カテゴリー「☆私的10点満点」の記事

2020/01/04

ヤニス・バルファキス/関美和訳「父が娘に語る経済の話」感想。経済。2019年03月29日読了。10点/10点満点

 

著者はギリシャ経済危機(2015年)の時のギリシャ財務大臣。
原著はギリシャ語で書かれ(たぶん2013年)、英訳がたぶん2014年、英訳をもとに日本語版が2019年に出版された。

 

本書の面白さはあちこちに書かれているので、ここでは特記しない。
強制収容所ではタバコが貨幣と同じ働きをした、という部分は、貨幣経済を知るうえでとても分かりやすい例と思う。

 

陳腐な感想ではあるが、良い。またしても10点満点を付ける。

 

10点/10点満点

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金成隆一「ルポ トランプ王国」感想。2019年03月12日読了。10点/10点満点

 

2017年に出た本。
私的10点満点。
こういう良本を読み逃していたことは痛恨である。

 

本書は、2012年の選挙で共和党が負け、2016年のトランプが勝った6州のうち、フロリダ州を除くラストベルト(Rust は「錆びた」の意)オハイオ州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州、ミシガン州、アイオワ州の5州を中心に、大統領選の前年2015年から取材を進めてきた内容をまとめた本。

 

これらの州は労働組合が強く、民主党の地盤だった。なぜ多くの住民が共和党のトランプに鞍替えしたのか、各地を丁寧に回り、市井の人々の声を拾い、そして一定の結論を導き出す。

 

とても良い。

 

10点/10点満点

 

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2020/01/03

ハンス・ロスリング(&オーラ、アンナ)/上杉周作・関美和訳「FACTFULNESS」感想。世界を現す客観データ。2019年01月26日読了。100点/10点満点

 

(2020/1/4修正)

 

10点満点で100点。我が読書人生史上、最高の一冊(のひとつ)。

 

思い込みや先入観を排除し、数値で世界を見ると、今の世界はいったいどういう状態なのか。を記した本である。各所で大絶賛されているので、詳しい内容は省く。

 

例)
スウェーデン。福祉大国である。政治的には社会民主主義(基本的には多数決=民主主義を採用しているが、高齢者や弱者救済のため高い税金を課し、富の分配を図る=社会主義的な要素を多々採用している政治制度)。
1800年代から1966年ころまで、スウェーデンは極度の貧困層が多く、人口の1/5が国外(主にアメリカ)に逃げ出した。戻ってきたのはそのうち2割。

 

1997年の段階で、インドと中国の極度貧困率はどちらも42%。2017年にはインド12%、中国0.7%と劇的に改善された。

 

まだ読んでいない人は、本屋や図書館で手に取って、冒頭のクイズ13問(p9-p13)をやってみることをお勧めする。いかに自分の頭が先入観で溢れかえっているのかが分かる。

 

100点/10点満点

 

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2019/01/05

小泉宏之「宇宙はどこまで行けるか」感想。
サイエンス。2018年11月12日読了。

人工衛星のエンジン・エンジニア(東京大学大学院准教授)である著者が、ロケットの仕組みと人工衛星のエンジンの仕組みを詳しく解説し、今の技術で人工衛星はどこまで行けるのか、これからの技術でどこまで行けるのか、を解説した本。ブルーバックスじゃなく、中公新書である(珍しい)

私的10点満点。

但しこれは、私の興味の対象にドンピシャに当てはまったからであり、宇宙に関心がないが読んでもそれほど面白くないかもしれない。

文章はうまいので、宇宙に関心がある人なら結構楽しめると思う。


10点/10点満点

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ルチル・シャルマ/川島睦保訳「シャルマの未来予測 これから成長する国 沈む国」感想。
世界経済予測。2018年08月05日読了。

