カテゴリー「◇ルポ・ドキュメンタリー」の記事

2023/05/29

安田峰俊「北関東「移民」アンダーグラウンド」感想。2023年3月30日読了

 

本書のサブタイトルは「ベトナム人不法滞在者たちの青春と犯罪」
安田氏は相変わらず文章がうまく、一気に読んでしまった。

 

何らかの事件を起こしたベトナム人不法(とは限らない)滞在者へのアポなし突撃取材記。著者の行動力は相変わらずすごい。
在日ベトナム人の多くは技能実習生として日本に来た。最初の仕事の契約期間(3年)が満了した後、特定活動の在留資格というのを得ると、合法的に日本に居られる。
合法滞在者であれ不法滞在者であれ、日本で犯罪を犯すベトナム人は、日本の法律や地域のルールを知らないまま滞在している場合が多い。

 

そこで著者は新聞報道などをもとに、犯罪を犯したベトナム人にアポなし突撃取材を敢行する。
無免許ひき逃げ死亡事故を起こした女。
豚窃盗集団。および桃窃盗集団
ベトナム人同士の殺人犯。
違法エステ(買春)で働く女。

 

見えてきたのは、一昔前、不法滞在中国人が問題を起こしていたポジションに、今はベトナム人がいる。

 

著者曰く、ベトナムは経済発展しているので、15年後には日本に来るベトナム人は減少する。
代わりに来るのはインドネシアやカンボジア、ミャンマー、ネパール人で、日本の人口が減り続ける以上、発展途上国からの外国人流入は止まらない。

 

8点/10点満点

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2023/03/27

北澤豊雄「混迷の国 ベネズエラ潜入記」感想。2023年3月11日読了。

北澤豊雄氏は、2010-2011年に南米コロンビアの日本食レストランに住み込みで働き、スペイン語を習得。その後、スペイン語能力を生かし、中南米各地を取材しているフリーの記者。

氏のデビュー作、「ダリエン地峡決死行」感想。紀行文。2019年09月18日読了。この作品には8点をつけた。

 

本書は南米ベネズエラが舞台。

ベネズエラは反米ポピュリスト大統領チャベス(石油価格の上昇でイケイケのバラマキ政権運営が可能だった)が2013年に死に、無能な子分マドゥロに禅譲したところ、石油価格暴落、イケイケだったバラマキにほころびが出て、インフレ率が100万%という状態に。さらに、無能すぎるマドゥロ政権にブチ切れた改革派(?)は、若き政治家グアイドを担ぎ上げ大統領就任を宣言。世界各国がマドゥロを認める国(中国ロシアトルコだけじゃなくインドやスペインポルトガルなどもこっち)と、グアイドを認める国(アメリカカナダイギリスフランスドイツ日本など)に分かれた。
グアイドが一気呵成にマドゥロをぶっ倒して国をまとめるかと思いきや、国会も裁判所も軍も警察もマドゥロ派が占領しているため、グアイドの暫定政府は大したことができないまま、2022年には暫定政府が解散し、暫定大統領の地位もなくなった模様。

 

坂口安紀「ベネズエラ 溶解する民主主義、破綻する経済」感想。2021年01月31日読了。8点。なども参照されたし(グアイド失職前)。

 

マドゥロ政権下のベネズエラは、失業と貧困が蔓延し、暴力が国中を支配。
殺人率が世界一になったり(南アフリカより悪い)、3000万人以上いた国民のうち400万人以上が国外に脱出(出稼ぎ)したり、平均寿命がかつて75歳だったのが⇒70歳まで下がったり、無茶苦茶である。

 

さて本書。
修羅の国と化したベネズエラ。実態を調べるために著者は潜入を試みた。
コロンビアの新聞記者と一緒に、サッカーの取材と偽ってコロンビアから陸路でベネズエラに入国、メリダという都市に行く。驚くほど平和で、スーパーには普通にモノが売っているし、レストランもある(1食200円くらい)。ナイトライフのクラブまである。
2012年の最低賃金月額 約3万円
2020年の最低賃金月額 約400円(桁の間違いではない)
月の収入が400円で、どうして200円のレストランで飲食できるの?という謎も本書では明かしている。
この時の潜入は、ナイトクラブからの帰路で同行のコロンビア人記者が強盗に襲われたため、予定より大幅に早くコロンビアに戻る。

 

2回目の潜入は空路で首都カラカスへ。出会い系アプリで出会った女性に騙され、金を抜き取られる。

 

