カテゴリー「◇世界についての本」の記事

2011/12/05

マイク・デイヴィス「スラムの惑星」感想。
社会学の本。2011年11月29日読了。

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スラムの惑星―都市貧困のグローバル化


世界各国の都市にスラムがある。その人数は世界で10億人になるらしい。

著者は本書で、現代は新石器革命や産業革命に匹敵する人類史上の分水嶺であると指摘している。

「地球上の都市人口が農村人口を初めて凌駕する」と。


本書の原著は2006年に出版された。邦訳が出版されたのは2010年5月。著者の言う分水嶺はもう過ぎたことなのかもしれない。


◆著者紹介
1946年生まれの著者マイク・デイヴィスは、16才で父親が病に倒れ高校を退学、精肉工場の工員として働き、その間に従姉妹の夫である公民権運動活動家と知り合い工場を辞め、人種平等会議サンディエゴ支部で活動しながら高校を卒業。カレッジに入るものの寮に女を連れ込み退学。フルタイムの活動家になり、共産党に入党し、党の本屋で2年間過ごしたが、監視に来たソ連の役人を追っ払って解雇され、4年間トラックドライバーをしながらマルクスの「資本論」などを読み、自分の学んできたことを総括するためUCLAに通い、アイルランド史研究のためスコットランドに留学。留学中にロンドンの「ニューレフト・レビュー誌(NLR)」関係者と知り合い、1980-1986年までNLR誌のオフィスにフルタイムで働く。1986年に最初の著作「アメリカンドリームの囚人」を発表。1987年ロスに戻り、再びトラックを運転手となるも、低賃金を補うためにカレッジで教鞭をとりはじめる。で、現在はカリフォルニア大学バークレー校の教授である(いつ教授になったのかはよくわからん)。なかなかすごい人生だ。


◆感想

本書は、世界各国の都市にスラムができ、そのスラム人口が爆発的に増えていることを、膨大な数の論文を参照し(各章ごとに80以上の参照論文が掲載されている)、具体的なデータを元に検証している。

少しでも本書の内容を伝えるため、何とか要約しようと思ったのだが、本書は大学3年以上(もしくは大学院)の講義で取り上げるような内容であり、内容も濃く、要約なんて無理。

すみません。


私は自分の知的好奇心を満たしたいだけで、この手の本をいろいろと読んでいるのだが、やや敷居の高い本だったのかもしれない。


ただまあなんだ、本として考えたら完成度は低い(教科書として考えるのならどうでもいいことだが)。

理由1:句点が出てくるまでを一つの文章とすると、その中に多数の地名が出てきて、ややこしい。というかわかりにくい。

(P10)
ラゴスのアジェグンルというスラムである女が子供を出産し、ジャワ島西部の村から逃げた若い男がジャカルタのまばゆい光を求め、貧窮化した家族を持つ農民がリマにある無数のプエブロス・ホーベネス(pueblos jovenes)の一つに家族を移動させるだろう。


理由2:著者が括弧書きを多用し、それも傍点ありのハイフンの上に二重括弧とか平気で使っているなど、ただでさえ読みづらさ満点なのに、翻訳者が二重括弧の上に訳註を入れたりして、うひゃぁ。

(P139)
ナイル川東方のムカッタエ丘の麓にあるマンシエット・ナスルでは人口密度は少しだけましだが、150万人以上がわずか350ヘクタールにいる(『フィナンシャル・タイムズ』紙によれば、「ダンテのごとき困窮状態」にあるその南端で、かのザリバーン〔コプト派キリスト教徒の貧しい共同体〕がゴミから食料を拾い集めている)。

※原著のイタリックは傍点表記、「」は原著の""、『』は紙誌名、()と[]は原著に記載されている補足、〔〕は訳註。上記例に[]はありませんが本書には出てきます。

ややこしすぎるわ!