私的10点満点。素晴らしい。

詳細は(気が向いたら)追って記載。


10点/10点満点

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2017/08/25

R.D.ウィングフィールド/芹澤恵訳「フロスト始末(上)」感想。
多重発生事件解決ミステリ。2017年07月12日読了。

フロストシリーズ最終巻。

なぜ最終巻かというと、著者が亡くなったから(2007年)。

本書が出版されたのは著者逝去後の2008年。日本語版は2017年(今年)6月に出版。

出版社もフロストシリーズを引っ張りに引っ張ったってことです。


で、今までのフロストシリーズの中でも最高の出だし(上巻ですので)。


私がフロストシリーズのファンということもあるけど、これは面白い


10点/10点満点

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2017/01/17

墓田桂「難民問題 イスラム圏の動揺、EUの苦悩、日本の課題」感想。
国際情勢分析。2016年11月11日読了。

2016年2冊目の10点満点

◆内容(Amazonより)
2015年9月、トルコ海岸に漂着した幼児の遺体は世界に衝撃を与えた。
シリアなどイスラム圏出身の難民を受け入れる輪が、ドイツを中心に広がる。
だが11月のパリ同時多発テロをはじめ、欧州各国で難民と関係した事件が相次いで発生。
摩擦は激化し、EU離脱を決めた16年6月のイギリス国民投票にも影響した。
紛争や弾圧に苦しむ難民を見過ごして良いのか、しかし受け入れる余裕はない――欧州の苦悩から日本は何を学ぶか。

【目次】
第1章 難民とは何か
1 歴史のなかで
2 保護制度の確立へ
3 21世紀初頭の動向

第2章 揺れ動くイスラム圏
1 アフガニスタンからの連鎖
2 「アラブの春」以降の混乱
3 脅威に直面する人々
4 流入に直面する国々

第3章 苦悩するEU
1 欧州を目指す人々
2 限界に向かう難民の理想郷
3 噴出した問題
4 晴れそうにない欧州の憂鬱
5 問題の新たな展開

第4章 慎重な日本
1 難民政策の実情
2 シリア危機と日本
3 関連する課題と今後の展望

第5章 漂流する世界
1 21世紀、動揺する国家
2 国連の希薄化、国家の復権

終 章 解決の限界


◆感想
読み終わった後Amazonレビューを見たら、けっこう評価が分かれている。総合では★4つだけど、★1つや★2つの評価もある。

私は10点満点をつけた(Amazon基準だと★5つ)。

難民という概念はどこから始まったのか。本書では紀元70年のユダヤ戦争(ローマ帝国vsユダヤ)から説明を始めている。

第一次世界大戦後に、国際赤十字委員会(ICRC)からの要請で国際連盟が難民を保護する活動を開始。国際連盟が国際連合に代わり、現在の国連難民高等弁務官へと発展し、パレスチナ難民への対処が本格的な第一歩となる。

現在のシリアにつながるイスラム圏の動乱に関しては、ソ連のアフガニスタン侵攻(1979年)が端緒であったとし、そこからシリアまで一気に話を持っていく。

イスラム系の難民がなぜEUに行きたがるのか。EUはなぜ大勢の難民を受け入れたのか。EU加盟国間で意思にずれがあるのはなぜか。

そしてそれらを鑑み、日本の過去がどうであったのか(ベトナム戦争のボートピープル)、現在の対応はどうなのか、未来はどうすべきなのか。

これらを新書の枠の中で、削るべきところはばっさり削り、難しすぎず易しすぎない、著者の主張したいところはきちんと主張する。

この手の本を何冊か読んでいる私にとって、復習を兼ねながら新しい知識を得られる、実にちょうど良い本であった。

素晴らしい。


10点/10点満点


のだが、この本を読んだ後の2016年末に、NHK-BS世界のドキュメンタリー「オーストラリア 難民“絶望”収容所」を見たら、ちょっと印象が変わってしまった。

オーストラリア(豪州)は、現在世界で最も過激な難民排除政策をとっている。Newsweekの関連記事

例えばミャンマーのロヒンギャ族(仏教国ミャンマーのイスラム教徒・少数派・アウンサンスーチー政権下でも軍や警察に弾圧されている)が船にすし詰めになってオーストラリアに来る。オーストラリアは難民受け入れを拒絶し、パプアニューギニアのマヌス島または太平洋の島国ナウルに設置した難民センターに強制収容している(両国にはオーストラリア政府から数十億円の金が払われている)。難民の選択肢は自国へ戻るか、難民受け入れ提携をしたカンボジアに移住するかの二択(カンボジアも大金を受け取っている)。拒否すれば難民センターにただ居るだけ。仕事もなく、食事や医療も満足とはいえない環境で、難民の子供に教育すら受けさせない。難民は、いつ難民センターを出られるか分からない(二択を拒否したから)。自分の前途に絶望した難民が自殺しても、オーストラリア政府は対策を取らない。

