カテゴリー「◆小説・ミステリ系統」の記事

2017/02/01

ドン・ウィンズロウ/峯村利哉訳「ザ・カルテル(下)」感想。
メキシコ麻薬戦争小説。2017年01月14日読了。

小説を読んだのは、麻野涼「死の臓器」2015年08月04日読了。2点。以来である。

下巻(約580ページ)は3日で読んでしまった。

先が知りたくて止まらない。そういう小説だった。

メキシコ麻薬戦争の(たぶんかなりリアルな)今を反映しているので、殺し方は残忍だし、まさかこいつが?!と思う連中が買収されているし、こいつらが手を組むのか!という展開もある。

セータ隊という国軍のエリートが作った麻薬組織が出てくるが、これはロス・セタスという実在の麻薬カルテルをモデルにしている。(ロス・セタスでググると超絶グロ画像がいっぱい出てくる→麻薬カルテルは敵対組織に恐怖を植え付けるため、惨殺した被害者を写真にとってネットにアップしている)

リアリティがありすぎて恐ろしいのだが、先を読まずにはいられない。たぶん全世界中の読者がそう思いながら読んだだろう。

ラストは好き嫌い分かれると思うが、私は嫌い。つまらない。

でもこの小説は、ラストは重要じゃない。本書では前作「犬の力」の後、2004年から2012年までの麻薬戦争を書いている。なぜメキシコはここまでひどくなってしまったのか、その過程を書き切っていることが本書の肝だと思う。

ちなみに、前著「犬の力」と本書「ザ・カルテル」を合わせて、リドリー・スコット+ディカプリオで映画化されるそうである。

9点/10点満点

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017/01/31

ドン・ウィンズロウ/峯村利哉訳「ザ・カルテル(上)」感想。
メキシコ麻薬戦争小説。2017年01月11日読了。

本屋に行ったら、本書が平積みされていた。

ドン・ウィンズロウ/東江一紀訳「犬の力・上」2014年04月13日読了。8点
ドン・ウィンズロウ/東江一紀訳「犬の力・下」2014年04月14日読了。7点

の続編である。メキシコ麻薬戦争の当事者(取り締まる側と、取り締まられる側)を扱った、超一級の小説であった「犬の力」。個人的にはラストが気に入らなかったのでちょっと辛めの採点をしたが、

2014年に書いたブログより
>物語は、1997年、メキシコのある集落で、一族19人が麻薬マフィアに惨殺されたシーンから始まる。一族にマフィアの裏切り者がいた。裏切り者は、バナナのように顔の皮を剥がされて殺されていた。アート・ケラーは、自分の落ち度でこの事態を招いたと悲しむ。

この真相はそうとう後にならないと出てこないが、小説の仕掛け(開けっ広げな伏線)としては有効だった。

その続編である。これは読まなくてはならない。

とはいうものの、文庫本なのに1冊1200円+税。めちゃくちゃ値段が高い。ちなみに上巻は632ページ。ページ数を考えるとやむを得ない価格なのかな。

それと、訳者としての力量が素晴らしかった「犬の力」の訳者、東江(あがりえ)一紀氏が他界してしまったので、誰が翻訳するのかによって読後感が大きく異なるだろうという不安もちょっとあった。(引き受けた翻訳家=峯村利哉氏だって、東江氏と比べられる重責を覚悟のうえで引き受けられたのだろう)

「犬の力」は1975年から1999年までの戦いを書き、ラスト数ページに、2004年の主人公の心境が書かれている。

さて本書。

知っている人は知っていると思うが、メキシコ麻薬戦争はここからが本番である。19人の死に主人公アート・ケラーが心を痛めたいたのが前著「犬の力」。

しかしメキシコ麻薬戦争(全く知らない人はwikipediaを読んでね)では、1年で1万人以上が殺されている。麻薬組織同士の抗争VS警察(ほとんど買収されている)VSメキシコ軍(やっぱり買収されている)VSメキシコ政府直轄の麻薬撲滅チーム(親族が麻薬組織に殺されているので絶対に買収されない)という泥沼。

