山本一郎「ネットビジネスの終わり」感想。
ビジネス書。2009年10月26日読了。

ネットビジネスの終わり―ポスト情報革命時代の読み方
山本一郎 / PHP研究所 2009/11 ¥999 (税込)

◆投資の面から見たネットビジネス、実態から見たネットビジネス、ネットビジネスの割を食って衰退する産業、いろんな角度から見た「投資家や起業家が夢見たネットビジネスの終わり」について書かれた本。切込隊長の得意分野であるITビジネスやコンテンツビジネス(アニメやゲーム)を中心に書かれている。

◆9月まで勤めていた会社では、ネット通販事業を(も)行っていた。そこで実感したのは、ネット通販事業自体は単なる物販で、魅力的な商品を適正価格で売るという、昔から変わらない商売だった。アニメの製作委員会への投資やアニメの制作そのものも行っていた。ゲームソフトも作っていた。私自身にそういう実体験があるから、切込隊長の言う終わりにも納得がいく。ただ、コンテンツビジネスの実態を見たことがない人には、なかなか理解が得られないかもしれない。コンテンツビジネスってのは本当に特殊だから。

◆それにしても以前にも増して小難しい言葉を使うようになっている。池田信夫を目指しているのかな。


7点/10点満点


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ビル・エモット「世界潮流の読み方」感想。
ビジネス書。2009年09月30日読了。

世界潮流の読み方<br />
ビル・エモット/烏賀陽正弘 / PHP研究所 2008/12 ¥819 (税込)

◆本書帯に、「世界同時不況で、欧米、日本、アジアはどうなるのか? 英国「エコノミスト」もと編集長が冷静かつ大胆に予測する!」と書かれている。

◆昨年末に出版されたちょっと古い本だったが、でも1年も経っていないのだから、興味深い話が載っているのだろうと期待して読んだ。

◆が、なんかちょっとピントがぼけているような話が多く感じた。なんかおかしいと感じながら読み進めていくと、途中で「アメリカの大統領がマケインになるかオバマになるかまだ決まっていないが」という内容になり、慌てて奥付を見たら、2006年7月から2008年末頃までに、日本の「潮」「朝日新聞」「voice」に寄稿された経済コラムを単に再掲しただけの書であることが判明。本書は原文を元に翻訳を改め大幅加筆したとあるが、原文は加筆されていないんでしょ。

◆新聞や雑誌に寄稿される経済コラムは、時事的な内容になることが多く、そのとき読むには良質な記事であることが多いけど、月日が経つと色褪せる。本書は、ためになる話、考えさせられる話、感心する話などが載っている一方で、ピントのぼけた話、予測が外れてる話、知識不足を誤魔化している話なども散見された。

◆中途半端な内容で書籍化したのは失敗だったのでは無かろうか。すくなくとも、原著者の大幅な加筆修正が必要だったのではないだろうか。誠に残念である。


5点/10点満点


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三橋貴明「マスゴミ崩壊」感想。
ビジネス書。2009年08月27日読了。

マスゴミ崩壊―さらばレガシーメディア
三橋貴明 / 扶桑社 2009/09 ¥1,470 (税込)

◆「2011年新聞・マスコミ消滅」が、メディアの構造的な分析に基づき、マスメディアそのものが変化してきており、ついてこれない現在の日本のマスメディアは消え去るだろうと予測しているのに対し、三橋貴明が書く本書はインターネット対旧勢力(もしくは既得権益護送船団)というよくある感じに仕上がっている。

◆とはいえ、三橋貴明は最近のビジネス書を書く作家の中では群を抜いて説得力のある書き方をするので、ありきたりなインターネット対マスメディアとはなっておらず、公表されている客観的事実を基に、広告を中心としたビジネスモデルを展開している現在の日本のマスメディアは崩壊していく、と説く。

◆本書は本書で良くできていると思うけど、「2011年新聞・マスコミ消滅」の方が完成度が高かった。


7点/10点満点


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高橋五郎「農民も土も水も悲惨な中国農業」感想。
いわゆる親書。2009年07月22日読了。