難民センターで働く職員やボランティアは、難民センターで見聞きしたことを一切口外してはならない。口外すると禁固2年の実刑判決を受ける。このドキュメンタリーは、口外すると実刑判決、という法改正がなされる前に隠し撮りされたものである。

このことについて本書ではp224で軽く触れられているが、オーストラリア政府は億円単位の金を使ってまで難民をどうにかしようと思っている(但し自国には入国させない)という見方もある。難民問題のオフショア化(≒アウトソーシング)とのこと。それは確かにそうだな。

難民問題は難しい。なので10点満点の評価は変更なし。

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2016/03/06

サイモン・シン/青木薫訳「暗号解読(下)」感想。
ノンフィクション。2016年01月16日読了。


インターネットの「公開鍵」と「暗号鍵」の意味が分からない人へ。


本書を読めばその理論が全て分かる。ベリサインの存在理由も全て分かる。


私は今までインターネット公開鍵の意味をよく理解できなかったが、


本書を読めば完璧に理解できた!


プログラマは本書を絶対に読め! というくらいの名著。素晴らしい。脱帽。


原著サイモン・シン、翻訳青木薫 の組み合わせは名著ばかりだ。


10点/10点満点

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2015/07/29

サイモン・シン/青木薫訳「フェルマーの最終定理」感想。
数学ノンフィクション。2015年06月11日読了。


本書は10点満点。

私の人生オールタイムベスト10に入る。


中学生で習うピタゴラスの定理

32 + 42 = 52
52 + 122 = 132

の数式は、中学数学を学んだ者なら誰もが一度は覚えたはずである。


本書で扱う
フェルマーの最終定理
とは、

3 以上の自然数 n について、xn + yn = zn となる 0 でない自然数 (x, y, z) の組が存在しない、という定理である。

1600年代半ばにフランスの数学者フェルマーは、古代ギリシャの「算術」という数学書の余白に、関連した着想や新しい定理を書き込んでいた。

フェルマーの最終定理も、「算術」の余白に記されていたが、余白が足りなかったためフェルマーはその証明を省略していた。


一見、とても簡単そうに思えるこの定理は、数千人の数学者がその証明に挑戦したが、誰も証明できなかった。


この定理が提唱されてから360年後、イギリスの数学者アンドリュー・ワイルズが、(数学者として適度に論文を発表しつつ、誰にも内緒で黙々と取り組むこと)7年かけて、1993年に証明したと発表、1995年に証明が認められた。


本書は、アンドリュー・ワイルズが証明するまでのノンフィクションである。


文句なしに面白い。翻訳も含めて、何もかもが素晴らしい。


数学の知識は多少必要だが、高校1年生くらいの知識があればじゅうぶん読むことができる。


このような素晴らしい本を今まで知らなかったとは痛恨の極み。(Amazonのレコメンド機能で本書が表示され、評価があまりにも良いので買った。Amazonやるじゃん)


10点/10点満点


※以下、ネタバレにつき、これからこの本を読まれる方はすっ飛ばして下さい。


※面白い素数
31
331
3331
33331
333331
3333331
33333331
は全部素数、だけど、
333333331=17×19607843 なので素数ではない


※円周率(ライプニッツの公式。インドの数学者が15世紀に発見)

π=4(1/1-1/3+1/5-1/7+1/9-1/11……)


※天秤を使って1~40kgまで計るのに、何個の分銅が必要か

1kg、3kg、9kg、27kgの4個。


フェルマーの素数定理

3以上の素数はすべて、
4n+1
4n-1
で表せる。

前者は必ず x2 + y2 = その素数、となる。(そうなの?ホントに?)

※フェルマーの最終定理の証明過程

・1640年、n=4 はフェルマー自身が証明

・1749年、オイラーがフェルマーの素数定理を証明

・1753年、n=3 について、オイラーが証明

・1800年頃、n=5 について、ソフィ・ジェルマンが証明(但しジェルマンは女性であったため、生前は正当な評価を得ることはなかった。)

・1832-1840年、n=14、つまりn=7 について、ディリクレ、ラメ、ルベーグ、コーシーらが証明

・1847年、ラメとコーシーが争うように「フェルマーの最終定理の証明は間近」と学会で発表したのに対しクンマーが、虚数を考慮するとその証明は成り立たないと指摘

・クンマーは、現在(1847年頃の)数学テクニックではフェルマーの最終定理は証明できない、ことを証明した。

クンマーの解析によると、フェルマーの最終定理を証明するのに障害となるのは、nが非正規素数の場合であること、そして100以下の非正規素数は37、59、67だけであることを示した。

