カテゴリー「◆小説・ミステリ系統」の記事

2023/01/21

ドン・ウィンズロウ/田口俊樹訳「業火の市」感想。2022年9月7日読了。

「ドン・ウィンズロウ」というカテゴリを作った(PCの場合は右サイドバーに表示されるが、スマホだと表示されないかも)。

メキシコの麻薬カルテルと、アメリカの麻薬取締局(DEA)の壮絶な戦いを書き切った「犬の力」シリーズ。
 「犬の力」(上巻8点、下巻7点)
 「ザ・カルテル」(上巻8点、下巻9点)
 「ザ・ボーダー」(上巻8点、下巻5点)
このシリーズは傑作小説だった。「ザ・カルテル」は読むのを止められないほど圧巻の展開だった。最終巻(ザ・ボーダーの下巻)は好みの問題かもしれんが、主役そっちのけで脇役(それもかなりどうでもよい脇役)の話が長く、飽きた。かつ、ホントのラストに若干白けた。まあでもシリーズとしての読みごたえは十分。

その著者ドン・ウィンズロウが新たに始める別のマフィア抗争。
1986年のアイルランド系マフィアVSイタリア系マフィア。
なのだが、第1部が退屈で長すぎて、うーん。

これも3部構成になるらしい(つまり2部の上下巻と3部の上下巻がこれから出る)けど、出だしが悪いぞ。

アメリカの小説(出版社?)の悪い癖で、無駄に話を長くする傾向がある。無駄なところはバッサリ切れ、と言いたい。

7点/10点満点

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2020/12/31

ドン・ウィンズロウ/田口俊樹訳「ザ・ボーダー(下)」感想。 メキシコ麻薬戦争。2020年01月16日読了。

 

余計なエピソードが長すぎる。

 

そのせいで私的には興覚め。

 

 

5点/10点満点

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ドン・ウィンズロウ/田口俊樹訳「ザ・ボーダー(上)」感想。 メキシコ麻薬戦争。2020年01月07日読了。

 

「犬の力」「ザ・カルテル」に続くシリーズ第3作にしてたぶん完結作。

 

余計なエピソードが長い。
麻薬中毒のジャッキー、グアテマラのニコ。

 

 

 

8点/10点満点

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2018/09/16

ドン・ウィンズロウ/田口俊樹訳「ダ・フォース(下)」感想。<br />警察小説。2018年05月21日読了。


ミステリ系統なので、細かなことは書きません。

共感しづらい悪い刑事が主人公なのに、

ラスト200ページは一晩で一気読みしました。

読み終わってみると、面白い小説と言っていいのかも。


8点/10点満点

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ドン・ウィンズロウ/田口俊樹訳「ダ・フォース(上)」感想。<br />警察小説。2018年05月18日読了。


ニューヨーク市警マンハッタン・ノース特捜部、通称「ダ・フォース」に所属する部長刑事デニス・ジョン・マローンを主人公とする小説。

ダ・フォースに所属する刑事は、すべて薄汚れている。賄賂を受け取る、賄賂を強要する、証拠をでっちあげる、無抵抗の犯人を射殺する。

エリート部隊のダ・フォースが、なぜそんなことをするようになったのか、なぜ今でも続けているのか。

そして、ある事件をきっかけにジョンは転落していく。


悪い刑事が主人公の小説。周りもほとんど悪い刑事。

主人公に共感できず、読み進めるのがつらい小説なのだが、それでも読ませるのはドン・ウィンズロウの手腕であろう。

ミステリ系統なので、筋はこれ以上記しません。


7点/10点満点

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2017/09/02

R.D.ウィングフィールド/芹澤恵訳「フロスト始末(下)」感想。
多重発生事件解決ミステリ。2017年07月16日読了。

フロストシリーズは、イギリスの架空都市デントン市警察に勤務するフロスト警部が、同時多発する事件(毎回毎回5件くらいの殺人事件が同時に発生する)を、夜勤超過手当削減に取り組むマレット署長の妨害に愚痴を言いながら、下品で受けないなジョークを飛ばしつつ、見当違いの捜査をしたり、勘がズバリと当たったり、へとへとなのに新しい事件が発生して呪いの言葉を吐き出したりしながら、どうにかこうにか事件を解決する物語である。