農民も土も水も悲惨な中国農業
高橋五郎 / 朝日新聞出版 2009/02 ¥819 (税込)

◆この本は、日経BPネットのどこかでコラムを読み、そこで紹介されていた本。同姓同名の作家がいるが、本書の著者とは別人と思われる。著者は1948年生まれで、現在愛知大学国際中国学研究センター所長となっている。

◆中国農業を実地調査し、その上で示される中国農業の悲惨な実態は、中国から輸入されてくる農産物など二度と食いたくないと思わせ、また中国から農作物が輸入できなくなった場合、日本の食糧自給率の低さは、食卓を直撃することになるのだろうとも思わせる。そういう意味では、本書はそんじょそこいらのホラー小説より、よっぽど優れたホラー実話である。

◆本書に書かれた一部を紹介する。

◆中国では農薬の値段が(農家の収入と比較して)高いこともあり、人糞を肥料として使っている。しかし、中国の人糞の使い方は根本的に問題があり、発酵させずナマのままの人糞を使っているというのだ。私は40過ぎていて北海道の片田舎で生まれたからかもしれないが、人糞はそのままじゃ適切な肥料として使えないことはしっている。肥溜めにしばらく溜めて発酵させなきゃダメなのだ。発酵していない人糞には細菌が混ざっているので、ナマの人糞を使ったら農作物が細菌だらけになってしまう。

そこで、中国人農家は、殺菌するために農薬を使うのである。

◆畑にまく水の正体。中国の農村には溜池がある。溜池にはトイレの屎尿、洗濯排水、食器洗いの排水など生活排水がすべて溜め込まれている。溜池はアオコが発生し緑色に変色、もちろん悪臭を放っている。その水を、トウモロコシ畑にそのまままいている。

中国の河川は汚い、という話は最近テレビでも取り上げられるようになってきたので知っている人も多いと思う。
著者が取材に行った場所では、川から100メートルも離れた場所に悪臭が漂ってきて、生活排水だけとは思えないいろんな物が混ざってできた真っ黒な水が流れる川だった。さすがにその水を直接畑にまいていることはしていなかったようだが、真っ黒な水は地下に浸透し、地下水を汚染する。

◆著者が言うには、それでも日本に輸入されてくる中国の農作物はマシなほうらしい。完全ではないが、輸出の段階(中国側)、輸入の段階(日本側)で様々な検査をしているから。中国国民が食べているのは、想像を絶するようなひどい農作物が多くなってきている。今すぐ何とかしないと、近い将来、中国は飢餓に襲われ、日本もわりを食って飢餓列島になってしまうかもしれない。

◆すばらしき中国の実態を書いた本は、今までに何冊か読んできた。
何清漣「中国の闇 マフィア化する政治」7点/10点満点。
陳惠運「わが祖国、中国の悲惨な真実9点/10点満点。
東一眞「中国の不思議な資本主義」8点/10点満点。
山本一郎「俺様国家 中国の大経済」8点/10点満点。
園田茂人「不平等国家 中国」4点/10点満点。

本書は、私が読んだこれらの本の中でベストといえる。


9点/10点満点


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産経新聞取材班「すごいぞ日本」感想。
新聞連載。2009年07月09日読了。

すごいぞ日本
産業経済新聞社 / 扶桑社 2009/06 ¥1,575 (税込)

◆世界に誇る日本の技術、会社、人物などを紹介する本。
・オリンピックの砲丸投げ。埼玉県の町工場で作られている砲丸が三大会連続金銀銅を独占。
・富山県にあるマシワイヤー社が作るF1のホイールはフェラーリに採用。
・シマノの作る自転車用部品は、ツールドフランス7連覇。
・1753年創業の醤油醸造元「かめびし屋」が作ったフリーズドライ醤油「ソイソルト」は、売り上げの半分がアメリカとフランスへの輸出。

