カテゴリー「△橘玲」の記事

2023/01/21

橘玲「バカと無知」感想。2022年11月5日読了。

 

本書は週刊新潮に連載されたコラム(記事?)を一冊にまとめたもの。
本書の評点を辛くつけているのは、読んだことのある話が多かったから(週刊新潮から(たぶん)Yahooに転載された記事を私は読んでいたように思う)。

 

本書の内容はデイリー新潮のこの記事に詳しい。

 

橘玲氏が書く内容は、話の要点そのものが「身も蓋もないけど、おっしゃる通り」なので、言い回しは違うけど既視感がある話ってのが多い。なので、金を出して本を買うんだから何か違う話をもってきてくれよと思うのだが、今回に関しては既視感のある話の方が多かった。ので辛め評点。

 

そういう評価基準で良いのか? と自問自答中。

 

5点(既読が多かった)/10点満点

| | | コメント (0)

2023/01/20

ウォルター・ブロック/橘玲訳「不道徳な経済学 転売屋は社会に役立つ」感想。2022年1月17日読了。

 

本書の原著は1976年(タイプミスではない)に出版された。
邦訳は2006年に橘玲氏が翻訳し講談社から出版(2011年に講談社+α文庫)。
私の手元にあるのは2020年に出版されたハヤカワ版で、訳者まえがきを新規追記、巻頭解説を全面改稿した版である。

 

政治に関する考え方として、
 保守(コンサバ・右翼)
 革新(リベラル・左翼)
という大雑把な区分けが標準的だが、実のところ定義はまちまちで、国によって異なる。
世界各国から見ると、日本の自由民主党は保守ではなく革新(リベラル)政党である。

 

アメリカでは、
 保守(コンサバ・右翼)=共和党=2020年の候補はトランプ
 革新(リベラル・左翼)=民主党=2020年の候補はバイデン
のどちらかが大統領になるので、この二つしか考え方(政党)が無いように見えるが、リバタリアン党という政党が1%強の票を獲得している。

 

リバタリアン党は「リバタリアニズム(完全自由主義・自由原理主義)」という信条を持つ党で、リバタリアニズムは究極のリベラル。本書の著者はリバタリアニズムの信奉者である。

 

P23(橘玲氏の巻頭解説)
リバタリアニズム
 ひとは自由に生きるのがすばらしい。
リベラリズム
 ひとは自由に生きるのがすばらしい。しかし平等も大事だ

 

本書は、著者がこのような心情を持っていることを前提に読むのが正しい。のだが、それほど堅苦しく考えなくても「ああ、うんうん、頷ける」という話(というか既存概念への論破)が多数出てくる。

 

一つ一つは短く書かれているので、非常に読みやすく、かつ面白い。良書

 

8点/10点満点

| | | コメント (0)

2023/01/09

橘玲「裏道を行け ディストピア世界をHACKする」感想。2022年1月3日読了。


 


 ◆本書の内容(amazonから引用)


・「女性嫌悪」に走るモテない男たち
・ナンパ師が手にし損ねた「ほんとうの愛」
・道徳的な「モテ戦略」とは
・「寝てるだけでお金を貯めた」天才の極意
・ブラックジャック必勝法は存在する
・ノーベル経済学賞の先を行け
・ギャンブルは「向精神薬」
・大学生の50%が「ネット中毒」
・「ちがう自分」という強迫観念
・「自己実現した主体」が幸福をもたらす
・トランスヒューマニズムと「優生学2.0」
・「寝そべり族」はなぜ生まれたか
・自己啓発としての「ミニマリズム」
・「ストア哲学」は究極のメンタル術 ……ほか
◆引用終わり


 


橘玲氏の本なので、いつものように身も蓋もない有益な話がてんこ盛りである。
個々の節(上記引用参照)は2~3ページになるように書かれており、Web系の読み物に慣れた人が「読みやすい」と感じる量になっている。
意図的にそういう構成にしたのかは分からないが、全体的にまとまりがない印象を受けた。

強烈な印象を残したのは、P255
「ノーベル平和法を受賞したムハマド・ユヌスのマイクロクレジット(グラミン銀行)も、「所得、消費、健康、教育にほとんど(またはまったく)効果を及ぼしていない」として、「証拠の信頼性が低いもっとも痛烈な例のひとつ」だと批判されている」

という箇所で、「貧困を食い物にする系」の告発ルポを多数読んでいる私には既知のことだが、橘玲氏の著書にこのこと(グラミン銀行は過大評価されている)が記載された意義は大きい。


7点/10点満点

| | | コメント (0)

2022/01/03

橘玲「無理ゲー社会」感想。2021年8月6日読了。

 

親が貧乏だったら、そもそも大学進学ができないじゃないか。
親がバカだったら、それを遺伝している自分は賢くなれないじゃないか。
親が怠惰だったら、自分も怠惰な人生を送るに決まっているじゃないか。

 

これらが親ガチャの例。

 

親の経済的状態や、親から遺伝された資質で、自分の今の境遇が悪い。悪いのは自分ではない。

 

というようなことを含め、今の社会を生きるのは「無理ゲー(攻略するのが無理なゲーム)」と定義づける。

 