理由3:これは翻訳の問題だが、スクワッターというような言葉が頻出させているのに、そういう言葉に全く日本語で説明が無く、知らない言葉が出てくるとネットで調べなきゃならなかった。これは面倒。学問的には日本語(外来語)として通用しているのかもしれないけど、私は知らんがな。

※スクワッターとは無断居住者のこと


理由4:本書は全8章+エピローグで構成されているが、章分けするほど章と章の内容に違いを感じられなかった。学問的には意味があるのかもしれないが。もしくは私に読解力や基本的学力がないだけなのかもしれないが。


◆というわけで

社会学の読み応えたっぷりな翻訳本を3冊立て続けに読んだのだが(「援助じゃアフリカは発展しない」「ネクスト・ルネサンス」、そして本書)、それは各著者の意見の違いを意識しながら読めるわけでとても有意義なんだけど、誰がどういう意見を主張していたんだっけか?とちょっと混乱する部分もあり、社会学の本を1冊読んだら、連続して同じような本を読むのではなく、全く傾向の違う本を間に挟んだ方が良いのかもしれないと実感したのであった。


(読み物としては)6点/10点満点


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2011/12/03

パラグ・カンナ「ネクスト・ルネサンス―21世紀世界の動かし方」感想。
提言書。2011年11月23日読了。

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ネクスト・ルネサンス―21世紀世界の動かし方


しばらくは積ん読本(400冊以上ある)を粛々と消化するのに留め、新しい本はなるべく買わないようにしていたのだけれども、本屋で立ち読みしたらどうしても欲しくなってしまったので買ってしまった一冊。買ってしまったからには、積ん読本の仲間入りにならないよう、とっとと読み終えることにした。


◆著者 パラグ・カンナ
1977年インド生まれ。ジョージタウン大学外交学部で学士号、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで博士号。ニューアメリカ財団上級研究員、兼ブルッキングス研究所研究員。米国特殊作戦部隊アドバイザー。外交問題評議会(CRF)会員。


◆本書の内容(本書帯の文句改)
国家の時代は終わった!

新しい(ネクスト)ルネサンス=21世紀を動かすのは、ビジネス界のリーダーらメガ・ディプロマシー(巨大化する外交)の担い手たちだ!

世界規模での大変動が起きている現在、私は、本書で、新しい中世の時代から新しいルネサンスへと進む道筋を示そうと試みている。私は、2種類のアクターたちが世界の外交を発展させるために大きな役割を果たすに違いないと確信している。その2種類のアクターたちとは「企業のCEOたち」と「各都市の市長」たちである。


◆本書の内容(一部引用)
本書をざっくりと言うと、これからの世界は、旧態依然とした政治家や外交官や国際機関に勤める官僚による外交が主ではなくなり、企業のCEOやNGOや各国大都市(の市長)が勝手に連携して勝手に動かしていくのが主となるだろう、というような主張が書かれた本。


(P39-40)
「世界は国民国家の総体であり、まとまりを持つ国民国家が主役となって世界を動かしている」と考えるのは時代遅れだ。現在世界を動かしているのは、国民国家の中央政府ではなく、中世のように、より小さな統治形態であり、世界は、地方政府や州政府などの「小さな統治形態が島のように散らばってそれらがつながっている」状態であると認識すべきだ。簡単に言うと、こうした小さな島々は国家ではなく、都市のことを指している。現在、四〇の都市部と呼ばれる地域が世界経済の三分の二(私の注:P14では三分の一となっていた)を占めている。そこには資金、知識が集まり、安定している。ニューヨーク市の経済規模は、アフリカのサハラ砂漠以南の国のほとんどよりも大きい。ドバイのような港湾都市や自由貿易都市は、ヴェネチアの二一世紀版といったところだ。港湾都市や自由貿易都市は「自由ゾーン」である。

(中略)