3回目の潜入も空路でカラカスへ。露天商(コーヒー屋)の女主人と行動を共にする。ベネズエラ国民は、良い靴を買う余裕がなくなったそうだ。
マラカイボからコロンビアへ出国する際、女主人にも同行してもらう。国境までのタクシー移動中、検問の警官が現れ金銭要求。

 

本書は330ページ、うち2/3は上記ベネズエラ潜入記であるが、ページ数が足りなかったのか残り1/3はメキシコ南部からアメリカ手前まで行く、通称「野獣列車」の取材である。

 

報道ではベネズエラの治安は無茶苦茶という印象があり、実際ベネズエラ人のtwitterでも「危険だから(特に)日本人は観光に来るな」的な話が流れていて、凄いことになっているのだろうという先入観があったが、本書を読む限り「治安が悪い国」程度の状況みたいだ。まあ、だからベネズエラのプロ野球リーグに戻るベネズエラ助っ人が多いのだろう(アレックス・ラミレスも一時ベネズエラに戻っていたはず)

 

7点(メキシコ編が1/3という構成に不満)/10点満点

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2023/01/30

ケイシー・ミシェル/秋山勝訳「クレプトクラシー 資金洗浄の巨大な闇」感想。2022年12月23日読了。

 

千葉県の松戸の駅近ビルに「喜久屋書店」という本屋があり、ふらっと入ったら、めちゃくちゃ売り場の広い本屋だった。充実した本屋に入ると、本を探すのが楽しい。この時期、ニコラ・シャクソン「世界を貧困に導く ウォール街を超える悪魔」を読んでいたことから、関連した本を探していて見つけたのが本書。

 

読後の充足感として、ニコラ・シャクソン「世界を貧困に導く ウォール街を超える悪魔」より上だった。同じようなテーマなので、どちらを先に読んだかで印象は変わると思う。

 

本書のメイン登場人物は2人。
◆ウクライナのオリガルヒ(ソ連崩壊のどさくさに紛れて大儲けした成金)イーホル・コロモイスキーと、
◆赤道ギニアの独裁大統領テオドロ・オビアン・ンゲマ・ムバソゴの息子テオドリン(テオドリンは通称。テオドロ・ンゲマ・オビアン・マングリンク先は英語版)(BBCの参考記事)。

 

※ウクライナは、オリガルヒに政治を乗っ取られ、国中のありとあらゆる企業が寡占独占が当たり前(独禁法などないも同然)、賄賂が無ければ何も動かない国。ロシアのウクライナ侵攻後、ウクライナはEU加盟を直訴したが、EUは腐ったウクライナを知っているから「ウクライナ国内を何とかしてから出直してこい」というスタンス。ロシアに攻撃されて不憫な国だねえ、などと思ってはいけない。ウクライナを助ける意味ってあるのか?! というレベルで腐っている。そういう意味(ほっとけば自壊する)では、ロシアのプーチンは何で侵攻したのか私には分からん。廣瀬陽子センセや佐藤優氏やロシア通がこぞって読み間違ったのも理解できる。

 

※赤道ギニアは国である。旧ポルトガル領。アフリカ各国の独立機運に乗り独立。したのはいいけど何も産業が無い(カカオとコーヒーと林業)。建国時(1968年)の大統領マシアス・ンゲマが恐怖政治を敷き、反対するものは全員粛清。甥っ子のテオドロ・オビアン・ンゲマがクーデターを起こし(1979年)、マシアス・ンゲマ(叔父)を処刑。1979年以降、テオドロ・オビアン・ンゲマは43年間、赤道にギニアに君臨する独裁大統領。重要なのは、1990年代にギニア湾(赤道ギニアもその一部)で石油がザクザク見つかり、テオドロ・オビアン・ンゲマ一族は独裁大統領として、国庫の全てを自分と取り巻きのモノにした。国民には一円も使わん。

 

◆という2人を主軸に、奴らはどうやってマネーロンダリングしているのか、その一端を解き明かしたのが本書。

 

端的に言うと、ウクライナや赤道ギニアの国内にドルがあっても、いざというとき使えなければ意味がない。
なので、目に見える形でアメリカから実物を買う。

 

コロモイスキーはアメリカ・クリーブランド(オハイオ州)の寂れたビルをいくつも高額で買い、
テオドリンはマイケル・ジャクソンの遺品を買い漁った。

 

ウクライナや赤道ギニアでドルを持っていても、国際政治や国際金融が制裁を課せば、ドルそのものの移動が禁止されると同じなので、他国に持っていけなくなる(ただし自国では使える)。

 

しかし、アメリカ国内にあるビルを買ったり、マイケル・ジャクソンの遺品に変えたら、それらはいつでも売れる。

 

