カテゴリー「●海外作品(原著英語)」の記事

2024/01/03

サイモン・シン/青木薫訳「数学者たちの楽園 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち」感想。2023年7月11日読了

数学者たちの楽園「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち

 

おお、サイモン・シンと青木薫の本だ!

私の読書人生でベスト5に入る サイモン・シン/青木薫訳「フェルマーの最終定理」を書いた、サイモン・シンと青木薫コンビの本だ!

 

なんだけど、本書はシンプソンズに出てくる数学ネタに題材していて、

でも私はシンプソンズを見たことがないのでイマイチピンとこない&数学ネタを考え出した脚本家に焦点を当てすぎていて、それもなんだかピンと来ない。数学ネタの解説は良いのだけれども、なんだかピンとこない話も多く。

 

7点/10点満点

 

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ジミー・ソニ/櫻井祐子訳「創始者たち」感想。2023年6月14日読了

ジミー・ソニ/櫻井祐子訳「創始者たち」

 

ペイパルの前身企業を創業した人たちと、

ほぼ同じ時期に同じようなことをやっていたイーロン・マスク(x.com)が、

結果的に合併して世界最強の決済会社ペイパルとなり、

その後の顛末(イーロン・マスク追放など)を含めて、多数の関係者に取材し記したノンフィクション。

ペイパルの操業にかかわった人たちは、みな数十億円以上の資産を持ち、

その後もベンチャー(スタートアップ)界隈で名をはせている人物ばかりで、

ペイパルマフィアと呼ばれている。

「とても良い」

 

8点/10点満点

 

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ダニエル・ヤーギン/黒輪篤嗣訳「新しい世界の資源地図」感想。2023年5月14日読了

ダニエル・ヤーギン/黒輪篤嗣訳「新しい世界の資源地図」

 

今までAmazonの画像リンクを使っていましたが、2023年11月で廃止されました。ので、テキストリンクだけです。

 

本書は2020年に原著が、2022年2月に日本語版が出ています。
著者のダニエル・ヤーギンは、資源(石油エネルギー中心)に関する著書が多数あり、世界有数の資源(エネルギー)専門家です。

 

本書の感想は「とても良い」

 

9点/10点満点

 

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2023/05/29

パラグ・カンナ/尼丁千津子訳「移動力と接続性(下)」感想。2023年3月22日読了

 

本書のサブタイトルは「文明3.0の地政学」
原著のタイトルは「MOVE」

 

パラグ・カンナの本は3タイトル目(5冊目)。

 

人間の歴史は、常に移動が伴っていた。
古くは200万年前、アフリカから猿人がユーラシア大陸へ移動し、30万年ほど前に「ホモ・サピエンス」へ進化を遂げ、モンゴル帝国は世界中をまたにかけ、ジャガイモ飢饉でアイルランドからアメリカへの大量移住が発生した。

 

世界中の多くの人たち(著者推定では40億人。多くがアフリカやアジアの貧国に住む人々)が、自国を離れ移住したいと考えている。携帯電話とインターネットがあれば、移住は昔ほど困難なことではない。ただし、受け入れてくれる先進国は少ない。

 

本書は、人々がより良い暮らしを求めて移住(移動)する流れは止まらないし、止められない。そして、その移動力こそ、2050年の未来を形作る源である。移住先は先進国の都市とは限らない。気温上昇で、グリーンランドやシベリアの永久凍土地帯が快適な移住先になるかもしれない。
的なことを、詳細なデータをもとに書かれた本である。

 

アメリカはメキシコ経由でやってくる中南米の移民を追放している。
スペインやイタリアはアフリカからの不法移民を追放している。
シンガポールは移民によるスラム化を防ぐため、多民族共生を選んだ。
チェコやポーランドは優秀な移民(戦争前のウクライナ人が多い)を積極的に受け入れる政策を進めた。
ドイツは移民(シリアなどの中東難民が多い)を受け入れすぎた。
フランスは移民(旧植民地のアルジェリア系など)とフランス系の間で分断してしまった。
カナダは移民大歓迎。
(この辺りまでが上巻)

 

カザフスタンは豪州とほぼ同じ面積で、人口は2000万人に満たない。国庫は石油ガスで潤っている。カザフ政府が本気になれば人は来る。
インド人はウズベキスタンにビザなしで入国できる。それもあってインド系の承認が多くいる。
日本は優秀な人が出ていく国である。上級学位(修士号や博士号)を取ったのに仕事がなく、8,000人もの人が中国で研究活動をしている。

 

下巻p188
「より大きな国が一定の居住権や生活水準を保障せずにさらに多くの移住者を呼び込んだ場合、自国民と外国人、技能を要している人といない人、富裕層と貧困層という階層化が定着するのは避けられないだろう」

 

本書には結論めいたことは書かれていない。「こうなるだろう」という示唆にとどまっている。

 

