明石康+インタビュー木村元彦「「独裁者」との交渉術」感想。
インタビュー。2015年09月15日読了。
東大を出てアメリカの大学院に留学し、博士課程の途中の1957年、日本人として初めて国連職員に採用された明石康氏。日本人的には、カンボジア内戦終結後の1992年に国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)事務総長として、国際的に活躍するその姿が連日マスコミに報道されていたので、記憶に残っている方も多いであろう。(もっとも、UNTACが連日報道されていたのは、自衛隊600人が停戦監視のために派遣されていたので、そっちの比重が大きかったが)
カンボジアの後、明石氏は旧ユーゴ問題の事務総長に任命される。
その明石氏へのインタビューが本書。
インタビューをしている人がジャーナリストの木村元彦氏。
始めはサッカーを中心としたスポーツジャーナリストだったが、ストイコビッチやオシムの取材を通して旧ユーゴスラビア情勢に接するようになり、今では日本屈指の旧ユーゴ情勢ジャーナリストである(もっと詳しい研究者はいるけど、研究者はジャーナリストではないので)。
木村元彦氏の著作は4冊読んでおり、うち2冊が10点満点である。右サイドバーに「木村元彦」というカテゴリーを作ったので、そちらも参照してください。
「悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記」 10点/10点満点
「誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡」 8点/10点満点
「オシムの言葉」 7点/10点満点
「終わらぬ「民族浄化」 セルビア・モンテネグロ」 10点/10点満点
旧ユーゴに詳しい木村元彦氏が、旧ユーゴ問題の国連事務総長だった明石康氏にインタビューしている。
けっこう期待して読んだのだが、本書は明石氏の生い立ちから始まり、日本人初の国連職員に採用されるまで、採用されてから、カンボジアPKO、旧ユーゴ問題、スリランカ問題、などと話題が多岐にわたっているため、個々の背景解説が少なく、すべての章が中途半端に感じてしまった。
たぶんこれはページ数に制約がある新書本で出版するために、相当なページ数を削らなければならなかったのだろうと推察する。
この本を読むためには、カンボジア内戦、旧ユーゴ問題、スリランカ問題(政府軍と反政府勢力「タミル・イーラム解放の虎」の泥沼の内戦)について、それぞれ1冊は予習をしておかないと、何が何やら状態になってしまう。
ちょっと残念。
4点/10点満点
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