アメリカの不動産を売買するということに関しては、ドナルド・トランプ=トランプタワーがその一翼を担っていた。トランプは、誰にでもトランプタワー(の一室)を売っていた。

 

さらに、その手助けをしていたのはアメリカの弁護士税理士不動産業界だった。

 

という内容が超濃密に書かれています。

 

9点/10点満点

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2023/01/23

ニコラ・シャクソン/平田光美・平田完一郎訳「世界を貧困に導く ウォール街を超える悪魔」感想。2022年12月5日読了。

 

2012年に本書の著者ニコラ・シャクソンの「タックスヘイブンの闇」8点を読んだ。この本を読んだのは橘玲氏が推薦していたから(橘玲氏の著書を読み始めたのも2012年から)。

 

「タックスヘイブンの闇」では、バナナの国際取引についての事例が印象に残っている。(以下は例)
アメリカにバナナ会社の本社がある。
ホンジュラスに生産(収穫)子会社がある。
ルクセンブルクに金融子会社がある。
マン島(イギリス領)に輸送子会社がある。
ルクセンブルクからホンジュラスに50万ドル貸し付ける。
ホンジュラスはバナナを収穫し、20万ドルの価値とする。
ホンジュラスは50万ドルの借金から10万ドルをマン島に払って輸送してもらう。
ホンジュラスはルクセンブルクに金利7万ドルを払う。
ホンジュラスは残り3万ドルを現地従業員の給与とする。
ホンジュラスに利益は残らない。
アメリカは、マン島とルクセンブルクから株主配当(親会社なので100%株主)を受け取る。
というようなプロセスを、世界中どこの国の税法にも引っかからないようにしなが=払う税金を最小限にする=会社経営をしているのがグローバル企業である。アップルもグーグルもマイクロソフトもamazonもユニクロもソフトバンクもみなやっている手口である。
詳しくは「タックスヘイブンの闇」をご一読ください。

 

◆本書「世界を貧困に導くウォール街を超える悪魔」
本書が指摘している「ウォール街」を超える悪魔は、ロンドンの金融中心地「シティ」と、世界中に増殖しているプライベートエクイティファンドのことである。

 

500ページ近い本なのに、いまどき2200円+税という安価である(2200円が安く感じる出版不況の昨今である)
通常こういう翻訳書の場合「原注」が巻末に数十ページ載っていることが多いのだが、ばっさりカットしてWeb公開に踏み切っている。ページ数を切り詰める苦肉の策なのだろう。

 

以下、私が付箋を貼ったところから抜粋。

 

P87
本書の初めの方に出てくる興味深い点として、アメリカの各州・各市町村が、大企業を誘致するための減税合戦に陥っている点。Amazonの第2本社の誘致に際して「どれだけ魅力的な減税パッケージ」を提案するか入札したところ、238の市町村が候補地として名乗りを上げた。

 

P125
世界中の租税回避情報が詰まった「パナマ文書」の出どころ、パナマの法律事務所モサック・フォンセカは、太平洋の小さな島国ニウエ(人口わずか1,500人・一応独立国)でオフショア企業を登記する独占権を得て、ニウエの国庫収入の8割を生み出していた。

 

P168
パキスタン人銀行家アベディが1972年に作った「国際商業信用銀行(BCCI)」は、巨大なポンジスキーム(ねずみ講もしくは自転車操業)だった。

 

と世界のウラ的な話が一通り書かれた後、第5章から「シティの闇」や「アイルランドの見せかけの反映」、「世界4大会計事務所(デロイトトーマツ、アーンストヤング、KPMG、PwC)は脱税指南会社で、会計監査はしていない」、「信託の真実⇒プライベートエクイティファンドの闇」に迫っていく。実に様々な観点から、現代金融(業界)の不都合な部分を書き表している。ボリュームがあり過ぎて、私の読書ペース(ここ数連劣化が激しいが)で読了まで3週間かかってしまった。この手の本で読了まで3週間かかると、冒頭の話題は何だっけ?となってしまい、ときどき前の十数ページを読み返す必要も出てくる(私が老いただけかもしれないが)

 

P439

プライベートエクイティファンドを用いた減税効果が行き過ぎた世界では、企業の役員に払う報酬が高く、役員が所得税をたくさん払う必要がある場合、起業は役員個人に報酬を払うのではなく、役員が設立したプライベートエクイティファンドに払い込んだ方が税金が安くなる。というブラック(とは言えないあり得る)ジョークが載っていた。

 

著者の言わんとするところは、「全世界で公平な税制を」「金持ち企業だけが脱税指南会社(4大会計事務所)を雇えるのは不公平」的なことで、行き着く先は金。金のあるやつが偉い、それが今の世界であり、それを打破するには政治しかない。ということっぽい。

