カテゴリー「◇ビジネス書」の記事

2018/06/13

高橋篤史「粉飾の論理」感想。
経済。2017年12月27日読了。

小説「ハゲタカ」シリーズの参考文献に載っていたので買った。但し、既に在庫がないらしく(Kindle版はあるが、私は電子書籍は付箋を貼れないので読まない)、しょうがないので古本で買った。

カネボウ、メディアリンクス、ライブドアの3社の粉飾事件を主軸に、実際の章立てではカネボウとメディアリンクスとこれらの粉飾を見逃していた監査事務所に関しての計3章で構成されている。

良い。


8点/10点満点

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2017/06/05

トーマス・フリードマン/マイケル・マンデルバウム/伏見威蕃訳「かつての超大国アメリカ」感想。
アメリカ分析。2017年04月23日読了。

タイトルの通り、アメリカが凋落していった理由を考える本。原著は2011年に出版。

この本で最も面白かった考え方は、アンディ・ケスラーという元ヘッジファンドマネージャーが呈した概念で、

p121
「ブルーカラー、ホワイトカラーという区分は捨てよう。私たちの経済には二種類の労働者しかいない。クリエイターと仕える人(サーバー)だ。生産性を向上させる原動力は、クリエイターだ。ソースコードを書き、マイクロチップを設計し、癖になる商品(ドラッグ)を作り、検索エンジンを運営する。一方サーバーは、家を建て、食べ物を提供し、法的助言を行い、陸運局で働いて、そういったクリエイター(や他のサーバー)に奉仕する。サーバーの多くは機械、コンピュータ、ビジネスの運営方法の変更に取って代わられるだろう」

ここから著者は、クリエイターとサーバーをさらに分割する。

・創造的(クリエイティブ)クリエイター:独自のノンルーチンなやり方で、ノンルーチンの仕事をやっている:最高の弁護士、最高の会計士、最高の医師、最高のエンターテイナー、最高の作家、最高の教授、最高の科学者。

・ルーチンクリエイター:ルーチンなやり方で、ノンルーチンな仕事をやっている:平均的な弁護士、平均的な会計士、平均的な放射線技師、平均的な教授、平均的な科学者。

・クリエイティブサーバー:ノンルーチンの仕事をやる低スキルの労働者だが、的確な基地とした仕事をやっている:特別なレシピを考え付くパン屋、患者との関係性を大事にする看護師、ワインの知識で客をうならせるソムリエ。

・ルーチンサーバー:ルーチンなやり方でルーチンなサービスを提供し、それに何も付け加えない人。


医師、弁護士、ジャーナリスト、会計士、教師、教授のような仕事であっても、ルーチンクリエイターの範疇にいる人たちは、海外へのアウトソーシング、機械化、デジタル化で職を失うかもしれない。


著者は、アメリカを凋落から救うには「教育の充実」が必要であると訴える。

全体的に説得力も高く、なかなか面白い本であった。

8点/10点満点

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2017/04/08

橘玲「バカが多いのには理由がある」感想。
ビジネス書?2017年03月17日読了。

橘玲氏は多数のWeb連載を持っていて、着想がどれも面白く、私はいつも楽しみにしている。

橘玲公式サイト(週間プレイボーイ連載)
ZAI ONLINE の日々刻々

など。

本書はそういうエッセンスが詰まったものなのだが、もともと単行本で出版された本の文庫化なので、Web連載とは異なり時事性が薄いため、面白さが半減してしまっているかもしれない。悪くはないです。