橘氏の着眼点はいつも良い。時に世間の2周か3周先に行っているため、世間から理解されない部分もあるが、本書に限って言えば「親ガチャ」「人生は無理ゲー」という極めて分かりやすい言葉を使っているため、容易に理解できる。

 

私は橘信者に近い状態にあり、Webコラムはほとんど目を通している。そういう意味では新鮮味はなかった(たぶんどこかのWebコラム、Web記事で書いたことの集大成なのだと思う)。

 

だが良い。

 

7点/10点満点

| | | コメント (0)

2020/01/05

橘玲「事実vs本能」感想。2019年09月02日読了。6点/10点満点

 

「言ってはいけない」シリーズと大差ないかも。

 

6点/10点満点

| | | コメント (0)

2020/01/04

橘玲「もっと言ってはいけない」感想。2019年02月21日読了。7点/10点満点

 

前著「言ってはいけない」より興味を惹く部分が増えた。
が、前著より私の評価は落ちた。
飽きたからかも。

 

7点/10点満点

| | | コメント (0)

橘玲「言ってはいけない 残酷すぎる真実」感想。2019年02月18日読了。8点/10点満点

 

「知能は主に遺伝で決まる」
「子育て方法や教育は子供の成長に関係ない」
など、タブーを直視した話が、論拠となる元論文と一緒に紹介した本。

 

本書に書かれているテーマ、いずれも興味深く読めたし、読後感も悪くない。けど鵜呑みにするのは危険かも。

 

8点/10点満点

| | | コメント (0)

2018/06/05

橘玲「橘玲の中国私論」感想。<br />中国論。2017年08月13日読了。

橘玲氏の中国見聞録。単行本は2015年に出版され、現在は「言ってはいけない中国の真実 (新潮文庫) 」という題名で文庫化されています。

著者が2010-2014年にかけて取材した中国事情を、著者の私見としてまとめた本。

私は橘氏の論理的な考え方に全面的に共感しているので、非常に興味深く読んだ。以下、引用ではなく、大まかな内容抜粋。


p54
(マレーシア最大の銀行メイバンクの創業者の孫のアンソニー(華人)曰く)
中国人はあまりにもエゴイストなので、共産党が暴力をもって縛り付けないと国が崩壊してしまう。「中国人にデモクラシーは無理」なのだという。

註:エゴイスト→自分勝手な人、自分の利益のみを追求する人

→中国人が本気で民主主義を目指したら、世界は一体どうなるんだろう、と思うことはしばしばあるが、すでに民主主義を謳歌している華人(註:移住している中国人は華僑、移住先の国籍を取得した人が華人)の富豪から見るても、中国人は民主主義(デモクラシー)より自分の利益が最優先なのか。


p142
中国では、土地は私有できない。すべての土地は公有地(地方自治体が所有しているので国有地ではない)であり、普通の中国人は土地の使用権を借りているだけ。故に固定資産税が存在しない。そのため、固定資産税の引き上げで地価の高騰を抑えるという常套手段が中国では使えない。

→中国は実質資本主義経済なので、いまさら土地の私有を認めると、裏社会勢力が滅茶苦茶な地上げをするのが目に見えているので、もうこの状況は変えられないのだろう。


p164
「改革開放」というのは、中国の人々にとっては、「共産党の支配を容認する代わりに自分たちの金儲けには口を出せない」という暗黙の契約だった。

→なんかすごく腑に落ちる。


p181
中国の出生率は日本よりもはるかに酷い。
北京市は0.71
上海市は0.74
6番目の天津市1.0以下

→一人っ子政策の悪影響による中国の少子高齢化は、しばしば日本でも報道されている。あまり根拠はないが、2025年くらいから日本と同じように高齢者の医療福祉問題がすさまじい重荷になり始め(高齢者の自殺が多いなど、既にその傾向はみられる)、2030年代から中国経済は下落するんじゃないかと私は思っている。


p245-246
中国で民主主義が成立し、民主的な選挙が行われた場合、ポピュリズム(大衆迎合)を主張する政治家が上位を独占する。豊かな南部沿岸地域(上海、深セン、広州ほか)の人口は4億人、貧しい内陸部の人口は9億人。沿岸の富を内陸の貧者に分配する政策をすすめる政治家が当選してしまう。もし中国が民主主義政治にかじを切ったなら、上海など沿岸住民は、中国からの分離自治(もしくは独立)を要求することが目に見えている。

→それ(分離独立)はそれで面白いと思うので、是非とも重慶(3000万人)・上海・北京・成都・石家荘・広州・天津・保定・武漢・ハルビンなど1000万人以上の人口の市は独立を目指してほしい。アフリカのチュニジアは人口約1000万人で、国別人口80位である。

ま、私が橘氏のファンであることもあり、とても面白い本であった。


8点/10点満点

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2017/09/03

橘玲「「リベラル」がうさんくさいのには理由がある」感想。<br />思想分析エッセイ。2017年07月19日読了。

著者の橘玲(たちばなあきら)氏は、ここ数年、私が最も面白いと感じている作家(タックスヘイブン研究家)。氏の書く内容は、興味の対象が私と似ているので、とても参考になる。