各勢力は、始めはただ敵対勢力を殺していたが、だんだんとエスカレートし、生きたままガソリンをかけて焼き殺す、生きたままチェーンソーで両手両足首を切って殺す、生きたまま額の髪の生え際を切って顔面の皮をはいで殺す。イスラム国も真っ青な方法で殺しまくった(というか、イスラム国の残虐さはメキシコ麻薬戦争を参考にしたと思われる)

まあ、そういうグロい部分も多いが、読み始めたら止まらなくなった。5日で読んでしまった。

「犬の力」をちょっと辛めの採点にしたのは、私が「犬の力」を読んだ2014年の時点で、メキシコ麻薬戦争は小説(「犬の力」)よりも酷くね? と違和感を抱いたからだと思いだした。


8点/10点満点

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015/08/27

麻野涼「死の臓器」感想。
サスペンス小説。2015年08月04日読了。


つい最近、高橋幸春「だれが修復腎移植をつぶすのか」2015年07月28日読了。7点
を読んだ。

この著者、高橋幸春氏はルポ・ノンフィクションを発表する時の名前で、小説を書く時は麻野涼というペンネームを使っている。

本書は、その麻野涼が書いた臓器売買を巡るサスペンス小説である。WOWOWでドラマ化されることになったので、本屋で平積みされていた。平積みされた本書の内容に興味が湧き、買った。立ち読みはしていない。

その後ネットで調べたらルポ・ノンフィクションも書いていて、しかも私が興味を持っている臓器移植関連だったので、すぐさま「だれが修復腎移植をつぶすのか」を買い、そちらを先に読んだ。


で、本書。


冒頭の5ページほど立ち読みすればよかった。


ストーリーありきで小説を書いた(と思われる)ので、登場人物全員に魅力がない。


うん、この小説はつまらない。


2点/10点満点

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014/04/27

ドン・ウィンズロウ/東江一紀訳「犬の力・下」感想。
メキシコ麻薬戦争小説。2014年04月14日読了。

上巻は4~5日かけて読んだが、下巻は一日で一気に読んだ。

ストーリーは文句なく面白い。ノンストップで先を読みたくなる面白さだ。


だが、不満もたくさんある。

後半になればなるほど、映画のシナリオ的な神様視点の描写が増え、ちょいと白ける(好き嫌いなので個人差があると思います)

メイン主人公のアート・ケラーのクソ甘っちょろい考え方は、アホ、ボケ、殺されてしまえ、というくらい甘っちょろくて、こいつをメイン主人公に据えたのはなぜなのか理解に苦しんだ。たぶん、キリスト教徒アメリカ人の標準的な考え方なのだろうが。

※訳者あとがきによると、本書のタイトルである「犬の力」とは、旧約聖書に出てくる言葉なのだそうだ。

主人公クラスの登場人物が多数いるので、誰に感情移入して読めばいいのかなあ、アート・ケラーは自分の目的のために仲間の命を奪われてしまうくそったれ(個人の感想です)なので感情移入できないなあ、などとも思ったり。

カランは、バイクを始末するという思考に至りながら、同じ場所に1ヶ月も滞在した。何でだ?なんでそんなバカな行動をしたのだ?

