船戸与一「夜来香(イエライシャン)海峡」感想。
冒険小説。2009年06月17日読了。

夜来香(イエライシャン)海峡<br />
船戸与一 / 講談社 2009/05 ¥1,890 (税込)

◆あらすじ(紀伊国屋BookWebより)
花嫁斡旋業・国際友好促進協会の蔵田雄介が中国旧満州の黒龍江省から仕入れ、山形の寒村に嫁がせた輸入花嫁・青鈴。
日本の暴力団から中国の黒社会への資金二億円を持って遁走した。
蔵田はやくざに脅され、花嫁を捜し北へ北へと向かう。
怪死事件が相次ぎロシア・マフィアも蠢く闇の世界に引きずり込まれる蔵田。
女は津軽海峡を渡り日本最北端の稚内へ逃げる―疲弊した地方に繰り広げられる、夢を追う花嫁と蒼然と死にゆく男たちの哀愁のバイオレンス。

◆バイオレンスに縁のない普通の男が、すさまじいまでのバイオレンス沙汰に巻き込まれてしまいました。後味の悪さも含めて、いつもの船戸節。

◆主人公は、中国の農村から日本の農家へ花嫁を斡旋するNPO法人の代表。NPO法人だから建前上は利益を求めない集団であり、日本の農家にヨメを斡旋するという事業は、公益的に思える部分もあるけれども、要するに人身売買なわけで、ブラック商売なのである。

◆主人公は、ヨメの斡旋が人身売買である実態に引け目を感じていることから、ヤクザに付け入れられバイオレンスに巻き込まれていくのだが、巻き込まれ方がいつもの船戸にしては甘いなあ、と感ずるのである。組の名前を出して脅しをかけるなんて、今時のヤクザはそういうことはやらなくなったと思うのだが。

◆二日で読み終えたので、面白いっちゃ面白い。船戸与一は大好きな作家だから読み続けているけど、いつも似たような展開だし、救いのない終わり方だし、さすがに飽きてきた。


6点/10点満点


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船戸与一「灰塵の暦 満州国演義5」感想。
歴史冒険小説。2009年03月02日読了。

灰塵の暦 満州国演義〈5〉
船戸与一 / 新潮社 2009/01 ¥2,100 (税込)

あらすじ(紀伊国屋Bookwebより)
満州事変から六年。
理想を捨てた太郎は満州国国務院で地位を固め、憲兵隊で活躍する三郎は待望の長男を得、記者となった四郎は初の戦場取材に臨む。そして、特務機関の下で働く次郎を悲劇が襲った―四兄弟が人生の岐路に立つとき、満州国の命運を大きく揺るがす事件が起きる。読者を「南京事件」へと誘う第五巻。
ついに支那との全面戦争に突入――満州事変から六年。敷島四兄弟が人生の岐路に立つなか、戦火は上海、そして南京へ。「南京大虐殺」のすべてを描く最新刊。


◆シリーズ5作目となる本書。シリーズものを読むときの私の悪いクセで、間が空いてしまうと少しずつ内容を忘れてしまう。主人公敷島4兄弟の職業は覚えているし、4兄弟が何故満州および中国近辺に集まってきたのかも覚えているけど、細かなディテールはやっぱり忘れかけている。

◆本書は、南京大虐殺でラストを迎える。ただこのシリーズ、参考文献は最終刊にまとめて掲載されるとのことで、史実に基づいた南京大虐殺なのか、左巻きの人たちが捏造している誇張された南京大虐殺なのか、歴史に疎い私にはよくわからない。このシリーズの歴史的な事実に関しては、今まで気にすることなく読んでいたけど、初めて「どこまで史実に基づいて書かれているのだろうか?」と疑問を持ってしまった。ましてや作者が、登場人物を皆殺しにしたがる船戸与一である。過剰な描写をしているのではないかと勘ぐってしまう。そんなわけで辛口採点。


5点/10点満点


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船戸与一「炎の回廊 満州国演義4」感想。
歴史冒険小説。2008年06月30日読了。

炎の回廊―満州国演義〈4〉
船戸与一 /新潮社 2008/06出版 460p 20cm ISBN:9784104623051 \2,100(税込)

◆第3巻を読んだのが今年3月。早くも第4巻である。今回は「2.26事件に揺れる満州」(帯より)が描かれている。前巻からあまり間隔が空いていないので、人物とか背景などをよく覚えていた。

◆しかしこのシリーズ、史実をベースにしているから仕方ないのだろうけど、話の本筋に関係ない日本国内の政治家や軍人が人物名がやたらと出てくる。舞台は満州だが、日本の動きを無視することはできないのだろう。けど読者としてはこの名前が鬱陶しい。重要なのか雑魚なのかようわからんのだ。

