フロストシリーズは、イギリスの架空都市デントン市警察に勤務するフロスト警部が、同時多発する事件(毎回毎回5件くらいの殺人事件が同時に発生する)を、夜勤超過手当削減に取り組むマレット署長の妨害に愚痴を言いながら、下品で受けないなジョークを飛ばしつつ、見当違いの捜査をしたり、勘がズバリと当たったり、へとへとなのに新しい事件が発生して呪いの言葉を吐き出したりしながら、どうにかこうにか事件を解決する物語である。
ミステリー小説なので、事件は毎回解決する(事件が解決しないのはミステリーではない。クライム<犯罪>小説である)。
1994年末に発売された「このミステリーがすごい」を読んで、第1作「クリスマスのフロスト」を知った。この第1作邦訳版は、原著発売後11年も経過してからの発売である。原著はすでに第3作まで出ていた。この辺りの事情はよく分からないが、全巻邦訳版が出版されたことは素直にうれしい。
著者は2007年に鬼籍に入られた。新刊が出ることはない。しかし、この作品のファンである別の作家が、スピンオフ作品を出しているとのこと(本書「フロスト始末(下)」巻末解説より)。
なお、訳者はすべて芹澤恵氏である。
◆以下リスト。
・第1作「クリスマスのフロスト」(原著1984年出版)
読了日(1995年と思われる)、点数ともに当ブログに記録なし。
・第2作「フロスト日和」(原著1987年出版)
1997年12月06日読了。7点
・第3作「夜のフロスト」(原著1992年出版)
2001年09月23日読了。10点満点
・第4作「フロスト気質(上)」(原著1995年出版)
2009年01月23日読了。8点
・ 〃 「フロスト気質(下)」(原著1995年出版)
2009年01月26日読了。7点
・中 編「夜明けのフロスト」
2009年01月28日読了。5点(複数作家のアンソロジー)
・第5作「冬のフロスト(上)」(原著1999年出版)
2014年04月07日読了。8点
・ 〃 「冬のフロスト(下)」(原著1999年出版)
2014年04月08日読了。8点
・第6作「フロスト始末(上)」(原著2008年出版)
2017年07月12日読了。10点満点
本書の上巻は10点満点、下巻は7点。
フロストはしばしば違法捜査をするが、下巻の違法捜査はちょっと強引すぎる。いくらなんでも、それはダメなんじゃないか? & スキナー主任警部の退場の仕方が気に入らなかった。まあ、個人的な好みの問題である。
今年の年末に出版されると思われる「このミステリーがすごい2018年版」で、本書が上位に来ることは確実である。(第1作4位、第2作1位、第3作2位、第4作2位、第5作3位)
堪能した。
7点/10点満点
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