ビル・エモット「世界潮流の読み方」感想。
ビジネス書。2009年09月30日読了。

世界潮流の読み方<br />
ビル・エモット/烏賀陽正弘 / PHP研究所 2008/12 ¥819 (税込)

◆本書帯に、「世界同時不況で、欧米、日本、アジアはどうなるのか? 英国「エコノミスト」もと編集長が冷静かつ大胆に予測する!」と書かれている。

◆昨年末に出版されたちょっと古い本だったが、でも1年も経っていないのだから、興味深い話が載っているのだろうと期待して読んだ。

◆が、なんかちょっとピントがぼけているような話が多く感じた。なんかおかしいと感じながら読み進めていくと、途中で「アメリカの大統領がマケインになるかオバマになるかまだ決まっていないが」という内容になり、慌てて奥付を見たら、2006年7月から2008年末頃までに、日本の「潮」「朝日新聞」「voice」に寄稿された経済コラムを単に再掲しただけの書であることが判明。本書は原文を元に翻訳を改め大幅加筆したとあるが、原文は加筆されていないんでしょ。

◆新聞や雑誌に寄稿される経済コラムは、時事的な内容になることが多く、そのとき読むには良質な記事であることが多いけど、月日が経つと色褪せる。本書は、ためになる話、考えさせられる話、感心する話などが載っている一方で、ピントのぼけた話、予測が外れてる話、知識不足を誤魔化している話なども散見された。

◆中途半端な内容で書籍化したのは失敗だったのでは無かろうか。すくなくとも、原著者の大幅な加筆修正が必要だったのではないだろうか。誠に残念である。


5点/10点満点


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ヴィジャイ・マハジャン「アフリカ 動きだす9億人市場」感想。
ルポ。2009年08月10日読了。

アフリカ 動きだす9億人市場
ヴィジャイ・マハジャン/松本裕 / 英治出版 2009/07 ¥2,310 (税込)

◆アフリカに関するルポやドキュメンタリーには良書が多い。以前読んだロバート・ゲスト「アフリカ 苦悩する大陸」は10点満点つけた。アフリカを長くウォッチし続けているジャーナリスト松本仁一の各書も、おしなべて完成度が高い。

アメリカを凌駕する中国、知られざるIT大国インド、独裁者プーチンに支配されるロシア、のような新興国に関する本は、内容がまともであれいいい加減であれ、海外情勢などにちっとも関心がない普通のサラリーマンでも読むだろう。だがアフリカ関連書籍は、アフリカに関心がある人しか読まない。書籍としての市場がきわめて狭い、つまり売れないジャンルなのだ。amazonを筆頭に、誰でも簡単にブックレビューを読み書きできる今の時代、いい加減な本を出すと、速効で売れなくなる。だから、元々狭い市場しか持たないアフリカ関連書籍は、いい加減な本を出す余裕が全くないので、良書が数多く出版される。と私は思うのだ。

◆で、本書。インドに生まれ、アメリカに渡り大学教授となった著者が書いた、アフリカに関するマーケティング論。
アフリカは53のばらばらな国が集まった小さな国家の集合体で、経済はまだ発展していなく、グローバルビジネスにおいて戦略的価値はまだ見いだせない、という世間一般のイメージは、もはや間違っている! ということをデータと実地調査を元に説いている。

◆著者紹介(紀伊国屋Bookwebより)
マハジャン,ヴィジャイ[マハジャン,ヴィジャイ][Mahajan,Vijay]
テキサス大学オースティン校マコームズ経営大学院経営学教授。全米の数多くの一流企業でマーケティングのコンサルティングを行っており、その業績はアメリカ・マーケティング協会(AMA)によるチャールズ・クーリッジ・パーリン賞やインド工科大学カンプール校最優秀同窓生賞など、数々の賞を受賞。AMA2007年ブック・オブ・イヤー賞受賞の経歴もある。インド商科大学院経営学部長を経て現職。


◆ロバート・ゲスト「アフリカ 苦悩する大陸」を読んだとき、経済的な側面から見るアフリカ各国は、私が思っていた以上に豊かになりつつあるのだな、と世間のイメージとの違いに驚いた。

