高野秀行「放っておいても明日は来る」感想。
対談集。2010年01月13日読了。

放っておいても明日は来る ― 就職しないで生きる9つの方法
高野秀行 / 本の雑誌社 2009/11 ¥1,470 (税込)

高野秀行が大学で講義をしていた半年間に呼んだゲストの話をまとめた本。

マレーシアで微生物を探す人
プロの女性ムエタイボクサー
沖縄映画のプロデューサー
ミャンマーで旅行会社を経営する人
タイでミュージシャンになった女性
ラオスでカフェを開いた人
屋久島のツアーガイド
韓国人で、日本語翻訳出版を商売にしてしまった人

高野秀行が連れてくるような人だから、誰のエピソードを聞いても面白い。

それにしても最近読書感想文の書き方を忘れてしまった。のほほんと旅行をしていると、人生に置き去りにされそうである。


7点/10点満点


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松浦光利「海将補(アドミラル)のアフリカ奮闘記」感想
国際奮闘記。2008年12月22日読了。

海将補(アドミラル)のアフリカ奮闘記―アフリカに海軍を教えた国際協力六年間の記録
松浦光利 / 光人社 2008/12 ¥829 (税込)
 
内容(紀伊国屋Bookwebより)
砕氷艦ふじ艦長として南極にも赴いた海上自衛隊の熱血アドミラルが大活躍!人もうらやむ第二の人生を打ち捨てて、アフリカの小国サンジバルに海運指導に努めた元海将補の汗と涙と笑いの六年間。
頑固でプライド高く、あるいは大雑把なアフリカ人を相手に、人造り、国造りの最前線を描いた異色のノンフィクション。国際貢献をめざす若い世代に贈る一冊。

◆本書は新しい本ではなく、20年以上前の1985年に出版された本の文庫化。

◆大正8年(1919年)生まれの著者は、戦時下の海軍を経て海上保安庁、海上警備隊(海上自衛隊の前身)に入隊、砕氷艦ふじ艦長として南極にも赴き、海将補・幕僚長まで昇進し昭和49年(1974年)退官。その後、第二の人生として選んだのが、JICAの専門家としてタンザニア・ザンジバル政府の海運指導をすること、つまり国際貢献の道である。昭和50年4月から、ザンジバルに緑のパスポート(公務パスポート)で赴任すること6年+個人契約で更に3ヶ月、その後コモロで3ヶ月の短期協力、本書は都合6年半のアフリカ諸国国際貢献の記録である。

◆今から20年以上も前のアフリカ諸国である。しかも赴任時の著者は55歳。並大抵の根性では務まらない大役だろうが、元海将補で船長資格を有する日本の専門家への期待は並大抵ではなく、元海将補という立場はザンジバル大統領と直接会話ができるくらい国際的な地位が高く、従って元海将補という立場は並大抵の苦労で弱音を吐くことが許されず、かつ元海将補というプライドは並大抵の困難で弱音を吐くことなどせず、とにかく淡々と黙々と厳粛かつ正確に仕事をこなすのである。

◆元海将補という立場のためか、高いところからの言葉使いが多く、かつ専門的などうでもいいような記述も多いが、「真の国際貢献とはかくあるべし」という著者の強いメッセージも伝わってくる。

◆アフリカ好きの私は、タイトルを見ただけで中身をよく確かめずに買ってしまったのだが、思わぬ掘り出し物であった。


7点/10点満点


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西牟田靖「誰も国境を知らない」感想。
ノンフィクション。2008年11月13日読了。

誰も国境を知らない―揺れ動いた「日本のかたち」をたどる旅
西牟田靖 / 情報センタ-出版局 2008/10 ¥1,785 (税込)

◆日本人はこの国の真実を知っているのだろうか、というテーマの下、著者は5年かけて日本の国境各地を訪れ、歴史的経緯と現在を書き記している。本書で著者が訪れた日本の国境は、北方領土、沖ノ鳥島、竹島、対馬、硫黄島、小笠原諸島、与那国島、再び竹島、再び北方領土、尖閣諸島である。まあ当たり前だが離島が多い。

◆内容をかいつまんでしまうと、山本皓一「日本人が行けない「日本領土」北方領土・竹島・尖閣諸島・南鳥島・沖ノ鳥島上陸記 」とそっくりであり、更にいえば、山本皓一は週刊ポストの記者であったこと(現在はフリーらしい)を最大限利用し、西牟田靖が上陸できなかった沖ノ鳥島にも上陸している。山本皓一の本が出たのが2007年の6月。出版されたとき、西牟田靖は悔しかったんじゃないかなあ。そのくらいテーマがよく似ている。

◆じゃあ西牟田靖の書いた本書が二番煎じでつまらないのか?というと、そんなことはない。なぜここに国境があるのかということを、歴史的な背景を交えながら、今実際に国境となっている島に暮らす人々への取材と、著者の考えがうまくミックスされている。国境という見えない線について考えさせられる。

