神林長平「鏡像の敵」感想。
SF短編集。2018年12月08日読了。
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神林長平は私より13歳年上の方である。(氏は1953年生まれ、私は1966年生まれ)
氏の著作が世に発表されだしたのは1979年からで、そのころ中学生で熱狂的SFファンだった私(※)は、氏の短篇(多分「狐と踊れ」)をSFマガジンで読み、なんとなくニューウェーブの旗手として認識していた。
※中学生のとき、書店で平井和正の「アダルト・ウルフガイ」を買おうとしたら、書店員のおばちゃんから「あなたがこれを読むの!?」と呆れた顔で聞かれてしまって、「これSF小説だよ」と言い返したけど、表紙がエロだったので書店員のおばちゃんは納得していなかったけど、何とか売ってもらった。書店員のおばちゃんがもうちょっと堅物だったら売ってくれなかったかもしれぬ。いまの書店は売上を上げるのに死に物狂いだから、有害図書であろうとなかろうと、買う子供に何も問わずに売るんだろうな。※閑話終わり
神林長平は1983年に「あなたの魂の安らぎあれ」と、「敵は海賊・海賊版」というSF小説を上梓した。私が工業高専の学生だった頃である。その世界観に熱狂した。
「あなたが一番好きなSF作家は誰ですか?」と問われたら、間髪おかずに「神林長平」
(&「星野之宣=世界最高のSFマンガ家です」)
と答える。
で、敵は海賊はシリーズになった。ネコ型異星人のアプロと、宇宙最強の海賊匋冥(ヨウメイ・シャローム・ツザッキィ)の物語である。ラテルは添え物なのでどうでもいい。
本作は2009年に出版された。
神林長平の(今のところ)いいところは、作中に出てくる技術に、まだ世界が追い付いていないことである。1980年代に書かれた下手くそな近未来SF小説だと、いまだにポケットベルが出てくる。著者の想像より、時代ははるかに先を行っている。こういう小説は哀れである。携帯電話(≠スマホ)を使ったミステリ小説も結構悲惨だが。
というわけで、「敵は海賊」シリーズは、30年間ずっと面白いのである。
6点/10点満点
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と言われ、私が中学生のころ(1970年代)の愛読書「世界のSF文学・総解説」(伊藤典夫編)で、SF小説の古典として非常に高い評価を得ているのが本書。
本書は原著が1956年(62年前)に出て、
日本語訳は1964年に「ハヤカワSFシリーズ」という、今でいう新書のような形態の本で出版された。
文庫化されたのは1978年。
現在流通しているのは2008年にイラストを刷新した新版(でも訳者が同じなので訳は変わっていないと思う)。
私がいま持っているのは1996年の17刷。(実家にはもっと古い版がある)
ずーっと、読もう読もうと思いつつも、読み始めるといまいちな感じがして、結局読みませんでした。
が、久々に読む気になった今回は、最後まで読み通すことにしました。
62年前の小説なのに、メモリーカードの概念が出てきているのには驚いた。
また、本書に出てくるワープやレーザービーム、トランスポテーションなど(うろ覚え)の概念は、1966年に始まったスタートレックにも影響を与えたとされている。
要するに本書はすごいのである。
1956年当時、著者がその想像力を駆使し、未来世界で実現されるであろう機械や装置を、多数発表している。
それが今の世の中で実現してるものもあれば、まだ実現できていないものもある。
そういう意味では面白い小説だった。
ただ、SF小説の欠点も露呈していて、キャラクターに感情移入できないのだ。キャラに魅力がないといってもいい。
これは1980年代くらいまでのSF小説には共通した欠点だった。
普通の純文学は人間の内面を炙り出すのに対し、SF小説はギミックに拘った。それがよかった時代もあるが、「SF映画」がごくごく当たり前に受け入れられる時代になった今(これは「ターミネーター」あたりが転換点だったと思う。それ以前はSF映画は子供だましと思われていた)、SF小説といえども人物描写に重点を置かざるを得なくなった。作家の力量も上がった。
本書は60年以上前の小説であり、欠点だらけではあるが、その先駆性は素晴らしい。
6点(とはいえ主人公に感情移入できないので)/10点満点
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記憶に間違いがなければ15年ぶり4回目の読了。再々々読である。
1984年、第5回 日本SF大賞 受賞作。
1966年生まれの私は、SF小説が大好きだった。
本書がSF大賞を獲ったことを知り、1985年になってようやく読んだ。
身震いするほど、本書を堪能した。
20代になってから再読した。
10代の時と同じように、堪能した。
30代前半で再々読した。
この頃は冒険小説(大沢在昌・船戸与一・逢坂剛の系統)ばかり読んでいて、久しぶりに読むSFは面白かった。
そして、今回。
本書「幻詩狩り」は長らく絶版だった。2007年に創元SF文庫から再版され、「俺はたぶん絶対また必ずこの本を再読する!」と思い買っておいた。他に読む本がいっぱいあるので、ずっと我が家の積ん読コーナーに放置されていた。
数年前にtwitterで知り合った人が、最近になってから読書を趣味にし始め、「村上春樹を全部読み終わった、次は何を読もうかな」とツイートしていたので、私は自分の好きだった小説を片っ端から教えた。教えられる方も迷惑だろうと思ったけど、30冊くらい紹介した。
その中に、「もしSF小説に興味があるなら、日本SF小説史上最高傑作のひとつが「幻詩狩り」だよ!」と本書を紹介した。
紹介したあと、急に恐くなった。
本書は携帯電話が存在しなかった頃に書かれている。携帯電話とインターネットが当たり前になった現在、この小説は古典として通用するのだろうか?
と言うわけで、再々々読し始めた。本を読む速度が上がったのか、2日で読み終えた。
4回目の読了だから、つまり結末を知っているから、今回はさすがに新鮮さは感じなかったけど、本書のコンセプトを理解させるスピード感は、何度読んでも素晴らしい。
日本のSF小説を語る上で、絶対外してはいけない作品である。
7点/10点満点
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上巻よりは面白かったけど、それは話が解決に向かったからで、だけれどもこんなに簡単に物事が進んでいいのかという疑問は数多く浮かんだし、例えば北朝鮮側の狙い(目的)がちぃともわからなかったとかなんだけれども、そういうのは全て良しとしたところで、やっぱり章ごとに主人公を入れ替える必要があったのか、小説の構成として難点ありのような気がしてしょうがない。
何らかの意図があってこういう構成になったんだろうけど、好き嫌いだけで言うと、嫌い。
あと長すぎ。
5点/10点満点
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村上龍の小説を読むのは、「イン・ザ・ミソスープ」以来。
50ページくらい(うろ覚え)読み進んで、日本が経済的に没落したという設定の、近未来架空戦記みたいな話だということを理解した。
最近そういう設定に興味がないんだよな、読む本を間違っちゃったなあ。
しかも主人公が存在しない形式で書かれているし、登場人物多すぎるし、なんだかなあ。
4点/10点満点
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