本書も、かなり驚くべきデータが多数掲載されている。

国民一人あたりの総所得(GNI)に関するデータが55ページに載っている。2006年のデータでは、
 中国 2,010ドル
 インド 820ドル
に対し、
 セーシェル 8,650ドル
 赤道ギニア 8,250ドル
 リビア 7,380ドル
 ボツワナ 5,900ドル
など、中国を超えるアフリカの国が12カ国、インドを超える国が20カ国もある。赤道ギニアが石油で儲けていることは知っていたけど、それにしたって平均で国民ひとりの年間所得が8,000ドルもあるのか。そりゃすごい。

◆176ページにはもっと驚くことが書かれていた。シエラレオネの首都フリータウンには、市全域に無線インターネット環境が整備されており、無制限のWi-Fi、WiMAXネットワークを有する世界で3番目の都市なのだそうだ。(ほかはフィラデルフィアと台北)

221ページ、ナイジェリアは映画産業が発展しており、収益ベースで年間2~3億ドルの規模にまで成長、映画産業の就業人口は100万人で、農業に次ぐ雇用人数となっている。

◆アフリカの国々は、戦争・内戦や、独裁者による恐怖政治、資源争奪にまつわる黒い話ばかりが喧伝されているが、そういう一面も確かにあるが、そうじゃない面の方が多いのだという。

世界中で携帯電話が普及しているんだから、アフリカ諸国にも携帯電話は普及している。
世界中がインターネットの恩恵を被っているように、アフリカ諸国の人たちもインターネットを使いたいし、需要があれば供給が生まれるのは当たり前。
仮にアフリカを一つの国と仮定すると、人口は約9億人で、総所得は9783億ドル。インドは10億人で9065億ドル。数字の上から見ると、インドよりも豊かなのだ。さらに、出稼ぎで世界各国に散らばっているアフリカの人たちは、稼いだ金を家族に送金している。海外から送金された金は、経済統計に出てくるとは限らない。というか出てこない。統計数字よりももっと豊かと考えるべきだろう。(これはインドも同じだが)

◆というようなことが載っている本書。やっぱりアフリカ関連書籍は良書が多いのである。


9点/10点満点


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ヴィカス・スワラップ「ぼくと1ルピーの神様」感想。
ミステリ系なのか?2009年05月07日読了。

ぼくと1ルピーの神様
ヴィカス・スワラップ/子安亜弥 / ランダムハウス講談社 2009/02 ¥840 (税込)

◆あらすじ(紀伊国屋Bookwebより)
クイズ番組でみごと全問正解し、史上最高額の賞金を勝ちとった少年ラム。
警察は、孤児で教養のない少年が難問に答えられるはずがないと、不正の容疑で逮捕する。
しかし奇蹟には理由があった―殺人、強奪、幼児虐待…インドの貧しい生活のなかで、少年が死と隣あわせで目にしてきたもの。
それは、偶然にもクイズの答えであり、他に選びようのなかった、たった一つの人生の答えだった。
話題の映画『スラムドッグ$ミリオネア』原作、待望の文庫化。


◆アカデミー作品賞を取った映画「スラムドッグ・ミリオネア」の原作小説。インド人で、在南アフリカ・インド大使館に勤める外交官ヴィカス・スワラップの作家デビュー作。原著はまずイギリスで出版されたとあるので、英語で書かれたのだろう。

◆構成が見事。この物語の舞台となるクイズ・ミリオネアは、主人公の貧しい少年ラム・ムハンマド・トーマスの過酷な人生を浮かび上がらせるための添え物で、映画(まだ見てないけど)では重要かも知れないが、この小説においてはそれほど重要ではない。

◆あまりにも偶然に偶然が重なってしまう展開に白けてしまう、インド貧困層の描き方が嘘くさく感じてしまう、18歳の主人公がこれほど過酷な人生を歩むなんて考えられない、などの理由で受け付けられない人も多いのではないかと思うが、、、