 

8点/10点満点

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2022/01/03

廣瀬陽子「ハイブリッド戦争」感想。2021年6月15日読了。

 

著者はコーカサス研究者で、私はチェチェン(ロシア国内紛争地)関連で初めて著者の名前を知った。以下を読んでいる。(ココログの仕様改変で固定リンクがすぐに出てこない。のでリンク張らない)

 

・廣瀬陽子「未承認国家と覇権なき世界」感想。2015年05月27日読了

・廣瀬陽子「コーカサス 国際関係の十字路」感想。2013年11月29日読了

・廣瀬陽子「強権と不安の超大国・ロシア」感想。2013年11月26日読了

・廣瀬陽子「ロシア 苦悩する大国、多極化する世界」感想。2013年03月17日読了。

 

本書は、ロシア=プーチンとその取り巻きが試みているハイブリッド戦争に関して一冊にまとめられたものである。

 

ハイブリッド戦争とは、通常の武力戦争ではなく、プラスしてサイバー空間における情報戦、ブラフも含めた外交、民間人と軍人の区別がつかない民間軍事会社を活用した半軍事行動、などが混然一体となった現代戦のことを指す。

 

さて本書。

 

誤記、明らかな間違い、前述部との矛盾、まとまりのない構成、同じことの繰り返し。
それらが一冊の中にある。駄目な要素がいっぱい詰まった本であった。(前著との矛盾であれば、最新書籍である本書が正しいと思えるのだが、一冊の中で矛盾があるとどうにも読後感が悪い)

 

5点/10点満点

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安田峰俊「「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本」感想。ルポ。2021年4月22日読了。

 

また安田峰俊氏の本を買ってしまった。
なんというか、安田氏の取材対象が私のツボにはまるのである。

 

農業や漁業に3年間限定で従事する「技能実習生」。日本人の若者がやりたがらない、きつい、きたない、きけん(いわゆる3K)仕事を外国人に丁報酬でやらせましょう。
日本で「技能」を「習得する」目的なので、特別なビザを与えましょう。

 

以前は中国の田舎者を連れてきたが、中国が豊かになるにつれ、中国人は日本に来なくなった。そのあとに来たのはベトナムの田舎者であった。ベトナム人は日本に来る前に斡旋料を払っている(本当は禁止されている)。斡旋料が安い仲介業者は「信用できない」ので、無理して100万円以上の斡旋料を払って日本にやってくる。
期待をもって日本に来たら、給料安い、こき使われる、住環境が悪すぎる、仕事は単純労働。
今はスマホで簡単に情報が得られるので、自分がいかにひどい環境で働いているか知る。
で、逃げる。

 

逃げる前の外国人、逃げた後の外国人、外国人を送り出す斡旋機関、受け入れる日本の監理団体、それら多岐にわたって取材しているので読み応えあり。

 

とはいえ、スマホで簡単に情報が入る今、受け入れる側の日本企業も変わらざるを得ない。

 

私の同級生が経営している農業法人では、受け入れる実習生は農家の後継者に限定し、かつできる限り「日本と似たような気温湿度」の場所から人材を探し、農閑期に実習生を受け入れ、実作業に移る前に「日本語」の勉強をさせている(もちろん有給)。
実作業では、なぜ隙間をあけて種をまくのか、なぜこの肥料を使うのか(そしてその肥料の代替品は自国に戻った時に手に入るか)、風雨対策の方法、種の作り方、収入を安定させるためには単作ではなくいろんな作物を育てよう、そのためには畑を休ませ土地を肥えらせることが肝心、などを教えながら働かせているとのこと。
かつ、寮を完備(基本自炊だけど、米や野菜は無料)、農繁期(収穫時期)を除いて週休2日になるようにシフトを組み(シフトを組めるように20人くらい雇っている)、月1回レクリエーションを実施(徹夜でカラオケ、ボーリング大会、地元のイベントに参加)、ショッピングしたいときはミニバンで隣の都市まで送迎(月2回・日曜限定)。
ここまでやれば逃げ出さないそうだ。

 

他、最近一緒に仕事をした大手電機工事会社にはビルマ人実習生がいて、彼の待遇はよくわからなかったけど、近い将来ミャンマー支店を作った際、幹部候補生として帰国することが約束されているとか。

 

最近、野口悠紀雄を筆頭に「日本はもう斜陽国家に転落している」論が次々に発表されている。少子高齢化が主たる原因。
それ自体に異論はないし、日本が超高齢化社会であることも事実。
だけど、ヨーロッパには日本より深刻な少子化国家(寿命が日本より短いので超高齢化ではない)が多数あることを書かなければ、偏向報道に近いものがあると私は感ずる。

