カテゴリー「■アフリカ」の記事

2011/12/13

米川正子「世界最悪の紛争「コンゴ」」感想。
コンゴ分析。2011年12月12日読了。

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世界最悪の紛争「コンゴ」―平和以外に何でもある国

◆著者紹介
本書の序章で、著者自身の生い立ちについて書かれている。神戸に生まれ、父親の転勤でアメリカに住み、7歳で帰国、「ガイジン」扱いされ、中学・高校時代は再び父親の転勤でアメリカへ。大学はどこかに留学し?、その後、南ア・ケープタウン大学大学院で国際関係の修士を取得。国連ボランティアとしてカンボジア、リベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダで活動後、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)職員としてルワンダ、ケニア、ザイールコンゴ(2007年からの1年半はザイールコンゴ東部の街ゴマのUNHCR所長)、ジュネーブ本部で活動。現在は宇都宮大学特認准教授。アフリカ活動は17年におよぶ(うろ覚え)。

◆前振り
本書の著者は自身のブログで、震災に伴う原発事故で斜め上杉(のデマ)を全面的に信用していることを書いており、私はそれにすごく違和感を持った。というか貶した。本人のブログにも文句を書いたが、ガン無視された。

◆感想
本書はどうなんだろう、敷居がやたらと高い気がする。

語り口は比較的簡単で容易に読み進めることができる。しかしコンゴとルワンダに関する歴史に関しては、そこまで端折っちゃって大丈夫か?と思えるくらい省略されている。

FDLRとかAFDLとかRPFとかLRAとかRCDとかの紛争当事者に関する略語が、あまりにも説明不足で、これじゃあ予備知識の足りない読者はまともに理解できないだろうな、と感じたのである。

例えば、「ルワンダ難民」という言葉を用いている。

この「ルワンダ難民」は、1959年にルワンダを出て行ったツチ族なのか(行き先はコンゴとウガンダ)、1994年のルワンダ大虐殺でルワンダから逃げたツチ族(虐殺された方)なのか、大虐殺のさなかツチ族の逆襲でルワンダから逃げる羽目になったフツ族(虐殺した方)なのか、文脈からだけでは容易に推測できない。(例えば54ページの4行目とか)

※ご参考:以前私は「ルワンダ・ブルンジ・コンゴ(旧ザイール)のまとめ」というのを自分用に作ったので、わけがわからない方は読んでみて下さい。

本書の全体的な主張は、ルワンダ大虐殺を防げなかった国際社会なのに、コンゴ紛争(アフリカ大戦とも言われている)についてあまりにも報道が少ないのは何故だ。ルワンダはコンゴ紛争に関しては加害者であるはずなのに、世界各国から引き立てられるのは何故だ。それは、コンゴ紛争そのものがアメリカを中心とした資源を欲しがる先進諸国の「舞台劇」となっているからで、報道が少ないことや、国連関連機関同士の連携が悪いのも、「舞台劇」のシナリオの範疇なのではないか……

著者は国連機関の一員として長く活動したため、国連やNGO、各国政府の悪いところが見えている。そして、一向に良くならない現状に対して強い怒りを持っている。苛立ちなのかもしれない。


しかし私の印象としては、著者は長い間アフリカの紛争地に人道支援をする立場として居たため、現在の世界の動きが見えなくなっているのかな、と感じる。

世界の動きって何だよ?

最近読んだ本では、パラグ・カンナ「ネクスト・ルネサンス」やダンビサ・モヨ「援助じゃアフリカは発展しない」などに記されているように、人道支援団体は、支援すべき人が居なくなったら(≒紛争や貧困が無くなったら)、その存在意義が無くなり、結果として食いっぱぐれてしまうから、紛争屋貧困は無くならない。世の中のシステムはそのようにできてしまっている。

ということである。

また身も蓋もないことを言ってしまえば、これ以上世界の人口が増えたら、食料や水やエネルギーの争奪戦で世界中が大混乱に陥るから、世界の人口を減らすために紛争は常にあり続ける方が良いと思っている人たちが少なからず居る。(こっちは私の考え)


(P187)
「一方、常に紛争の犠牲者になる一般市民が望んでいることは、衣食住や言動の自由が守られている「人間らしい生活」ができること、と大変ささやかだ。(中略)選挙も重要ではあるが、もっと市民の視点に立ち彼らのニーズに応える必要がある。」

→だから世界各国で武装解除をやってるんじゃねーの?

※ご参考
ルワンダ大虐殺の加害者フツ族(当時ルワンダの政権を握っていた)は、大虐殺の真っ最中に被害者ツチ族率いるRPF(ルワンダ愛国戦線=現ルワンダ大統領ポール・カガメの集団)の逆襲に遭い、フツ族が難民となってコンゴに逃げ出した。そのフツ族残党が作ったのがFDLR(ルワンダ解放民主軍)。

AFDL(フランス語読み、英語ではADFL)(コンゴ・ザイール解放民主勢力連合)は、独裁者モブツを倒すためにポール・カガメらが作ったコンゴの反政府ゲリラ組織。AFDLがモブツを倒し政権を奪取すると、ルワンダ系を政権から追い出したため、怒ったルワンダ系が作った反AFDL組織がRCD(コンゴ民主連合)。

LRA(神の抵抗軍)は反ウガンダ政府の宗教団体。気が狂っている教祖が率いている悪魔の集団。


7点/10点満点

コンゴやルワンダが出てくる本で、私が読んだものは、
コーレイヴィッチ「ジェノサイドの丘(上)」のみ
吉岡逸夫「漂泊のルワンダ」
桃井和馬「破壊される大地」
石弘之「キリマンジャロの雪が消えていく」
白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ」
大津司郎「アフリカン・ブラッド・レアメタル」
石井光太「飢餓浄土」
ダンビサ・モヨ「援助じゃアフリカは発展しない」など。

