松村美香「ロロ・ジョングランの歌声」感想。
経済サスペンス小説。2010年10月05日読了。
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第1回城山三郎経済小説大賞を受賞した作品。
この賞はなんぞや? → 週刊ダイヤモンドを出版しているダイヤモンド社が主催している小説の賞。当初はダイヤモンド経済小説大賞だったが、第4回目から城山三郎経済小説大賞に名前を変えた(賞の回数もリセットされた)。週刊ダイヤモンドは小説好きに響かないけど、城山三郎なら知っている小説好きも多い。まあこの賞は名前を変えて成功したんじゃなかろか、と勝手なことを宣う。
それはそれとして。
本書「ロロ・ジョングランの歌声」と第2回城山三郎経済小説大賞を受賞した「ピコラエヴィッチ紙幣」、どちらもけっこう完成度が高いよ、という風の噂を聞き、購入→積ん読。
失業保険の給付期間が終わってしまって、住宅ローンが重くのしかかって暫く新刊本は買えないから、積ん読本を消化するべく読み出した。
本書は、インドネシアおよび東ティモールへの日本の経済支援(いわゆるODA)と、それに群がる国際コンサルタント、そしてボランティアで援助を行う国際NPOにまつわる”どろっ”とした現実をベースに、主人公で新聞社系雑誌編集者の人間関係が入り交じるという展開。
著者は、筑波大学で修士(経営学)を取得、国際開発コンサルタントとして、カンボジア、インドネシア、モンゴル、ザンビア、パレスチナなどの開発調査に参加した経歴を持つ人なので、臨場感と生々しさがよく伝わってくる。
地震災害を援助するNPOの女性の台詞(本書87ページより)
「天変地異なんて気が楽よ。人災とは違う天災で、ここの被害者は純粋に被害者なんですもの。誰を恨むでもなく、誰のせいでもなく、ただ、大地が揺れた。大地が揺れて、大勢の人が等しく被害に遭って、同情すべき気の毒な状況にある。そうした人たちを手助けするためには、何の取り繕った大義名分も用意する必要がないわ。ただ、被災者に対して気の毒だから支援をしているだけだもの。それで全ての説明がつく。それって、支援する側にとっては気分的にストレスがない。正義と善意で、全ての説明がつくのよ」
政治的難民を援助するのと、天災の被災者を援助するのでは、援助側の気分が違うということを表した台詞だが、何というか、見事。
後半の人間関係や話の展開は個人的に気に入らないが、国際援助に関する生々しい現実をテーマにしているわりにあまり嫌な気分にならないのは、著者の書くそこそこ詩的な文章が、本書のテーマ性を損なうことなく話を進めるのに上手くはまったということなんだろう。
いやでもやっぱりラストはとても気に入らないのだが。
7点/10点満点
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