・nは無限大(かつxyzも無限大)なので、nを個別に手計算で証明することの大変さに比べて、第二次世界大戦で(ドイツの暗号エニグマを解いた)コンピュータが登場し、手計算があまり意味をなさなくなったこともあり、以降、個別証明は衰退

・1953年生まれのアンドリュー・ワイルズは、幼い頃からフェルマーの最終定理に魅了されていた。

・1975年、大学院生になったアンドリュー・ワイルズは、楕円曲線(楕円方程式)に関する研究を指導教官ジョン・コーツから勧められる。

・x2 = y3 - 2
は楕円方程式で、この整数解はただ1組だけである。52 = 33 - 2

これを証明したのがフェルマーである。

・ワイルズは楕円方程式の整数解を求めるのに、5進数や7進数を使った。5進数はE5、7進数はE7と表す。(本書ではE系列という書き方をしている)

・遡ること、1955年。日本の志村五郎と谷山豊は、「すべての有理数体上に定義された楕円曲線はモジュラーであろう」という、谷山志村予想を日光の国際シンポジウムで発表する。(本書ではモジュラーをM系列という書き方をしている)

・ここでいう予想とは、数学的に証明はされていないが、たぶん正しいであろうと思われること。定理は数学的に証明がされたこと。数学的に証明されるまでは、十中八九間違いないと思われることであっても、あくまで「予想」である。

・モジュラーは、それ自体が超高等数学(数学科の大学院生でも理解できるか否かのレベル)で、その概念を理解することすら難しい。

・数学的には、楕円とモジュラーは別領域と思われていたが、谷山志村予想が徐々に広まり、「谷山志村予想が成り立つと仮定すれば、××も成り立つ」という派生論文が世界中で数百も出る。

・1984年、ゲルハルト・フライは、「谷山志村予想」が証明されれば、そのまま「フェルマーの最終定理」の証明につながる。という歪な楕円方程式を提示。

・ということで、アンドリュー・ワイルズは「谷山志村予想」の証明に取り組む。

・1811年生まれのフランスの天才数学者にして革命家のエヴァリスト・ガロアは、5次方程式の解を見つけようとするなかで、弱冠20歳にして群論を生み出す。だがガロアは21歳で、女を取った取られたの決闘で負けて死ぬ。

・1988年、日本人数学者宮岡洋一が、フェルマーの最終定理を証明したと発表するも、その後の検証で証明に不備があった。宮岡は、微分幾何学というアプローチで証明しようとしていた。

・ワイルズは、フェルマーの最終定理の証明に取り組んでからの3年で、ガロア群を楕円方程式に応用し、楕円方程式を無限の要素に分解して、すべての楕円方程式の最初の要素はモジュラーだということを証明した。

・その後ワイルズは1年かけて、楕円方程式を分析するための手段である岩沢理論を研究した。岩沢理論を拡張すれば、ドミノ倒しのようにフェルマーの最終定理の証明に至るのではないかと考えた。しかし、その手法には失敗した。

・かつての指導者コーツから、コリヴァギン=フラッハ法という楕円方程式に関する論文を知る。

・それまでワイルズは「フェルマーの最終定理」の証明を試みていることを誰にも内緒にしていたが、数学者ニック・カッツに打ち明け、コリヴァギン=フラッハ法をもっと突き詰めるための大学院生向け講座を開いた。大学院生向けの講座というのは隠れ蓑で、ワイルズ自身がコリヴァギン=フラッハ法を勉強するための講座で、最終的に聴講生はニック・カッツ一人になってしまった。

・ワイルズは、コリヴァギン=フラッハ法を使って「谷山志村予想」を証明することを達成した。それはつまり、「フェルマーの最終定理」の証明につながった。7年かけたこの成果を、1993年6月に、ケンブリッジで披露した。

・大喝采に包まれたが、コリヴァギン=フラッハ法に穴があることが分かり、ワイルズは欠陥の修正を行うことになった。

・欠陥の修正は想像以上に困難な作業で、ワイルズは諦めかけた。が、不完全だった岩沢理論と、不完全だったコリヴァギン=フラッハ法を両方を組み合わせれば完全になると気付いた。