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2011/12/12

星野道夫「アフリカ旅日記」感想。
写真エッセイ。2011年12月8日読了。

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アフリカ旅日記―ゴンベの森へ


アラスカに住み、アラスカの動物写真を撮る星野道夫。氏はグリズリーに襲われ亡くなられてしまった。何の雑誌で見たのか覚えていないけど(ナショナルジオグラフィックかなあ?)、氏の写真はとにかく上手い。

名前は知っていたけど、写真集というのは、きっかけがなければなかなか買わない。私は星野道夫の写真集は持っていない。何気なく本屋をのぞき込んだとき、本書が平積みされていた。文庫(620円)なのにカラー写真が豊富で、テーマがアフリカだから買った。


本書は、アラスカを拠点とする星野道夫が、チンパンジー研究者の世界的権威ジェーン・グドールとともに、タンザニアの奥地ゴンベで、ジェーンと一緒に過ごした10日間の出来事を綴ったフォトエッセイである。


本書の写真を見ていると、星野道夫の専門であったアラスカの写真集が欲しくなってしまった。


6点/10点満点


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2011/11/29

ダンビサ・モヨ「援助じゃアフリカは発展しない」感想。
提言書。2011年11月16日読了。

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援助じゃアフリカは発展しない


本書の著者ダンビサ・モヨは、ザンビアの首都ルサカで生まれ(両親ともザンビア大学を卒業しているエリート)、ザンビアで小学、中学、高校、大学へと進学したが、著者の大学在学中にザンビアでクーデターが起きて国内が混乱し大学が閉鎖されたため、著者はアメリカに渡り、アメリカで奨学金を貰いながら高等教育を終了し(カレッジだと思う)、世界銀行で2年間働いた後、ハーバードの修士課程で2年間、オックスフォードの経済学博士課程で4年間勉強し、ゴールドマンサックスで8年働いて、本書を執筆。(現在は執筆活動を中心にしているのかな?よくわからん)

本書の原著「Dead Aid」は2009年に出版され、「フィナンシャル・タイムズ」などで取り上げられ評判となり、日本語版は昨年(2010年)8月に出版された。

というわけで、昨年買った積ん読本をようやく読み終えました。


本書が発するメッセージはタイトルの通りで、際限のない援助がアフリカ諸国の発展を阻害している、という内容である。

それなりの量のアフリカ関連本を読んでいるせいか、この手の話はたびたび出てくる。最近読んだ本だと、石弘之「キリマンジャロの雪が消えていく」には、善意で「アフリカで井戸を掘る」行為は、砂漠に近い場所でこういう善行をしても、井戸ができることによって遊牧民が井戸の周りに住み着き、遊牧民が飼っている家畜が井戸の周りの草を根こそぎ食い荒らし、砂漠化が加速するケースもある、と出ている(もちろん全ての井戸掘りが駄目とは言ってないが)


本書はそれよりももっと過激に、

国連が援助する資金によって肥え太るのは独裁政権だけであり、それがわかっていながら国連の官僚システムは国際援助そのものが目的と化しているのでなかなかやめられない、とか、

U2のボノが困窮極まる最底辺の人たちを助けるためにチャリティーを行うが、その金で寄付された物資(もちろん無料で配られる)のせいで、地場産業が壊滅的な打撃を受ける、とか、

まあ、そういうことが書かれている。


データの信憑性に?がつく部分があったり、計算根拠の異なるデータを並べて比較したり、極論が多すぎたりと乱暴な部分も目立つが、とはいえ「援助は役に立っていない、むしろアフリカ諸国の発展を阻害している」ことを経済学者らしくデータで説明している点や、ザンビア出身でザンビア大学に通っていた著者だからこそわかるザンビアの(ひいてはアフリカ諸国の)問題点を指摘しているなど、説得力も高い。


著者のメッセージのなかで、「アフリカにおける開発の難しさは二つの道筋の板ばさみとなっていることである。一つはアフリカの人々を、開発に自力で取り組めず成長を自ら達成できない子供のような存在であると見なすアプローチである。もう一つは、持続可能な経済成長に目標を定めようとするならば、アフリカの人々が大人として扱われる必要があると考えるアプローチである。もちろんのこと、援助依存モデルの問題点は、アフリカ諸国が永遠に無邪気な子供のような国家として扱われていることである」(P43)

という部分は印象的であった。


また著者は、援助ビジネスに関わる人の多さにも言及している。要約すると、
世界銀行に1万人、
IMF(国際通貨基金)に2500人、
他の国連機関に5000人、
公認のNGO、民間慈善団体、政府の援助機関団体の従業員が少なくとも2万5000人、
そのほか全てを合わせると、およそ50万人が援助に関係している。(P77)

逆説的に言うと、国際援助というシステムが無くなると、一番困るのは援助でメシを食っている上記50万人だ。(私の注:この50万人には、無償ボランティアは含まれていないと思います)

だから、国際援助は無くならない。

そしてアフリカ諸国の、特に独裁国家の独裁者達は、国際援助が無くならないことを知っている。
(本書のP7に、ポリティIVのデータベースによると、アフリカには完全な独裁国家が11ある。ブラザヴィルコンゴ、赤道ギニア、エリトリア、ガボン、ガンビア、モーリタニア、ルワンダ、スーダン、スワジランド、ウガンダ、ジンバブエ、と書かれている。他にもアンゴラ、ブルキナファソ、カメルーン、ギニアも可能性大)