大桃、小桃、オバップは、なぜ手下と化したのか?どこか読み落としたかなあ。

下巻p265
ノーラはラウルに電話して、その旨を伝え、切った後で、リーに言う。「うちのボスにも電話して、予定変更の了解を取らないと」
なんでリーはこれをOKするのかなあ。それまでの慎重な行動からは理解できないなあ。


という細かい好き嫌いはあるけど、ストーリーは面白かった。


人を殺す描写が多すぎるが。

7点/10点満点

上巻はこちら

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ドン・ウィンズロウ/東江一紀訳「犬の力・上」感想。
メキシコ麻薬戦争小説。2014年04月13日読了。

ドン・ウィンズロウは、探偵ニール・ケアリーシリーズで人気が出た作家。
「ストリートキッズ」(このブログを始める前に読んだ)
「仏陀の鏡への道」
「高く孤独な道を行け」
を読んだことがある。

本書「犬の力」は、2010年の「このミステリーがすごい」海外編第1位の作品。

つまり、かなり面白い小説と考えて良い。


このミスで1位を獲ったと知り、ドン・ウィンズロウはまあまあ好きな作家だったので買ったが、ずっと積ん読。さいきん積ん読本消化に励んでいるのでようやく読んだ。


1975年から1999年まで、メキシコの麻薬マフィアと闘ってきたDEA(全米麻薬取締局)のアート・ケラーの物語。

とは言うものの、アート・ケラーは主人公の一人で、麻薬マフィアのボス、ボスの甥っ子、マフィアに加わるニューヨークの底辺の若者、殺し屋を職業にしてしまうメキシコのお坊ちゃま、ケラーの敵なのか味方なのか分からないCIAの上級職員、エグゼクティブだけを相手にする高級娼婦、神父。

いろんな人間が主人公クラスで登場する。


物語は、1997年、メキシコのある集落で、一族19人が麻薬マフィアに惨殺されたシーンから始まる。一族にマフィアの裏切り者がいた。裏切り者は、バナナのように顔の皮を剥がされて殺されていた。アート・ケラーは、自分の落ち度でこの事態を招いたと悲しむ。


そして物語は、なぜこの事態を招いたのか、長い長い説明をするため、1975年に遡る。

アメリカ人のアート・ケラーが麻薬を取り締まるためDEAに入局し、アメリカの公機関がメキシコ国内で掃討作戦を展開するという展開。

最初は、なんでアメリカの公機関がメキシコ国内で掃討作戦を展開出来るんだろう?という疑問がつきまとったが、読み進めていくうちに解消。


血なまぐさい描写(生きた人間の生皮を剥ぐ等)が結構出てきたし、後半への伏線なのか、主人公が誰だかイマイチ分からないくらい主要登場人物がいっぱい出てくるし、上下巻に及ぶ長い小説にありがちだけど、こいつは誰だっけ?という人物が出てくる度に頁を前に戻して確認したり。

そんなこんなで、上巻は4~5日かけて読んでいった。


8点/10点満点

下巻はこちら

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014/04/19

R.D.ウィングフィールド/芹澤恵訳「冬のフロスト(下)」感想。
ミステリ。2014年04月08日読了。


※保存ボタンを押すと、エラーが出て書いた内容が全部吹っ飛ぶ。ココログ死になさい。ああ、ちくしょう。


モーガンという出来の悪い刑事(?)が出てくる。本当に出来が悪い。フロスト警部は部下を庇うのだが、モーガンに関しては、なぜ庇うのか理解できなかった。

リズという女性警部(補?)が出てくる。ラスト間際、リズ警部の扱いが、あまりにもひどい。

ラストが私好みではなかった。すっきりしない。


等々のモンクはあるけど、下巻は1日で一気読み。


(些細な?)モンクはあったけど、一気読みするくらいの面白さだった。


相変わらず直感だけで動くフロスト警部と、そのフロスト警部を信用している部下たちと、フロスト警部を全く信用していないマレット署長。これらが繰り広げるドタバタノンストップ劇場は、読んでいて十分な満足感を得られた。


面白かったよ。


8点/10点満点

シリーズ第1作「クリスマスのフロスト」 原著1984年、日本語版1994年

シリーズ第2作「フロスト日和」 原著1987年、日本語版1997年

シリーズ第3作「夜のフロスト」 原著1992年、日本語版2001年

シリーズ短編2作目「夜明けのフロスト」 原著2001年、日本語版2005年
注:いろんな作家の短編アンソロジー。フロストシリーズは1本だけ

シリーズ第4作「フロスト気質・上」 原著1995年、日本語版2008年

シリーズ第4作「フロスト気質・下」 原著1995年、日本語版2008年


シリーズ第5作「冬のフロスト・上」 原著1999年、日本語版2013年

残すところはシリーズ第6作「A Killing Frost」 原著2008年のみ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