 

7点/10点満点(切り口は良いが、値段に比して文字数が少ない)

 

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安田峰俊「現代中国の秘密結社」感想。ルポ?2021年2月27日読了。

 

中国ウォッチャーで本を書いている人は多い。
5年スパンで良いライターが次々と出てくる傾向にある。
英語の次の第二外国語として中国語を学んだ人が、次第にどっぷりと中国に魅了され、良い面も悪い面も知り、それを日本語で本に書く。
富坂聰(1964生、中国留学、週刊ポスト等を経てフリー)、石平(1962生、中国人、日本に帰化)、近藤大介(1965生、講談社、中国留学)、福島香織(1967生、産経新聞、中国留学)などが現在Webメディアで絶賛活躍中である。

 

安田峰俊(1982生)はいま最も脂がのっている中国ウォッチャーである。
真面目と不真面目が同居している人で、どちらに振れても面白い。また自分の興味を追う傾向が強く、恐竜記事もよく書いている。

 

本書は真面目に振れた一冊。割と密度の高い本であるため、かいつまんで紹介することができない。

 

4章以降が宗教に偏った感がある。(わざと固めたのかもしれない)

 

良書であるが、似た名前の秘密結社が多く、あっちとこっちはどういう違いだっけ?となってしまい、内容が記憶に残りづらい(私だけかもしれないが)

 

7点/10点満点

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上野庸平「ルポ アフリカに進出する日本の新宗教」感想。ルポ。2021年02月11日読了。

 

2016年に出版された本。
・ラエリアンムーブメント(宇宙人が人間を作ったと真珠ている団体。日本発祥ではない)
・幸福の科学
・真如苑
・崇教真光
・統一教会
・創価学会
らの宗教がアフリカ各地でどのような活動を行っているのかを、現地の事務所・施設に訪れ取材した記録。

 

著者は在外大使館の契約職員として、ブルキナファソ、ガボンに勤務。セネガルにも在住経験あり。

 

構成がいまいちで、突撃取材をただ一冊にまとめた感が否めない。構成が良ければもっと高い評価を得ていたことと思われる(アフリカ好きの私のアンテナにも引っかからなかったので、ルポとして厳しい眼で見られたのだろう)

 

ウガンダで幸福の科学が躍進中、ブルキナファソで真如苑信者(ブルキナファソ人)と偶然出会う、フランス国営ラジオRFI(西アフリカでリスナーが2億人)で紹介される崇教真光、どこにでもある創価学会などなどが紹介されている。

 

著者が暮らしていた関係でブルキナファソの話題が多い。これが構成の弱さで、宗教別にするより国別に紹介した方が良かったのではないだろうか。

 

巻頭に宗教地図が載っているのだが、それによれば、
・アンゴラにPL教団、生長の家、世界救世教、崇教真光
・ガーナに創価学会、日蓮正宗、生長の家
・ウガンダに統一教会、幸福の科学、天理教、バハイ教(イラン発祥)
など、いろんなところに進出していることが分かる。

 

ちなみにコンゴ共和国(紛争が多発しているコンゴ民主共和国の隣の別国)の首都ブラザヴィルには天理教が50年前から存在し、アフリカを旅する日本人バックパッカーの間で昔から有名だった。

 

6点/10点満点

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2020/12/31

石弘之「砂戦争」感想。 ルポ。2020年12月17日読了。

 

1章2章4章は砂マフィアの話。
3章は砂の地学。
5章6章はノスタルジー。

 

構成が悪い。砂マフィアにフォーカスを当てるのなら、徹頭徹尾やれ。
ノスタルジー部分は、読み物として理解はできるが、読者をだましているという点で0点。

 

6点/10点満点

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高野秀行「幻のアフリカ納豆を追え!」感想。ルポ。 2020年12月08日読了。

 

ソマリアに行く高野秀行氏をもってしてもいけないマリとニジェール。(納豆取材は日数かかって、滞在期間が長引くと危ない、という理由なのだが)

 

取材部分は安心して読める。納得の高野節。
だが最終章(納豆の正体とは何か)は推測が多い。
ここまでの丁寧な取材を台無しにするのか?! と思えるくらい危うい。
だが、著者も編集もそれで良いから出版されたのであろうし、要するに私が納得できないだけの話である。

 

2006年に私がケニアに行ったのは、マリのトゥンブクトゥツアーが催行中止(人数不足)になったから。
マリに行きたかったなあ。

 

7点/10点満点

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