◆私は文句なしに面白く読めた。

◆今まで読んできたドキュメンタリーやルポ、バックパッカー旅行記などで知り得たインドと、この小説で書かれているインド貧困層は違和感が無く、インドならあり得る話だよなあ、と思えるのだった。

◆海外翻訳物は、原著がどれだけ絶賛されていても、翻訳者に小説を書く能力が足りないと、まったく面白くないものになってしまう。だが本書は翻訳もよかった。ストーリーがよく構成もよく翻訳もよい。久々にとても面白い翻訳物を読み、堪能した。万人に薦められる本ではないが、当ブログに書いている私の感想に多少なりとも共感を抱いてくれている方なら、たぶん、はまる。


10点/10点満点


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R.D.ウィングフィールド他「夜明けのフロスト」感想。
ミステリアンソロジー。2009年01月28日読了。

夜明けのフロスト―『ジャーロ』傑作短編アンソロジー〈3〉<br />
R.D.ウィングフィ-ルド/木村仁良 / 光文社 2005/12 ¥599 (税込)

◆本書はフロストの中編を含むミステリアンソロジー。30ページくらいの短編6本と100ページのフロスト中編が収められているが、海外ミステリに強くない私は、フロストを書いたウィングフィールド以外聞いたことがない作家ばかり。かなり昔に、「おっ、フロストシリーズだ」と思って買ったらアンソロジーでがっかりしてそのまま積ん読になってしまった本。「フロスト気質」を読んだ勢いで、本書も読んでみた。ちなみに読んだのはフロストのみ。

◆で、そのフロスト中編は、中編なにのいくつかの事件が連続して発生するのだが、中編であるがゆえにサクサク事件が解決してしまって、とどのつまり事件が簡単に解決して苦悩しないフロストの姿が描かれており、イマイチなのである。やっぱりフロストシリーズの魅力は、事件がちっとも解決しないのに次から次へと新たな事件が沸き起こって困ってしまうフロストの姿にあるのだなあ、と思う次第。


5点/10点満点


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R.D.ウィングフィールド「フロスト気質(下)」感想。
ミステリ。2009年01月26日読了。

フロスト気質 〈下〉
ウィングフィールド,R.D.【著】〈Wingfield,R.D.〉 芹澤 恵【訳】 東京創元社 (2008/07/31 出版)  461p / 15cm / A6判 ISBN: 9784488291051

◆久しぶりに読んだフロストシリーズは、相変わらずのフロスト警部を筆頭に、嫌みったらしいマレット署長とか、キャシディ警部とか、キャシディにいいように使われてしまっているリズ・モード部長刑事とか、やっぱりこのシリーズは個性的な人物が多く、まあ堪能しました。

◆しかし、いまだにズロースって訳すのはどうなんだろうとか、下巻での家宅捜索がちょっと強引すぎないか?とか、ちょっと気になった。まあそれでも8年ぶりのフロストはやっぱり面白かったのである。

◆後書きに、作者ウィングフィールドが79歳で死去し、もう続編が書かれることがなくなったということで、とても残念である。未訳長編はあと2作。創元社はいつまでももったいぶらずに、さっさと翻訳して欲しい。


7点/10点満点


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R.D.ウィングフィールド「フロスト気質(上)」感想。
ミステリ。2009年01月23日読了。

4094083456
ウィングフィールド,R.D.【著】〈Wingfield,R.D.〉 芹澤 恵【訳】 東京創元社 (2008/07/31 出版)  448p / 15cm / A6判 ISBN: 9784488291044

◆95年版の「このミス」で海外ミステリ第4位にランクインされていた「クリスマスのフロスト」。その頃の「このミス」のランキングはとても信頼でき、ランクインした作品は安定した面白さがあった。なので、「クリスマスのフロスト」は何の疑いもなく、面白い作品なのだろうと手に取った。それがフロスト警部との出会い。もう15年くらい前になるのだな。その後、「フロスト日和」「夜のフロスト」と読み、毎度毎度のことながら次々と発生する事件に巻き込まれながらも、行き当たりばったりの捜査と下品なジョークで何とか切り抜ける手腕は、日本の中年サラリーマンぽくて好感が持てるのであった。