ミステリー小説なので、事件は毎回解決する(事件が解決しないのはミステリーではない。クライム<犯罪>小説である)。

1994年末に発売された「このミステリーがすごい」を読んで、第1作「クリスマスのフロスト」を知った。この第1作邦訳版は、原著発売後11年も経過してからの発売である。原著はすでに第3作まで出ていた。この辺りの事情はよく分からないが、全巻邦訳版が出版されたことは素直にうれしい。

著者は2007年に鬼籍に入られた。新刊が出ることはない。しかし、この作品のファンである別の作家が、スピンオフ作品を出しているとのこと(本書「フロスト始末(下)」巻末解説より)。

なお、訳者はすべて芹澤恵氏である。

◆以下リスト。

・第1作「クリスマスのフロスト」(原著1984年出版)
 読了日(1995年と思われる)、点数ともに当ブログに記録なし。

・第2作「フロスト日和」(原著1987年出版)
 1997年12月06日読了。7点

・第3作「夜のフロスト」(原著1992年出版)
 2001年09月23日読了。10点満点

・第4作「フロスト気質(上)」(原著1995年出版)
 2009年01月23日読了。8点

・ 〃 「フロスト気質(下)」(原著1995年出版)
 2009年01月26日読了。7点

・中 編「夜明けのフロスト」
 2009年01月28日読了。5点(複数作家のアンソロジー)

・第5作「冬のフロスト(上)」(原著1999年出版)
 2014年04月07日読了。8点

・ 〃 「冬のフロスト(下)」(原著1999年出版)
 2014年04月08日読了。8点

・第6作「フロスト始末(上)」(原著2008年出版)
 2017年07月12日読了。10点満点


本書の上巻は10点満点、下巻は7点。

フロストはしばしば違法捜査をするが、下巻の違法捜査はちょっと強引すぎる。いくらなんでも、それはダメなんじゃないか? & スキナー主任警部の退場の仕方が気に入らなかった。まあ、個人的な好みの問題である。

今年の年末に出版されると思われる「このミステリーがすごい2018年版」で、本書が上位に来ることは確実である。(第1作4位、第2作1位、第3作2位、第4作2位、第5作3位)


堪能した。


7点/10点満点

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2017/08/25

R.D.ウィングフィールド/芹澤恵訳「フロスト始末(上)」感想。
多重発生事件解決ミステリ。2017年07月12日読了。

フロストシリーズ最終巻。

なぜ最終巻かというと、著者が亡くなったから(2007年)。

本書が出版されたのは著者逝去後の2008年。日本語版は2017年(今年)6月に出版。

出版社もフロストシリーズを引っ張りに引っ張ったってことです。


で、今までのフロストシリーズの中でも最高の出だし(上巻ですので)。


私がフロストシリーズのファンということもあるけど、これは面白い


10点/10点満点

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2017/02/01

ドン・ウィンズロウ/峯村利哉訳「ザ・カルテル(下)」感想。<br />メキシコ麻薬戦争小説。2017年01月14日読了。

小説を読んだのは、麻野涼「死の臓器」2015年08月04日読了。2点。以来である。

下巻(約580ページ)は3日で読んでしまった。

先が知りたくて止まらない。そういう小説だった。

メキシコ麻薬戦争の(たぶんかなりリアルな)今を反映しているので、殺し方は残忍だし、まさかこいつが?!と思う連中が買収されているし、こいつらが手を組むのか!という展開もある。

セータ隊という国軍のエリートが作った麻薬組織が出てくるが、これはロス・セタスという実在の麻薬カルテルをモデルにしている。(ロス・セタスでググると超絶グロ画像がいっぱい出てくる→麻薬カルテルは敵対組織に恐怖を植え付けるため、惨殺した被害者を写真にとってネットにアップしている)

リアリティがありすぎて恐ろしいのだが、先を読まずにはいられない。たぶん全世界中の読者がそう思いながら読んだだろう。

ラストは好き嫌い分かれると思うが、私は嫌い。つまらない。

でもこの小説は、ラストは重要じゃない。本書では前作「犬の力」の後、2004年から2012年までの麻薬戦争を書いている。なぜメキシコはここまでひどくなってしまったのか、その過程を書き切っていることが本書の肝だと思う。