R.D.ウィングフィールド/芹澤恵訳「冬のフロスト(上)」感想。
ミステリ。2014年04月07日読了。

フロスト警部シリーズの5作目。2013年6月に出版されたのだが、出版されたことを知らなかったので2014年になってから(だったかな?)買った。文庫本なのに1300円+消費税。いくらなんでも高いよ。

フロスト警部シリーズというのは、
1984年(和訳1994年)に出た「クリスマスのフロスト」を皮切りに、
1987年(和訳1997年)「フロスト日和」
1992年(和訳2001年)「夜のフロスト」
1995年(和訳2008年)「フロスト気質」
1999年(和訳2013年)「冬のフロスト」本書
2008年「A Killing Frost」

の全6作からなるシリーズである。なぜ全6作かというと、作者のR.D.ウィングフィールドが2007年に死んでしまったから。原著も24年にわたって書かれた話なのだが、和訳もずいぶんと出るのが遅い。今回読んだ「冬のフロスト」は原著の出版が1999年なので、まだ携帯電話が普及し始めたばかりである。

携帯電話のみならず、犯罪の手口に直結するテクノロジーはこの10~20年で急激に進歩したので、ミステリ作家にとっては難しい時代が続くんだろうな。たとえて言うなら、ポケベルを使った画期的なミステリでベストセラーになった小説が、今ではポケベルの使い方を覚えている人が少なくなったので、「さっぱり意味が分からない」小説という評価を受けてしまうような感じ。

社会生活のディテールを詳しく書くことで、日常の雰囲気を引き出すタイプの作家さんは、さぞかし苦労されているのでしょう。

携帯電話だっていつ消えるか分からないし、パソコンが消える日も近いかもだし。

さて本書。

イギリスのデントン市(架空の都市という話)のフロスト警部は、妻に先立たれ、仕事をする以外に能がない男。でもがさつで、どこでもタバコを吸い(殺人事件の被害者宅に事情聴取に行き、被害者宅で許可も得ずにタバコを吸うなど)、いつでもブラック過ぎないブラックジョークを飛ばし、部下の残業代が予算超過にならないか毎日のようにマレット署長から小言を言われ、毎日のようにマレット署長を騙し、被疑者と思われる人物の自宅を捜査令状無しで急襲し捕まえ、無実だったことが分かり平謝りし、懲戒処分を気にしていたら目の前の操作ができなくなるから自分の失態はとりあえず頭の片隅に押しのけて、兎にも角にも捜査に突き進む。的外れな捜査が多々あるけど。

そういうフロスト警部が今回巻き込まれたのは、
・8歳の女の子が行方不明になり、誘拐も視野に入れて捜査中に、
・枕カバー強盗と呼ばれる連続強盗犯が犯行、
・売春婦が裸で絞殺され路上に死体遺棄、
・コンビニで銃を使った強盗が発生、
・酔っ払いのフーリガン数十人が暴れているので全員警察署に連れて来る、
・マレット署長が、地域の署長会議で、自分の出世のため他の地域への警官派遣を安請け合いしてしまったため、警官十数人が他地区の応援に出払ってしまってもう大変。
・強姦された!と言う被害妄想を持っている処女のオバサンがしつこく強姦被害の捜査を迫る