◆久しぶり、実に8年ぶりの邦訳となる「フロスト気質」は、のっけから難事件が次々と沸き起こり、フロストシリーズ健在だなあ、と堪能するのである。


8点/10点満点


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ロバート・ゲスト「アフリカ 苦悩する大陸」感想。
ルポ。2008年05月23日読了。

アフリカ 苦悩する大陸
ロバ-ト・ゲスト/伊藤真 /東洋経済新報社 2008/05出版 323, 20cm ISBN:9784492211779 \2,310(税込)

◆今年初めての10点満点の本。

◆原著は2004年に出版され、(たぶん)2008年4月に出版された。原著が4年前の本なので、ところどころ訳注が入っている。

◆著者紹介(紀伊国屋Bookwebより)
ロバート・ゲスト
経済誌『エコノミスト』の元アフリカ担当編集長。1990年代に英国紙『デイリーテレグラフ』の日本特派員を務めたあと、『エコノミスト』特派員として南アフリカを拠点に7年間にわたりアフリカを取材。世界各地で50か国以上の取材経験を持つ。民族紛争、開発問題、そして熱帯雨林を走る運搬トラック同乗記など、アフリカに関する報道で外国人記者協会賞など複数の国際的な賞を受賞。現在は『エコノミスト』の米国特派員として、妻と3人の子供たちとワシントンDC在住。

◆各章紹介
第1章 吸血国家―エリートによる、エリートのための独裁主義
第2章 ダイヤを掘る、墓穴を掘る
第3章 「眠れる資産」が繁栄へ道を拓く
第4章 セックスは死と隣り合わせ
第5章 宿怨の三つの温床―部族主義、派閥主義、人種主義
第6章 どうする?援助と自由貿易
第7章 でこぼこ道と盗人警官
第8章 ハイテク技術は「貧困」を救えるか?
第9章 南アフリカは「希望の星」になれるか?
結論 一歩ずつ確実に―「豊かな」未来へ向けて

◆経済発展しつつあるアフリカ諸国であるが、まだ多くの国で政治腐敗が横行し、一部の富裕層(それは政府上層部に直結していることが多い)だけが富み、多くの貧困層は相変わらず貧困のままである。経済誌「エコノミスト」記者として、経済的な目線からアフリカ諸国が抱える問題点をルポした本書は、今まで読んできたアフリカ関連書とは違った切り口で新鮮である。

◆著者の見解では、アパルトヘイトを廃止し黒人政権ができた南アフリカが発展した理由は、黒人政権ANC(マンデラの政権)がソ連崩壊をきっかけにマルクス社会主義と決別したからであるという。マルクス主義との決別を見た南アフリカの白人及び先進諸国の投資家は、南アフリカに投資しても財産が没収される危険性が無くなったと判断し、投資を行うようになった。逆にイギリスの植民地であり自由な経済だったジンバブウェは、黒人大統領ムガベによる白人の土地の強制収容など、投資家をびびらせる政策を実行したため、ジンバブウェ経済は崩壊してしまった。(第1章)

◆先進諸国の人権活動家は、アフリカ諸国から安く農作物(コーンフレークやカカオなど)を輸入することは、安い労働力として子供を働かせることにつながる、言い換えれば先進諸国が搾取していることなのだ、と言うが、著者はこれに異を唱える。先進国の活動家や労組がこのように唱え、アフリカから農作物を輸入しなくなったとき、困るのはアフリカの農民だ。アフリカの農民は、カカオやコーンを売るしか現金を得る方法がない。先進国が農作物を買ってくれないと、農民は現金を得ることができなくなり、ただでさえ子供を満足に学校に通わせることができないのに、現金を得ることができなくなったらますます学校に通わせることなど難しくなってしまう。(第6章)

◆またカメルーンでは、ギネス社のビール運搬トラックに同乗し、ドゥアラという港湾都市からベルトゥアという田舎町まで約500キロの道のりを行く。1泊2日の予定で出発したが、結局目的地までは4日かかり、1600ケースの瓶ビールは、賄賂で取られたなどの理由で2/3に減っていた。道路が少しまともで、警官による検問(=賄賂の強要)がなければ、カメルーンでももっと多くの商売ができる。田舎町の人だってビールを飲みたいのだ。(第7章)

