カテゴリー「■アフリカ」の記事

布施克彦「アフリカに賭ける」感想。
人物伝。2010年08月15日読了。

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アフリカに賭ける―ある商社マンの痛快人生


本書は、一橋大学卒業後三菱商事に入社し、アフリカビジネスを手がけていたサラリーマン清水孝の人生を書いた本。清水孝という人は、特別な実績を残したわけでもなく、普通の商社マンである。

著者は三菱商事の後輩で、仕事上で清水と接点を持ち、著者自身もナイジェリア勤務をするなどの経歴を持つが、その後作家に転身した人。

序章から第4章までが清水孝の人生を順番に追っていき、第5章と終章で清水の足跡を振り返る構成となっている。

清水の人生は面白い。自分の目標(アフリカに行く)を達成するため、ガリ勉して良い大学に行き、アフリカはフランス語圏が多いからフランス語を学び、アフリカに行ける職場は商社だ!と商社に入社し、社内公募があれば飛びつき、公募に競合相手がいたらアフリカは危険だと吹き込み辞退させる。アフリカに行ったら、取引相手の金持ちばかりではなく、現地の普通の人々と接しようと柔道クラブを作る。一昔前のモーレツ商社マンのイメージそのものの人である。

しかし、著者の主観主張が前面に出てくる第5章と終章は、ステレオタイプな意見が多く、単純につまらない。不要と言いきってもいいくらい。

ということで、全体評価としては6点。値段も高いし(1995円)。

以下、備忘録的に清水孝の人生抜粋。

1941年生まれ。
小学生の時に「ドリトル先生アフリカ行き」を読み、アフリカに魅せられ始める。

1964年に三菱商事入社。繊維事業部門に配属、徐々に仕事を任され、ベトナム、イラン、アフガニスタンなどに出張。

1971年、社内公募でザイール・キンシャサの駐在員となる。

柔道家の清水は、キンシャサで胴着を着てランニング。すると銃を持った兵士に囲まれ、不審人物扱い。袖の下を渡して難を逃れる。現地人ともっと積極的に接したいと考え、私設柔道クラブを開設。門下生50人。

1975年、キンシャサ勤務終了、帰日。

1976年、次男誕生、小児麻痺。毎日半休を取り、息子の麻痺回復訓練。1年諦めず訓練、息子回復。

1977年、ナイジェリアに応援出張。そのときの駐在員が本書の著者。

ナイジェリアから帰国後、タンザニア駐在所を作るための検討チームに加わり、ウミガメが気持ちよく泳いでいるのを見て、新たなアフリカの魅力を発見。

1978年、社内公募の相手にアフリカは危険だと吹き込み辞退させ、タンザニア・ダルエスサラームの駐在員を勝ち取る。ここでも私設柔道クラブを作り、ケニアに試合に行き、ケニアチームに勝つ。

1982年、タンザニアから帰日。

1987年、ケニア・ナイロビ事務所長として赴任。

1992年、ケニアから帰日。

1993年、南アフリカ・ヨハネスブルクに赴任。

1995年、南アフリカから帰日。三菱商事退職。54歳。

同年、ケニアに中古車輸入の会社を立ち上げ。ケニアに住む。

その後、キリマンジャロに魅せられ、5回登頂。

2006年、ウガンダのルウェンゾリ山の下見の際に交通事故で死亡。


6点/10点満点


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さくら剛「アフリカなんて二度と行くか!ボケ!!」感想。
旅行記。2010年08月05日読了。

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アフリカなんて二度と行くか!ボケ!!―…でも、愛してる(涙)。


(私はいろんな旅行記を読んでいるので)どこかで読んだことがあるような話を、かなり大袈裟な表現で書いた本。

1ページの1/3~1/2くらいが太ゴシック表記されており、太ゴシックは作者が読者を笑わせようと思っているギャグなのだが、古くさい。かつ、つまらなくて笑えない。

終わり方もすごく中途半端。


アフリカ旅行記を読みたい方は、他に良い本がたくさんあるのでそちらを読むべきでしょう。


3点/10点満点


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白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ」感想。
アフリカルポ。2010年07月28日再読了。

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ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄


本書は2009年9月21日に読んでいるのだが、再読してみた。

アフリカの現状を、それもディープな現状を、命がけの取材で伝える。超一級の作品である。

第1章
アパルトヘイトが終わり、経済発展する南アフリカになだれ込む外国人労働者(モザンビーク人やスワジランド人)の取材。および、スワジランド人やケニア人の若い女性を騙して連れてきて売春させる女衒へのインタビュー。

第2章
ナイジェリアの油田の取材。オイルマネーの恩恵を受けることなく、漏れた原油で生活が苦しくなる一方の現地住民の怒り。

第3章
コンゴ(ザイール)の内戦の取材。ルワンダとブルンジとウガンダも絡んだぐちゃぐちゃの状況の中、反政府ゲリラ幹部へのインタビューを敢行。インドが綺麗に思えてしまうくらい汚い街キンシャサの報告もある。

第4章
ダルフール紛争を取材するため、スーダンに密入国。反政府ゲリラへの取材を行う。

第5章
昨今のソマリアに2回潜入。


著者の白戸氏に一言言いたい。


死ぬなよ。


9点/10点満点


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ポール・コリアー「民主主義がアフリカ経済を殺す」感想。
アフリカ分析。2010年07月05日読了。

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民主主義がアフリカ経済を殺す―最底辺の一〇億人の国で起きている真実

オックスフォード大学教授の著者ポール・コリアーは、(日本で)2年前に「最底辺の10億人」という本を出版している。最貧国に住む人たちへ単なる援助をしても意味がない、というようなことが書かれていて、かなり興味をそそられたが、積ん読本が大量にあったので、買うことなく立ち読みで済ませてしまった、

その著者の最新作が本書。

政治経済学者である著者が書いた論文を、一般読者にもわかるように書き直したもの。とはいえ、読むにはかなりの知識が求められ、苦労しながら読み終えた。

最底辺の国を立て直すために、先進諸国は民主主義の象徴として「選挙」の実施を迫る。民主主義(の象徴である選挙)が導入されれば、政治的暴力は減少する。少なくとも民主主義の導入を推進している先進諸国(や国連)は、そう考えている。

しかし民主化の道のりはなかなか厳しい。

そこで著者は、「民主主義が導入されれば政治的暴力は減少する」が正しいのか検証してみる。

著者は共同研究者とともに、1960年以降のほぼすべての国のデータを入手した(何のデータかはわからない)。

ほぼすべての国を比較した結果、「貧しくない社会では、既に比較的安全な状況を民主主義がいっそう強化するのに対し、貧しい社会では元から深刻だった危険が、民主主義によってさらに増幅される」という結論になり、その貧しさの境目(閾値)は、「所得水準が一人あたり年間2700ドル、一日7ドル」と導き出され、最底辺の10億人が住む国家は、すべてこの閾値以下の所得水準しかなかった。


というような感じで、政治経済学の論文をかみ砕いた難しい話が延々と続くのであります。


もうちょっと軽い「読み物」的な内容を想像していた私は、ああこりゃマジメに読まないと内容が理解できんなあ、と頭を抱えつつ、毎日ちょっとずつ読み進めていったのでした。


アフリカに興味があるのなら、読んで損はない一冊です。興味がなければ読まない方がいいでしょう。


8点/10点満点


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石弘之「キリマンジャロの雪が消えていく」感想。
いわゆる新書。2010年03月28日読了。


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キリマンジャロの雪が消えていく ― アフリカ環境報告


キリマンジャロの雪がだんだんと解けてきている、という象徴的な現象を切り口に、アフリカ大陸に起きている環境問題およびアフリカ大陸が抱える様々な問題を解説する良書。

著者石弘之氏はザンビア大使も務めたことがあり、アフリカに精通している。以前同氏の著書「子どもたちのアフリカ」を読み、10点満点をつけた。丁寧かつ分かり易い文章で、しかしかなり深刻なテーマ(例えばケニアでは男性教師が教え子をレイプするケースが多々ある、など)について記していた。


本書も、アフリカの抱える問題点がみっしりと記されている。著者が提示する問題点は多岐にわたり、一言で言い表せるようなものではないのだが、少し例を出す。

アフリカ諸国では昔も今も多産である。しかし、今は医療が劇的に進歩しており、国際機関の援助に頼る部分も多いが、予防接種を受けることが出来る子供たちの数は増え、昔より乳幼児死亡率は大きく改善された。昔は多産多死であったが、今は多産少死である。