事実として出ているデータで興味深かったのは、ガンビアとエチオピアの財政収入の97%が援助らしい(P102)。
財政収入の97%が援助って、世界が見捨てたらこの2つの国民は数ヶ月後には大量死ってことだ。


また、アフリカでビジネスを行う際に発生する手続きの面倒くささの例として、
カメルーンではビジネスの免許を取得するのに15の手続きに426日、
中国では37の手続きに336日、
アメリカでは19の手続きに40日、
比較的マシなアンゴラは12の手続きに119日、
でも韓国なら10の手続きに17日、
でビジネス免許が取得できる。(P140)

これじゃあ外資は呼び込めないよなあ。


とはいえ、一般市民の大半が銀行口座を持っていないケニアでは、SMS=ショートメッセージしか使えない携帯電話を使った国内送金サービス「エムペサ(M-Pesa)」が急速に普及している例も紹介している(P195)。2007年に誕生したこのシステムは、近々国際送金にチャレンジするらしい。そうなったらアジアを含めて急速に世界のマネー流通の勢力図が塗り変わるかもしれないな。


雑多な感想になってしまったが、荒っぽい内容の本だが、アフリカに詳しくなくても、援助ビジネスに詳しくなくても、社会学に興味が無くても、アフリカが抱える援助の問題点は理解できると思うし、わかりやすく書かれていると思う。


良書である。


※追記:本書ではボツワナが援助に頼ることをやめ、結果的に国債格付けなど経済的に良好な状態を保つことができていることにも言及している。アフリカ投資の入門書としても本書を読む価値があると思う。


7点(とはいえやっぱり内容は粗いので)/10点満点


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2011/07/15

浅井宏純「アフリカ大陸一周ツアー」感想。
紀行エッセイ。2011年07月02日読了。

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アフリカ大陸一周ツアー―大型トラックバスで26カ国を行く

私はJALマイルを貯めている関係で、本はほとんど紀伊國屋bookWebで買っています

で、私は「ぴあ」の株を所有しています。ぴあの株を持っていると(諸条件はありますが)毎年5000円分の図書カードを株主優待でもらえます。ちなみにぴあの株は(今なら)8万円くらいで買えます。

今年もそういう時期になりまして、自宅に5000円分の図書カードがやってきました。さて何買おうかな、と本屋に行ったら本書「アフリカ大陸一周ツアー―大型トラックバスで26カ国を行く」がありました。

アフリカ諸国を4WDトラックを乗用に改造したバスで縦断するツアーというのは、テレビでも何度か取り上げられ、アフリカ好きにはそこそこ有名な旅行方法です。よく聞くのはエジプトから南アフリカまで8~12カ国を半年くらいかけて縦断するルートで、費用は飯代込みで50万円くらい(ビザは自分で取る・飯は自炊・宿は全泊テント)。

本書もそういうツアーを利用して旅した旅行記なのだろうと察しはついたのですが、26カ国を10ヶ月で行ったという内容にちょっと驚きました。

モロッコ→(西サハラ→)モーリタニア→マリ→ブルキナファソ→ガーナ→(トーゴ→)ベナン→ナイジェリア→カメルーン→ガボン→ブラザビルコンゴ→キンシャサコンゴ→アンゴラ→ナミビア→南アフリカ→ボツワナ→ジンバブウェ→マラウィ→タンザニア→ケニア→ウガンダ→ルワンダ→エチオピア→スーダン→エジプト(目次を拾うと24カ国。目次に載っていない西サハラとトーゴを加えると26カ国)

おお!すごいじゃん。

こりゃー買いだ。買って読まねば。(どうせ「ぴあ」から貰った図書カードで買うんだし)


1955年生まれで留学コンサルタントの著者=英語ぺらぺらっぽい=は、2009年に意を決して55歳にしてアフリカ縦断トラックバスツアーに参加。そのツアーで感じた生のアフリカを、余すところなく書き表したのが本書。

なんだけどー。

この著者、底浅い。

留学コンサルタントをしていたわりには、海外に関する知識がなさ過ぎ。
それと、紀行エッセイを書こうとしているわりには、他の優秀な紀行エッセイを知らなさ過ぎ。
いい歳こいてんだからさ、もっと勉強してから本書けよ。
まあこれは出版させる幻冬舎にも問題ありなんだけど。


◆187ページ
日本がアフリカをはじめとする発展途上国への援助資金を豊富に出していることに関して、結果的にその資金が腐敗した発展途上国の政府高官の懐に入っていることを南アフリカ出身の20代の若者から教えられ、「日本国民の税金はこんなところで無駄になっているのかもしれない」などと書いている。

あのね。
日本は武力で世界平和に貢献できないから(自衛隊の海外派兵は禁止されている)、金という武器で外交を行っているのよ。もっともっと勉強しようね、留学コンサルタントさん。


◆同じく187ページ、マラウィでの話
高校生二人組が、「昔、この近くでウナギを探している日本人がいた」など、わけのわからないことを言いながら、しつこくつきまとう。

あのね。
マラウィでウナギを探す日本人ってのは、東大でウナギ研究をしている青山潤氏のことで、「アフリカにょろり旅」という第23回講談社エッセイ賞受賞した作品にその詳細が記されている。マラウィでウナギを探している日本人の事なんて「マラウィ ウナギ」で検索したらすぐに出てくるのに、著者は本書を書くにあたってそういう調べ事すらしていないんだな。


◆222ページ、ルワンダの話
ツチ族の男性(虐殺された方)に話を聞いた
「家族はみんな殺された。でも、国外脱出し、難民として生き延びたツチ族も戻ってきたので、今、この国の10人に一人はツチ族だ。副大統領もツチ族だ」

あのね。
現ルワンダ大統領(ポール・カガメ)がツチ族なんですけど。
なんでそんなことすら調べないの?
お前、バカ?


