カテゴリー「◇ルポ・ドキュメンタリー」の記事

石井光太「レンタルチャイルド」感想。
ルポ。2010年08月12日読了。

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レンタルチャイルド―神に弄ばれる貧しき子供たち


インドの子供乞食は、乞食をとりまとめる集団が誘拐してきた子供を乞食に仕立て上げる場合がある。ただの子供乞食では「商売としての稼げる乞食」にならないので、よりいっそうの憐れみを誘うため、乳児期に手足を切り落とされたり、目をつぶされたり、大やけどを負わされたりする。

このことは、石井光太の前著3冊にも書かれている。

実際私もインドのバラナシに行ったとき、腕のない乞食を見た。足のない乞食も見た。インドに行く前に石井光太の3冊を読んでいたけど、手足のない乞食があまりにも普通に居たので、「ああ、手や足がないなあ」としか思わなかった。

さて本書は、2002年、2004年、2008年の3回にわたり、インドのムンバイで子供乞食の実態を追いかけた渾身のルポである。あまりにもすごい内容で、わたくし如きのブログで内容を紹介するのは恐れ多い。というか、中途半端に紹介してしまったら、渾身のルポを書いている著者に申し訳なさ過ぎる。

ので、リンクする。

著者のインタビュー
Yomiuri Online の書評
旅行人・蔵前仁一さんの書評


最後に本書の著者石井光太氏のブログを紹介する。本書を読もうと思っている方は、本書を読んでから見ることをお奨めする。

写真を掲載するや否や(1)
写真と躊躇い(2)

イボ男は壮絶である。


10点/10点満点


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白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ」感想。
アフリカルポ。2010年07月28日再読了。

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ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄


本書は2009年9月21日に読んでいるのだが、再読してみた。

アフリカの現状を、それもディープな現状を、命がけの取材で伝える。超一級の作品である。

第1章
アパルトヘイトが終わり、経済発展する南アフリカになだれ込む外国人労働者(モザンビーク人やスワジランド人)の取材。および、スワジランド人やケニア人の若い女性を騙して連れてきて売春させる女衒へのインタビュー。

第2章
ナイジェリアの油田の取材。オイルマネーの恩恵を受けることなく、漏れた原油で生活が苦しくなる一方の現地住民の怒り。

第3章
コンゴ(ザイール)の内戦の取材。ルワンダとブルンジとウガンダも絡んだぐちゃぐちゃの状況の中、反政府ゲリラ幹部へのインタビューを敢行。インドが綺麗に思えてしまうくらい汚い街キンシャサの報告もある。

第4章
ダルフール紛争を取材するため、スーダンに密入国。反政府ゲリラへの取材を行う。

第5章
昨今のソマリアに2回潜入。


著者の白戸氏に一言言いたい。


死ぬなよ。


9点/10点満点


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ポール・コリアー「民主主義がアフリカ経済を殺す」感想。
アフリカ分析。2010年07月05日読了。

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民主主義がアフリカ経済を殺す―最底辺の一〇億人の国で起きている真実

オックスフォード大学教授の著者ポール・コリアーは、(日本で)2年前に「最底辺の10億人」という本を出版している。最貧国に住む人たちへ単なる援助をしても意味がない、というようなことが書かれていて、かなり興味をそそられたが、積ん読本が大量にあったので、買うことなく立ち読みで済ませてしまった、

その著者の最新作が本書。

政治経済学者である著者が書いた論文を、一般読者にもわかるように書き直したもの。とはいえ、読むにはかなりの知識が求められ、苦労しながら読み終えた。

最底辺の国を立て直すために、先進諸国は民主主義の象徴として「選挙」の実施を迫る。民主主義(の象徴である選挙)が導入されれば、政治的暴力は減少する。少なくとも民主主義の導入を推進している先進諸国(や国連)は、そう考えている。

しかし民主化の道のりはなかなか厳しい。

そこで著者は、「民主主義が導入されれば政治的暴力は減少する」が正しいのか検証してみる。

著者は共同研究者とともに、1960年以降のほぼすべての国のデータを入手した(何のデータかはわからない)。

ほぼすべての国を比較した結果、「貧しくない社会では、既に比較的安全な状況を民主主義がいっそう強化するのに対し、貧しい社会では元から深刻だった危険が、民主主義によってさらに増幅される」という結論になり、その貧しさの境目(閾値)は、「所得水準が一人あたり年間2700ドル、一日7ドル」と導き出され、最底辺の10億人が住む国家は、すべてこの閾値以下の所得水準しかなかった。


