カテゴリー「▲夢枕獏」の記事

2011/01/21

夢枕獏「サイコダイバー25 新・魔獣狩り13 倭王の城・下」感想。
伝奇小説。2011年01月14日読了。

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新・魔獣狩り〈13〉完結編・倭王の城(下)―サイコダイバー・シリーズ


※ちょっと長いです。(少々追記アリ)


◆私自身の話

私は1966年生まれで、同級生の母親が町立図書館の司書だったこともあり、幼い頃から図書館によく通っていた。私が読んだ本で、タイトルを明確に覚えている最も古いのは、福島正実の「おしいれタイムマシン」(1977)である。まあ、タイトル通りのジュブナイルSF小説です。

で、翌1978年、スターウォーズが公開され、そして私は正真正銘のSFファンになった。

私の生まれ育った田舎町(当時で人口は1万人を下回っていた)の町立図書館には、ハヤカワSF文庫の8割2000冊くらいとと、創元SF文庫の5割1000冊くらい、が所蔵されていた。小さな町の図書館の書架2本分(といっても文庫本で書架2本ですよ)が、まるまるSF小説だったのだ。この理由は、SF小説好きの町民が、自分が買った早川と創元のSF文庫小説を、片っ端から寄贈してくれていたから(寄贈ペースは、どう考えても読むスピードより速かった)。友達と一緒に図書館に行く(友達の母さんが図書館司書だから)。図書館にはSF小説が山ほどある。こういう環境だったから、SF好きになるのも当たり前なのかも知れない。

私は図書館に通い、エドガー・ライス・バローズの火星シリーズや金星シリーズ、ターザンシリーズや地底世界ペルシダーシリーズを皮切りに、EEスミスのレンズマンシリーズ、エドモンド・ハミルトンのキャプテンフューチャーなどを次々と読み(注:シリーズ全部を読んだわけではありません)、

そして必然的に星新一、筒井康隆、半村良、平井和正、新井素子、眉村卓、光瀬龍、豊田有恒、安部公房(注:「第四間氷期」とか「砂の女」とか「箱男」はSF界で絶賛されていたんだよ)、荒巻義雄、田中光二、広瀬正、鏡明、川又千秋、横田順弥、堀晃、山田正紀、石原藤夫、野田昌宏、高千穂遙、矢野徹、神林長平、岬兄悟、火浦功、水見稜、谷甲州、ロバート・A・ハインライン、JGバラード、アシモフ、スタニスワフ・レム、ACクラーク、クリフォード・D・シマック、PKディック、ジェイムズ・ブリッシュ、フレデリック・ポール、ポール・アンダースン、ヴォネガットJr、フレドリック・ブラウン、トマス・M・ディッシュ、コードウェイナー・スミスなどを読み耽っていった。(注:小松左京や大原まり子は嫌いだった)(更に注:上記リストには漏れアリ。もっといろんなSF作品を読んでいます)

そしてこれまた必然的に、「SFマガジン」と「SFアドベンチャー」を毎月購読、たまに「SF宝石」、稀に「奇想天外」、お金があれば「スターログ日本版」、SFなので星にも興味が出てきて「天文ガイド」を買っていた。(注:私は中学生まで決まった小遣いがなく、「あれ欲しい」と母親に申告し、OKだったらお金が貰える家庭だった。本代と映画代は、なぜかほとんど満額OKだった。今考えたら素晴らしい両親だったと心底思う)

半村良の“元祖国産伝奇小説”「石の血脈」や「嘘部」シリーズ、平井和正の「ウルフガイ」シリーズ、新井素子の「グリーンレクイエム」と「星へ行く船」シリーズ、鏡明の全著作、ハインラインの「月は無慈悲な夜の女王」シマックの「都市」、山田正紀の「最期の敵」、神林長平の「あなたの魂に安らぎあれ」、川又千明の「幻詩狩り」などがお気に入りである。

◆夢枕獏との出会い

で、夢枕獏。

夢枕獏の作家デビューは1977年。でもこの頃の夢枕獏は売れない作家で、1981年にフタバノベルズから出版された「幻獣変化」がSF雑誌で高評価だったので、取り寄せて読んだ。そしたら面白かった。でも売れていなかった。

1982年に、ソノラマ文庫からキマイラシリーズ第1巻「幻獣少年キマイラ」を出したあたりから少しずつ売れ始め、1984年ノンノベルから出たサイコダイバーシリーズの最初の物語「魔獣狩り」、そしてトクマノベルスから出た「闇狩り師」で人気作家となっていったのである。

翌1985年には、フタバノベルスから「餓狼伝」シリーズ、カッパノベルスから「獅子の門」シリーズ、1986年には講談社ノベルスから「黄金宮」第1巻、カドカワノベルスから「大帝の剣」第1巻、1988年には文春文庫から「陰陽師」シリーズが出て、この頃にはベストセラー作家になっていったのである。