なんていう話がたくさん載っています。
新聞連載をまとめた本。まとめただけの本。それ以上ではありません。


6点/10点満点


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石平×三橋貴明「中国経済がダメになる理由」感想。
ビジネス書。2009年06月03日読了。

中国経済がダメになる理由―サブプライム後の日中関係を読む
石平/三橋貴明 / PHP研究所 2009/05 ¥1,260 (税込)

◆まあ、タイトル通りの内容が書かれた本。三橋貴明は「トンデモ!韓国経済入門」「本当はヤバイ!韓国経済」などのビジネス書を書いている2ch出身の作家で、石平は北京大学を卒業し日本に留学し、現在は日本で活動する1962年生まれの評論家(らしい)。

◆第1章と第2章は両者の対談。第3章と第5章は三橋貴明、第4章と第6章は石平が執筆担当。
第1章 なぜ、中国経済が衰退するのか
第2章 メディアは事実を正しく伝えているのか
第3章 成長限界点に達した中国経済
第4章 絶体絶命の中国経済と爆発寸前の中国社会
第5章 日本マスメディアの黄昏
第6章 ネットと市場経済がつくり出す革命の新時代

◆雇用統計など公表されている経済指標(数字)を元に、理詰めで持論を展開していく三橋貴明のビジネス書は、説得力があり好感が持てる。ただ、2ch出身の三橋貴明は、ネットの意見を世論と思い込む節があり、本書でもネットの論調を是とするような内容がいくつか見受けられた。ネットを全く見ない人(年寄りやお馬鹿ちゃーん)は必ずしもネットの論調と一致しないんだけど、と思いつつも、まあこれが三橋貴明の味だからいいか、とも思うのである。

◆対談部分と執筆部分で話がかなり重なっており、「これさっき読んだよ」と感じることしばしば。それと、本書のタイトルである中国経済とは直接的に関係ない毎日新聞叩きに多くのページ数を割いているのだが、予備知識なしで読んだら唐突感がある。毎日新聞を筆頭に、日本のマスコミは親中・反日で、中国に関する報道は信用しない方がよいという警告的な内容なのだが、やっぱり本書の主題とはかけ離れているのである。おもしろおかしく読めたからいいんですけどね。

◆最後に。新書で1260円は値段が高い。819円(税抜き780円)程度にしていただきたいのである。


5点/10点満点


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細野真宏「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った?」感想。
マスコミってバカだね本。2009年06月02日読了。

「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った?
細野真宏 / 扶桑社 2009/03 ¥735 (税込)

◆じっくり読んでも2時間くらいで読み終えてしまう、ライトな年金(と経済の)解説書。

◆年金未納者が増えても、未納者は年金を貰えないから、年金財源に影響はない。まあちょっと考えたら、そりゃそうだなというようなことが多々書かれている。

◆お手軽に読むべき本なので、あまり詳しくは紹介しない。良くできている本だと思うけど、やや出来過ぎの感もあり、一度読んだだけだと内容を覚えた気になってしまうだけで、実際はそれほど身についていなかったりするかも。何度か読み返し、内容を空で言えるくらいに覚えたら、飲み屋で披露するうんちくネタとして使える。ような気がする。


6点/10点満点


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谷口正次「次に不足するのは銅だ」感想。
資源減少警鐘本。2009年04月28日読了。

次に不足するのは銅だ―メタル資源の限界
谷口正次 / アスキ-・メディアワ-クス (角川グル-プパブリッ) 2008/12 ¥789 (税込)

◆概要(紀伊国屋Bookwebより)
問題は、レアメタルではない!「産業の血管」である銅さえも、あきらかに生産のピークを迎えた。
あらゆるメタルを爆食し世界中の鉱山を買い占める中国と、超大型合併で寡占が進む資源メジャーが死闘を繰り広げるなか、日本はどのようにして「ものづくり」を続ければいいのか?新しい資源ナショナリズムと資源獲得競争を生き抜く道を探る。