ちなみに、前著「犬の力」と本書「ザ・カルテル」を合わせて、リドリー・スコット+ディカプリオで映画化されるそうである。

9点/10点満点

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2017/01/31

ドン・ウィンズロウ/峯村利哉訳「ザ・カルテル(上)」感想。<br />メキシコ麻薬戦争小説。2017年01月11日読了。

本屋に行ったら、本書が平積みされていた。

ドン・ウィンズロウ/東江一紀訳「犬の力・上」2014年04月13日読了。8点
ドン・ウィンズロウ/東江一紀訳「犬の力・下」2014年04月14日読了。7点

の続編である。メキシコ麻薬戦争の当事者(取り締まる側と、取り締まられる側)を扱った、超一級の小説であった「犬の力」。個人的にはラストが気に入らなかったのでちょっと辛めの採点をしたが、

2014年に書いたブログより
>物語は、1997年、メキシコのある集落で、一族19人が麻薬マフィアに惨殺されたシーンから始まる。一族にマフィアの裏切り者がいた。裏切り者は、バナナのように顔の皮を剥がされて殺されていた。アート・ケラーは、自分の落ち度でこの事態を招いたと悲しむ。

この真相はそうとう後にならないと出てこないが、小説の仕掛け(開けっ広げな伏線)としては有効だった。

その続編である。これは読まなくてはならない。

とはいうものの、文庫本なのに1冊1200円+税。めちゃくちゃ値段が高い。ちなみに上巻は632ページ。ページ数を考えるとやむを得ない価格なのかな。

それと、訳者としての力量が素晴らしかった「犬の力」の訳者、東江(あがりえ)一紀氏が他界してしまったので、誰が翻訳するのかによって読後感が大きく異なるだろうという不安もちょっとあった。(引き受けた翻訳家=峯村利哉氏だって、東江氏と比べられる重責を覚悟のうえで引き受けられたのだろう)

「犬の力」は1975年から1999年までの戦いを書き、ラスト数ページに、2004年の主人公の心境が書かれている。

さて本書。

知っている人は知っていると思うが、メキシコ麻薬戦争はここからが本番である。19人の死に主人公アート・ケラーが心を痛めたいたのが前著「犬の力」。

しかしメキシコ麻薬戦争(全く知らない人はwikipediaを読んでね)では、1年で1万人以上が殺されている。麻薬組織同士の抗争VS警察(ほとんど買収されている)VSメキシコ軍(やっぱり買収されている)VSメキシコ政府直轄の麻薬撲滅チーム(親族が麻薬組織に殺されているので絶対に買収されない)という泥沼。

各勢力は、始めはただ敵対勢力を殺していたが、だんだんとエスカレートし、生きたままガソリンをかけて焼き殺す、生きたままチェーンソーで両手両足首を切って殺す、生きたまま額の髪の生え際を切って顔面の皮をはいで殺す。イスラム国も真っ青な方法で殺しまくった(というか、イスラム国の残虐さはメキシコ麻薬戦争を参考にしたと思われる)

まあ、そういうグロい部分も多いが、読み始めたら止まらなくなった。5日で読んでしまった。

「犬の力」をちょっと辛めの採点にしたのは、私が「犬の力」を読んだ2014年の時点で、メキシコ麻薬戦争は小説(「犬の力」)よりも酷くね? と違和感を抱いたからだと思いだした。


8点/10点満点

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2015/08/27

麻野涼「死の臓器」感想。
サスペンス小説。2015年08月04日読了。


つい最近、高橋幸春「だれが修復腎移植をつぶすのか」2015年07月28日読了。7点
を読んだ。

この著者、高橋幸春氏はルポ・ノンフィクションを発表する時の名前で、小説を書く時は麻野涼というペンネームを使っている。

本書は、その麻野涼が書いた臓器売買を巡るサスペンス小説である。WOWOWでドラマ化されることになったので、本屋で平積みされていた。平積みされた本書の内容に興味が湧き、買った。立ち読みはしていない。

その後ネットで調べたらルポ・ノンフィクションも書いていて、しかも私が興味を持っている臓器移植関連だったので、すぐさま「だれが修復腎移植をつぶすのか」を買い、そちらを先に読んだ。


で、本書。


冒頭の5ページほど立ち読みすればよかった。


ストーリーありきで小説を書いた(と思われる)ので、登場人物全員に魅力がない。


うん、この小説はつまらない。


2点/10点満点

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