それが故にアフリカ諸国は人口増加が激しく、人口が増えると今まで以上に食料を消費し、食事を作るために今まで以上に燃料を消費する。

人口が増えると、面積の小さな国では一人あたりの耕作面積が減る。減ると、自分の食い扶持すら作れなくなるかも知れない、という意識から食糧危機が起こりかねない。(桃井和馬「破壊される大地」では、ルワンダ内戦の一因として人口増加による耕作地減少を挙げている)

石油や鉱物資源の発掘には技術が必要だが、木材の伐採は技術をあまり必要としない。伐採された木材は燃料として利用する他に、家具や建材として使うために輸出される。(「アフリカを食い荒らす中国」の84ページには、イケアの木材調達先は中国が最も多く、その中国はアフリカ諸国から多くの木材を伐採していると書かれている)


人口問題のほかには、事実上政府が無くめちゃくちゃな国のソマリアで、政府がないのをいいことに、ソマリア近海に産業廃棄物を違法投棄する連中や、EU諸国、中国、韓国、タイの漁船が違法操業していたらしい。


また、アフリカへの援助として「井戸を造る」行為は一般認知度も高い。しかし、井戸掘りもその全てがよいわけではなく、水が極端に少ない砂漠傾向にある場所で井戸を掘ると、井戸の周辺に遊牧民が住み着き、井戸周辺の草を根こそぎ食べてしまい、砂漠化に拍車がかかる。


非常に興味深く読めた。良書である。


9点/10点満点


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セルジュ・ミッシェル/ミッシェル・ブーレ「アフリカを食い荒らす中国」感想。
ルポ。2010年03月07日読了。

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アフリカを食い荒らす中国

本書は2月18日にヨハネスに到着した頃から読み始め、Airport Grand Hotelのバーでビール飲みながら読み終えました。


◆本書の概要(紀伊國屋Bookwebより)
すさまじい勢いでなだれ込む中国人たちの巨大な波!暗黒大陸の新たな征服が始まった。
巨大公共事業をはじめ“経済的利益”という新しい視点をかざした中国の国家戦略とは?―世界秩序を揺るがす実態を取材した衝撃の緊急ルポ。
(中略)
今、中国人はアフリカで何をしているのか? 各国政府と手を結び、大規模な公共事業など、あらゆるビジネスを急速に広げる75万の中国人。暗黒大陸の新たな征服を描く衝撃のルポ!


◆二人の著者はアルジェリア、セネガル、ギニア、ニジェール、ナイジェリア、カメルーン、ブラザビル・コンゴ、エジプト、スーダン、エチオピア、アンゴラ、ザンビア、中国、台湾で取材を行い、この本をまとめたとある。

その取材成果が十分に発揮されており、
第一章で北京で開かれた中国アフリカサミットのルポから始まり、
第二章はナイジェリアでパトカーを借りて道路を我が物顔で走る(ことができるくらい権力を持った)中国人ビジネスマンの成功物語、
第三章はブラザビル・コンゴのジャングルで違法伐採の同行取材(伐採をしているのが政府と癒着した中国企業)、

秘密警察が跋扈するスーダンで、立ち入り禁止の石油備蓄基地に入り込み写真を撮り警察に捕まったが何とか逃れた話とか、

大臣の地位を利用し、選挙区に住宅1万戸を建築し、選挙区での人気を不同にするブラザビル・コンゴの政治家へのインタビュー(と選挙区への取材)、

カメルーンに入り込む中国製の廉価な日用品と、それによって打撃を受けている地場産業の取材、

もうてんこ盛り。


なぜ中国が、中国企業が、多くの中国人がアフリカに入り込んでいるかというと、儲かるから。なぜ儲かるかというと、アフリカ諸国の多くは経済援助に頼っており、世界銀行の指針で、経済援助する代わりに競争入札を義務づけられている。競争入札となると中国企業に敵う先進諸国はどこもない。だから中国企業が落札する。