下層民たちは、混沌の中におり、「地下経済」に依存して生活している。そして、彼らは階層化された「生態系」の中で生活している。階層化された社会というのはまさに中世時代の都市の特徴である。金持ちや貧乏人であることは関係なく、個人、そして都市が、現在の世界で起きていることの主役となっている。国家が世界の主役であった時代は終わりつつある。昔、世界は一つの村であるという主張がなされたが、現在の世界は村のネットワークであると言えるだろう。


という著者の主張を裏付けるため、根拠となるような話を幾つも展開する。


(P125)
スーダンのダルフールの大虐殺に関し、アメリカとヨーロッパは指導力を発揮して介入しようとはしなかった。そうした失敗を隠すために国連安保理は利用されている。国連安保理は国際法の実施に責任を持つ機構であるが、世界各国に対する道徳的な指針を示すことはほとんどない。


(P171-172)
2004年に大規模な津波がインドネシアを襲った。インドネシアの中心部から遠く離れたバンダアチェに救援物資を届けたのはオランダの多国籍企業TNTだった。(中略)ユニリーバは、食品会社ダノンが製造し、寄付した栄養価の高いビスケットを被災者たちに配布した。国連世界食糧計画(WFP)はシティグループから提供を受けたオフィスを本部として使用した。(中略)40億ドル以上集まった国際社会の寄付のほとんどは何に使われたか、その使途をインドネシア政府は未だに発表していない。

(中略)

チャド国内で最も衛生状態がよいのは、国連が運営している難民キャンプの中である。このキャンプには五〇万人ほどの難民が生活している。彼らは、スーダンと中央アフリカ共和国から避難してきた人々だ。国際救援委員会(IRC)は世界中に飲料水の供給と衛生教育を行っている。IRCの予算の九〇パーセントは、直接現地の活動に使われている。世界で最も効率のよい人道支援団体だ。


付箋を貼ったところが30ヶ所以上あり、全部引用していたらきりがないのでこの程度に留めておきますが、著者の主張を極限まで要約すると、常任理事国の我が儘がまかり通る国連は、もはやその存在に意味がなく、それに気づいている人たち(大企業のCEOや各国のNGOや各都市の有識者など)が勝手に事実上の外交を始めている、ということです。要約しすぎですけど。


◆感想

最初の数ページを立ち読みして衝動的に買ってしまったけど、読めば読むほどかなり難しい社会政治学の本であることがわかり、1日50ページずつ、じっくりと内容を理解しながら読んで、へとへとになってしまった。

著者の主張には共感する部分もあるけど、国際NGOの活動を褒めちぎったりしている部分には共感できなかったり。

とりあえず言えることは、この本には私がいままで全く知らなかった国際機関(NGOだけじゃなく)に関する情報が多数載っており、これから国際機関で働きたいと思っている若い方は、無理してでも本書を読むべきだと思う。


8点/10点満点


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2011/11/29

ダンビサ・モヨ「援助じゃアフリカは発展しない」感想。
提言書。2011年11月16日読了。

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援助じゃアフリカは発展しない


本書の著者ダンビサ・モヨは、ザンビアの首都ルサカで生まれ(両親ともザンビア大学を卒業しているエリート)、ザンビアで小学、中学、高校、大学へと進学したが、著者の大学在学中にザンビアでクーデターが起きて国内が混乱し大学が閉鎖されたため、著者はアメリカに渡り、アメリカで奨学金を貰いながら高等教育を終了し(カレッジだと思う)、世界銀行で2年間働いた後、ハーバードの修士課程で2年間、オックスフォードの経済学博士課程で4年間勉強し、ゴールドマンサックスで8年働いて、本書を執筆。(現在は執筆活動を中心にしているのかな?よくわからん)

