白戸圭一「ルポ資源大国アフリカ」感想。
ルポ。2009年09月21日読了。

白戸圭一 / 東洋経済新報社 2009/08 ¥1,995 (税込)
◆一つ前の感想に「2011年新聞・テレビ消滅」を取り上げた。本書「ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄」の著者、白戸圭一氏は、その消滅しそうなマスメディアの筆頭、毎日新聞の元ヨハネスブルク特派員で、現在は政治部記者。
本書「ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄」は、著者がヨハネスブルク特派員だった時に、南アフリカ、ナイジェリア、コンゴ(旧ザイール)、スーダン、ソマリアで起こっている暴力の現場を取材し、毎日新聞本紙には(読者ニーズが少ないために)掲載しきれなかった部分をまとめたものである。アフリカの現状を伝える本である。
◆まずはじめに書いておく。この本の内容は素晴らしい。
◆アフリカには貧困がつきまとい、圧政君主と腐敗した政治が渦巻き、暴力が国中を支配している、というイメージが世界中の人々に植え付けられている一方で、最近読んだアフリカ絡みの本、ロバート・ゲスト「アフリカ-苦悩する大陸」10点満点や、ヴィジャイ・マハジャン「アフリカ 動きだす9億人市場」9点/10点満点には、アフリカに住む人々だって平和を望んでいるし、経済的に豊かになりたいと思っているし、実際、経済的に成功を収めつつある国だっていっぱいある、悪いことばかりじゃないんだよ、という論調になっている。
◆1970年生まれの著者は、学生時代の1991年にニジェールを訪れたのを始め、大学院時代にアフリカ政治学を専攻、毎日新聞ではヨハネスブルク特派員と、アフリカに魅せられた人なのだろう。
◆その著者をして、アフリカは貧困や暴力だけではないことを承知の上で、アフリカで起こっている暴力の連鎖、圧政、貧困、それら負のスパイラルをテーマに本書を書いている。
◆発展しつつあるアフリカと、暴力の連鎖が渦巻くアフリカというのは、今の日本を「豊かな国」と見るのか「貧しい国」と見るのか、そのような違いなのかもしれない。だから、松本仁一「カラシニコフ」10点満点や本書のようなテーマもあれば、前掲の「苦悩する大陸」「動き出す9億人市場」のテーマもある。
これから世界一周を行い、来年2月は南部アフリカに1ヶ月くらい滞在するので、本書のような負のテーマを読むとヘヴィな気分になってしまうが、まあそれはそれ、本書は非常に良くできたルポである。
◆惜しむらくは、本書は毎日新聞社の金で取材した成果を記した本なのに、なぜ毎日新聞社から出版されないのか。更にこれだけのルポを書ける記者が、なぜ政治部記者にならなければならないのか。また、時折著者が見せる「上から目線」にはむかついた。こういう部分に、日本の新聞社の問題があるような気がする。
9点/10点満点
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