アフリカで働く多くの中国人は、働き始めるまで働く場所が危険(たとえばナイジェリアの石油紛争地域)だと言うことを知らない。働く前は良いことしか言われないから。報道されていないだけで、アフリカで働く中国人は何人も誘拐されたり殺されたりしている。でも、もし危険だと知っていても働きたがる中国人はたくさん居る。中国の農村で燻っているより、多くの金が稼げるから。


そして、アフリカで成功している中国人は利に賢い。成功した中国人は、一族郎党を呼び寄せ、更なる成功を自らの手で引き寄せる。賄賂を使おうが、強引な手を使おうが、環境だの何だのを無視しようが、一族の利益になればいいのだ。


南アフリカやナミビアで中国人の悪口をよく聞いた。なぜ悪口を言うのか、その理由の一端がわかった。


9点/10点満点


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平野克己「南アフリカの衝撃」感想。
2010年02月15日読了。アフリカ新書。

日経プレミアシリーズ 南アフリカの衝撃
平野克己 / 日本経済新聞出版社 2009/12 ¥892 (税込)

南アフリカでは凶悪犯罪が蔓延している。それも、アパルトヘイトが終わってから増加している。アパルトヘイト終了とともに世界市場に受け入れられ、市場経済が発展してきた南アフリカでは、黒人低所得者層が食うに困って犯罪を犯すのだ、と言う考え方が一般的なのだと思う。私もそう思っていた。

しかし、本書の著者に言わせると少し異なり、アパルトヘイト時代の南アフリカは国内に住む白人を相手にした市場しか作ってこなかったため、(人口5000万人の国なのに)市場規模800万人程度の産業しか育っていなく、大量の黒人が労働力として市場に出てきても受け入れる企業がないということと、通常の発展途上国ではそういう人たちを受け入れる場所として農業があるのだが、南アフリカでは農業が貧弱なため、黒人労働者の受け入れ先とにはならなかった。そのため現在黒人失業者や低所得者層が増えているのだ、と筆者は言う。

さらに、長い年月にわたり反アパルトヘイト闘争を行ったANCの中堅どころ(武力闘争を行っていたグループもある)は、闘争に勝ち黒人政権が誕生した瞬間に、無学で職能のない単なる役立たずの中年になってしまった。そんな連中の一部が、食うために犯罪組織を作ったのかも知れない(ANCという団体を維持していたので、組織運営能力はある)。

上記のような内容を含め、現在の南アフリカの経済状況や、中国の進出をどのようにとらえるのか、まったく知らなかった南アフリカ小史も書かれており、読み応え十分な一冊だった。


9点/10点満点


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白戸圭一「ルポ資源大陸アフリカ」感想。
ルポ。2009年09月21日読了。

ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄
白戸圭一 / 東洋経済新報社 2009/08 ¥1,995 (税込)

◆一つ前の感想に「2011年新聞・テレビ消滅」を取り上げた。本書「ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄」の著者、白戸圭一氏は、その消滅しそうなマスメディアの筆頭、毎日新聞の元ヨハネスブルク特派員で、現在は政治部記者。

本書「ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄」は、著者がヨハネスブルク特派員だった時に、南アフリカ、ナイジェリア、コンゴ(旧ザイール)、スーダン、ソマリアで起こっている暴力の現場を取材し、毎日新聞本紙には(読者ニーズが少ないために)掲載しきれなかった部分をまとめたものである。アフリカの現状を伝える本である。

◆まずはじめに書いておく。この本の内容は素晴らしい。

◆アフリカには貧困がつきまとい、圧政君主と腐敗した政治が渦巻き、暴力が国中を支配している、というイメージが世界中の人々に植え付けられている一方で、最近読んだアフリカ絡みの本、ロバート・ゲスト「アフリカ-苦悩する大陸」10点満点や、ヴィジャイ・マハジャン「アフリカ 動きだす9億人市場」9点/10点満点には、アフリカに住む人々だって平和を望んでいるし、経済的に豊かになりたいと思っているし、実際、経済的に成功を収めつつある国だっていっぱいある、悪いことばかりじゃないんだよ、という論調になっている。

◆1970年生まれの著者は、学生時代の1991年にニジェールを訪れたのを始め、大学院時代にアフリカ政治学を専攻、毎日新聞ではヨハネスブルク特派員と、アフリカに魅せられた人なのだろう。