・そして遂に、欠陥を修正した最終証明が発表され、他の数学者の検証を経て、証明は完全であると認められた。

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2015/06/08

岩崎育夫「アジアの国家史」感想。
アジア史。2015年03月05日読了。


何度かこのブログに書いていますが、私は工業高専出身なので、高校レベルの歴史を知りません。(私が在学していた頃<約30年前>の工業高専・電子工学科では、中卒直後の1年生からプログラム授業や電子回路工作実習が30%くらいを占めており、一般教養はとても少なかったのです)

小学生の頃からジュブナイル小説を読んでいた(小学生なのに普通のSF小説を読んでいた)ので、文章とふれあうのは好きだったけど、工業高専は徹底して数式の学校でした。高専3年~4年の頃には、手計算でフーリエ変換を行い、オーディオのグラフィックイコライザーの原理を知ったのです。まあこんな話はどうでもいいか。

私が高専を卒業する頃、世の中はバブル経済の真っ最中で、高専の求人倍率は5倍を超え、私は教授の薦めでNECの子会社に入社しました。ところがそのNECの子会社は、課長以上がすべてNEC本社で使えない奴と判断された無能の姥捨て会社で、もう、なんというか。NECの子会社なのに、NECの福利厚生はほとんど利用できないという姥捨て会社でした。(この辺りを書き出すときりがないので以下割愛)


で、SF小説ばかり読んでいた私は、私は25歳頃から冒険小説を読み出し、例えば船戸与一の「砂のクロニクル」1991年初版を読んで、なるほどこれはすごく面白い小説だ!と単純に感心してましたが、こういう小説を何十冊も読むうち、こういう小説はどこまで史実、現実に基づいているのだろう?と疑問に思うようになりました。

ここから嵩じて、私は今現在地球上で起きている紛争に興味を持つようになり、ひいては歴史(特に現代史)に興味を持つようになったのです。


で、本書。の前に。

「東南アジア」というのは、第二次世界大戦後に生まれた概念である。ということを、2009年に入学した法政大学通信教育課程 文学部 地理学科 の授業で知り、その副読本

白石隆「海の帝国―アジアをどう考えるか」2013年01月10日読了。7点(難しかった)

を読み、なるほどそういう経緯があったのか、と得心したのです。他に

鶴見良行「海道の社会史」2014年05月14日読了。7点

からも多大な知識を得られました。


で、本書。

私が色んな本から中途半端に歴史を学んでいる、その隙間を埋めるような、私に足りなかった知識を記した本。それが本書でした。

p140-141(植民地国家の時代「日本」の項より抜粋)

「(前略)蝦夷(北海道)では、一五世紀ごろに独自の民族文化を持ったアイヌ社会が形成されたが、江戸時代になると北海道南部の松前藩の実質的支配下に置かれた。そして、沖縄より一〇年早い一八六九年に、日本は統治下に組み入れ北海道と改称したのである。

 この後、日本の東アジアへの進出が本格化していった。一八七四年に日本の領土と主張する琉球(沖縄)の漁民が、清王朝領土の台湾で殺害されたことを理由に台湾に出兵し、翌一八七五年には、日本の軍艦が李氏朝鮮王朝の江華島を占拠し(江華島事件)、鎖国政策を採っていた李氏朝鮮王朝に圧力をかけて開国させ、自由貿易の特権を得た。一八九四年に李氏朝鮮王朝で農民氾濫が発生すると、清王朝と日本がともに軍隊を派遣したことから日清戦争が勃発したが、これは、これまで朝鮮半島に対して宗主権を行使してきた中国と、新支配者になろうとする日本による朝鮮半島の争奪戦を意味した。太平天国の乱などで弱体化し、かつ近代化改革に後れをとった清王朝は新興国の日本の敗れると、一八九五年の日清講和条約で李氏朝鮮王朝に対する宗主権の消滅を認め、台湾を日本に割譲したのである(台湾の植民地化)」


えっ?
そうなんですか?

この短い引用だけでも、今まで知らなかったことがたくさん詰まっている。


もしかしたら普通高校に進学していたら当たり前の知識なのかも知れないが、私には斬新だった。

このような話が満載である本書は、故に私的には10点満点なのであります。


10点/10点満点

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