◆私がまだ読んでいないだけで、日本の国境について考えるノンフィクションは何冊も出ているのだろう。個人的に、国境についてもっとよく考えたいので、このテーマの本をこれからも読んでいきたい。


7点/10点満点

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武田邦彦「環境問題はなぜウソがまかり通るのか3」感想。
環境問題啓蒙書?2008年10月16日読了。

環境問題はなぜウソがまかり通るのか〈3〉

◆第三弾まできたこの本、さすがに飽きてきた。

◆人間が生産と消費をすること自体がエコではなく、「地球に優しい」商品などどんなに頑張ったところで単なる欺瞞。世界的に、二酸化炭素だけが温暖化の原因であるとの間違った解釈を推し進め、二酸化炭素だけ削減すれば温暖化は防げるとの意識を消費者に植え付け、挙げ句の果てには二酸化炭素排出権取引だ。二酸化炭素削減という言葉が、まるで免罪符のように使われている。

◆本書は、大学教授という肩書きのある著者が、欺瞞は欺瞞であると政府関係者や広告代理店に宣戦布告したような本である。孤立する危険を顧みず、このシリーズを書き上げた著者は立派な人だと思う。

◆しかし、この本の内容を良く思っていない人たちは、揚げ足取りのように、重箱の隅をつつくように本書の間違いを嬉嬉と指摘し、悦に入っている。なんだかねえ。普通に理科の知識があれば、今の温暖化防止への取り組みや、エコ活動の欺瞞が普通にわかるはずなのに、何でわからないの。

◆このシリーズは、少なくても著者本人が理論的に裏付けをもって書いている話と、推測で書いている話がごちゃ混ぜになっている。また、温暖化とリサイクルと環境破壊の問題を、一緒くたに取り扱っている。そのため、論点がぼけてしまっている。温暖化の原因が二酸化炭素だけではないということ、日本のリサイクル事業はかえってエネルギーの浪費につながっていること、ダイオキシンをはじめとする環境問題は長年の取り組みで解決されていることも多数あること、などを個別に取り上げたらもっと良い本になったと思う。また、リサイクルの利権団体が役人と組んで大もうけしている話は、専門的なジャーナリスト、それこそ週刊現代のような雑誌と組んで暴くべき話で、憶測で書いたところで誰も相手にしない。

◆今後も武田邦彦がこの系統の本を出すのであれば、内容構成を自分一人でするのではなく、エコに欺瞞を感じている第三者と共著した方が、より説得力のある本になるのではないかと思う。


7点/10点満点

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泉流星「僕の妻はエイリアン」感想。
エッセイ風ノンフィクション。2008年08月14日読了。

僕の妻はエイリアン―「高機能自閉症」との不思議な結婚生活
泉流星 /新潮社 2008/07出版 300p 15cm ISBN:9784101350516 \459(税込)

◆ふつうの人とは違う行動をする妻。実は自閉症の一種であるアスペルガー症候群だったというのはあとでわかったこと。病気だということがわかるまでは、夫から見て妻の行動はとても変。そんな変な行動を、ユーモラスなエッセイ風にまとめたノンフィクション。

◆子供の頃に自閉症と診断されずに大人になってしまった場合、こういう変な人に見えるのだ、という実例(実体験)を詳細に記しているので、ジャンルとしてはノンフィクションなのだろう。けど、エッセイ風に書かれているので、同じようなことが何度も書かれた、ちょっとくどいエッセイに思えてしまう。

◆でも後書き読んだら、くどさの理由がわかってすっきりしたのですが、ちょっと惜しいような気がしてならない。


6点/10点満点

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武田邦彦「偽善エコロジー」感想。
いわゆる新書。2008年08月12日読了。

偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する
武田邦彦 /幻冬舎 2008/05出版 230p 18cm ISBN:9784344980808 \777(税込)

◆本書の内容は「環境問題はなぜウソがまかり通るのか1」「2」の焼き直しに近い。この両書は、自分が調べたデータを用いて環境問題はウソが多いと批判していたのだが、自分が調べたデータというのはいくらでも捏造(でっち上げ)できるじゃないか、という胡散臭さがあったのだが、本書ではその点が大幅に改善されている。

◆そういう胡散臭さが大幅になくなった本書は、アンチエコ本のひとつの到達点なのかもしれない。今のエコ活動に疑問を感じたら、とりあえずこの本を薦める。それで疑問はかなり解決されるはずである。

◆私は、今の世の中で流行っているエコ活動は、エコを隠れ蓑にした単なる商売と思っている。特に二酸化炭素排出権ビジネスは、どうしようもないくらいひどい。本書では二酸化炭素排出権ビジネスにはほとんど触れていないが、次回作で期待したい。


8点/10点満点

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イングリッド・ベタンクール救出される。

コロンビアの大統領候補で、反政府ゲリラに誘拐されていたイングリッド・ベタンクール氏が救出されたとのこと。

・読売に掲載されたフランスの動向(7月2日付)

・読売に掲載された救出の第一報(7月3日付)

