ大使館爆破、2000年にイエメン沖に停泊していた米駆逐艦爆破攻撃、2001年に9.11テロを起こしていた。ビンラディンの死は2011年)。

資金面や武器の供給などでアルカイダの支援を得たザルカウィは、アフガニスタンでヨルダン王政打倒の過激組織を設営、その後ヨルダンに戻り、在ヨルダン・アメリカ大使館員暗殺などを起こした後、イラク戦争(2003年)で大混乱に陥っていたイラクに入り、反米テロを繰り返すようになった。

以下、下巻


8点/10点満点

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