2カ月前に紹介した「ファスト&スロー」は、橘玲氏が褒めていたので読んだことを思い出した。


6点/10点満点

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2017/01/25

川島博之「電力危機をあおってはいけない」感想。
電力論。2016年12月11日読了。

東日本大震災が発生した2011年の10月に出た本。「「作りすぎ」が日本の農業をダメにする」と同じ著者。

農業と違って本書はイマイチ。それでも、

温室効果ガスを25%削減するという鳩ポッポの公約は、日本の人口はこれから減っていくのだから、放っておいても達成できる。

バイオマスエネルギー(生ごみや間伐材などを使って発電する)に関して、2011年2月に総務省評価局が「過去5年で6兆5500億円が税金がバイオマス関連事業に投入されたが、見るべき成果は何もなかった」とこき下ろした。

など、いくつか興味深いところもあったが、全体的にイマイチ。


5点/10点満点

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2016/02/25

ラズロ・ボック/鬼澤忍・矢羽野薫訳「ワーク・ルールズ!」感想。
Googleの人材戦略。2016年01月09日読了。

本書の著者ラズロ・ボックは、Googleの人事(含む採用)担当上級副社長。

本書は2015年8月に出版され、評判が高まったからか2015年11月、東洋経済オンラインに著者インタビューが載った。私はこの記事を読んで買った。

前編 グーグル内部には「苦い砂」が入っている ラズロ・ボック人事担当上級副社長に聞く
後編 グーグルCEOは社員6万人の声を聞いている 階層を飛び越えた繋がりが透明性を生む


本書は見た目よりページ数が多い。

本屋で本書を見た人は、見た目で厚い本と思うかもしれないが、見た目以上に厚い。なぜなら、薄い紙を使っているから。普通の本に使う紙より、30%くらい薄い紙を使っている。なので、見た目は400ページくらいなのに、実際は558ページもある。

本書はGoogleが巨大化していく真っ最中に、GE(ゼネラルエレクトリック)から転職してGoogleの人事担当マネージャーとして入社した著者が、年間100万人の応募者の中から厳選して採用するための創意工夫、Googleの社内査定の不満を解消するための苦労話、などが書かれている。

ひとつひとつの事柄は、これは小さな会社であっても実践できること、と著者は強調する。実際、本書を読んでいると簡単そうに思える。

しかし本書に書かれていることは日本の企業には向かないことが多い(少なくとも私はそう思う)。参考になるところも多いけど、鵜呑みにしない方が良い。


本書を読んで感じたのは、Googleを創業したのはラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンだが、Googleをここまで大きくしたのはCEOエリック・シュミットが並外れた経営者であるから、ということだ。


6点/10点満点

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2016/01/27

中山智弘「元素戦略」感想。
ビジネス書。2015年12月12日読了。


稀少元素は戦略物質だそうです。

たいへん為になりました。


2点/10点満点

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2014/10/21

志賀櫻「タックス・ヘイブン」感想。
自慢話。2014年09月06日読了。

◆著者について(amazonより引用)

志賀 櫻(しが・さくら)
1949年東京都生まれ.1970年司法試験合格,1971年東京大学法学部卒業,大蔵省入省.熊本国税局宮崎税務署長,在連合王国日本国大使館参事官,主税局国際租税課長兼OECD租税委員会日本国メンバー,主計局主計官をへて,1993年警察庁へ出向,岐阜県警察本部長,1998年金融監督庁国際担当参事官兼FSF日本国メンバー,特定金融情報管理官兼FATF日本国メンバー,2000年東京税関長,2002年財務省退官,2010−12年政府税制調査会納税環境整備小委員会特別委員
現在-弁護士
◆引用終わり


本書は、引退した官僚爺さんの自慢話であった。


2点/10点満点

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2014/10/13

藤井厳喜「アングラマネー タックスヘイブンから見た世界経済入門」感想。
経済入門書。2014年08月21日読了。

ブログ更新が滞っていましたが、本日から1日おきに連続更新します。


◆概要(amazonから引用)
世界各国の税収が極端に減少している。税金は表の経済にしか、かけられないからだ。タックスヘイブン(租税回避地)やシャドーバンキング(影の銀行)を使った、いわゆる脱税や資産隠し、麻薬や売春や賭博によって生まれ蓄えられた金をアングラマネーと呼ぶ。世界の年間総生産70兆ドルの約25%がタックスヘイブンに流れ、シャドーバンキングの規模は約67兆ドルにまで拡大。もはや中央銀行やIMFも制御できない闇資金の還流が世界経済を揺さぶっている。その歴史と仕組み、各国最新事情を詳細に解説した画期的な書。
◆概要終わり