◆232ページ
サブサハラあたりから、意外にもアフリカと中国とは関係が深いのだとわかってきた。

あのね。
中国が積極的にアフリカ諸国に投資しているのは海外事業を展開しているビジネスマンの間じゃ周知の事実で、知らないのはあんたが単なる無知なだけで、意外でもなんでもないんだよ。

もういいや。


この著者は日本人でもビザ取るのが面倒と評判のアンゴラやスーダンに行っているんだけど、どうやってビザを取ったのかは不明。アフリカ諸国の旅行ガイド本としては全く役に立たない。


何だかねえ。すごく中途半端な本だ。

どういう読者を対象にしているのかよくわからない。


4点/10点満点


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2011/04/30

白戸圭一「日本人のためのアフリカ入門」感想。
いわゆる新書。2011年04月20日読了。

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日本人のためのアフリカ入門

本書の著者白戸圭一氏は毎日新聞ヨハネスブルク支社の元特派員で、「ルポ 資源大陸アフリカ」という本を上梓している。私は「ルポ 資源大陸アフリカ」を2009年9月21日に読み2010年7月28日に再読した。2回も読んでいる。積ん読本が400冊くらいあるのに、氏の処女作は2回も読んでいる。危険な取材を行い、それでいて歴史的背景や現状分析が感情的になっていなく、日本人ジャーナリストのルポ本としては実に完成度が高くて良い本なのである。私はアフリカ好きで、アフリカのいいところも悪いところもそれなりに(※)知っているつもりである。その程度の私をして、白戸圭一氏は優秀なジャーナリストだと思うのである。毎日新聞に在籍しているなんてもったいないと思うのだが、フリーになったところでアフリカネタを書いているようじゃ収入なんてたかが知れているから、これはこれで素晴らしく賢い選択なんだろうな。最近、上杉隆の劣化を目の当たりにしているので、宮仕えジャーナリストも、本人次第なんだろうなと思うことにした。細かい経緯は省くが、白戸圭一氏は気骨ある人物である。たぶん。

で、本書は氏の2作目の著書である。

前著「ルポ 資源大陸アフリカ」に比べると、明らかに読者ターゲットを“アフリカ知らず”の人々に置いている。

出だしの第一章は、フジテレビの人気バラエティ番組「あいのり」エチオピア・アディスアベバ編の“やらせ”の検証である。

あいのりメンバーがアディスアベバの孤児院へ行く。
孤児が親族に会いたがっている。
あいのりメンバーは相談の上、孤児を親族の元に連れて行く。
孤児は親族に会えて大喜び。
……。

だが、そのとき「あいのり」で紹介された内容はウソ偽りだらけ。
孤児の親は内戦で殺された→ウソ
アディスアベバから孤児の親族が居る場所まで東京-青森間くらい→ウソ(車で5時間)
あいのりメンバーが自主的に孤児の親族捜しを始めた→ウソ(スタッフの仕込み)

などなど。
テレビ番組を作る会社で長年働いてきた私は、あいのりのスタッフがやったことは業界標準で別に不思議なことはないじゃんとか思いつつも、こういうことをするバカ野郎が多いから日本のドキュメンタリーは信用されないんだよな(私も信用しないし)、とも思うのである。

まあいいや。


個人的には既にどこかで読んだ話が多く、物足りない部分もあったけれども、それは私がアフリカ好きでアフリカ関連の本をいっぱい読んでいるからであって、ごくごく普通の新書好きの人がアフリカの一端を知るために読む本としては、かなり完成度が高いのではないかと思うのである。


8点/10点満点

※それなりに行ったアフリカの観光地。
・ケニア(アンボセリ・ナクル湖・マサイマラ・ナイロビ)
・エジプト(カイロ・ギザ・アスワン・アブシンベル)
・モロッコ(マラケシュ・オカエムデン)
・南アフリカ(ヨハネスブルク・ケープタウン・ステレンボッシュ)
・ナミビア(ウィントフック・ナミブナウクルフト・スワコップムント)
・ジンバブウェ(ヴィクトリアフォールズ)
・ザンビア(リヴィングストン=ヴィクトリアフォールズの隣町)
・ボツワナ(チョベ国立公園=ヴィクトリアフォールズの隣町)

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2011/02/26

滝田明日香「サバンナの宝箱」感想。
ケニアの獣医エッセイ。2011年02月26日読了。

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サバンナの宝箱―獣の女医のどたばたアフリカン・ライフ!

アフリカの面白そうな本が出ている!と思って買った。

読み始めたら、何となく過去に読んだような記憶があるので、自分のブログの過去ログを調べたら、同じ著者の「晴れ、ときどきサバンナ」という本を2007年4月に読んでかなりむかついたことを書いてあった。そうだった、かなり相当むかついたんだよ。忘れてた。

で、本書。

構成は酷い。

ナイロビ大学の獣医学科で獣医を目指して勉強する著者の、大学生活に関するエッセイ、ナイロビで犬猫と暮らしていますエッセイ、獣医学科の道は険しいエッセイ、ここまでで92ページ、残り150ページは日記である。日記だけじゃ一冊の原稿量にならなかったからエッセイを追加したような感じ。

本当に日記なのである。獣医を目指して日々勉強している内容とか、実習でのグロい話(シマウマの死体を解剖したら生きている寄生虫がウニウニ蠢いていた)とか、飼っている犬猫の話とか。

著者はWebサイトで日記を公開していて、もしかしたらそこから丸写しで本を作ったのかも知れない。その日記部分になかなか面白いエピソード(※)もあったし、こういう本もアリと言えばアリだけど、安直な出版企画だという印象は否めない。まあ私みたいに買って読む輩がいるから出版されるんだろうけどさ。