なーんてことが、1日か2日の間に次々と発生する。

あまりにも次々と事件が起こるため、読んでいる方は日付の感覚が分からなくなるくらいである。


8点/10点満点

シリーズ第1作「クリスマスのフロスト」 原著1984年、日本語版1994年

シリーズ第2作「フロスト日和」 原著1987年、日本語版1997年

シリーズ第3作「夜のフロスト」 原著1992年、日本語版2001年

シリーズ短編2作目「夜明けのフロスト」 原著2001年、日本語版2005年
注:いろんな作家の短編アンソロジー。フロストシリーズは1本だけ

シリーズ第4作「フロスト気質・上」 原著1995年、日本語版2008年

シリーズ第4作「フロスト気質・下」 原著1995年、日本語版2008年


シリーズ第5作「冬のフロスト」 原著1999年、日本語版2013年(本書)

残すところはシリーズ第6作「A Killing Frost」 原著2008年のみ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010/10/11

松村美香「ロロ・ジョングランの歌声」感想。
経済サスペンス小説。2010年10月05日読了。

にほんブログ村 本ブログへブログランキングに参加しております。
バナーをちょこっと押していただけると恐悦至極なり。

ロロ・ジョングランの歌声

第1回城山三郎経済小説大賞を受賞した作品。

この賞はなんぞや? → 週刊ダイヤモンドを出版しているダイヤモンド社が主催している小説の賞。当初はダイヤモンド経済小説大賞だったが、第4回目から城山三郎経済小説大賞に名前を変えた(賞の回数もリセットされた)。週刊ダイヤモンドは小説好きに響かないけど、城山三郎なら知っている小説好きも多い。まあこの賞は名前を変えて成功したんじゃなかろか、と勝手なことを宣う。

それはそれとして。

本書「ロロ・ジョングランの歌声」と第2回城山三郎経済小説大賞を受賞した「ピコラエヴィッチ紙幣」、どちらもけっこう完成度が高いよ、という風の噂を聞き、購入→積ん読。

失業保険の給付期間が終わってしまって、住宅ローンが重くのしかかって暫く新刊本は買えないから、積ん読本を消化するべく読み出した。


本書は、インドネシアおよび東ティモールへの日本の経済支援(いわゆるODA)と、それに群がる国際コンサルタント、そしてボランティアで援助を行う国際NPOにまつわる”どろっ”とした現実をベースに、主人公で新聞社系雑誌編集者の人間関係が入り交じるという展開。

著者は、筑波大学で修士(経営学)を取得、国際開発コンサルタントとして、カンボジア、インドネシア、モンゴル、ザンビア、パレスチナなどの開発調査に参加した経歴を持つ人なので、臨場感と生々しさがよく伝わってくる。

地震災害を援助するNPOの女性の台詞(本書87ページより)
「天変地異なんて気が楽よ。人災とは違う天災で、ここの被害者は純粋に被害者なんですもの。誰を恨むでもなく、誰のせいでもなく、ただ、大地が揺れた。大地が揺れて、大勢の人が等しく被害に遭って、同情すべき気の毒な状況にある。そうした人たちを手助けするためには、何の取り繕った大義名分も用意する必要がないわ。ただ、被災者に対して気の毒だから支援をしているだけだもの。それで全ての説明がつく。それって、支援する側にとっては気分的にストレスがない。正義と善意で、全ての説明がつくのよ」

政治的難民を援助するのと、天災の被災者を援助するのでは、援助側の気分が違うということを表した台詞だが、何というか、見事。


後半の人間関係や話の展開は個人的に気に入らないが、国際援助に関する生々しい現実をテーマにしているわりにあまり嫌な気分にならないのは、著者の書くそこそこ詩的な文章が、本書のテーマ性を損なうことなく話を進めるのに上手くはまったということなんだろう。


いやでもやっぱりラストはとても気に入らないのだが。


7点/10点満点


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/05/13

ヴィカス・スワラップ「ぼくと1ルピーの神様」感想。
ミステリ系なのか?2009年05月07日読了。

ぼくと1ルピーの神様
ヴィカス・スワラップ/子安亜弥 / ランダムハウス講談社 2009/02 ¥840 (税込)