2012年にタックス・ヘイブン(※)関連の本を何冊か読んだ。

橘玲「マネーロンダリング入門」2012年04月20日読了。9点

ニコラス・シャクソン「タックスヘイブンの闇」2012年07月2日読了。8点

平尾武史・村井正美「マネーロンダリング―国境を越えた闇金融ヤクザ資金」2012年09月08日読了。8点


本書は、おおむね上記の本と同じようなことが書かれている。アングラマネー全般を扱ってはいるが、メインはタックス・ヘイブンに関してである。

私にとって目新しかったのは、
第5章イタリアのアングラマネー
で、1986年、イタリアでは不法移民を合法化する法律が通過し、イタリアは不法移民に天国となった。特に中国からの不法移民が大量に流入した。その後1990年、1998年と更なる移民法の改悪が加えられ、チャイナタウンはイタリアの法を無視する中国人が大量に住み着き、警察官を脅す事態まで発生しているらしい。

イタリアに不法移民が多くいるというのは知らなかった。ヨーロッパで移民が大きく問題になっているのは、フランス、ドイツ、イギリス、スウェーデンあたりだと思っていたのだが、イタリアも深刻な移民問題を抱えているのだな。


7点/10点満点

タックス・ヘイブンのヘイブンは「haven」で、天国の「heaven」ではない。

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2014/08/26

岩田規久男「国際金融入門」感想。
経済学。2014年07月30日読了。

国際金融の入門書である。1995年に初版が出て、2009年に改訂版が出た。私が読んだのは改訂版である。

入門書であるが、少なくとも大学の経済学部の2年生くらいを対象にしている(と思われる)ので、経済の基礎知識がないと理解できない。

・輸出手形、輸入手形、国際的な金の流れ
・円ドルなどの通貨レートが上下すると、なぜ国債の金利が上下するのか
・国際収支の見方
・国際金融とは
・為替の固定相場と変動相場とは
・財政金融政策とは
・金本位制とは

などなど。


為替の原理は簡単で、
ドルの需要が高くなればドルの価値が上がり、相対的に円が安くなる。
ドルの需要が低くなればドルの価値が下がり、相対的に円が高くなる。
である。

現実には日米二国間の話ではなく、ユーロ圏、イギリスポンド、豪ドル、加ドル、人民元、スイスフラン、南アフリカランドなど、様々な通貨が飛び交っているので、実際はもっと複雑である。


ではこの需要が高くなる、低くなる、というのはどういうことか。(ここから2017/3/13加筆修正)

その前に、輸出入を行う場合のやり取りをまとめる。

A国の輸入業者aが、B国の輸出業者bから商品を買った場合の代金決済は、

A国の輸入業者aが、A国のAA銀行に行き、A国の通貨で、B国の輸出業者bに代金を払うように頼む。

B国の輸出業者bは、B国のBB銀行に行き、A国の輸入業者aが支払った代金を、B国の通貨で受け取る。

A国の輸入業者a、B国の輸出業者b、どちらも自国通貨だけで決済を済ませていることに留意。

A国のAA銀行とB国のBB銀行は、通常、輸出入どちらの決済取引も扱っているため(輸入業者はaだけではないし、輸出業者もbだけではない)、まずは自行内(AA銀行内もしくはBB銀行内)で輸出金額と輸入金額の相殺を行い、