というような感じで、政治経済学の論文をかみ砕いた難しい話が延々と続くのであります。


もうちょっと軽い「読み物」的な内容を想像していた私は、ああこりゃマジメに読まないと内容が理解できんなあ、と頭を抱えつつ、毎日ちょっとずつ読み進めていったのでした。


アフリカに興味があるのなら、読んで損はない一冊です。興味がなければ読まない方がいいでしょう。


8点/10点満点


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安田純平「ルポ 戦場出稼ぎ労働者」感想。
戦場ルポ。2010年05月29日読了。

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ルポ 戦場出稼ぎ労働者


この本がどういう本かというと、、、

著者はイラク戦争をディープに取材したいと考えていた。
イラク戦争は、戦場のサポート部門が外注された戦争であった。
著者は、従軍記者だと正しいルポが出来ないかもしれない、と考えていた。

まあそんな経緯(正確な要約ではない)で、著者はイラクに駐在する米軍基地で働く外注労働者として潜り込み、現地からのディープな取材をしようと試みた。


結果的に、クウェートに何ヶ月か居座り、イラクの激戦地ディワニヤにある米軍基地に住み込みで働くコックとして採用され、そこで戦場の厳しさをリアルに体験し、それを著したのが本書。

凄まじくしんどいた経験をした著者には悪いが、この本の正確なタイトルは「戦場で出稼ぎコックとして働くための面接テクニック&過酷な現地生活マニュアル」が妥当な線。


興味深く読めるエピソードも多数あるのだが、しょっちゅう変な記述が出てくる。極めつけはインド人シェフの作るラムカレーのレシピで
1)肉を角切りにして下茹でする
2)ニンニクをみじん切り、タマネギとトマトを可能な限り薄切り
3)カルダモンとかシナモンを炒め、香りが立ってきたらマスタードとか投入
以降カレーの手順が記述される、、、、


って何のルポだよ。


この著者は人生の相当期間を無駄に過ごしたんじゃないの?と思えてしまうくらい出来の悪いルポでした。

凄まじい体験をしたんだから、切り口を変えれば後世に残るようなルポに出来るような気もするのに、「お前バカだろ」ってルポに仕立て上げる力量の無さは相当すごいぞ。


6点/10点満点


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堤未果「ルポ貧困大国アメリカ2」感想。
ルポ?2010年05月08日読了。


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ルポ 貧困大国アメリカ〈2〉

「ルポ貧困大国アメリカ」の続編。

学資ローンで苦しむアメリカの学生たち、崩壊する社会保障、医療制度問題など、私が知っていることもあり、知らないこともあり。

特に第4章の「刑務所に収監されている受刑者を格安労働力としてアジアに外注するより安くこき使う」話は、行き過ぎた民主主義(アメリカでは刑務所すら民営化されているのだそうだ)の行き着いた先、という感じがする。


前作よりも内容に厚みが増したように思う。文章力(説得力)もアップしたのだろう。

たぶん出るであろう第3弾が楽しみだ。

9点/10点満点


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セルジュ・ミッシェル/ミッシェル・ブーレ「アフリカを食い荒らす中国」感想。
ルポ。2010年03月07日読了。

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アフリカを食い荒らす中国

本書は2月18日にヨハネスに到着した頃から読み始め、Airport Grand Hotelのバーでビール飲みながら読み終えました。


◆本書の概要(紀伊國屋Bookwebより)
すさまじい勢いでなだれ込む中国人たちの巨大な波!暗黒大陸の新たな征服が始まった。
巨大公共事業をはじめ“経済的利益”という新しい視点をかざした中国の国家戦略とは?―世界秩序を揺るがす実態を取材した衝撃の緊急ルポ。
(中略)
今、中国人はアフリカで何をしているのか? 各国政府と手を結び、大規模な公共事業など、あらゆるビジネスを急速に広げる75万の中国人。暗黒大陸の新たな征服を描く衝撃のルポ!