◆第5巻は2009年春に出版されるらしい。ちょっと間隔が空いてしまう。内容を忘れてしまいそうだ。やっぱりこういう本は完結してから一気読みする方が良いのだろうが、贔屓の作家の新刊が出たらすぐに買ってしまう癖は直らんなあ。


6点/10点満点

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船戸与一「群狼の舞 満州国演義3」感想。
歴史冒険小説。2008年03月07日読了。

群狼の舞―満州国演義〈3〉
船戸与一 /新潮社 2007/12出版 417p 20cm ISBN:9784104623044 \1,995(税込)

外務官僚として満州に赴任している長男・太郎
満州で馬賊として生きるも、仲間が殺され、一人さすらう次男・次郎
憲兵隊中尉として満州に派遣されめざましい活躍をする三男・三郎
何となく上海に住み、日本に戻りこんどは満州に行く四男・四郎

主人公である敷島四兄弟、それぞれがそれぞれの視点で見た満州建国を描くこのシリーズ、四郎が満州に入ったことで、ついに四兄弟が満州にそろい踏みとなる。

全6巻という話なので、第3巻である本書はまだまだ折り返し地点。これからどんな話が繰り広げられるのか、楽しみである。

本書も相変わらずの船戸節である。船戸与一のいいところは、自分が書けないタイプの人物を無理して書かないことだろう。下卑た人間が多い。すれた女も多い。真面目だが卑屈なやつも多い。船戸与一の小説には、心優しい女性も出てこなければ、正義感溢れる好人物も出てこない。それが船戸与一なのだろう。

作家としての力量に見合わない登場人物を出して、数多くの読者から呆れられている真保裕一は、船戸の姿勢を見習うべき。


7点/10点満点

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船戸与一「藪枯らし純次」感想。
冒険小説。2008年02月09日読了。

藪枯らし純次
船戸与一 /徳間書店 2008/01出版 621p 20cm ISBN:9784198624705 \2,205(税込)


舞台が日本の田舎温泉になっただけで、内容は「伝説なき地」の焼き直しのような印象。

半分狂ったような登場人物、死にまくる展開、予想を超えない程度のラスト。

まあいつもの船戸与一ということで。

5点/10点満点

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船戸与一「事変の夜 満州国演義2」感想。
歴史冒険小説。2007年05月31日読了。

事変の夜 満州国演義2
船戸与一 /新潮社 2007/04出版 414p 20cm ISBN:9784104623037 ¥1,890(税込)


あらすじ(紀伊国屋bookweb+α)
奉天日本領事館で参事官を務める長男敷島太郎。
日本を捨て満蒙の地で馬賊の長となった隻眼の次男敷島次郎。
奉天独立守備隊員として関東軍の陰謀に関わってゆく三男敷島三郎。
学生で有りながら授業に出ず無政府主義に傾倒していく四男敷島史郎。

軍部の暴走をめぐり対立する太郎と三郎、流されるままに謀略馬賊として軍に協力することとなった次郎、自分の犯した罪のため上海に潜伏する四郎…四兄弟の苦悩をあざ笑うかのように満州、そして上海で戦火が炸裂する。
四つの視点がつむぎだす満州クロニクル、「満州事変」を描く第二巻。


本作はまだ完結していない。満州独立寸前で終わっている。

第3巻以降、ダイナミックな展開になっていくことだろう。期待が持てる。


ただ、歴史的事実を解説するためなのだろうが、本編の展開にほとんど関係ない無用な登場人物が多すぎる。これは読んでいてちょっと辛かった。しかし、そういうことは些細な揚げ足取りで、傑作になりそうな予感がする。


7点/10点満点

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船戸与一「風の払暁 満州国演義1」感想。
歴史冒険小説。2007年05月18日読了。

風の払暁 満州国演義1
船戸与一 /新潮社 2007/04出版 383p 20cm ISBN:9784104623020 ¥1,890(税込)


浅田次郎の「中原の虹」は、龍玉を手に入れた若き張作霖が満州を掌中に治めていく物語である(まだ続刊刊行中だけど)。

船戸与一の新作は、(以下紀伊国屋bookwebより)
麻布の名家に生まれながら、それぞれに異なる生き方を選んだ敷島四兄弟。
奉天日本領事館の参事館を務める長男・太郎、日本を捨てて満蒙の地で馬賊の長となった次郎、奉天独立守備隊員として愛国心ゆえに関東軍の策謀に関わってゆく三郎、学生という立場に甘んじながら無政府主義に傾倒していく四郎…ふくれあがった欲望は四兄弟のみならず日本を、そして世界を巻き込んでゆく。