※獣医研修で家畜の屠殺場に検査をしに行ったら、検査前に勝手に「検査済み」の焼き印が押されていて、肉を切って検査しようとすると「売り物に触るな」と追い返されたり、寄生虫が沸いている牛の肝臓を検査して回収箱に入れると、あっという間に回収箱から肝臓が盗まれていて、それはスラムでムトゥラ(血入りソーセージ)にされて売られているのだそうな。私は世界一周旅行中、そこいらの露店でメシを食うこともありましたが、火が通っていればたいてい口にしましたけど、そうは言っても寄生虫は食いたくないなあ。こんどからはちょっと考えてメシを食おう。


4点/10点満点


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2010/12/23

さくら剛「アフリカなんて二度と思い出したくないわっ!アホ!!」感想。
紀行エッセイ。2010年12月20日読了。

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アフリカなんて二度と思い出したくないわっ!アホ!!―…でも、やっぱり好き(泣)。


さくら剛の本は、インドものとアフリカものを各一冊読んだ(リンクは貼らない)。

どっちもバックパッカーの紀行ものとしてはありきたりの内容なのだが、ありきたりの内容を誤魔化すためなのか文中のつまらないギャグをやたらと太ゴシックで強調しており、本をあまり読まない人には取っつきやすいかもしれないが、まあ雑誌記事レベルであった。

(私にとって)つまらないであろうことが判っていながら、アフリカものなので一応買ってみた。

以前読んだ本より更に太ゴシック比率が高まっており、全体の40%くらい(印象値)が太ゴシックで書かれていて、さらには1ページの80%が太ゴシックというページもあった。

もはやゴシックにする意味ないじゃないか。


肝心の内容はというと、アフリカを抜けイスラエルに行き、パレスチナをまわっている最中にイスラエル兵からマシンガンを突きつけられ、イスラエルってのはとんでもない国だ! で終わっている。


このふざけた文体、書体で何を書いても説得力がないんだけど。

どうせ書くなら、ユダヤ人がパレスチナ人の土地を強奪して作ったイスラエルという国は、明日核爆弾を落とされてもユダヤ人以外同情する人間がいない、世界で最も嫌われた国であることまで書けばいいのに。


まあいいや。さくら剛はもう買わないし読まない。時間の無駄。


3点/10点満点



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2010/11/20

「スーダン日記」というブログがある (雑記・大幅追記と訂正あり)

JICAでスーダンに派遣されている人が書いている「スーダン日記」というブログがなかなか興味深い。

スーダンはそのうち行ってみよう、と思っている。一昔前と違って、アラブ資本や中国資本がバンバン入ってきていて、首都ハルツームはけっこうとんでもないことになっている。「カダフィの卵」と呼ばれるホテル(ドバイのバージュ・アル・アラブの系列違った。リビア資本だった)が出来たり、ハルツームをドバイ以上の金ピカゴージャスシティにしてしまおうアホみたいな大開発計画「Al-Morgan Project」があったり。注:リンク先はハルツーム開発を行っている企業のサイトです。

何が言いたいかというとスーダンは(秘密警察もあるし)政治的なことに首を突っ込まない限りそれほど危険はない国だ、ということ。外務省の海外渡航危険情報ではハルツームも危険度1になっているけどスーダンでの危険性は政治デモや政治テロに巻き込まれる危険性なので、普通の人々の中に悪い奴らがごちゃまんと潜んでいるエジプトやインドやトルコより普通の観光やビジネスはし易いのではないかな。

まあ、イスラム寄りの政府が荒くれ集団(ジャンジャウィードでwikiれ)に陰ながら援助を行ってキリスト教徒をぶち殺しまくっているような(注:一応噂である)スーダンで、石油で儲けた金を学校や病院などの公共施設整備に回さないで都市開発を行ってしまうのってどうなのよ! といようなことは個々人でどうぞご自由にご判断下さい、なのだが、まあ私も世界一周してきてそこそこいろんな国を回って感じたのは、世界中でインターネットが使えるようになって先進諸国というのはなんと羨ましい生活をおくっているのだ! ということが世界中けっこう隅々の人々にまで浸透してきていて、誰しもが金を儲けて良い暮らしがしたいと願ったり思ったりしているわけだ。貧国の政府は自国の貧民たちがそのような思いで暮らしていることを知っているので、なぜ知っているかというとそういう貧民はクーデター要素になるからなのだが、自国の首都すら貧相なままだと自国民が夢を持てないから最低限首都は自国民の誰もが羨むような凄まじい開発を行わねば、という流れは絶対に止まらないし止められない。

で、何で私がスーダンに行ってみたいかというと、まあスーダンの他にもリビアや赤道ギニアやナイジェリアやアルジェリアやアンゴラやガボン(以上石油で儲けている)やモザンビーク(アルミ)やコートジボワール(アフリカで一番機能的な高速道路がある)やシエラレオネ(首都は世界で3本の指に入るwifiネットワーク都市)や中央アフリカやザイールコンゴ(以上は眠れる鉱山資源)やそういうところにも行ってみたいんだけど、それは20年前に遡ってみると中国やタイやベトナムやマレーシアやインドやブラジルやロシアやそういった国々が世界経済を牽引するグループに入り込んでくるなんていうのは、いずれそのうちあり得るかも知れないけど本当にそんな時代が来るのだろうか、なんて程度だったはずなのだが先見性のある投資家やコストダウンを求め続けてさまよう製造業のおかげで20年経過した今はそれぞれ経済発展が著しい。ということは20年後、スーダンやナイジェリアが今の中国インドのような立場になっていても不思議ではない。私に金か権力があればアフリカ諸国に多大な投資をするところなんだが、私はしょぼっちい中年オヤジなのである。スーダンに行ったところで「おおー」で終わると思うが。