◆あらすじ(紀伊国屋Bookwebより)
クイズ番組でみごと全問正解し、史上最高額の賞金を勝ちとった少年ラム。
警察は、孤児で教養のない少年が難問に答えられるはずがないと、不正の容疑で逮捕する。
しかし奇蹟には理由があった―殺人、強奪、幼児虐待…インドの貧しい生活のなかで、少年が死と隣あわせで目にしてきたもの。
それは、偶然にもクイズの答えであり、他に選びようのなかった、たった一つの人生の答えだった。
話題の映画『スラムドッグ$ミリオネア』原作、待望の文庫化。


◆アカデミー作品賞を取った映画「スラムドッグ・ミリオネア」の原作小説。インド人で、在南アフリカ・インド大使館に勤める外交官ヴィカス・スワラップの作家デビュー作。原著はまずイギリスで出版されたとあるので、英語で書かれたのだろう。

◆構成が見事。この物語の舞台となるクイズ・ミリオネアは、主人公の貧しい少年ラム・ムハンマド・トーマスの過酷な人生を浮かび上がらせるための添え物で、映画(まだ見てないけど)では重要かも知れないが、この小説においてはそれほど重要ではない。

◆あまりにも偶然に偶然が重なってしまう展開に白けてしまう、インド貧困層の描き方が嘘くさく感じてしまう、18歳の主人公がこれほど過酷な人生を歩むなんて考えられない、などの理由で受け付けられない人も多いのではないかと思うが、、、

◆私は文句なしに面白く読めた。

◆今まで読んできたドキュメンタリーやルポ、バックパッカー旅行記などで知り得たインドと、この小説で書かれているインド貧困層は違和感が無く、インドならあり得る話だよなあ、と思えるのだった。

◆海外翻訳物は、原著がどれだけ絶賛されていても、翻訳者に小説を書く能力が足りないと、まったく面白くないものになってしまう。だが本書は翻訳もよかった。ストーリーがよく構成もよく翻訳もよい。久々にとても面白い翻訳物を読み、堪能した。万人に薦められる本ではないが、当ブログに書いている私の感想に多少なりとも共感を抱いてくれている方なら、たぶん、はまる。


10点/10点満点


にほんブログ村 本ブログへブログランキングに参加しております。
バナーをちょこっと押していただけると恐悦至極なり。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/02/06

R.D.ウィングフィールド他「夜明けのフロスト」感想。
ミステリアンソロジー。2009年01月28日読了。

夜明けのフロスト―『ジャーロ』傑作短編アンソロジー〈3〉<br />
R.D.ウィングフィ-ルド/木村仁良 / 光文社 2005/12 ¥599 (税込)

◆本書はフロストの中編を含むミステリアンソロジー。30ページくらいの短編6本と100ページのフロスト中編が収められているが、海外ミステリに強くない私は、フロストを書いたウィングフィールド以外聞いたことがない作家ばかり。かなり昔に、「おっ、フロストシリーズだ」と思って買ったらアンソロジーでがっかりしてそのまま積ん読になってしまった本。「フロスト気質」を読んだ勢いで、本書も読んでみた。ちなみに読んだのはフロストのみ。

◆で、そのフロスト中編は、中編なにのいくつかの事件が連続して発生するのだが、中編であるがゆえにサクサク事件が解決してしまって、とどのつまり事件が簡単に解決して苦悩しないフロストの姿が描かれており、イマイチなのである。やっぱりフロストシリーズの魅力は、事件がちっとも解決しないのに次から次へと新たな事件が沸き起こって困ってしまうフロストの姿にあるのだなあ、と思う次第。


5点/10点満点


にほんブログ村 本ブログへブログランキングに参加しております。
バナーをちょこっと押していただけると恐悦至極なり。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