◆以前「レアメタルパニック」という本の感想を書いた。この種の本がかなり好きで、石油を含めたエネルギーの奪い合いが起こると予測する「エネルギー争奪戦争」、水の取り合いが始まる「ウォーター・ビジネス」「ウォーターマネー」「水戦争」なども読んでいる。今回読んだのは、レアメタルや石油や水などではなく、銅など普通の金属がだんだんと手に入らなくなってくるというもの。

◆本書で指摘されている警鐘内容は、かなりの説得力を持って展開しており、また鉱物資源の採掘に関する基礎の基礎的な知識も得ることができ、アスキーから出た本とは思えない優れた内容であった。

◆タイトルが示すとおりの内容が丁寧に書かれており、そういう意味では読者の期待を裏切ることはない。さいきんは読者の期待を裏切るような中身のない本が多い中、この手のテーマに興味を持っている人は買って損のない一冊と言える。


8点/10点満点


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廣宮孝信「国債を刷れ!」感想。
日本国経済解説書。2009年03月10日読了。

国債を刷れ! ― 「国の借金は税金で返せ」のウソ
廣宮孝信 / 彩図社 2009/03 ¥1,600 (税込)

表紙裏に書かれている「日本経済にまつわる7つのウソ」を引用すると、
・「日本は格差の小さい国」というウソ
・「日本の公務員数は多い」というウソ
・「歳出削減すれば財政は健全化」というウソ
・「銀行への公的資金注入は国民負担」というウソ
・「国債をすれば財政悪化」というウソ
・「お金をすれば悪性インフレ」というウソ
・「国が借金で大変」というウソ
これら間違った経済常識を正す本、らしい。

国債は国民の借金である、というのは間違い。
国債をジャカジャカ刷って得た金を元に、バンバン公共投資すればよろし。
というようなことが書かれている。

お勉強になる部分も多数あった。
・日銀が現在金本位制ではない説明
・乗数効果の説明
・上げ潮派の説明
・量的緩和の説明
などなどは参考になった。

しかし、著者が提示する前提条件そのものに?となる部分もあり、惜しいなあ、という感じ。


5点/10点満点


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門倉貴史「貧困ビジネス」感想。
ビジネス書。2009年03月03日読了。

貧困ビジネス
門倉貴史 / 幻冬舎 2009/01 ¥777 (税込)

◆貧困者をターゲットにしたビジネスについて書かれた本。合法的なビジネス(100円ショップやマクドナルドなど)、非合法なビジネス(闇金や偽装国際結婚など)、どちらとも言えないグレーなビジネス(ゼロゼロ物件や名ばかり管理職など)にカテゴリわけされている。とはいえ。少なくとも私には知っている話が多く、個々の事例の掘り下げも甘く、薄っぺらく感じた。

◆唯一、「高級腕時計のレンタル屋」と「質屋」が結託した闇金ビジネスについては目新しかった。現金が欲しい多重債務者が「高級腕時計レンタル屋」から時計をレンタルする。その時計を即「質屋」で換金する。多重債務者は借りた時計を質屋から取り戻すまで、「レンタル屋」にレンタル料金を払い続けなければならない。多重債務者は「闇金」から金を借りるのではなく、「レンタル屋」に金を払い続けるだけで、実態は「闇金」であるというもの。しかしこの仕組みは「パチンコ屋」と「景品買い取り屋」の組み合わせと同じで、パチンコ業が野放しになっている現状、グレーではあるが取り締まりはできないだろう。

◆その目新しく感じた「レンタル屋」+「質屋」の構造も、細かな契約内容がどうなっているのかは本書に書かれてなく、深く掘り下げた話ではない。つまりはテレビや新聞が「こういうことに注意しましょう」と紹介しているのと同じ程度の情報量。

◆掘り下げが甘すぎる点では、本書は雑誌連載をまとめた程度のものであり、金を出して読むほどの内容じゃない。おまけに私の嫌いな左巻き思想に輝いており、買わなきゃよかったと思わせるに十分な内容だった。まあいいや。


3点/10点満点


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