本書の原著「Dead Aid」は2009年に出版され、「フィナンシャル・タイムズ」などで取り上げられ評判となり、日本語版は昨年(2010年)8月に出版された。

というわけで、昨年買った積ん読本をようやく読み終えました。


本書が発するメッセージはタイトルの通りで、際限のない援助がアフリカ諸国の発展を阻害している、という内容である。

それなりの量のアフリカ関連本を読んでいるせいか、この手の話はたびたび出てくる。最近読んだ本だと、石弘之「キリマンジャロの雪が消えていく」には、善意で「アフリカで井戸を掘る」行為は、砂漠に近い場所でこういう善行をしても、井戸ができることによって遊牧民が井戸の周りに住み着き、遊牧民が飼っている家畜が井戸の周りの草を根こそぎ食い荒らし、砂漠化が加速するケースもある、と出ている(もちろん全ての井戸掘りが駄目とは言ってないが)


本書はそれよりももっと過激に、

国連が援助する資金によって肥え太るのは独裁政権だけであり、それがわかっていながら国連の官僚システムは国際援助そのものが目的と化しているのでなかなかやめられない、とか、

U2のボノが困窮極まる最底辺の人たちを助けるためにチャリティーを行うが、その金で寄付された物資(もちろん無料で配られる)のせいで、地場産業が壊滅的な打撃を受ける、とか、

まあ、そういうことが書かれている。


データの信憑性に?がつく部分があったり、計算根拠の異なるデータを並べて比較したり、極論が多すぎたりと乱暴な部分も目立つが、とはいえ「援助は役に立っていない、むしろアフリカ諸国の発展を阻害している」ことを経済学者らしくデータで説明している点や、ザンビア出身でザンビア大学に通っていた著者だからこそわかるザンビアの(ひいてはアフリカ諸国の)問題点を指摘しているなど、説得力も高い。


著者のメッセージのなかで、「アフリカにおける開発の難しさは二つの道筋の板ばさみとなっていることである。一つはアフリカの人々を、開発に自力で取り組めず成長を自ら達成できない子供のような存在であると見なすアプローチである。もう一つは、持続可能な経済成長に目標を定めようとするならば、アフリカの人々が大人として扱われる必要があると考えるアプローチである。もちろんのこと、援助依存モデルの問題点は、アフリカ諸国が永遠に無邪気な子供のような国家として扱われていることである」(P43)

という部分は印象的であった。


また著者は、援助ビジネスに関わる人の多さにも言及している。要約すると、
世界銀行に1万人、
IMF(国際通貨基金)に2500人、
他の国連機関に5000人、
公認のNGO、民間慈善団体、政府の援助機関団体の従業員が少なくとも2万5000人、
そのほか全てを合わせると、およそ50万人が援助に関係している。(P77)

逆説的に言うと、国際援助というシステムが無くなると、一番困るのは援助でメシを食っている上記50万人だ。(私の注:この50万人には、無償ボランティアは含まれていないと思います)

だから、国際援助は無くならない。

そしてアフリカ諸国の、特に独裁国家の独裁者達は、国際援助が無くならないことを知っている。
(本書のP7に、ポリティIVのデータベースによると、アフリカには完全な独裁国家が11ある。ブラザヴィルコンゴ、赤道ギニア、エリトリア、ガボン、ガンビア、モーリタニア、ルワンダ、スーダン、スワジランド、ウガンダ、ジンバブエ、と書かれている。他にもアンゴラ、ブルキナファソ、カメルーン、ギニアも可能性大)


事実として出ているデータで興味深かったのは、ガンビアとエチオピアの財政収入の97%が援助らしい(P102)。
財政収入の97%が援助って、世界が見捨てたらこの2つの国民は数ヶ月後には大量死ってことだ。


また、アフリカでビジネスを行う際に発生する手続きの面倒くささの例として、
カメルーンではビジネスの免許を取得するのに15の手続きに426日、
中国では37の手続きに336日、
アメリカでは19の手続きに40日、
比較的マシなアンゴラは12の手続きに119日、
でも韓国なら10の手続きに17日、
でビジネス免許が取得できる。(P140)