◆その著者をして、アフリカは貧困や暴力だけではないことを承知の上で、アフリカで起こっている暴力の連鎖、圧政、貧困、それら負のスパイラルをテーマに本書を書いている。

◆発展しつつあるアフリカと、暴力の連鎖が渦巻くアフリカというのは、今の日本を「豊かな国」と見るのか「貧しい国」と見るのか、そのような違いなのかもしれない。だから、松本仁一「カラシニコフ」10点満点や本書のようなテーマもあれば、前掲の「苦悩する大陸」「動き出す9億人市場」のテーマもある。

これから世界一周を行い、来年2月は南部アフリカに1ヶ月くらい滞在するので、本書のような負のテーマを読むとヘヴィな気分になってしまうが、まあそれはそれ、本書は非常に良くできたルポである。


◆惜しむらくは、本書は毎日新聞社の金で取材した成果を記した本なのに、なぜ毎日新聞社から出版されないのか。更にこれだけのルポを書ける記者が、なぜ政治部記者にならなければならないのか。また、時折著者が見せる「上から目線」にはむかついた。こういう部分に、日本の新聞社の問題があるような気がする。


9点/10点満点


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ヴィジャイ・マハジャン「アフリカ 動きだす9億人市場」感想。
ルポ。2009年08月10日読了。

アフリカ 動きだす9億人市場
ヴィジャイ・マハジャン/松本裕 / 英治出版 2009/07 ¥2,310 (税込)

◆アフリカに関するルポやドキュメンタリーには良書が多い。以前読んだロバート・ゲスト「アフリカ 苦悩する大陸」は10点満点つけた。アフリカを長くウォッチし続けているジャーナリスト松本仁一の各書も、おしなべて完成度が高い。

アメリカを凌駕する中国、知られざるIT大国インド、独裁者プーチンに支配されるロシア、のような新興国に関する本は、内容がまともであれいいい加減であれ、海外情勢などにちっとも関心がない普通のサラリーマンでも読むだろう。だがアフリカ関連書籍は、アフリカに関心がある人しか読まない。書籍としての市場がきわめて狭い、つまり売れないジャンルなのだ。amazonを筆頭に、誰でも簡単にブックレビューを読み書きできる今の時代、いい加減な本を出すと、速効で売れなくなる。だから、元々狭い市場しか持たないアフリカ関連書籍は、いい加減な本を出す余裕が全くないので、良書が数多く出版される。と私は思うのだ。

◆で、本書。インドに生まれ、アメリカに渡り大学教授となった著者が書いた、アフリカに関するマーケティング論。
アフリカは53のばらばらな国が集まった小さな国家の集合体で、経済はまだ発展していなく、グローバルビジネスにおいて戦略的価値はまだ見いだせない、という世間一般のイメージは、もはや間違っている! ということをデータと実地調査を元に説いている。

◆著者紹介(紀伊国屋Bookwebより)
マハジャン,ヴィジャイ[マハジャン,ヴィジャイ][Mahajan,Vijay]
テキサス大学オースティン校マコームズ経営大学院経営学教授。全米の数多くの一流企業でマーケティングのコンサルティングを行っており、その業績はアメリカ・マーケティング協会(AMA)によるチャールズ・クーリッジ・パーリン賞やインド工科大学カンプール校最優秀同窓生賞など、数々の賞を受賞。AMA2007年ブック・オブ・イヤー賞受賞の経歴もある。インド商科大学院経営学部長を経て現職。


◆ロバート・ゲスト「アフリカ 苦悩する大陸」を読んだとき、経済的な側面から見るアフリカ各国は、私が思っていた以上に豊かになりつつあるのだな、と世間のイメージとの違いに驚いた。

本書も、かなり驚くべきデータが多数掲載されている。

国民一人あたりの総所得(GNI)に関するデータが55ページに載っている。2006年のデータでは、
 中国 2,010ドル
 インド 820ドル
に対し、
 セーシェル 8,650ドル
 赤道ギニア 8,250ドル
 リビア 7,380ドル
 ボツワナ 5,900ドル
など、中国を超えるアフリカの国が12カ国、インドを超える国が20カ国もある。赤道ギニアが石油で儲けていることは知っていたけど、それにしたって平均で国民ひとりの年間所得が8,000ドルもあるのか。そりゃすごい。