00◆成田やトランジット(JFK・パリ・マドリッド) | 01◆ブラジル(サンパウロ・サンルイス・レンソイス・マナウス) | 02◆アルゼンチン(イグアス・カラファテ・ウシュアイア・ブエノス) | 03◆チリ(サンチャゴ・イースター島・バルパライソ) | 04◆ボリビア(ラパス・ウユニ) | 05◆ペルー(クスコ・マチュピチュ・リマ) | 06◆エクアドル(グアヤキル・ガラパゴス諸島) | 07◆スペイン(マドリッド・バルセロナ) | 08◆トルコ(イスタンブール・カッパドキア・パムッカレ) | 09◆ヨルダン(ペトラ遺跡・アンマン) | 10◆シリア(ダマスカス・パルミラ遺跡) | 11◆エジプト(カイロ・アスワン・アブシンベル) | 12◆モロッコ(マラケシュ) | 13◆南アフリカ(ヨハネスブルク・ケープタウン) | 14◆ナミビア(ウィントフック・ナミブ砂漠・スワコプムント) | 15◆ジンバブエ(ヴィクトリアフォールズ) | 16◆ザンビア(側のヴィクトリアフォールズ) | 17◆ボツワナ(チョベ国立公園) | 18◆香港・マカオ | 19◆インド | 20◆フィリピン留学記 | 21◆インドネシア・スラウェシ島・マナド10泊旅行 | ■09年11月からの世界一周の小ネタ | ■09年11月から世界一周! | ■09年11月から世界一周!の準備 | ■09年11月から世界一周!の近況 | ■09年11月から世界一周!参考書籍 | ■2006年夏・ケニアに行く | ■2007年夏・アンコール遺跡に行く | ■2008年1月・ボルネオ島に行く | ■2008年4月・週末海外でベトナム | ■2008年9月・週末海外で台湾 | ■アフリカ | □グインサーガ | □スターウォーズ | □三国志 | ▲スティーヴン・キング | ▲京極夏彦 | ▲佐藤賢一 | ▲北方謙三 | ▲夢枕獏 | ▲大沢在昌 | ▲天童荒太 | ▲宮部みゆき | ▲最早才能が枯渇し駄作家に成り果てた真保裕一 | ▲浅田次郎 | ▲熊谷達也 | ▲神林長平 | ▲福井晴敏 | ▲船戸与一 | ▲貴志祐介 | ▲逢坂剛 | ▲金庸 | ▲隆慶一郎 | △サイモン・シン/青木薫訳 | △下川裕治 | △堀田あきお&かよ | △宮田珠己 | △木村元彦 | △松本仁一 | △石井光太 | △船尾修 | △蔵前仁一 | △高木徹 | △高野秀行 | ◆小説・ミステリ系統 | ◆小説・伝奇小説 | ◆小説・冒険小説 | ◆小説・時代小説・歴史小説 | ◆小説・武侠小説 | ◆小説・純文学・青春小説 | ◆小説・経済小説・現代小説 | ◆小説・SFホラーファンタジー | ◇いわゆる新書 | ◇イスラーム他、宗教 | ◇エッセイ・紀行文 | ◇ガイドブック | ◇スポーツ関連書 | ◇テクノロジー | ◇データブック・記録集 | ◇ノンフィクション | ◇パソコン関連図書 | ◇ビジネス書 | ◇ルポ・ドキュメンタリー | ◇世界についての本 | ◇国際政治・地政学 | ◇実用書・ガイドブック | ◇歴史 | ◇科学 | ◇臓器移植・臓器売買・人身売買 | ◇語学などの勉強本 | ◇雑学・蘊蓄 | ◎写真集 | ◎美術書・アートブック | ●海外作品(原著英語) | ●海外作品(原著非英語) | ★惚れ惚れするほどの駄作 | ☆私の読書累計 | ☆私的10点満点 | ☆装丁がスバラシイ本 | アニメ・コミック | 携帯・デジカメ | 旅行・地域 | 日記・コラム・つぶやき | 映画・テレビ | 時事 | 書籍・雑誌 | 経済・政治・国際 | 音楽