こういう言い方はアレなんだけど、要するに私は夢枕獏が売れる前からファンだったのです。

◆サイコダイバーシリーズ

夢枕獏が人気作家になったきっかけのひとつであるサイコダイバーシリーズ。

サイコダイバーという「人の精神にダイブ」できる特殊能力を持った人物を主人公に据え、中身はSF伝奇エログロバイオレンス小説であり、話ごとに主人公が変わる連作シリーズである。

シリーズ12巻までは普通の連作小説であったが、1992年7月に出版された13巻目から「新・魔獣狩り」シリーズが始まった。1992年とは、携帯電話もインターネットも普及していなかった頃である。

1984年に世界観が作られたサイコダイバーシリーズ。
1992年から始まった「新・魔獣狩り」の話。

それまでに登場してきた全てのサイコダイバー主人公を総出演させ、次から次へと強く不気味な連中が出てくる展開。

しかしです。

18年前に始まった「新・魔獣狩り」シリーズは、世の中が大きく動いているのに、話の中の世界観は古くさいままなのです。しかも、巻を重ねるごとに、ただグロいだけの展開になっていく。


◆で、本作の感想

有り体に言えば、ちっとも面白くないのである。

あれだけ引っ張ってきた登場人物同志の因縁が、なぜこうも簡単に決着するの?

こんなで良いの?

風呂敷広げすぎて畳めなくなったから、慌てて全部強引にまとめちゃった、としか思えないんですけど。

もうちょっと何とかできなかったの?

18年も引っ張っといてコレかい。

ワクワクもしなけりゃハラハラもしないし、ドキドキもしない。


◆というわけで。

獏ちゃん、さようなら。

もうたぶん獏ちゃんの本を買うことはないと思うよ。

◆私自身の話の続き

20歳くらいで「SF狂」から「普通にSFも読みます」に変化し、SFばかり読む読書ライフからは変わっていった。25歳頃から冒険小説にはまりだし、大沢在昌、船戸与一、逢坂剛、宮部みゆき、佐藤賢一などをとことん読むようになり、30歳頃から時代小説を読み始め、35歳頃からノンフィクションやドキュメント系にシフト、今は小説よりも知的好奇心を満たす本が中心の読書ライフになっている。

もうちょっと具体的に書くと、サイバーパンクブームの頃、ギブスンの「ニューロマンサー」スターリングの「スキズマトリックス」を読んだあたりでSF狂から抜け出しちゃったので、飛浩隆は一冊も読んだことがないし、伊藤計劃も最近まで知らなかった。

だからどうした、って話ですけど。

3点/10点満点


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2011/01/20

夢枕獏「サイコダイバー24 新・魔獣狩り12 倭王の城・上」感想。
伝奇小説。2011年01月12日読了。

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新・魔獣狩り〈12〉完結編・倭王の城(上)―サイコダイバー・シリーズ


2週間もブログ更新をサボってしまいました。
少し読み貯めができたので、数日連続で更新します。


で、夢枕獏の「サイコダイバーシリーズ」が遂に完結を迎えるという本書。

辻褄合わせの説明と、拍子抜けするような展開の連続です。

さて下巻はどうなるかな。


3点/10点満点


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2008/10/12

夢枕獏「サイコダイバー23 新・魔獣狩り11 地龍編」感想。
伝奇小説。2008年09月10日読了。

新・魔獣狩り 〈11(地龍編)〉

◆10代、20代の頃は獏ちゃんの小説が大好きだった。ストーリーは荒唐無稽、登場人物がすべて強く、魔術幻術なんでもありで、最終的には正義が勝つ。獏ちゃんの小説はめちゃくちゃな話ばかりだけど、そのむちゃくちゃ具合が好きだった。SF小説にどっぷりはまっていた10代後半の頃、獏ちゃんの出世作「幻獣変化」を読み、はまった。その後刊行されたキマイラシリーズにもはまった。そして、1984年から刊行されたサイコダイバーシリーズにも、当然のごとくは待った。

◆しかし、獏ちゃんの欠点は完結までにやたらと時間がかかることだ。サイコダイバーシリーズの完結編である「新・魔獣狩り」シリーズが始まったのは1992年である。16年かかってようやく11巻目である。

◆私自身が年を取るにつれ、サイコダイバーシリーズのような荒唐無稽すぎる話についていけなくなってきている。世の中はえらい勢いで進化している。サイコダイバーシリーズの世界観は全然進化していない。1980年代の世界観のままである。

◆獏ちゃん、まだ私が荒唐無稽な小説を読み続ける意志を持っているうちに、この話を終わらせてくれ。頼むよ。


3点/10点満点

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2006/11/15

夢枕獏「サイコダイバー22 新・魔獣狩り10 空海編」感想。
伝奇小説。2006年11月14日読了。

新・魔獣狩り10(空海編)
夢枕獏 /祥伝社 2006/11出版 256p 18cm ISBN:4396208227 ¥879(税込)