まあこんなことを考えながらついでにいろいろ調べていたら、旅エッセイスト田中真知さんのブログ「王様の耳そうじ」も見つけた。これも面白い。


で、パソコンが何回も壊れまくってしまってRSSリーダーの再設定をしないままずっと過ごしていたのだが、そろそろ読みたいブログも溜まってきたしRSSリーダーの再設定をするためにも新しいパソコンを買おうかな。DELLのノートがまた壊れてこれで壊れたの4年目で4回目だし、今使っているダイナブックのネットブックも一回メイン基板取り替えてるし、今度はデスクトップ買うべし買うべし。金ないのに。


まあそれはそれとして最初に書いた「スーダン日記」にハルツームでも中華料理レストランがたくさん出来つつあるとの話。それを読んで思いだしたのが南アフリカのヨハネスブルクで泊まったホテル「Airport Grand Hotel」の併設バーに最近大連から移住してきたという中国人の若い女の子がいたんだよな、この子がけっこうかわいくて黒人ウェイターにかわいがられていたんだよな、なんてことを思い出したのです、それだけ。


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2010/11/19

ルワンダ・ブルンジ・コンゴ(旧ザイール)のまとめ。

「アフリカンブラッドレアメタル」を読み、気になったのでまとめる。
片山正人「現代アフリカクーデター全史」も参照。


ルワンダは北(地図上の上)にウガンダ、西(左)にザイールコンゴ、南(下)にブルンジ、東(右)にタンザニアと、四方を他国に囲まれた内陸国家である。


大きな地図で見る

△フツ族=農耕民族。ルワンダの多数派(人口の84%)。ブルンジの多数派(85%)。
△ツチ族=遊牧民族。ルワンダの少数派(人口の15%)。ブルンジの少数派(14%)。

◆ルワンダ
 15~16世紀頃にはツチ族が支配するルワンダ王国が成立していた。1884年ドイツ侵攻、支配下。以降第一次世界対戦終了までドイツ領。戦後ベルギー委任統治領。第二次世界大戦後ベルギー信託統治領。1962年、共和国として独立。2009年英国連邦に加盟。

◆ブルンジ
 15~16世紀頃にはツチ族が支配するブルンジ王国が成立していた。1884年ドイツ侵攻、支配下。以降第一次世界大戦終了までドイツ領。戦後ベルギー委任統治領。第二次世界大戦後ベルギー信託統治領。1962年、王国として独立。

◆ウガンダ
 イギリス、ドイツ、フランスの権益争いの後、1890年にイギリス勢力圏。1962年英国連邦の一員として独立。

◆コンゴ民主共和国(ザイールコンゴ・キンシャサコンゴとも言われる)
 1885年、ベルギー国王が私有地化。1908年ベルギー政府に委譲され、ベルギー植民地。1960年独立。

◆タンザニア
 大陸側はドイツ領、ザンジバル島はイギリス領。第一次世界大戦後、大陸側もイギリス領。1961年大陸側独立、1963年ザンジバル独立、1964年現在のタンザニア成立。


ベルギーはフランス語で統治(ベルギーの公用語は、南部はフランス語+一部ドイツ語、北部はオランダ語)。

「アフリカン・ブラッド・レアメタル」に書かれていた内容を中心に、ルワンダおよびザイールコンゴの簡単な歴史。補足として「現代アフリカ・クーデター全史」

・ベルギー支配下時代はツチ族が支配側(ベルギーの傀儡)
・1959年、フツ族反乱の兆しに、ベルギーはツチ族を見捨てフツ族を大統領に据える
・ツチ族に難民発生、ウガンダ(やコンゴ)に逃げる
・1987年、ウガンダに逃げたツチ族難民がRPF(ルワンダ愛国戦線)結成
・RPFは何度となくルワンダ(フツ族政権)に対し攻撃を仕掛ける(内戦状態)
・1993年、ルワンダ政府とRPFで停戦合意
・1994年4月、ルワンダ大統領とブルンジ大統領(共にフツ族)の乗った飛行機が撃墜される
・ツチ族のクーデターだ、ツチ族を皆殺しにしろ、とフツ族の大虐殺が始まる
・フツ族によるツチ族大虐殺の真っ最中、RPFはルワンダの首都キガリに侵攻、首都陥落、フツ族政権は壊走
・1994年7月、RPF(ツチ族)が新政府樹立、フツ族(虐殺してた方)はコンゴのゴマ(自衛隊が人道支援に行った先)に逃げ込み難民キャンプを作る
・ゴマに逃げ込んだフツ族(旧ルワンダ政権)は、フツ族難民を兵士に仕立て上げ、ルワンダ奪還のため首都キガリへ攻め込もうとする。
・RPF(ルワンダ政権)は、利害の一致したウガンダ軍、ADFL(コンゴ・ザイール解放民主勢力連合)と共同戦線を張り、コンゴにいるフツ族旧政権勢力(虐殺を指示した過激派)殲滅作戦を開始。難民キャンプを襲撃
・フツ族旧政権勢力は、難民共々壊走(難民キャンプを追い出された)。兵士と難民はコンゴのジャングルの中をさまよい続ける。
・1997年、ADFLはコンゴの独裁大統領モブツを倒すべくキンシャサに侵攻、コンゴ政権奪取。ほどなくADFLは、RPFおよびウガンダ軍をコンゴから追い出す
・1998年、RPFとウガンダ軍は、反ADFL組織のRCD(コンゴ民主連合)を支援しコンゴに侵攻、鉱山の要衝や主要な町を攻め落とす。
・対するADFLは、ジンバブウェ、アンゴラ、ナミビアを味方に付け、コンゴ政権(ADFL+ジンバブウェアンゴラナミビア)対反政府勢力(RCD+ルワンダウガンダ)の第二次コンゴ戦争の始まり
・1999年、停戦合意。300万人が犠牲になった(注:犠牲者数は諸説ある)
・2000年、コンゴで散り散りになったツチ族フツ族が再びまとまりFDLR(ルワンダ民主解放軍)結成、コンゴの武装グループマイマイ(MaiMai)と共闘しルワンダ侵攻を画策
・2001年、ADFL創設者が暗殺され、その息子がコンゴ大統領に就任
・2003年、コンゴ暫定政府発足(ADFL)
・2004年、元ADFLの将校(コンゴに住むツチ族)がコンゴ政府を襲撃、新たなツチ族対フツ族の図式が生まれる(ADFLはルワンダ政府=RPFと仲違いした時点で反ツチ族)
・2006年、先の将校が反コンゴ政府組織CNDP(人民防衛国民会議)を結成し、 CNDP 対 FDLR+コンゴ政府(ADFL)+反ツチ族コンゴ武装勢力 という対立の構図が出来る。コンゴにて選挙実施、息子大統領に再選。
・2008年、FDLRがルワンダ侵攻、失敗。30万人以上が住処を奪われた