◆経済的な側面から見たアフリカという切り口はとても新鮮で興味深く読めた。今年一番の本であるだけでなく、今まで読んだアフリカ関連書籍の中でも有数の本だった。満足。


10点/10点満点

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ジョン・ウッド「マイクロソフトでは出会えなかった天職」感想。
人生について考える本。2007年10月10日読了。

マイクロソフトでは出会えなかった天職―ぼくはこうして社会起業家になった
ジョン・ウッド/矢羽野薫 /ランダムハウス講談社 2007/09出版 287p 20cm ISBN:9784270002483 \1,680(税込)

マイクロソフトの国際部門でオーストラリア、中国に赴任、中国では事業開発担当重役にまで出世した著者。

忙しい中休暇を取り、ネパールにトレッキングに行く。そこで見たものは、小学校の図書館に本がほとんどない現実。多少の迷いはあったが、著者はマイクロソフトの要職を投げ捨て、ネパールの子どもたちに本をプレゼントするNPO法人を作る。本を集める方法は、知人に片っ端からメールを送り、いらなくなった本を送ってくれ、それを私(著者のこと)がネパールの子どもたちに送り届ける、というもの。

マイクロソフトで培ったビジネスセンスを元に、ボランティア法人は金が必要なのであり、寄付金を得るためには、自分たちの目的を包み隠さず話し、成果を目に見える形にする。3000ドルの寄付で図書館を開設できる、10000ドルの寄付で図書館を建設できる、15000ドルの寄付で学校を建設できる。

ネパールでのボランティアに成功し、カンボジアやベトナムにも援助の手を広げる。



マイクロソフトで稼いだお金を元にスタートさせたプロジェクトだけど、実際のところ著者はほとんど手弁当。NPO法人のスタッフには給料を払っているけど、著者はマイクロソフト株のストックオプションを切り崩して暮らしている。もう家を買うほどのお金は残っていない。けど、この新しい人生は充実している。


見習いたい生き方だ。


6点/10点満点

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ジェシカ・ウィリアムズ「みんなで考えよう 世界を見る目が変わる50の事実」感想。
世界問題の易説書。2007年06月30日読了。

みんなで考えよう 世界を見る目が変わる50の事実
ジェシカ・ウィリアムズ/酒井泰介 /草思社 2007/05出版 157p 21cm ISBN:9784794215888 ¥1,470(税込)


私は当ブログに載っけているような本ばかり読んでいるので、本書に載っている衝撃的な真実は聞いたことのあるような話ばかり。けど、本書は小中学生向けに書かれた本みたいなので、初めてこういう話に接する子どもにとっては(私と違って)とても新鮮にかつ衝撃的に感じると思う。

そういう意味ではとても良い本で小中学生には是非とも読んで欲しいのだけれども、この本の価格が1470円と高額なので、著者(イギリス人)の思惑に相反して日本の対象読者の手元に届かないだろう。

出版社(日本)の思惑としては、学校の図書館に入ってくれれば、とか思っているのかも知れないけど、図書館に入ったってこういう堅苦しい感じのする本は、なかなか読まれないのではないかと思う。

装丁とか紙質とか徹底的に無駄を省き、500円くらいで売らないと、本当に読んで欲しい年齢層には届かないような気がする。

もったいない本だ。


4点/10点満点

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マーシャ・エンジェル「ビッグ・ファーマ」感想。
製薬業界告発ドキュメンタリー。2006年09月04日読了。

ビッグ・ファーマ 製薬会社の真実
マーシャ・エンジェル/栗原千絵子 /篠原出版新社 2005/11出版 335p 22cm ISBN:4884122623 ¥2,415(税込)

アメリカの製薬業界と、製薬業界にぶら下がっているロビイストと政治家は腐りきっている。
その驚くべき実態が書かれた衝撃のノンフィクションである。
著者は2000年までニューイングランド医学雑誌の編集長を務めていた医師で、医療に関する歯に衣着せぬ批評(批判)は、高い評価を受けている。