・毎日新聞に掲載された救出の詳報

・日刊スポーツに”も”掲載された救出の状況

・ピントのぼけた見出しを付ける朝日新聞(7月3日付)……コロンビア軍が救出したのは事実なんだろうけど。

これを投稿したのは7月4日12:30頃。19:00頃asahi.comを見に行ったら、見出しが変えられたような気がするので追記。19:10の見出しは「コロンビア軍、ゲリラ欺き6年拘束の人質救出」。


この人の書いた自伝「それでも私は腐敗と闘う」を2年前に読んだ。非常に高い志を持って政治家になった人である。日本の全ての政治家に読ませたい本である。

コロンビアでは(たぶん)2010年に大統領選がある。イングリッド・ベタンクールは出馬するのだろうか。

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池田清彦&養老孟司「ほんとうの環境問題」感想
アンチエコ本。2008年03月25日読了。

ほんとうの環境問題
池田清彦/養老孟司 /新潮社 2008/03出版 189p 19cm ISBN:9784104231041 \1,050(税込)

私は今のエコ活動が嫌いだ。
理系の私には、プラスチックのリサイクルなんてエネルギーのムダとしか思えない。
テレビや新聞は、事実を検証しないで大袈裟なことばかり報道している。

二酸化炭素排出権ビジネスが生まれた時点で、エコ活動は単なる経済活動になり、エコ推進は人々の良心をくすぐる広告と化した。エコは単なる利権と化してしまった。

そういうことを感じているのは私だけでなく、多くの学者も無意味なエコに関して警鐘を鳴らしている。

本書は、ただのエコ反対派の学者が出した本ではなく、「バカの壁」の養老孟司が執筆者に名を連ねていることに価値がある。

価値があるのだが、内容はイマイチ。

コストがエネルギーであることの説明が少なく、理系の理解力が薄い人たちには「なんでもかんでもすぐコストっていいやがって」と思われてしまうのではないかと。

もったいない本だなあ。


5点/10点満点

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石井光太「神の棄てた裸体」感想。
ルポ。2007年12月17日読了。

神の棄てた裸体 イスラームの夜を歩く
石井光太 /新潮社 2007/09出版 310p 20cm ISBN:9784103054511 \1,575(税込)

「物乞う仏陀」でルポライターとして鮮烈なデビューを飾った石井光太の新作。

本書は、性に対して厳しいイスラム圏で、性がどのように扱われているかを、前作同様様々な国の底辺に行き、体当たり取材を敢行したもの。

・インドネシアの13歳の売春婦の話
・インドネシアでは、性器に焼けた石を突っ込まれてしまった東ティモール難民の乞食女の話
・パキスタンで男娼をしなければ生きていけない幼い兄弟の話
・ヨルダンの売春宿で売春をしているイラク難民の女性の話
・レバノンの金持ちの元で働くフィリピン人女性を相手にした占い師の話
・マレーシアに住むおかまのインドネシア人の話
・バングラデシュとミャンマーの国境近くで、子どもが金のためにさらわれる話
・イラン西部のクルド人の村で、戦争で足がな苦なってしまった女性を嫁にする一夫多妻の話
・ミャンマーに住む爺さんが語る、日本人兵に嫁が犯され、それがため嫁は姿を消し、残された子どもを育てている話

この本にはまだまだこういう話が載っている。

どこまでが本当でどこまでが作り話なのかと思ってしまうくらい、非現実的な、というか信じたくないようなリアルな現実が書き出されている。その圧倒される現実は、日本にいたら感じることができないものであるし、スーダンのダルフール紛争すらまともに取り上げることができないテレビや新聞などのマスメディアでは、石井光太が本書で書いているような内容はあまりに過激なため、取り上げることはないだろう。


著者石井光太は、一体いつまでこういうルポを書き続けることができるのだろうか。いつまでも書いて欲しいのだが、こういうルポを続けるとしたら、いつかどこかでのたれ死んでしまうのではないかと、いらぬ心配をしてしまう。


10点/10点満点

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林克明「岩波フォトドキュメンタリー チェチェン 屈せざる人々」感想。
フォトドキュメント。2007年02月ころ読了。

チェチェン屈せざる人びと 岩波フォト・ドキュメンタリー世界の戦場から <br />
林克明 /岩波書店 2004/04出版 77p 22cm ISBN:9784000269667 \1,890(税込)

「プーチン政権の闇」はちょっと失望した内容だったが、林克明氏のジャーナリストとしての評価は、こちらの本で諮るべきだろう。

凄まじいまでの世界の現実を写し出している「岩波フォトドキュメンタリー」シリーズ。

本書「チェチェン 屈せざる人々」も、現地で命がけで取材を敢行するにジャーナリストにしか撮れない写真が多数掲載されている。載っている写真は、マスメディア(テレビや新聞)が絶対に報道しない、真実のチェチェンが写っている。

戦場に行き、危険を顧みず、真実を写すために行動する。尊敬に値する。


(基本的にこの本は写真集なので、言葉で感想を書いても、この本の良さは伝わらない。写真集は、載っている写真を見てもらわないことには)


9点/10点満点

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