◆二人の著者はアルジェリア、セネガル、ギニア、ニジェール、ナイジェリア、カメルーン、ブラザビル・コンゴ、エジプト、スーダン、エチオピア、アンゴラ、ザンビア、中国、台湾で取材を行い、この本をまとめたとある。

その取材成果が十分に発揮されており、
第一章で北京で開かれた中国アフリカサミットのルポから始まり、
第二章はナイジェリアでパトカーを借りて道路を我が物顔で走る(ことができるくらい権力を持った)中国人ビジネスマンの成功物語、
第三章はブラザビル・コンゴのジャングルで違法伐採の同行取材(伐採をしているのが政府と癒着した中国企業)、

秘密警察が跋扈するスーダンで、立ち入り禁止の石油備蓄基地に入り込み写真を撮り警察に捕まったが何とか逃れた話とか、

大臣の地位を利用し、選挙区に住宅1万戸を建築し、選挙区での人気を不同にするブラザビル・コンゴの政治家へのインタビュー(と選挙区への取材)、

カメルーンに入り込む中国製の廉価な日用品と、それによって打撃を受けている地場産業の取材、

もうてんこ盛り。


なぜ中国が、中国企業が、多くの中国人がアフリカに入り込んでいるかというと、儲かるから。なぜ儲かるかというと、アフリカ諸国の多くは経済援助に頼っており、世界銀行の指針で、経済援助する代わりに競争入札を義務づけられている。競争入札となると中国企業に敵う先進諸国はどこもない。だから中国企業が落札する。

アフリカで働く多くの中国人は、働き始めるまで働く場所が危険(たとえばナイジェリアの石油紛争地域)だと言うことを知らない。働く前は良いことしか言われないから。報道されていないだけで、アフリカで働く中国人は何人も誘拐されたり殺されたりしている。でも、もし危険だと知っていても働きたがる中国人はたくさん居る。中国の農村で燻っているより、多くの金が稼げるから。


そして、アフリカで成功している中国人は利に賢い。成功した中国人は、一族郎党を呼び寄せ、更なる成功を自らの手で引き寄せる。賄賂を使おうが、強引な手を使おうが、環境だの何だのを無視しようが、一族の利益になればいいのだ。


南アフリカやナミビアで中国人の悪口をよく聞いた。なぜ悪口を言うのか、その理由の一端がわかった。


9点/10点満点


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白戸圭一「ルポ資源大陸アフリカ」感想。
ルポ。2009年09月21日読了。

ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄
白戸圭一 / 東洋経済新報社 2009/08 ¥1,995 (税込)

◆一つ前の感想に「2011年新聞・テレビ消滅」を取り上げた。本書「ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄」の著者、白戸圭一氏は、その消滅しそうなマスメディアの筆頭、毎日新聞の元ヨハネスブルク特派員で、現在は政治部記者。

本書「ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄」は、著者がヨハネスブルク特派員だった時に、南アフリカ、ナイジェリア、コンゴ(旧ザイール)、スーダン、ソマリアで起こっている暴力の現場を取材し、毎日新聞本紙には(読者ニーズが少ないために)掲載しきれなかった部分をまとめたものである。アフリカの現状を伝える本である。

◆まずはじめに書いておく。この本の内容は素晴らしい。

◆アフリカには貧困がつきまとい、圧政君主と腐敗した政治が渦巻き、暴力が国中を支配している、というイメージが世界中の人々に植え付けられている一方で、最近読んだアフリカ絡みの本、ロバート・ゲスト「アフリカ-苦悩する大陸」10点満点や、ヴィジャイ・マハジャン「アフリカ 動きだす9億人市場」9点/10点満点には、アフリカに住む人々だって平和を望んでいるし、経済的に豊かになりたいと思っているし、実際、経済的に成功を収めつつある国だっていっぱいある、悪いことばかりじゃないんだよ、という論調になっている。

◆1970年生まれの著者は、学生時代の1991年にニジェールを訪れたのを始め、大学院時代にアフリカ政治学を専攻、毎日新聞ではヨハネスブルク特派員と、アフリカに魅せられた人なのだろう。

◆その著者をして、アフリカは貧困や暴力だけではないことを承知の上で、アフリカで起こっている暴力の連鎖、圧政、貧困、それら負のスパイラルをテーマに本書を書いている。

◆発展しつつあるアフリカと、暴力の連鎖が渦巻くアフリカというのは、今の日本を「豊かな国」と見るのか「貧しい国」と見るのか、そのような違いなのかもしれない。だから、松本仁一「カラシニコフ」10点満点や本書のようなテーマもあれば、前掲の「苦悩する大陸」「動き出す9億人市場」のテーマもある。

これから世界一周を行い、来年2月は南部アフリカに1ヶ月くらい滞在するので、本書のような負のテーマを読むとヘヴィな気分になってしまうが、まあそれはそれ、本書は非常に良くできたルポである。


◆惜しむらくは、本書は毎日新聞社の金で取材した成果を記した本なのに、なぜ毎日新聞社から出版されないのか。更にこれだけのルポを書ける記者が、なぜ政治部記者にならなければならないのか。また、時折著者が見せる「上から目線」にはむかついた。こういう部分に、日本の新聞社の問題があるような気がする。