ふう。

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大津司郎「アフリカン・ブラッド・レアメタル」感想。
ルワンダルポ。2010年11月19日読了。

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アフリカンブラッドレアメタル―94年ルワンダ虐殺から現在へと続く『虐殺の道』


今回の感想はかなり長いです。

◆1994年に起こったルワンダ大虐殺
ルワンダの多数派であり政権を握っているフツ族が、少数派のツチ族を鉈や棍棒で殴り殺した。わずか3ヶ月で80万人以上のツチ族が殺された。路上の至る所に死体が転がっている映像は衝撃的だった。その後ツチ族が政権を奪還し、虐殺に加担したフツ族を無罪放免することで両民族は表面上和解。現在のルワンダは女性の国会議員数(比率)が世界一という男女平等社会が築かれている。

◆本書の紹介
と世間一般に知られている(知らない人も大勢いるだろうが)ルワンダ情勢だが、本書によるとその情勢は安定しているわけではなく、世界中から半分見捨てられた状態で、ルワンダにおけるフツ族とツチ族の戦いはコンゴに舞台を移して延々と続いてる。

まず、なぜルワンダ大虐殺が起こったか。ルワンダは元もとツチ族(虐殺された方)が旧宗主国ベルギーの傀儡として政権を握っていたが、フツ族(虐殺した方)がクーデターを起こしそうになったのをきっかけにベルギーがツチ族を見捨て、フツ族を政権に据えた(1959年)。

ツチ族はウガンダに逃げ、政権奪還のためルワンダ侵攻を行っていた。

ツチ族勢力にはアメリカが手を貸し、フツ族現政権にはフランスが(ベルギーに代わって?)手を貸していた。

ルワンダ大虐殺は突然起きたのではなく、たびたびウガンダから侵攻してくるツチ族勢力に業を煮やしたフツ族政権が周到に準備した大虐殺なのだった。

大虐殺の真っ最中、ツチ族(虐殺されている方)の反政府組織がルワンダの首都キガリを攻め落とし、虐殺していた側(フツ族)はコンゴに逃走、この後コンゴを舞台に、コンゴ政府軍、反コンゴ政府組織、ウガンダ、ブルンジ、ジンバブウェ、ナミビア、アンゴラなどの国を巻き込んだコンゴ戦争に続いていく。そして、その戦争はまだ終わったとは言えない……

双方の勢力に加担する米欧政府や企業を見ると、それはアメリカ対フランス(&ベルギー・ヨーロッパ勢)対中国の代理戦争の様相をも呈しており、その中心にあるのはコンゴに大量に埋まっている大量の金、ダイヤモンド、コバルト、ウラン、そしてレアメタルなどの鉱物資源である。

という内容である。ルワンダ情勢を多少なりとも知っているつもりだった私だが、知らなかったこともしくは忘れてしまったことが多々あり、本書の内容は衝撃的であった。

◆以降、偉そうなことを書くのでその背景(いつも偉そうだ、というのはさておき)

▽私はアフリカが好き
右サイドバーのカテゴリーを見ていただければわかるように、「アフリカ」というカテゴリーを作る程度に私はアフリカが好きなのです。

▽私のバックボーン1
私は1987年から1997年までNECでノートパソコンの実装設計を行っていた。少なくとも辞める前までの電子部品の需給関係や価格動勢などは、一般の方々より詳しい。

▽私のバックボーン2
私は10年以上前から株取引をやっている。株を始めた直後に買ったのが「東邦チタニウム」という会社で、チタンインゴット製造およびチタン加工技術の高さで世界有数の会社である。1999年頃から徐々にチタンの値が上がっており、東邦チタニウムも上昇するとの情報を得た私は、2005年まで何度も売り買いを繰り返し、この銘柄だけで100万円以上儲けた(最初に買ったときの価格で2005年まで持ち続けていたら1000万円以上儲かっていたはずなのだが、そううまくはいかない)。その後ニッケル価格上昇の情報を得て、住友金属鉱山を購入。この株も何度も売り買いを繰り返し、同じく100万円以上儲けている。