移住を考える人々は減らないし、移住の意欲も止まらない。
移住を受け入れる国は今のうちに受け入れ態勢を整えていかなければならない。
先進国はほぼすべての国で人口減少に直面している(もっともましなフランスでも出生率は2.0⇒人口維持には2.1必要。日本は1.4、スペイン1.3、イタリアとシンガポールは1.2、韓国は1.0)。

 

先進国は、いつまで先進国でいられるのか。

 

7点/10点満点

 

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2023/03/26

パラグ・カンナ/尼丁千津子訳「移動力と接続性(上)」感想。2023年3月7日読了

パラグ・カンナの本は3タイトル目(4冊目)。

・パラグ・カンナ/古村治彦訳「ネクスト・ルネサンス―21世紀世界の動かし方」感想。2011年11月23日読了。


・パラグ・カンナ/尼丁千津子・木村高子訳「「接続性」の地政学(上)」感想。2017年09月12日読了。


・パラグ・カンナ/尼丁千津子・木村高子訳「「接続性」の地政学(下)」感想。2017年09月21日読了。

 

本書そのものの感想は下巻に書く。

 

7点/10点満点

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2023/01/31

ジョフリー・ウェスト/山形浩生・森本正史訳「スケール (下)」感想。2023年1月25日読了。

 

哺乳類の血管は、心臓⇒大動脈⇒2つに分岐(細くなる)⇒2つが4つに分岐(更に細くなる)⇒4つがさらに分岐を繰り返し⇒最終的には毛細血管となる。毛細血管の太さは、ネズミも人もクジラも同じらしい(分岐する回数は異なる)。

 

都市の上水道は、集水地⇒都市の近郊まで運ぶ太いパイプ⇒いろんな地区に向け分岐⇒細かな地区に分岐⇒最終的には各家庭に細いパイプで運ばれる

 

上記二つはまったく異なることだが、その経路が細くなる点は一致している。(フラクタル幾何学的に見た相似)

 

というようなことが書かれているのだが、上巻の感想でも書いた通り、とにかく読みづらい。

 

読みづらい理由は山形浩生氏の「訳者解説」に書かれていた。訳者も相当大変だった模様。

 

 

本書に興味が湧いた方は、まず「訳者解説」を読んでから、読み進めるか否か決めた方がいいと思います。

 

本書に書かれていたことは、私の知識を豊かにしてくれた。それは間違いない。だがその喜びよりも、久々に感じた「読むのが修行」レベルのもったいぶった言い回しに辟易した(訳者解説を読む限り、翻訳の問題ではなく、原著が抱えている問題)

 

5点/10点満点

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ジョフリー・ウェスト/山形浩生・森本正史訳「スケール (上)」感想。2023年1月7日読了。

 

哺乳類(ネズミからヒト、ゾウ、クジラまで)は大きさが2倍になると、心拍数は25%減り、寿命は25%伸びる。”生命・組織・企業・都市・経済の成長と限界はすべて同じ統一原理で説明できる。コロナ後の未来を予言する画期的な文明論登場(福岡伸一)”と帯に書かれている。それは本書の冒頭に図示されており、「哺乳類体重」と「代謝率」の対数グラフ(両対数)が直線となっており、続く「企業の利益と従業員数(両対数)」も直線となっている。

つまり哺乳類と企業を数学的に調べると相関性がある。それどころか都市とも相関性がある。

 

なんと興味深いテーマなのだろう。なので上下巻即買い。

だったのだが、簡単なことを難しく言うのが私のスタイルです、的な文章と、

AはBの大学の研究室で学んだ優秀な学生であり、Bの指導の下に開花したAの論文は目を見張るものがある、的な研究者の個人情報が満載で、

とにかく読みづらい。

研究者のプロフィールに言及しているのは、本書が著者(1940年生)の回顧録(エッセイ)的な側面もあるからっぽいのだが、名前も知らない外国人研究者が、名前も知らないけど有名らしい誰か別の大物研究者の元で研究していた、なんて情報は要らん。

 

6点/10点満点

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2023/01/30

ケイシー・ミシェル/秋山勝訳「クレプトクラシー 資金洗浄の巨大な闇」感想。2022年12月23日読了。

 

千葉県の松戸の駅近ビルに「喜久屋書店」という本屋があり、ふらっと入ったら、めちゃくちゃ売り場の広い本屋だった。充実した本屋に入ると、本を探すのが楽しい。この時期、ニコラ・シャクソン「世界を貧困に導く ウォール街を超える悪魔」を読んでいたことから、関連した本を探していて見つけたのが本書。

 

読後の充足感として、ニコラ・シャクソン「世界を貧困に導く ウォール街を超える悪魔」より上だった。同じようなテーマなので、どちらを先に読んだかで印象は変わると思う。

 

本書のメイン登場人物は2人。
◆ウクライナのオリガルヒ(ソ連崩壊のどさくさに紛れて大儲けした成金)イーホル・コロモイスキーと、
◆赤道ギニアの独裁大統領テオドロ・オビアン・ンゲマ・ムバソゴの息子テオドリン(テオドリンは通称。テオドロ・ンゲマ・オビアン・マングリンク先は英語版)(BBCの参考記事)。

 

