古川日出男「アラビアの夜の種族 III」感想。
ファンタジー。2009年02月18日読了。

古川日出男 / 角川書店 2006/07 ¥660 (税込)
◆あらすじ(紀伊国屋Bookwebより)
栄光の都に迫る敵軍に、エジプト部隊は恐慌を来し遁走した。
『災厄の書』の譚りおろしはまにあうのか。
奴隷アイユーブは毎夜、語り部の許に通い続ける。
記憶と異界を交差しながら譚りつむがれる年代記。
「暴虐の魔王が征伐される。
だが地下阿房宮の夢はとどまらない―」。
闇から生まれた物語は呪詛を胎み、術計は独走し、尋常ならざる事態が出来する!書物はナポレオンの野望を打ち砕くのか??怒涛の物語、第三部完結篇。
◆第1巻の冒頭に、本書は著者のオリジナル小説ではなく、作者不詳の「The Arabian Nightbreeds」の英訳を底本にして「できるかぎり粉飾的な日本語化を意図した」日本語訳であるり、作中に登場するイスラム世界の解説など「しばしば訳註を挿入した」本であると書かれている。第3巻の巻末、いわゆるあとがきにあたる部分でも原著の解説をしている。しかし「The Arabian Nightbreeds」をどう検索しても、その存在が見つからない。つまりこの本はあとがきに至るまで作り込まれた小説なのだろうか?
◆と思って普通に日本語で検索したら、全部作り話ですと記すブログがいくつか見つかった。
http://meimu.sakura.ne.jp/page061.html
http://d.hatena.ne.jp/kei-s/20061023/1161628912
http://ururun.at.webry.info/200708/article_5.html
そうだったのか、どおりで原著が見つからないわけだ。
◆文庫版でおおよそ1,000ページにわたる長い物語。難しい言い回しが多く、物語中の現在であるナポレオンがカイロへ進軍する1798年と、劇中劇であるアーダム・ファラー・サフィアーンの話が入り交じる構成は、最初は興を削ぐと思っていたが、いつのまにか「夜が朝に代わり、朝が夜に代わる。そして第○○夜は訪れる」の言葉が待ち遠しく、アーダム・ファラー・サフィアーンの話の虜になっている自分に気づく。
◆結末は好き嫌いが出るだろうが、失望することはない。私はじゅうぶんに堪能した。
8点/10点満点
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