時代としては張作霖が死ぬ前後である。

浅田次郎の「中原の虹」も相当長い話になりそうで、船戸与一の本作「満州国演義」もまた、相当長い話になりそうだ。日本史が嫌いだった私は、満州の歴史をほとんど知らない。だから話の展開がどうなるのか、歴史上の人物がどのような動きをするのか全く知らないまま、両作を読んでいる。

浅田次郎と船戸与一、どちらも癖はあるけど筆力折り紙付きの作家で、年齢とともに筆が枯れることなく、旺盛に小説を書いている。この両作家がほぼ同時期に満州を題材に持ってきたのは、満州で起こった出来事が魅力的なのだろうな、と思い、両作とも期待しつつ読むのである。


7点/10点満点

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船戸与一「河畔に標なく」感想。
冒険小説。2006年03月31日読了。

河畔に標なくカハーニーシルベナーク
集英社 2006/03出版 493p 20cm ISBN:4087748049 ¥1,995(税込)

早大探検部出身の船戸与一は新作の舞台をミャンマーにすると決め、取材旅行の同行者に、ミャンマーの少数民族が大好きな早大探検部後輩の辺境ライター高野秀行を連れて行った。高野秀行はその顛末をまとめ「ミャンマーの柳生一族」をつい最近上梓した。高野秀行は「ミャンマーの柳生一族」で船戸与一のことを「フセインのような面構えのふんぞり返った男」と表現している。先輩かつ、(最早文壇功労賞と化してしまったが)直木賞受賞作家である船戸与一を、フセインのようなおっさん呼ばわりするあたり、さすが早大探検部出身の文筆家である。まあそれはそれとして「ミャンマーの柳生一族」でこういう会話が記されていた(一部抄訳)。
船戸「小説の題名を思いついた」
高野「どういうのですか?」
船戸「カハーニーシルベナーク」
高野「東欧系のタイトルとは船戸さんには珍しい、というかミャンマーには全然合ってない」
船戸「バカ、河畔に標なく、だよ」
これで私は船戸の新作が出ることを知ったのだった。

さて本書。良くも悪くも、ミャンマーを舞台にしたいつもの船戸である。
金にあさましい自己中心的で下卑た連中がてんこ盛りで出てくる。
そしていつもの殺し合い。
そしていつもの救いようのないラスト。
まさしく船戸節絶好調なのである。

しかしね。

前作「蝶舞う館」と同じで、主人公がはっきりしない小説なんだよね。それがまあなんというか、興を削いでいるのだ。私は船戸信者だからいつもの船戸節を堪能したわけだが、信者じゃない人には、ただひたすらに下卑た男ばかりが出てくるくらい小説で、面白いとは思わないのではないかなあ。
って、船戸作品は、肌に合わない人が読んだらどれもこれも全作品がくそみそうんこな話にしか感じないみたいで、村上春樹が好きという普通の女性に船戸を勧めた場合、下手したらなあんた最低とか言われてしまいかねないのだけれども(私だけか?)。

5点/10点満点

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船戸与一「蝶舞う館」感想。
冒険小説。2005年11月29日読了。

蝶舞う館
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船戸与一・ふなどよいち・ちょうまうやかた
講談社 2005/10出版 493p 20cm ISBN:4062131242 ¥1,995(税込)


いつも通りの状況設定、いつも通りの人間関係、いつも通りのクライマックス。すべてがいつもの船戸節。でも...

主人公はいったい誰なんだよ。

5点/10点満点

※局プロって古い。今は局ピー。

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船戸与一「降臨の群れ」感想。
冒険小説。2004年07月20日読了。

降臨の群れ
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船戸与一・ふなどよいち・こうりんのむれ
集英社 2004/06出版 493p 20cm ISBN:4087746917 ¥1,995(税込)


「砂のクロニクル」「伝説なき地」「猛き箱舟」「蝦夷地別件」「蟹喰い猿フーガ」と並ぶ船戸久々の傑作(「蟹喰い猿フーガ」が傑作か否かは個々人の趣味による)

この本を読むまで、マルク州もアンボンも聞いたことがなかった。その知らない地では血で血を洗う争いが繰り広げられており、それは小説の中だけの出来事ではなく、事実内戦に近い状態になっていたという。臨場感のある舞台設定は、それだけで船戸ファンを惹きつけてやまない。

船戸与一っぽい文体で書くとこういう事か。
「血で血を洗っているんだよ、日本人の知らないところで、キリスト教徒とイスラム教徒がな」
「あ、ああ」

9点/10点満点

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