◆176ページにはもっと驚くことが書かれていた。シエラレオネの首都フリータウンには、市全域に無線インターネット環境が整備されており、無制限のWi-Fi、WiMAXネットワークを有する世界で3番目の都市なのだそうだ。(ほかはフィラデルフィアと台北)

221ページ、ナイジェリアは映画産業が発展しており、収益ベースで年間2~3億ドルの規模にまで成長、映画産業の就業人口は100万人で、農業に次ぐ雇用人数となっている。

◆アフリカの国々は、戦争・内戦や、独裁者による恐怖政治、資源争奪にまつわる黒い話ばかりが喧伝されているが、そういう一面も確かにあるが、そうじゃない面の方が多いのだという。

世界中で携帯電話が普及しているんだから、アフリカ諸国にも携帯電話は普及している。
世界中がインターネットの恩恵を被っているように、アフリカ諸国の人たちもインターネットを使いたいし、需要があれば供給が生まれるのは当たり前。
仮にアフリカを一つの国と仮定すると、人口は約9億人で、総所得は9783億ドル。インドは10億人で9065億ドル。数字の上から見ると、インドよりも豊かなのだ。さらに、出稼ぎで世界各国に散らばっているアフリカの人たちは、稼いだ金を家族に送金している。海外から送金された金は、経済統計に出てくるとは限らない。というか出てこない。統計数字よりももっと豊かと考えるべきだろう。(これはインドも同じだが)

◆というようなことが載っている本書。やっぱりアフリカ関連書籍は良書が多いのである。


9点/10点満点


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松浦光利「海将補(アドミラル)のアフリカ奮闘記」感想
国際奮闘記。2008年12月22日読了。

海将補(アドミラル)のアフリカ奮闘記―アフリカに海軍を教えた国際協力六年間の記録
松浦光利 / 光人社 2008/12 ¥829 (税込)
 
内容(紀伊国屋Bookwebより)
砕氷艦ふじ艦長として南極にも赴いた海上自衛隊の熱血アドミラルが大活躍!人もうらやむ第二の人生を打ち捨てて、アフリカの小国サンジバルに海運指導に努めた元海将補の汗と涙と笑いの六年間。
頑固でプライド高く、あるいは大雑把なアフリカ人を相手に、人造り、国造りの最前線を描いた異色のノンフィクション。国際貢献をめざす若い世代に贈る一冊。

◆本書は新しい本ではなく、20年以上前の1985年に出版された本の文庫化。

◆大正8年(1919年)生まれの著者は、戦時下の海軍を経て海上保安庁、海上警備隊(海上自衛隊の前身)に入隊、砕氷艦ふじ艦長として南極にも赴き、海将補・幕僚長まで昇進し昭和49年(1974年)退官。その後、第二の人生として選んだのが、JICAの専門家としてタンザニア・ザンジバル政府の海運指導をすること、つまり国際貢献の道である。昭和50年4月から、ザンジバルに緑のパスポート(公務パスポート)で赴任すること6年+個人契約で更に3ヶ月、その後コモロで3ヶ月の短期協力、本書は都合6年半のアフリカ諸国国際貢献の記録である。

◆今から20年以上も前のアフリカ諸国である。しかも赴任時の著者は55歳。並大抵の根性では務まらない大役だろうが、元海将補で船長資格を有する日本の専門家への期待は並大抵ではなく、元海将補という立場はザンジバル大統領と直接会話ができるくらい国際的な地位が高く、従って元海将補という立場は並大抵の苦労で弱音を吐くことが許されず、かつ元海将補というプライドは並大抵の困難で弱音を吐くことなどせず、とにかく淡々と黙々と厳粛かつ正確に仕事をこなすのである。

◆元海将補という立場のためか、高いところからの言葉使いが多く、かつ専門的などうでもいいような記述も多いが、「真の国際貢献とはかくあるべし」という著者の強いメッセージも伝わってくる。

◆アフリカ好きの私は、タイトルを見ただけで中身をよく確かめずに買ってしまったのだが、思わぬ掘り出し物であった。


7点/10点満点


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