本書に書かれている内容をかいつまんで説明すると、

・アメリカでは、処方箋薬の一般大衆向け広告が許されている。(日本を含む先進諸国ではほとんど認められていない)

・アメリカでは、薬価は製薬会社が自由に設定して構わない。(日本を含む先進諸国の多くでは薬価は国や保険機関が設定する)


それらを応用して、


・アメリカの製薬会社は、研究開発費より多額の広告宣伝およびマーケティング費を使っているが、研究開発費が不足しているという理由で薬の値段を上げる。

・アメリカの医師は、年間100単位ほどの研修受講を義務づけられているが、受講プログラムを作成している団体のスポンサーは製薬会社であり、講義の内容は●●社の▼▼という薬は良く効くので使いましょう、という内容であり、更に講義に出席した医師には交通費やおみやげが●●社から支払われる。▼▼という薬はもちろん値段が高く利益率の良い薬である。

・フォーブスに発表されている企業トップ500、そこに製薬会社が10社ランクインしているが、この10社の経常利益の合計額は、残り490社の合計金額より多い。つまり、製薬会社は凄まじいほどボロ儲けしているのだ。

・しかしながら。2000年から2003年までの4年間でアメリカで承認された新薬は314品目あるが、画期的新薬といわれるのはわずか32個しかなく、そのうち上記大手10社が開発したのはたったの7個しかない。それなのに大手10社は研究開発費が不足して新薬が開発できないなどとのたまっている。(画期的新薬を開発するのは、大学の研究機関だったり小さな製薬会社だったりする。大手10社は、その使用権を買うのだ)

・ではどのようにして大手10社は儲けているのか。実は簡単な話で、Aという売れている薬があり、その特許がまもなく切れようとしているとする。製薬会社はAの成分をほんの少しだけ組成変更したAAという薬を開発し新たに特許を取り、得意の広告宣伝マーケティングでAは古い薬だからAAを使いましょう、と宣伝する。Aは特許が切れた途端にジェネリック薬が売り出されてしまい製薬会社の儲けが少なくなるが、AAは特許で守られているので好きなように値段を設定できるのだ。

・更に、上記で書いたAAという薬だが、Aより良く効く薬であるとは限らない。アメリカの薬の承認機関FDAは、AAが薬としての基準を満たしているかを判断する機関であり、以前より良く効く薬であるかどうかは判断基準ではない。


他にも製薬会社の腐敗した行動が、これでもかと出てくる。


実例をひとつ。(適切でない用語があるやもしれず、容認されたし)

・私は8年前から富山化学工業という日本の製薬会社の株を持っている。
・富山化学は画期的な抗菌剤を開発した。
・富山化学はその抗菌剤をアメリカのシェリング・ブラウ社に売った(確か最初に250億円+FDA認可で200億円+別途販売ロイヤリティ)。
・シェリング・ブラウ社はその抗菌剤の承認申請をFDAに出した。
・バイエル社がアメリカ撤退することになり、バイエル社の薬のアメリカ販売権をシェリング・ブラウ社が買った。
・バイエル社の薬の中に、富山化学の抗菌剤と競合する薬があり、競合薬の特許は2011年まであった。但し、富山化学の抗菌剤の方が明らかに効き目がよいと言われている。
・シェリング・ブラウ社は、競合薬の特許が切れる前に富山の抗菌剤を売るのは勿体ないと考え、FDAへの承認申請を取り下げた。
・シェリング・ブラウ社は、2008~9年に、再び富山の抗菌剤の承認申請を行うだろう。

・FDA認可で入手するはずだった200億円の売上げが先延ばしにされた富山化学の株価は、約1300円から700円台まで急落した。本日は600円台である。私は300円台の時に買っているから痛くも痒くもないが、ヤケドをした投資家は大勢いると思う。


興味のない人にはつまらない本だと思うが、少しでも興味のある人は読んで損のない本だ。少なくとも、医学関係者は是非読んで欲しい。


8点/10点満点

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