逢坂剛「さらばスペインの日日」感想。
イベリアシリーズ7(完結)。2013年12月17日読了。
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逢坂剛渾身の長大長編イベリアシリーズ。
1997年から連載が開始されたこの小説は、第二次世界大戦が始まって間もない1940年のスペインを舞台に、
・ペルーとスペインの二重国籍を持つ日本人スパイ北都昭平、
・イギリスMI6の諜報部員でマドリード支局に籍を置くヴァジニア・クレイトン、
・ドイツ国防軍情報部海外電信調査課/外国課(アプヴェア)のカナリス提督、
・日本人新聞記者尾形正義、
・スペインのロマニジョス伯爵夫人イネス、
などの主要人物と、日本・スペイン・イギリス・アメリカ・ドイツの数十人を超える脇役が、第二次世界大戦をどうくぐり抜けてきたのかを描く長大ラブサスペンスである。
第1巻「イベリアの雷鳴」
第2巻「遠ざかる祖国」
第3巻「燃える蜃気楼」
第4巻「暗い国境線」
第5巻「鎖された海峡」
第6巻「暗殺者の森」
そして本作が最終刊の第7巻である。
このシリーズ、私は2002年から読み始めたので、完結まで11年かかった。長かった。私は新刊が出る度に読んでいたので、登場人物のキャラクター設定を思い出すのに手間取った。主役級はともかくとして、脇役は「こいつはどういう人物だったっけ?」となってしまう。キム・フィルビーというMI6の諜報部員(実在する人物でソ連との二重スパイ)などはその筆頭だ。一気読みだったらそういうことにはならないだろう。
概ね予想通りの結末でほっとしている。
これが船戸与一だったら、主要登場人物が皆殺しになるところだ。
概ね予想通りの結末であるが、そこに至るまでの過程はグダグダな展開であり、どうしちゃったの? と思わず突っ込みを入れたくなるほどだったが、長大長編が完結したのでヨシとしよう。
まあ11年間、楽しんで読めました。
ラストのグダグダな展開は気に入らないが、本シリーズはスリルとサスペンスとラブと政治に翻弄される人びとの悲哀が、主軸である北斗とヴァジニアの話を中心に重層的に書かれていて、史実をベースにしたストーリーも大変によろしく、ぜひともNHKの大河ドラマにして欲しいと思うのです。
5点(シリーズとしては8点)/10点満点
最終巻の第7巻
第1巻(文庫版)
第2巻(文庫版・上)
第2巻(文庫版・下)
第3巻(文庫版・上)
第3巻(文庫版・下)
第4巻(文庫版・上)
第4巻(文庫版・下)
第5巻(文庫版)
第6巻(文庫版・上)
第6巻(文庫版・下)
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