※ウクライナは、オリガルヒに政治を乗っ取られ、国中のありとあらゆる企業が寡占独占が当たり前(独禁法などないも同然)、賄賂が無ければ何も動かない国。ロシアのウクライナ侵攻後、ウクライナはEU加盟を直訴したが、EUは腐ったウクライナを知っているから「ウクライナ国内を何とかしてから出直してこい」というスタンス。ロシアに攻撃されて不憫な国だねえ、などと思ってはいけない。ウクライナを助ける意味ってあるのか?! というレベルで腐っている。そういう意味(ほっとけば自壊する)では、ロシアのプーチンは何で侵攻したのか私には分からん。廣瀬陽子センセや佐藤優氏やロシア通がこぞって読み間違ったのも理解できる。

 

※赤道ギニアは国である。旧ポルトガル領。アフリカ各国の独立機運に乗り独立。したのはいいけど何も産業が無い(カカオとコーヒーと林業)。建国時(1968年)の大統領マシアス・ンゲマが恐怖政治を敷き、反対するものは全員粛清。甥っ子のテオドロ・オビアン・ンゲマがクーデターを起こし(1979年)、マシアス・ンゲマ(叔父)を処刑。1979年以降、テオドロ・オビアン・ンゲマは43年間、赤道にギニアに君臨する独裁大統領。重要なのは、1990年代にギニア湾(赤道ギニアもその一部)で石油がザクザク見つかり、テオドロ・オビアン・ンゲマ一族は独裁大統領として、国庫の全てを自分と取り巻きのモノにした。国民には一円も使わん。

 

◆という2人を主軸に、奴らはどうやってマネーロンダリングしているのか、その一端を解き明かしたのが本書。

 

端的に言うと、ウクライナや赤道ギニアの国内にドルがあっても、いざというとき使えなければ意味がない。
なので、目に見える形でアメリカから実物を買う。

 

コロモイスキーはアメリカ・クリーブランド(オハイオ州)の寂れたビルをいくつも高額で買い、
テオドリンはマイケル・ジャクソンの遺品を買い漁った。

 

ウクライナや赤道ギニアでドルを持っていても、国際政治や国際金融が制裁を課せば、ドルそのものの移動が禁止されると同じなので、他国に持っていけなくなる(ただし自国では使える)。

 

しかし、アメリカ国内にあるビルを買ったり、マイケル・ジャクソンの遺品に変えたら、それらはいつでも売れる。

 

アメリカの不動産を売買するということに関しては、ドナルド・トランプ=トランプタワーがその一翼を担っていた。トランプは、誰にでもトランプタワー(の一室)を売っていた。

 

さらに、その手助けをしていたのはアメリカの弁護士税理士不動産業界だった。

 

という内容が超濃密に書かれています。

 

9点/10点満点

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2023/01/22

リード・ホフマン他/大浦千鶴子訳「マスター・オブ・スケール 事業拡大の最強ルール」感想。2022年11月11日読了。

 私的10点満点。

「私がいままで読んだビジネス書の中で、もっとも良い本」

です。

 


特に、スタートアップ企業が為すべきことについての指南書である。

著者はリード・ホフマン(LinkedIn創業者)と執筆サポート2名。

 

LinkedInを知らない人には届かないかも。

この本について知りたければ、「読め」と言うしかない。

 

10点/10点満点

10点の真意は9.5点⇒コロナ以降、ビジネスのやり方が急速に変わっている。その変化「後」も通用するならば10点満点。通用しなくても、現時点の分析として9点、いずれにせよ素晴らしい本だ。

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2023/01/21

ドン・ウィンズロウ/田口俊樹訳「業火の市」感想。2022年9月7日読了。

「ドン・ウィンズロウ」というカテゴリを作った(PCの場合は右サイドバーに表示されるが、スマホだと表示されないかも)。

メキシコの麻薬カルテルと、アメリカの麻薬取締局(DEA)の壮絶な戦いを書き切った「犬の力」シリーズ。
 「犬の力」(上巻8点、下巻7点)
 「ザ・カルテル」(上巻8点、下巻9点)
 「ザ・ボーダー」(上巻8点、下巻5点)
このシリーズは傑作小説だった。「ザ・カルテル」は読むのを止められないほど圧巻の展開だった。最終巻(ザ・ボーダーの下巻)は好みの問題かもしれんが、主役そっちのけで脇役(それもかなりどうでもよい脇役)の話が長く、飽きた。かつ、ホントのラストに若干白けた。まあでもシリーズとしての読みごたえは十分。

その著者ドン・ウィンズロウが新たに始める別のマフィア抗争。
1986年のアイルランド系マフィアVSイタリア系マフィア。
なのだが、第1部が退屈で長すぎて、うーん。

これも3部構成になるらしい(つまり2部の上下巻と3部の上下巻がこれから出る)けど、出だしが悪いぞ。

アメリカの小説(出版社?)の悪い癖で、無駄に話を長くする傾向がある。無駄なところはバッサリ切れ、と言いたい。

7点/10点満点

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