▽レアメタル価格上昇
バックボーンと、私が今まで読んできたビジネス書や雑誌、webマガジン得た情報を元にすると、1997年の段階でレアメタルの受給はそれほど逼迫していなかった。電子部品に使われているレアメタルといえば金(LSIのワイヤボンディングは全て金(GOLD)。金自体は希少でありg単価も高いが、1gの金は3000mもの長さに加工できるし、金は酸化しないためコストパフォーマンスが非常に高い)。他に使われていたレアメタルといえば、筐体メッキに使うニッケル、高性能コンデンサの原料であるタンタル、電池に使うリチウムやモリブデン、強度(剛性)の強い板金用金属としてチタンなど。
レアメタルの価格上昇=投機資金の流入は、チタン価格が上昇し始めた2000年頃からである。その後2002年頃からニッケル価格が急上昇し、その後モリブデン価格も上昇。携帯電話の普及とともにバイブに使われる磁石用の材料としてレアアース(ネオジムなど)が急騰。
私が知る限り、1990年代、レアメタルは希少であり材料としての値段もそれなりに高かったが、希少であるが故に工業製品としての利用は限られており、世界中で争奪戦になるほどの状態ではなかった。レアメタルは元もと流通量が少ないため取引もそれほど多くなく、そこに投機筋の資金が流入したため、市場の予想をはるかに超える急激な価格上昇が起こった。これが世間に広く知れ渡るようになってきたのが2003~5年頃。


◆これらを踏まえて本書を評価

▽題材は素晴らしく良い
著者は40年前に初めてアフリカに行き、以降チャドやタンザニアの駐在を経て1992年からテレビメディアを中心に取材しているジャーナリストだそうだ。
ルワンダ大虐殺後の難民押し寄せるゴマ(自衛隊が援助に行った地)での取材や、ブルンジ、コンゴなどでも取材を続け、本書には非常に良い取材成果に溢れている。

▽レアメタル争奪
著者は、ツチ族対フツ族の争いの舞台がコンゴへ移ったのは、レアメタル(を含む資源)争奪戦であるとの結論に導いているが、前述のようにレアメタル争奪が本格的に始まったのは2000年以降と思う。投機筋が参入する前のレアメタルは、単純に採掘コストがかかるから値段が高いのであって、儲けがそれほどあったとは思えない(もともとそれほど売れるものでもないから)。しかし投機筋が入ってきたことによってレアメタルは大儲けできる物に変貌した。
そうなると、1994年のルワンダ大虐殺の時点ではまだ争奪戦は始まっていないことになる。著者の言いたいこともわかるが、言い切るには証拠がない。全て推論だ。証拠がない状態で結果から原因を探るのは、フリーメーソンが世界中の全ての陰謀を企てているという都市伝説と大差ない。と私は思う。

▽軸のない構成
本書はその構成に軸となるものがない。最初はフツ族(虐殺した方)難民の親子マリアとトキオの行方を探すところから始まる。その後はルワンダ大虐殺に至るまでの経緯と、その後コンゴへ舞台を移した後の展開(史実を取材で裏付けしたルポ)が7割を占める。マリアとトキオ親子の話は時折出てくるのだが、ルポとして話の軸となるほどの力はない。マリアとトキオ親子の話を入れる必要があったのだろうか(省けなかったのだろうか)。

▽時制がメチャクチャな構成
更にだ。本書は章ごとに時が移り変わりすぎる。これが徹頭徹尾本書を読みづらく苛立たせる原因となる。例を出すときりがないから出さない。読んでいる途中に思ったのは、著者は全体的な構成を考えずに書き始め、書いている途中でどんどんあれも書きたいこれも書かなきゃとなってしまい、頭に浮かんだ内容を次から次へと書いているうちに収拾がつかなくなってしまったのではないだろうか、と思えてしまうくらい、構成がメチャクチャなのである。

▽写真にあまり意味がない
本書はペーパーバックスタイルの書籍なので、レイアウトとしてページの下1/4くらいが空白になっており、それなりの頻度で写真が印刷されている。のだが、かなり多くの写真が、掲載されているページの本文と無関係の難民キャンプの日常なのである。この写真に何か意味があるのだろうか。

▽著者の固有名詞選択
レアメタルの一種にタンタルという物がある。コルタンという鉱石から採れる。コルタンの英語表記はColtan、タンタルの英語表記ではTantalumとなり、著者はそれぞれコールタン、タンタラムという表現を本書で用いている。しかしだね、日本で一般に広く使われているのはコルタンとタンタルなんだよ。英語圏や現地(コンゴ)で実際にどのように発音されていようが、日本人ジャーナリストが日本人のために日本語で書いた本なのだから、日本で広く使われている表記をなぜ用いないのだろうか。Wikiで調べればすぐわかるのに。
同様のことは地名にも現れており、ベルギーの首都ブリュッセルを、著者は「ブラッセル」と書いている。著者の信条として譲れないものがあるのかも知れないが、ブラッセルなどという読み慣れない言葉を使われると、ルワンダ・ブルンジ・コンゴに実在する私が知らない地名のことなのかと思ってしまう。読者に無用の誤解を与えるような固有名詞の使い方は間違っていると思う。

▽著者の一人称
著者は一人称に「オレ」を使う。これも前述の固有名詞と同じで、いきなり「オレ」と出てくると、おっ?地名か? と一瞬迷ってしまう。読み進んでいけばそのようなこともなくなるが、それよりも「オレ」という表現は単純に下品である。

▽分厚くて読みづらい
本書の厚さは約3cm。厚すぎて非常に読みづらい。

▽そうは言っても
内容は非常に良い。取材の成果もある。話のつくり(マリアとトキオ親子)も最初は良かった。しかし段々と読みづらくなってしまった。読みづらいだけで、内容は良い。だからとても残念なのである。


6点/10点満点


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