9点/10点満点


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ヴィジャイ・マハジャン「アフリカ 動きだす9億人市場」感想。
ルポ。2009年08月10日読了。

アフリカ 動きだす9億人市場
ヴィジャイ・マハジャン/松本裕 / 英治出版 2009/07 ¥2,310 (税込)

◆アフリカに関するルポやドキュメンタリーには良書が多い。以前読んだロバート・ゲスト「アフリカ 苦悩する大陸」は10点満点つけた。アフリカを長くウォッチし続けているジャーナリスト松本仁一の各書も、おしなべて完成度が高い。

アメリカを凌駕する中国、知られざるIT大国インド、独裁者プーチンに支配されるロシア、のような新興国に関する本は、内容がまともであれいいい加減であれ、海外情勢などにちっとも関心がない普通のサラリーマンでも読むだろう。だがアフリカ関連書籍は、アフリカに関心がある人しか読まない。書籍としての市場がきわめて狭い、つまり売れないジャンルなのだ。amazonを筆頭に、誰でも簡単にブックレビューを読み書きできる今の時代、いい加減な本を出すと、速効で売れなくなる。だから、元々狭い市場しか持たないアフリカ関連書籍は、いい加減な本を出す余裕が全くないので、良書が数多く出版される。と私は思うのだ。

◆で、本書。インドに生まれ、アメリカに渡り大学教授となった著者が書いた、アフリカに関するマーケティング論。
アフリカは53のばらばらな国が集まった小さな国家の集合体で、経済はまだ発展していなく、グローバルビジネスにおいて戦略的価値はまだ見いだせない、という世間一般のイメージは、もはや間違っている! ということをデータと実地調査を元に説いている。

◆著者紹介(紀伊国屋Bookwebより)
マハジャン,ヴィジャイ[マハジャン,ヴィジャイ][Mahajan,Vijay]
テキサス大学オースティン校マコームズ経営大学院経営学教授。全米の数多くの一流企業でマーケティングのコンサルティングを行っており、その業績はアメリカ・マーケティング協会(AMA)によるチャールズ・クーリッジ・パーリン賞やインド工科大学カンプール校最優秀同窓生賞など、数々の賞を受賞。AMA2007年ブック・オブ・イヤー賞受賞の経歴もある。インド商科大学院経営学部長を経て現職。


◆ロバート・ゲスト「アフリカ 苦悩する大陸」を読んだとき、経済的な側面から見るアフリカ各国は、私が思っていた以上に豊かになりつつあるのだな、と世間のイメージとの違いに驚いた。

本書も、かなり驚くべきデータが多数掲載されている。

国民一人あたりの総所得(GNI)に関するデータが55ページに載っている。2006年のデータでは、
 中国 2,010ドル
 インド 820ドル
に対し、
 セーシェル 8,650ドル
 赤道ギニア 8,250ドル
 リビア 7,380ドル
 ボツワナ 5,900ドル
など、中国を超えるアフリカの国が12カ国、インドを超える国が20カ国もある。赤道ギニアが石油で儲けていることは知っていたけど、それにしたって平均で国民ひとりの年間所得が8,000ドルもあるのか。そりゃすごい。

◆176ページにはもっと驚くことが書かれていた。シエラレオネの首都フリータウンには、市全域に無線インターネット環境が整備されており、無制限のWi-Fi、WiMAXネットワークを有する世界で3番目の都市なのだそうだ。(ほかはフィラデルフィアと台北)

221ページ、ナイジェリアは映画産業が発展しており、収益ベースで年間2~3億ドルの規模にまで成長、映画産業の就業人口は100万人で、農業に次ぐ雇用人数となっている。

◆アフリカの国々は、戦争・内戦や、独裁者による恐怖政治、資源争奪にまつわる黒い話ばかりが喧伝されているが、そういう一面も確かにあるが、そうじゃない面の方が多いのだという。

世界中で携帯電話が普及しているんだから、アフリカ諸国にも携帯電話は普及している。
世界中がインターネットの恩恵を被っているように、アフリカ諸国の人たちもインターネットを使いたいし、需要があれば供給が生まれるのは当たり前。
仮にアフリカを一つの国と仮定すると、人口は約9億人で、総所得は9783億ドル。インドは10億人で9065億ドル。数字の上から見ると、インドよりも豊かなのだ。さらに、出稼ぎで世界各国に散らばっているアフリカの人たちは、稼いだ金を家族に送金している。海外から送金された金は、経済統計に出てくるとは限らない。というか出てこない。統計数字よりももっと豊かと考えるべきだろう。(これはインドも同じだが)