その後、A国の銀行同士(AA銀行以外にもたくさんの銀行がある)で輸出入の金額相殺を行い、B国の銀行同士でも同じように相殺を行う。

後日、A国とB国という国同士で、輸出入金額の相殺を行う。(銀行が介在しない現金取引などがあった場合、AA銀行にB国の通貨が持ち込まれ、A国通貨に換金してくれという業者もいるため。現金取引をする業者は自社にとって通貨レートが良くなるまで他国通貨を貯め込んでいる場合がある)

この時、A国の輸入が多ければ、A国は貿易赤字となり、B国の輸出が多ければ、B国は貿易黒字となる。

この貿易収支が、為替の需給になる。

実際の各国通貨のやりとりはほとんど発生しないのである。(加筆修正終わり)


貿易赤字の国は、足りない資金を賄うために札を刷る。札を刷る為の根拠は国債である。

そうするとこんどは国債が市場にあふれ出す。国債の人気が下がる。国債を買ってもらうため、国債の金利を上げなければならなくなる。


というようなことが、何度も何度も同じような説明を繰り返しながら書かれている。


分かってしまえば単純なことなのだが、単純であるがゆえ、分かったと思い込んで誤解してしまう可能性が高い。算数的にこの現象を言うと、+があり-があって、+と-を差し引くと-になる。-を補うために-を帳消しにするための+をどこかから持ってこなくてはならない。この+は借金なので実態としては-であるが、一時的に+になったように見える。しかし-は-なので、いずれ-を帳消しにするための施策が必要になる。

的な。+と-を1ヶ所でも間違うと、正反対の結論になりかねない。

ので、本書では何度も何度も同じような説明が繰り返されるが、それがくどいと感じない。


なお、本書に興味を持たれた方は、にわか仕込みの私の話を鵜呑みにしないで、きちんと本書を読まれることをお薦めする。


先日、
服部正也「ルワンダ中央銀行総裁日記(増補版)」2014年05月30日読了。9点

を読んで絶賛したが、この本を読む前に、本書「国際金融入門」を読めば良かったと後悔している。


9点/10点満点

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2013/10/01

馬渕睦夫「国難の正体――日本が生き残るための「世界史」」感想。
多少マシな陰謀論。2013年09月18日読了。

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国難の正体――日本が生き残るための「世界史」

最近、新聞雑誌系のコラムでよく見る、
川口マーン惠美という在ドイツ日本人が現代で書いているコラム「シュトゥットガルト通信」で、
無残に失敗した共産主義と新たに台頭するグローバリズムの驚くべき共通点---馬渕睦夫著『国難の正体』の戦慄
という書評が載っていて、とても面白そうに感じたので買った。


公開されている文書や本(グロムイコ回顧録、トルーマン回顧録、グリーンスパン回想録などなど)から読み解く世界の裏側、という感じの本。
捏造はないけど、深読みし過ぎじゃないの?
と思えるようなこじつけ、強引な解釈が多く、んー?的な本。

本書の面白さは、川口マーン惠美もコラムで書いているけど、

・共産党政権というのは結局のところ、共産党幹部だけが既得権益を独占し大金持ちになり、政権に近い一部の人たちはそこそこ富裕層になれるが、概ねほとんどすべての人が押し並べて貧乏になる政治体制

・現代のグローバリズム資本主義は、成功した会社だけが儲かり、成功した会社の幹部だけが大金持ちになれ、成功した会社に在籍しているなどラッキーな人たちはそこそこ富裕層になれるが、概ねほとんどすべての人が押し並べて貧乏になる経済システム

政治と経済の違いはあるけど、結果的にごく一部の金持ちが誕生し、すさまじく多くの人たちが貧乏であるという結果は同じ。

共産主義政権と、グローバリズム資本主義は同じ結果をもたらす。


なるほど。


というような話が盛りだくさんなんだけど、解釈がこじつけっぽく感じてしまって私的にはちょっとダメ。フリーメーソン世界陰謀論より1000倍マシだけど。


5点/10点満点


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