氏はオンラインコラムを複数連載しており、私が読んでいるのは下記。
・ZaiONLINE「橘玲の日々刻々」(週刊プレイボーイの転載)
・ZaiONLINE「橘玲の世界投資見聞録」


本書は、日本のリベラルは「戦争反対」「自衛隊は違憲」「脱原発」などと叫んでいるけど、結構自己矛盾しているよ、という内容。

なかなか面白かったのだが、既視感がものすごくあり、奥付を読んだら週刊プレイボーイ連載+加筆で構成されているとのこと。なるほど、すでにオンラインコラムで読んだ話だったのか。


8点/10点満点

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2017/04/08

橘玲「バカが多いのには理由がある」感想。<br />ビジネス書?2017年03月17日読了。

橘玲氏は多数のWeb連載を持っていて、着想がどれも面白く、私はいつも楽しみにしている。

橘玲公式サイト(週間プレイボーイ連載)
ZAI ONLINE の日々刻々

など。

本書はそういうエッセンスが詰まったものなのだが、もともと単行本で出版された本の文庫化なので、Web連載とは異なり時事性が薄いため、面白さが半減してしまっているかもしれない。悪くはないです。

2カ月前に紹介した「ファスト&スロー」は、橘玲氏が褒めていたので読んだことを思い出した。


6点/10点満点

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

その他のカテゴリー

00◆成田やトランジット(JFK・パリ・マドリッド) 01◆ブラジル(サンパウロ・サンルイス・レンソイス・マナウス) 02◆アルゼンチン(イグアス・カラファテ・ウシュアイア・ブエノス) 03◆チリ(サンチャゴ・イースター島・バルパライソ) 04◆ボリビア(ラパス・ウユニ) 05◆ペルー(クスコ・マチュピチュ・リマ) 06◆エクアドル(グアヤキル・ガラパゴス諸島) 07◆スペイン(マドリッド・バルセロナ) 08◆トルコ(イスタンブール・カッパドキア・パムッカレ) 09◆ヨルダン(ペトラ遺跡・アンマン) 10◆シリア(ダマスカス・パルミラ遺跡) 11◆エジプト(カイロ・アスワン・アブシンベル) 12◆モロッコ(マラケシュ) 13◆南アフリカ(ヨハネスブルク・ケープタウン) 14◆ナミビア(ウィントフック・ナミブ砂漠・スワコプムント) 15◆ジンバブエ(ヴィクトリアフォールズ) 16◆ザンビア(側のヴィクトリアフォールズ) 17◆ボツワナ(チョベ国立公園) 18◆香港・マカオ 19◆インド 20◆フィリピン留学記 21◆インドネシア・スラウェシ島・マナド10泊旅行 ★惚れ惚れするほどの駄作 ☆私の読書累計 ☆私的10点満点 ☆装丁がスバラシイ本 ■09年11月からの世界一周の小ネタ ■09年11月から世界一周! ■09年11月から世界一周!の準備 ■09年11月から世界一周!の近況 ■09年11月から世界一周!参考書籍 ■2006年夏・ケニアに行く ■2007年夏・アンコール遺跡に行く ■2008年1月・ボルネオ島に行く ■2008年4月・週末海外でベトナム ■2008年9月・週末海外で台湾 ■アフリカ □グインサーガ □三国志 ▲スティーヴン・キング ▲ドン・ウィンズロウ ▲京極夏彦 ▲佐藤賢一 ▲北方謙三 ▲夢枕獏 ▲大沢在昌 ▲天童荒太 ▲宮部みゆき ▲浅田次郎 ▲熊谷達也 ▲真保裕一 ▲神林長平 ▲福井晴敏 ▲船戸与一 ▲貴志祐介 ▲逢坂剛 ▲金庸 ▲隆慶一郎 △サイモン・シン/青木薫訳 △下川裕治 △堀田あきお&かよ △宮田珠己 △木村元彦 △松本仁一 △橘玲 △石井光太 △船尾修 △蔵前仁一 △高木徹 △高野秀行 ◆小説・ミステリ系統 ◆小説・伝奇小説 ◆小説・冒険小説 ◆小説・時代小説・歴史小説 ◆小説・武侠小説 ◆小説・純文学・青春小説 ◆小説・経済小説・現代小説 ◆小説・SFホラーファンタジー ◇いわゆる新書 ◇イスラーム他、宗教 ◇エッセイ・紀行文 ◇ガイドブック ◇スポーツ関連書 ◇テクノロジー ◇データブック・記録集 ◇ノンフィクション ◇パソコン関連図書 ◇ビジネス書 ◇ルポ・ドキュメンタリー ◇世界についての本 ◇国際政治・地政学 ◇実用書・ガイドブック ◇歴史 ◇科学 ◇臓器移植・臓器売買・人身売買 ◇語学などの勉強本 ◇雑学・蘊蓄 ◎写真集 ◎美術書・アートブック ●海外作品(原著英語) ●海外作品(原著非英語) アニメ・コミック 携帯・デジカメ 旅行・地域 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ 時事