これじゃあ外資は呼び込めないよなあ。


とはいえ、一般市民の大半が銀行口座を持っていないケニアでは、SMS=ショートメッセージしか使えない携帯電話を使った国内送金サービス「エムペサ(M-Pesa)」が急速に普及している例も紹介している(P195)。2007年に誕生したこのシステムは、近々国際送金にチャレンジするらしい。そうなったらアジアを含めて急速に世界のマネー流通の勢力図が塗り変わるかもしれないな。


雑多な感想になってしまったが、荒っぽい内容の本だが、アフリカに詳しくなくても、援助ビジネスに詳しくなくても、社会学に興味が無くても、アフリカが抱える援助の問題点は理解できると思うし、わかりやすく書かれていると思う。


良書である。


※追記:本書ではボツワナが援助に頼ることをやめ、結果的に国債格付けなど経済的に良好な状態を保つことができていることにも言及している。アフリカ投資の入門書としても本書を読む価値があると思う。


7点(とはいえやっぱり内容は粗いので)/10点満点


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2009/05/10

西水美恵子「国をつくるという仕事」感想。
正しい国際政治論。2009年04月22日読了。

国をつくるという仕事
西水美恵子 / 英治出版 2009/04 ¥1,890 (税込)

◆非常に素晴らしい。

◆世界銀行、南アジア地域副総裁の地位にあった著者が、貸し付け相手である国家=つまり各国のリーダーと渡り合った結果、優れた国家を導くのは、優れた指導者(政治家だけにあらず)であるということを痛感し、真のリーダーとは如何なるものかを説く、そういう本である。

◆政治家が私欲に走っている国は、必然的に民衆にしわ寄せが行き、国家としてダメになっていく。世界銀行の貸し付けは、金額が巨大なだけに、その審査には慎重を要する。政治家が私欲のために金を使うのか、国家構築のために使うのか。貧しい国々とはいえ、一国の首相や大統領と対等に渡り合い、大勢の国家指導者を見つめ、その結果よくなる国とよくならない国があり、よくならない国の多くは、政治と政治家に根源があると説く。

◆一例としてここに書くと、イスラム世界初の女性首相、パキスタンのブットー。本書の著者は、ブットー首相のことをマリー・アントワネットと言い放ち、民衆を見ず私利私欲に走る金まみれの政治家と扱き下ろす。暗殺されたあと後継者に息子を選ぶあたり、ブットー一族の私欲は尽きることがないと嘆く。

◆とにかく、素晴らしい本だ。


10点/10点満点


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2008/12/16

吉田一郎監修「国境線の謎がわかる本」感想。
地理本。2008年12月01日読了。

なるほど図解!国境線の謎がわかる本
造事務所/吉田一郎 / 大和書房 2008/10 ¥1,365 (税込)

「国マニア」の吉田一郎を検索していたら出てきた。タイトルから察するに、今さら読んでも知っていることばかりだろうなあと思いつつも、ついつい買ってしまった。

◆知っている話が多かったから私個人的には3点くらいしかつけられない内容だけど、普通に雑学本として読むのだったら、それなりに目新しい知識が身につくのではないかと思います。


5点/10点満点

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2008/08/27

山田肖子編「アフリカのいまを知ろう」感想。
岩波ジュニア新書。2008年08月19日読了。

アフリカのいまを知ろう
山田肖子 /岩波書店 2008/03出版 245, 18cm ISBN:9784005005888 \819(税込)