今年。例年になく無駄遣いをした。
1月デジカメ一眼レフを買った。
7月500mmの望遠ズームレンズを買った。
8月ケニアに行った。
10月Bianchiの自転車を買った。
そしてつい先日、DELLのノートパソコンを買ってしまった。

で、今日の感想はDELLのノートPCで初めて書く感想なのだ。

いっっやあー、キーボードが使いづらい。

17年前、会社で使っていたノートのPC9801を使って以来のノートPC。それ以降ずーっとデスクトップだったからノートPCにはなかなか慣れないなあ。タッチパッドも操作が複雑になっていて使いこなせない。というか設定が繊細すぎ。タップしたつもりないのに勝手にタップと認識されてしまう。設定をどのくらい変えたらいいのか、そのあたりの微妙な加減がいまいちわからん。使い込むしかないのだろうなあ。


本書の感想?

どうでもいいよ、そんなの。


4点/10点満点

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2005/02/01

夢枕獏「沙門空海唐の国にて鬼と宴す(四)」感想。
時代SF小説。2005年01月28日読了。

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ4
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夢枕獏・ゆめまくらばく・しゃもんくうかいとうのくににておにとうたげす
徳間書店 2004/09出版 477p 20cm ISBN:4198619174 ¥1,890(税込)


なるほど、斯様なお話であったか。
まあ確かに近年の獏本の中では出色の出来である。
というか近年の作品ではないのだな。どおりで。
しかしまあなんというか18年も連載を続けて、よく話が破綻しなかったなあ、およびよく主人公空海と添え物逸勢の性格や言動も変わらなかったなあ、と感心しきり。

7点/10点満点

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夢枕獏「沙門空海唐の国にて鬼と宴す(三)」感想。
時代SF小説。2005年01月22日読了。

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ3
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夢枕獏・ゆめまくらばく・しゃもんくうかいとうのくににておにとうたげす
徳間書店 2004/08出版 462p 20cm ISBN:4198618933 ¥1,890(税込)


まだ期待を裏切っていない。

6点/10点満点

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2005/01/18

夢枕獏「沙門空海唐の国にて鬼と宴す(二)」感想。
時代SF小説。2005年01月17日読了。

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ2
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夢枕獏・ゆめまくらばく・しゃもんくうかいとうのくににておにとうたげす
徳間書店 2004/07出版 478p 20cm ISBN:4198618798 ¥1,890(税込)


とりあえず今のところは期待を裏切っていない。

6点/10点満点

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2005/01/14

夢枕獏「沙門空海唐の国にて鬼と宴す(一)」感想。
時代SF小説。2005年01月13日読了。

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ1
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夢枕獏・ゆめまくらばく・しゃもんくうかいとうのくににておにとうたげす
徳間書店 2004/07出版 476p 20cm ISBN:419861878X ¥1,890(税込)


おお、久しぶりに出来の良い獏ちゃんだ。
四冊刊行終わるまで読むのを待った甲斐がある。
これは残り三冊に期待がふくらむ。

6点/10点満点

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2004/12/24

夢枕獏「サイコダイバー21 新・魔獣狩り9 狂龍編」一行感想。
伝奇小説。2004年12月24日読了。

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新・魔獣狩り〈9〉狂龍編


やはり下品。


3点/10点満点


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2004/12/08

夢枕獏「シナン(下)」感想。
中近東時代小説。2004年12月08日読了。

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シナン(下)


◆内容(紀伊國屋Bookwebより)
百年の生涯で四七七もの建造物を手がけ、かたちなきイスラムの神を空間に描こうとした男の物語―悠久の都イスタンブールに刻まれたその軌跡を辿り、薫り高きイスラム文化の根源に迫る渾身の歴史長篇。
十六世紀、繁栄を誇るオスマントルコ帝国に、壮麗王スレイマン大帝のもと、工兵から宮廷建築家へと昇りつめた男がいた……。史上最大のモスクに挑んだ天才建築家シナンの生涯。

◆夢枕獏の、シリーズものじゃない長編小説はわりかし出来がよい。

◆1981年フタバノベルスで出た「幻獣変化」を読み、獏ちゃんファンになった私。「幻獣変化」はその後「涅槃の王」全7巻としてリライトされ、伝記小説の一つの金字塔になった。と思う。

◆さらに「神々の山嶺」で柴田錬三郎賞を獲り、夢枕獏は完成された作家になった。と思う。

◆しかし、長々と続けているシリーズ、悪く言えばだらだら続けているシリーズものは、執筆に時間がかかりすぎているため、年を追うごとに酷くなってきている。サイコダイバーシリーズはその筆頭。キマイラや餓狼伝や大帝の剣は途中で読むのをやめたけど、どれもこれも。

◆だからこそ、夢枕獏が自身の興味あることをテーマに書き上げた本作は、それなりに期待して読んだ。

◆期待が大きすぎたのかもしれない。


3点/10点満点


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