◆というようなことが載っている本書。やっぱりアフリカ関連書籍は良書が多いのである。


9点/10点満点


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フランソワ・ラファルグ「ブラッド・オイル」感想。
ルポ。2009年07月03日読了。

ブラッド・オイル―世界資源戦争<br />
フランソワ・ラファルグ/藤野邦夫 / 講談社 2009/01 ¥1,995 (税込)

◆貧弱な性能のノートパソコン(ネットブック)、ようやく使い慣れてきたので、ブログを再開します。

◆石油を中心とした資源は世界中で争奪戦が始まっており、中国は貿易で得た豊富な資金力をバックに、政府主導で貪欲なまでに他国の資源を開発しまくっている。というような、よくある話をまとめた本かと思って買ったらちょっと違った。

◆ルポもしくはドキュメンタリーとして本書を読むと、物語性が少なく、おもしろみはない。どちらかといえば資料的な内容に偏っており、たとえば、スーダンの内戦は(すさまじくおおざっぱに言うと)石油が取れ非アラブで反政府な南部と、石油が取れなくてアラブ系で政府な北部の争いだが、そんなダルフール戦争なんかお構いなしで、中国は官民挙げてスーダンの石油開発に乗り出している。CNPC=中国石油天然気集団公司が中心となっているのだが、カナダのタリスマン社、マレーシアのペトロナス社なども半分以上の金を出している。カナダのタリスマン社は、アメリカの人道団体の批判を浴びスーダンから撤退したが、代わって入ったのはインド石油天然ガス公社である。

◆歴史上まれにみる失敗国家ジンバブエ。アフリカで有数の農産地であり、白人農場主が効率のよい農業を展開し、農産物を近隣諸国に輸出できるくらいの国であったが、現大統領で独裁者のムガベが、白人から農地を強制収容し、農業の知識のない黒人に土地をばらまいた。その結果、ジンバブエの農業は崩壊し、輸出できるほど豊富に取れていた農作物は、自国の国民を食べさせることができないくらい取れなくなった。しかし、そんなジンバブエにも経済的に優位に立てるものがある。ジンバブエはプラチナの埋蔵量が世界第2位なのだ。しかし鉱物資源を採掘するためには、電気や道路などのインフラ開発が必須となる。インフラ開発を無償(もしくは借款)提供することと引き替えに、中国とインドが採掘権を得ている。

◆というような話が、ただ単にデータを書き連ねるという非常に退屈な形で展開される。それが本書。

◆資料的な価値が高く感じたので、個人的に8点をつける。しかし、普通の人は十中八九つまらない本と感じると思う。


8点/10点満点


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菅原出「戦争詐欺師」感想。
ドキュメンタリー。2009年07月02日読了。

戦争詐欺師
菅原出 / 講談社 2009/04 ¥1,890 (税込)

◆タイトルから想像していた内容は、戦争をネタに様々な詐欺を働く輩の実態を暴いた本なのかと思っていたが、まったく違った。

◆本書は買ったときに考えてた内容とは異なり、アメリカによるイラク戦争を分析した本である。

◆イラクから政治亡命したアフマド・チャラビ イラク国民会議議長(実は自己の権力拡大にしか興味のないエセ政治家)が、如何にして、好戦的なネオコン(=ネオコンサバティブ=新保守主義)であるチェイニー副大統領、国防総省のラムズフェルド長官・ウォルフォウィッツ副長官に取り入り、アメリカ政府を好戦的な国に仕立て上げていったのか、その政治的プロセスと、

リアリスト(=現実主義)と呼ばれるパウエル国務長官やCIAとの暗闘、

そしてネオコンが負け、リアリストが、つまりはオバマが政権を取るようになったのかを、克明に描き出している。

◆本書の著者、菅原出は「外注される戦争」7点/10点満点を書いた、戦争を冷静に分析できる優れたライターである。

◆本書は、アーミテージ国務省副長官(パウエルの部下)とのインタビューを筆頭に、ブッシュ政権に於けるキーマン数人とインタビューし、その他アフガン戦争やイラク戦争などに関する膨大な書籍にしながら本書を記した。巻末に記載されている参考文書の一覧は14ページにも及び、そのリストは資料的価値も高い。

◆日本のマスメディアが如何に役立たずなのかを、如実に示す良書であると思う。


8点/10点満点


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