◆岩波ジュニア新書で出版されたアフリカ関連書。内容は、
・編者によるアフリカの概要
・アフリカ研究者へのインタビュー(それぞれ10ページ程度)
 関西大学経済学部教授 北川氏の語る「日本とアフリカの交流史」
 日本貿易振興機構アフリカ研究グループ長 武内氏の語る「村から国家と経済を見る」
 福井県立大学教授 杉村氏の語る「農業と人々の暮らし」
 神戸大学大学院教授 高橋氏の語る「アフリカ経済と援助」
 東京外語大学准教授 舩田氏の語る「紛争・平和構築と外部者」
 東京外語大学研究員 亀井氏の語る「ろう者と手話」
 早稲田大学大学院客員教授 若杉氏の語る「アフリカの女性と健康」
 国士舘大学教授 鈴木氏の語る「アフリカ音楽と若者たち」
 名古屋大学大学院准教授 佐々木氏の語る「村の社会と仮面結社」
 熊本県立大学教授 砂野氏の語る「文学と社会」
 国立民族学博物館教授 池谷氏の語る「自然環境に依存する人々の暮らし」

◆この中では、アフリカにも当然のことながら聾唖者がいて、そこには手話が存在するという「ろう者と手話」が最も興味深かった。アフリカの手話は、普及させたアメリカの黒人ろう牧師とキリスト教団体のおかげで、喋り言葉とは全く別の言語体系を持っていて、ろう教育はかなりの成功を収めているとのこと。こういう研究テーマがあるのだなあ。
 
◆高橋氏の語る経済援助で、「日本がODAを通じて途上国のために学校を建設すると、なぜ優先的に天然ガスをもらえるようになるのか、その理屈が私にはよくわかりません。全く次元が違う話ではないでしょうか」と言っている。その言葉には頷けるものがある。

◆ジュニア新書なので対象読者である中高生に、もっとアフリカに興味を持ってもらおうという出版意図があると思うのだが、本書はやや詰め込みすぎの印象を受ける。でもこれ以上内容を濃くしてしまうと、まじめな研究書と大差がなくなってしまうので、このぐらいがちょうど良いのかな。

◆ま、良書です。


6点/10点満点

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2008/03/20

大富亮「チェチェン紛争」感想。
ブックレット。2008年03月18日読了。

ユーラシア・ブックレット〈No.94〉 チェチェン紛争
大富亮 /東洋書店 2006/06出版 63p 22cm ISBN:9784885956348 \630(税込)

チェチェン紛争の大まかな流れを著した本。
チェチェン紛争の概略を知るには良い本であろうかと。
それ以上でも以下でもなく。


6点/10点満点

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2008/01/30

ラシン編集部編「マレーシアでロングステイ」感想。
ロングステイ指南書。2008年01月22日読了。

大人の海外暮らし国別シリーズ マレーシアでロングステイ
rasin編集部 /イカロス出版 2004/11出版 227p 21cm ISBN:9784871496186 \1,569(税込)

40歳過ぎて独身生活をしていると(注:私のこと)、そろそろ老後のことを考えなきゃなあ、と思うのである。今から結婚して子どもでも出来てしまったら、子どもが大学を卒業する60歳過ぎまでシャカリキになって働かなきゃならない。今までさんざっぱら適当な生き方をしてきたのに、これからそんな生活をするというのはかなり難しいだろうなあ、と思うのである。それに私はヘビースモーカーで大酒飲みだから、そんなに長生きするとは思えないし。

年金も大して当てに出来ない昨今、老後をどこで暮らすかってのは自分とってなかなか興味のある話なのだ。

で、本書「マレーシアでロングステイ」を読んでみたのだが。

本書に出てくる「マレーシアでロングステイ」を実践している人たちってのは、真面目に60歳過ぎまで働いて、蓄えもあってちゃんと年金もらって結構優雅な老後を送っている人たちばかりで、私にはちぃとも参考にならないのであった。

マレーシアだと月15万で暮らせます、ってな事例が紹介されているけど、日本だって住宅ローンさえ払い終われば、月15万で余裕で暮らせるよ。

というわけで、今の私には役に立たなかった本。

本屋でさらっと読んで「ぴあ」の株主優待でもらった図書カードの残りがいっぱいあったので気にせず衝動買いしてしまったのだけど、もっと立ち読みしてから買うべきだった。


3点/10点満点

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2008/01/13

吉田一郎「国マニア」感想。
世界地理雑学本。2008年01月07日読了。

国マニア―世界の珍国、奇妙な地域へ!
吉田一郎 /交通新聞社 2005/12出版 231p 19cm ISBN:9784330839059 \1,500(税込)

1985年、まだ中国に返還される前の香港に留学し、九龍城砦に住み、日本語学校で講師をしながら、「香港ポスト」記者を経て、月刊「香港通信」編集長、日刊「香港ビジネスポスト」編集長、現在は帰国して大学院生活。

そんな著者の代表作は「世界飛び地大全」(買っていて興味のあるところだけ読んだけどまだ全部は読んでいない)。

世界中の国の変なところに興味を持ち、マニアックな世界地理の話題を提供してくれる。それが本作の著者、吉田一郎。

本書でも、UAEの成り立ちや、プエルトリコの成り立ち、ロシア領内にありながら台湾が領有権を主張しているトゥバ共和国、ハローキティ通貨が作られてしまうクック諸島。

地理好きにはたまらない興味ある話題がこれでもかこれでもか、と繰り広げられる。

2004年に出版された本だけど、既に3版。マニアックな本でも、内容が良ければ増刷かかるのだ、という見本のような良書。


北方領土に関する見解はとても鋭く、政治家もぜひ参考にするべき。


8点/10点満点

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2007/07/06

中津孝司「アフリカ世界を読む」感想。
アフリカ分析書。2007年07月04日読了。

アフリカ世界を読む
中津孝司 /創成社 2006/10出版 196p 18cm ISBN:9784794450135 ¥840(税込)

本書で最初に出てくるのは、アメリカがなぜスーダン(ダルフール)の大量虐殺を無視し続けたかについての分析である。

著者曰く、アメリカは隣国のチャドから石油を輸入しており、スーダンからは輸入していない。だからスーダンが内戦に陥ろうと大量虐殺が起きようと、アメリカ経済には関係ない。だが人道的支援の声が高まったことと、スーダン難民が大量に(おおよそ200万人)チャドに流れ込み、その難民を更に攻撃する連中が国境を越え、チャドで戦闘が行われるようになり、チャドで働くアメリカ人石油ビジネスマンが危機にさらされてきた。さらにAU(アフリカ連合)の能力が低く、ダルフール紛争をAUが独自単独で解決できる見込みがなくなったので、ダルフール紛争の解決にアメリカ政府が介入したのだ。(かなり抄録)

ううむ、説得力のある説明だ。


また、本書16ページに著者のスタンスらしき記述があるのだが、これがまたすごい。

「イスラム原理主義者の坊主が牛耳るイランを抹殺しておくことが21世紀を生きる我々の責務であることだけは確かである。」

これはイランが北朝鮮やパレスチナのハマスに、武器や資金、核技術の提供を行っているので、西側資本主義経済を生きる我々にとっては敵だ、という主張に基づく意見なのだが、言い切り方が意見というレベルを超えていて、なというかまあすごい。

私は「世界平和を乱している諸悪の根源はイスラエル」と思っているので、著者のこの意見には賛同できない部分も多々あるのだが、人の意見は百人百様、こういう考え方もあるのだな、と深く考えさせられた。


この本は、私にとって斬新な見解が多く記載されていて結構面白く読めたのだが、全体的に見ると、表を1枚添付すれば事足りるような事柄、例えばアンゴラの何とか油田にはシェルが○%、BPが▲%出資していて、エチオピアのなんちゃら油田にはエクソンモービルが□%、シェブロンが★%出資してていうんたらこんたら、みたいな知識のひけらかしが随所に見られ、そんなことはどうでもいいよ、肝心の中身をさっさと書き進めろよ、と飽きてくる。

惜しい本だな。


6点/10点満点

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